『クライテリア』が選ぶ批評入門ブックリスト
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No.ハードル書名著者コメント
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1aマジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~前田安正無名の著者なら、まずは完読される文章を目指すべき。「主語・述語、修飾語・被修飾語のつながりがガタガタ」などの、読む気失せポイントを減らす方法が学べる本。他にも、内容以前に注意すべき項目がまとまっている。ナタリー初代編集長・唐木元の『新しい文章力の教室』、大ベストセラー『嫌われる勇気』の構成担当・古賀史健の『20歳の自分に受けさせたい文章講義』あたりと合わせて訓練すれば、読む義務のない読者にも読まれる文章を書けるようになるはず。なお、特に『新しい文章力の教室』が目指す文章は、批評とは違う領域なので注意されたし。
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2a読まずに死ねない哲学名著50冊平原批評書ではないが、プラトン(ソクラテス)からデリダまでの主要な哲学の系譜がチャート付きでわかりやすく解説されている。前ページで紹介したものを再引用する際にページ数が付与されている親切さもありがたい。原著につまづいたらこれに帰ってみよう。また、これよりやや難しめの入門として、『別冊宝島 わかりたいあなたのための現代思想・入門』が海外編・日本編とある。こちらの編者の竹田青嗣『『ニーチェ入門』をはじめちくま新書にはカント、フーコー、デカルト、ハイデガー、ウィトゲンシュタイン、マルクス、バタイユ、レヴィ=ストロースなど、ありとあらゆる「◯◯入門」が揃っているが、誰か現代思想入門書の思想家別ベストを作ってもらえないでしょうか…と思っている感じの方にお薦め。
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3a映画評論・入門!観る・読む・書くモルモット吉田「入門書の類は、迷ったら新しい方を買え。何故なら過去の類書を踏まえて書かれているからだ」って聞いたことありません? 2017年5月発売の本書のうち、特に「2章 映画評論を書く」は、映画についての文章を書いたことがない人が、書くために最初に何をしたらよいかが分かる親切文。他にも、5章の「リアルタイム映画批評」は封切り当時の評価を調べなおす手法で、別ジャンルにも転用できるテクニック。さやわか『僕たちのゲーム史』の面白み(の一部)は、ゲーム関係者の回顧資料と当時のプレスリリース的な記事を並べることにあるけれども、これなんかも似た手法ですよね。
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4a物語論 基礎と応用橋本陽介物語批評の基礎となる「ナラトロジー」の理論が前半で紹介され、後半でそれを用いてポップカルチャー分析を実践してくれる。理論の導入なら前著『ナラトロジー入門』もいいが、とっつきやすさと応用力ならこちら。入門の果てには、ジャン・リカルドゥー、ジェラール・ジュネットの諸著や、『ロシア・フォルマリズム文学論集』など。また現代小説の語りの問題として、「移人称」(渡部直己『小説技術論』)や「パラフィクション」(佐々木敦『あなたは今、この文章を読んでいる。』)という用語は抑えておいた方がいいかもしれない。
ナラトロジー以外にどんな流派があるかを知りたければ、ジョナサン・カラー『1冊でわかる 文芸理論』をどうぞ。構造主義・フェミニズム・デコンストラクション・カルチュラルスタディーズなどの潮流が概観できる。『1冊でわかる』シリーズは『フーコー』『ハーバーマス』など、基礎教養に良い。
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5a夜露死苦現代詩都築響一検索に現れない、中央からは見えない風景、「地方」(あるいは大衆)について何か書こうというとき、この本の立ち位置、語り口、リアルさを超えることはできるのか。ヤンキー論が取りこぼしたものについて考えさせられる一冊。書棚で本書の隣には同じちくま文庫の赤瀬川原平『超芸術トマソン』を置いている。あきらかに共通点のある2冊。
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6a勉強の哲学千葉雅也本を読み勉強することで、自分がどう変化していくのかについてのイメージを持つことができる本。多読によって生まれがちな勉強の迷いを断ち切るのに格好の一冊。また、本書に頻繁に登場する享楽や中断といった言葉により興味をもった場合、前者ならスラヴォイ・ジジェク『イデオロギーの崇高な対象』、後者なら千葉雅也『動きすぎてはいけない』を手に取ろう。なお多読自体のプレッシャーを軽減するためには、著者の推薦する読書技法本、ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』を併せて。
