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2023/11/04 16:09:21日本女子大学佐藤宗大髙井太郎氏(シンポジスト・作文教育)学習者の「書く」課程がタイピング記録システムによって可視化されることによって、指導者・学習者にどのような「書く」こと教育上のメリットがあるのか詳しく知りたい。また、「書く」課程が可視化されるということは、子どもの考えることのプライバシーを奪うことに(そして「見られても問題ないことを書き連ねる」という姿勢の形成に)繋がらないか。
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2023/11/04 16:15:47横浜国立大学石田喜美野中潤氏(コーディネーター), 髙井太郎氏(シンポジスト・作文教育)「書く」ことを行う主体(エージェンシー)をいかに捉えるべきなのか、いかに捉えておられるのかについてお伺いしたいです。
高井先生のご発表のなかで、「(ICT活用によって)生徒たちの思考を奪う危険性」が指摘されていたと思いますが、今後の社会における「書く」ことを考えるにあたって、他者やテクノロジーから切り離された「個人」が行う営為として「書く」という活動を捉えることはリアリティがないのではないか、と考えることがあります。むしろ、さまざまな人やモノとのハイブリッドを主体=エージェンシーとして捉えることのほうが、今後は大切になっていくようにも思います。
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2023/11/04 16:21:54神奈川私学教員川西愛実棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)帰国子女を中心に、熱心な運筆にも関わらず漢字習得に至らない生徒が毎年必ず見られる。漢字習得には限界年齢のようなものがあるのか。それは今後GIGA構想の影響で低学年での習得を失敗した場合など、同一の問題が発生し得るのか。ご質問ありがとうございました。登壇した際に、外国籍児童生徒さんのことだと勘違いしてお答えしておりましたので、再度お答えさせていただきます。ただ、帰国児童・生徒の皆さんでもお答えしたことと問題は通底しているように感じます。要は日本語による言語経験が重要で、とりわけ読むということを大事にすべきかと思います。また、GIGAスクール構想が進んでも、結局漢字習得には書字が重要だと考えますので、現状と大きく異なることはないと考えています。もっとも、GIGAスクール前にも、2年生ぐらいの漢字でつまずくお子さんは少なくありませんでした。個別に違う要因があるとは思いますが、日本語の表記や文字にもっと興味をもち、漢字が読み書きできることを共に喜ぶ大人がそばにいることが大事かと思います。
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2023/11/04 16:23:48川崎医療福祉大学國弘 保明棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)漢字を習得する際に、書くことの重要性を指摘されていました。この場合、文脈などは関わらないものでしょうか。機械的に一つの漢字を繰り返し書くだけでは、作業になってしまうのではないかと思いました。ご質問ありがとうございます。文字習得のうえで書くことは大事ですが、機械的な繰り返しはあまり意味がないように思います。まずは学習者が漢字を覚えたいという意欲、言葉として習得しようという態度などを育成することが重要かと思います。指導する先生の工夫で効果が大きく変わってくるように感じます。
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2023/11/04 16:29:08早稲田大学菊野雅之堀田龍也氏(基調講演), 野中潤氏(コーディネーター), 松本仁志氏(シンポジスト・書写書道教育)音声入力による文章生成の精度はすでにかなりのものになっており、音声によって「書く」ことも「選択肢」になりつつあります。AIによる句読点の補完やその他の推敲の精度も徐々に高まってくると予想されます。この選択肢についてお考えがあれば伺いたいです。まだ喫緊の問いとは言えないかもしれませんので、お時間がなければ取り上げていただなくても結構です。よろしくお願いいたします。
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2023/11/04 16:33:54東京学芸大学大学院遠藤清将堀田龍也氏(基調講演), 野中潤氏(コーディネーター), 髙井太郎氏(シンポジスト・作文教育)①ICTを用いて書くことは、紙とペンで書くこととは異なり、推敲のあり方を変えたり、ハイパーテクストの挿入を可能にしたりすることから、国語科教育における書くこと概念の再検討が必要になると考えられる。今後の書くこと学習の射程はどこまで及ぶことになるのか。どのように規定していけるのか。
②ICTを用いて書くことは、コピーアンドペーストを容易にするため、剽窃が容易に行えてしまうと考えられる。剽窃に関わる倫理的な指導が一層重要になると考えられるが、どのような指導が行われていくべきなのか。
ICTを用いることによって、確かに「書くこと」については、再検討が迫られています。今後、書くことの学習は、単に文字を記す技術を超え、情報の整理・加工能力や、デジタルメディアを駆使した多様な表現力を育てる方向に進むことが予想されます。生徒たちにとっても、デジタル環境を前提に、批判的に考え、創造的に表現する力を養う可能性が広がるわけで、基本的には歓迎すべき事態だと受け止めています。情報リテラシーやメディアリテラシー、あるいはデジタルシティズンシップ教育など、国語教育学の隣接領域と言える分野との関連付けがより一層重要になります。もちろん、プロンプトエンジニアリングも、研究すべき新しい課題の中に含まれます。