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7a私学的、あまりに私学的な渡部直己批評再生塾第1期の最年少エース野村崇明が批評に興味をもったきっかけは「渡部直己の授業」。1期優秀賞&2・3期オブザーバーの横山宏介は渡部直己ゼミ出身。批評界隈で評判の講義・指導を受けてみたいと考えたものの、早稲田大学ではないあなたには、この講義録的な本を。本の中で出てくる書名のうち、興味が湧いたものはどんどん読んだらいいと思います。巻末の必読書はムズいと感じたら後回しに(いつかはチャレンジするべきなんだろうけど)。
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8a思考術大澤真幸大澤式思考術の理論と実践がわかりやすく面白く書かれた本。深く思考するための読書とそのアウトプットといった実践術から、冒頭を書く気力がでないときの具体的な助言まで書かれている。本書の次に読むとすれば、本文に登場した気になる文献を手に取るといい。あるいは大澤の著書であれば、戦後日本の時代区分を大胆に語った『不可能性の時代』を。
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9a返品のない月曜日井狩春夫取次に勤めていた筆者が見た、1984年の人文書、出版の動向を綴った出版業界批評とも言える一冊。書籍流通についての基本的な仕組みがわかり、また、筆者が書店向けに発行していた「日刊まるすニュース」の再録や筆者の営業活動を通じて、浅田彰や中沢新一の本が書店で飛ぶように売れた時代の出版界・東京の風景を知ることができる。同時代を書店側から見た記録としては、80年代リブロの人文書売場に勤めた田口久美子『書店風雲録』が詳しい。
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10a三木清 教養論集三木清本書は、読書・教養・知性の三部構成で編まれた三木清の論考集だ。編者の大澤聡は、『ゲンロン』の「現代日本の批評」企画の発案者でもあり、「教養」と「時代感覚」の結びつきの重要性を声高に叫ぶ本書を読むことで、「現代日本の批評」に意図された批評的意味も理解が深まるだろう。その意味は、現代日本で批評文を読む・書くことの意味にも通じている。
編者の著書『批評メディア論』もまたその実践だと言えるだろう。7年半に渡り資料を読み漁り、疑似的に戦前を生きたハードコアなその姿勢に、批評家たるものとにかく全ての関連資料に目を通すという心意気を学びたい。ミニマルな単位で「ポキポキと骨折しながら」展開し続ける文体の妙にも注目。
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11bゲンロン0東浩紀今日本の思想の最前線がどこにあるかと聞かれたらこれだろう。内容はもちろん、様々な思想のエッセンスを平易な文章やキャッチーなキーワードに落とし込む、文章の構成方法を盗むためにも。著者のこれまでの仕事の集大成であり、さまざまな本へと接続できるが、ここでは松浦理英子の小説『最愛の子ども』と併せ読むことを推す。同時期に、しかし全くバラバラに書かれたこの二冊が、共に「家族」と「子ども」を扱った偶然には、思わず「連帯」を見出したくなる。
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12bニッポンの思想佐々木敦著者の主観的体験的であるという前提を踏まえてもなお、現代日本の批評史の概観として非常に優れた一冊。『ゲンロン1・2・4』で特集されている「現代日本の批評」の固有名の多さにたじろいでしまう読者は、ここから批評史を追ってみるのもよいかもしれない。また、同じ著者の『ニッポンの音楽』『ニッポンの文学』は、日本のサブカルチャーやメインカルチャーについての歴史を知る足掛かりとしても使える。
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13b文学の読み方さやわか文学という言葉を更新する批評書であり、文学論としてもキャラクター論としても押さえたい一冊。内容について理解を深めたい場合、『クライテリア1』掲載のインタビュー「『文学の読み方』の読み方」を読むことをお勧めする。また、キャラクター論の流れを追いたい場合、『美術手帳』2016年8月号の土屋誠一「すぐわかる!「キャラクター論」の展開」が、関連書や論の展開をわかりやすく紹介しており役立つ。
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14b東京β速水健朗作品と社会(都市)の関係をわかりやく論じている。作品論から社会に接続したい人はここから入ってみるのもありだろう。ネタバレすると
『東京β』は変化し続ける東京の歴史を綴っている、このような歴史を綴る手つきは『ラーメンと愛国』にも見られるので、そちらも合わせて参照されたい。
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15bジャズと自由は手をとって(地獄に)行く大谷能生あるときはジャズを主題に、あるときはジャズを補助線に対象と格闘する論集。冒頭のブレイクビーツ論、中盤の村上春樹論は、共にジャズを補助線としながら、それぞれキスとセックス、あるいはジャンクに、跳躍を見せる。批評に跳躍が不可欠とする向きは、このジャンプの踏切り地点と、着地点に着目されたい。ジャズというスプリングボードのたわみを、各自が得意とするジャンルに置き換え、点検されたい。再生塾生はここから『散文世界の散漫な散策』に雪崩れ込むと尚良し。
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16bフォト・リテラシー今橋映子写真がどのように「見られ」てきたのかに関する考察。写真の取り巻く環境が把握できるのと、引用や固有名も多いので写真家を整理したい
人におすすめ。著者自身フランス文学出身なので、ところどころ文芸評論的な手つきが伺える感じも読み応えがあっていい。引用されている
中平卓馬・篠山紀信の『決闘写真論』やカルティエ・ブレッソンの『こころの眼ー写真をめぐるエセー』などを片手に読むのがいいだろう。
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17bイメージの進行形渡邉大輔某映画評論家曰く、年三百本以上映画を観なければ映画について語る資格はないらしいが、この本を読むとその禁を侵したくなる。2:2『表象』08の特集「ポストメディウム映像の行方」を合わせて参照すると、この本の持つアクチュアリティがさらによく見えるだろう。
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18bゴダール原論佐々木敦一時間にも満たない一本の映画を見ている間、人はどれくらいの連想や寄り道をしているだろうか。批評家たらんとする条件のひとつは、作品に対してとめどなく連想や疑問が湧いてくることかもしれない。であるならば、まず『さらば愛の言葉よ』を観ながら自分が考えたことと、本書を比べてみるのも一興。本書の一筆書きの筆致を、『ゴダールレッスン』の構築美と比較するのもまた興味深い。また同著者の『「4分33秒」論』には、本書と同様に著者の原理的な問いと追求の姿勢がよく表れている。
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19b神話が考える福嶋亮大批評界のマッドサイエンティストが、ポストモダンの文化論のために様々な批評法・概念・隠語を発明せんとした意欲作。村上裕一『ゴーストの条件』と同じく、「ゼロ年代」の一言で斬って捨てるには未だ現在性を持ちすぎている。
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20b日本近代文学の起源柄谷行人現在の批評の礎を作った著者の本の中で、最も「文芸批評」っぽいのがこれ。蓮實重彦の批評(『表層批評宣言』や『夏目漱石論』)と比較し、そのテイストの違い、にも関わらず二人が双璧をなす存在として語られる理由などを考えるのもよい。より思想寄りのものが好みなら、無論『探究』を。
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21b絵画の準備を!松浦寿夫・岡崎乾二郎美術批評の基礎理論を対談形式で語った本。これ一冊読んでおけば、モダニズム以降の絵画についてとりあえずは何かを語れる。
美術批評の必読書『モダニズムのハードコア』に挑むための下準備としても使える。
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22b逆遠近法の詩学パーヴェル・フロレンスキー批評や思想の常識と定石とを、逆張りで転覆したい野心家にオススメ。ポストモダン・表象・シミュラークルという言葉に飽きた人も是非。この本の理論の活かし方がイマイチわからなかった場合、山城むつみ『ドストエフスキー』の第5章をお手本とすると良い。
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23bヴェニスの商人の資本論岩井克人社会と作品を結びつける手際の鮮やかさの好例として。マルクスになんとなく触れる契機にもなる。各論が短いのもありがたい。
ややマニアックだが、元ネタのひとつ関曠野『ハムレットの方へ』は(強引すれすれの)アクロバティックな批評。これも面白い。
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24b批評時空間佐々木敦再生塾に通い始めた頃、一つでもいいからこんな文章を書いてみたいと思った。といっても、本書に収められた批評文はすべて異なる趣向で書かれている。ちょっと変わった形式を試そうとする前に、すでにたいていのことは塾長が試みているということを確かめるためにもどうぞ。全編を通して現われる死の問題、静かなトーンと視点に貫かれた美しい本。そういえば再生塾2期の最終課題は「XX批評宣言を起草せよ」だったけれど、佐々木さんの最初の単行本『映画的最前線』の冒頭には「闘争映画批評宣言」の一語が綴られていた。
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25bカイエ・ソバージュ(1)〜(5)中沢新一2週間に一度やってくる課題提出に追われ、肩がごりごりになり、視野がぎゅっと狭くなってしまいそうになったときにオススメ。講義風の平易な語り口で、あらゆる学問領域を縦横無尽に横断し、人類の土台にあるものを描き出す圧倒的に大きな物語。1〜4巻の展開が集約される最終巻を読み終わった時には、悟ったような読後感が得られ、目の前の課題など小さく見えることと思う。知とはそのような触発される喜びであるということを描いた著作として『僕の叔父さん網野善彦』もオススメです。
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26c坂本龍一・音楽史山下邦彦音楽批評は多くの困難を抱えていると指摘される。たとえば、印象批評だけに陥らないような音楽理論への目配せと、しかし一方でその音の印象の適切な記述がバランス良く揃わないと、独りよがりなものに陥ってしまうだろう。本書のコード分析において現れる、中上から引用した「土のコード」や「竹のコード」のような意匠を「トンデモ理論」と喝破するのは容易かもしれないが、実は前述の困難を克服している一例ではないだろうか。坂本龍一というアーティストを媒介に、ドゥルーズやフーコーからディックやリンチ、セロニアスモンクやキースジャレットからクセナキスやメシアンまで、数々の固有名が接続される様に圧倒される一冊。ここから更に宇多田や椎名林檎まで接続した『楕円とガイコツ』も必読。
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27cイデオロギーの崇高な対象スラヴォイ・ジジェク無論内容も面白い、が、ある程度前提知識がないと分からない。にもかかわらず読むとなぜかかっこいい、そのおしゃれさに触れるべく。
それを入り口に、登場する個別の哲学者(ラカン・マルクス・ヘーゲル
etc.)、あるいは本書の日本における重要な紹介者だった浅田彰『構造と力』に進もう。
著者の本には、よりポップな作品論『ラカンはこう読め!』などがあり、精神分析で映画作品を切る方法が学べる。むしろこちらの方が入門向きかも。
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28c制御と社会北野圭介批評入門としては難いが、受け売りに終始する「お勉強好き」に陥らないためにも、このスリリングな一冊は有益。『現代思想』2015年6月号で扱われる新しい唯物論や、遠藤不比人『情動とモダニティ』で扱われる情動理論とも結びついており、現代について考えるならば無理してでも読んでおきたい。"
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29cニーチェジル・ドゥルーズはじめの「生涯」と「哲学」は三千から四千字くらいのブロックごとにまとめられながら論理展開していくので隔週課題の参考になる。
また本書には「ニーチェ的世界の主要登場人物辞典」なる項目もあり、これを参考にニーチェの『ツァラストゥストラはこう言った』読むこ
とでより読解の手つきが感じられるだろう。
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30cエイゼンシュテイン全集8巻セルゲイ・M・
エイゼンシュテイン
批評再生塾第一期の平倉圭氏の課題「図で批評せよ」の講義で紹介頂いたピラネージ論が白眉。詳しくはネタバレ回避のため書かないが、とにかく一度目を通して頂きたい。批評の持つ発想の自由さ、その可能性の遠い地平線が垣間見られるに違いない。自身のネタに行き詰まったときは、歌舞伎や短歌、象形文字としての漢字などに触れながらも断章形式で暴れまわるモンタージュ考察『映画の弁証法』が目を開かせてくれるかもしれない。
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