剽窃に関しては、その倫理的側面を強調すると同時に、Google Classroomの「独自性チェック」のような技術的なツールを用いることで対応がなされつつありました。(他の研究領域ではこうしたツールでドラフトを検証することが常識になりつつあるようです。)しかし対話型生成AIの登場によって、こうしたスキームも問い直しを迫られています。児童生徒が自己の思考を育て、それを自らの言葉として紡ぎ出すことの喜びを感じられるような学習環境を提供することが重要です。ただしここにも、対話型生成AIの登場が大きな影響を与えます。つまり、書き手の主体性の問題です。ただこれは、生成AIが登場したことをきっかけに顕在化したに過ぎず、むしろこれまではないことにされてきたのではないでしょうか。したがって、「ゼロから1を生み出す」とか「自分の言葉で書く」と言った表現の危うさに、改めて向き合う必要があるのではないかと私自身は考えています。【野中】

学習者は、どのように文章を生み出しているのかをまずは検討する必要があると思っています。私は手書きによる執筆とタイピングによる執筆では、書き方のスタイルが異なると考えています。さらにタイピングによる執筆は、発達段階はもちろん、話題や文種によっても異なる可能性があると思っています。これは私の課題ですが、まずは学習者がどのようにタイピングによる執筆で書いているのか、それを単元のスパンの中で捉える必要があると思っています。
コピーアンドペーストについても、私の課題でした。これについては、国語科だけではなく各教科での声がけが必要だと思っています。今回の私の発表と関連させ提案させていただくと、タイピング記録システムの使用が考えられると思います。学習者の書く過程を見ながら、不自然な執筆が見られた時に、教師が声をかけるということが必要かもしれません。【高井】
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2023/11/04 16:34:46小野塚若菜堀田龍也氏(基調講演)「言語能力」と「情報活用能力」(「課題発見・解決能力」も含め)の接点についてですが、子どもの資質能力をとらえる異なる側面、という認識でしたがいかがでしょうか。仮にそうしますと、両者は重なり合いますし、発揮が期待される場面も類似しているのではないかと考えます。
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2023/11/04 16:36:29東京大学附属中等教育学校大井和彦棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育), 松本仁志氏(シンポジスト・書写書道教育)書字障害の児童生徒(アナログ筆記具を使うことが思考表現に使えない)が、PC等デジタルならばできるという場合、漢字習得や書写教育はどのように考えていけばよいと思われますでしょうか。
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2023/11/04 16:37:55大阪教育大学住田勝全員作文の入門期指導における、話し言葉の世界と書き言葉の世界へとわたる子どもたちの体験をどのようにかんがえますか?作文指導と書字指導の問題が交錯する最もホットなところが入門期だと思うのです。話し言葉が書き言葉で置き換えられる体験の意味を考えた時、文字を手で綴ることをどう考えるのか?興味があります。【棚橋】ご質問ありがとうございます。お答えにならないかもしれないのですが、私が過去に小学校1年生を担当した時、勤務校が附属学校だったということもあり、ほぼ書き言葉の文体が身についている感じで子供たちが作文をしていました。また、課題が「先生、あのね」のような口頭作文の場合、口頭作文だということを理解していて「~だよ」のような文末表現を使う児童がいたのが印象的でした。(ほかの児童は、です、ますという文末で書いていました。)別に、作文があまり得意でない児童の中には、文章が経験の羅列になっていて、今から考えると文末のみ敬体にして、結局は話し言葉で書いていたのだなと感じます。話し言葉から書き言葉に移行するということは相手意識の親疎に関係するのではないかと愚考しております。
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2023/11/04 16:38:18大和大学舟橋秀晃松本仁志氏(シンポジスト・書写書道教育)大学で実際に学生にICT併用で毛筆書写指導を行う中で、好評なものを挙げておきます。まだまだ毛筆にも可能性はあるように思われます。
1)水書板に水書きした各学生の字を、撮影して皆で鑑賞し合える。練習量が増え、意見交流も増える。
2)街中で見かける手書き文字を写真で撮ってくる宿題が可能になる。学生が気づくのは、今も多くの飲食店が特に看板やメニューで手書きの毛筆を重んじていること。
3)毛筆作品を瞬時に提出して交流し、また蓄積できる。自己の学習履歴が容易に確認できる。
4)動画で運筆の手本を提供できる。特に露峰の筆の突き返しを斜め上から拡大して撮影した動画は学生に好評であった。
‥講義を終えて学生の多くが毛筆に自信を持ち、楽しくなったと語っていた。
書写書道教育に関するICT活用の具体的な好事例を示していただき、ありがとうございます。書写書道教育にとってICT活用は、授業方法、評価方法、両者に関わる情報管理に大きな効果があり、その可能性はいまだ広がり続けていると思います。この度のシンポジウムではICT活用のメリットの部分については大きくとりあげませんでしたが、先生のような素晴らしいご実践を広く共有できる場を設けなければと思っています。【松本】
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2023/11/04 16:44:03横浜国立大学石田喜美棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育), 松本仁志氏(シンポジスト・書写書道教育)率直に、デジタル社会における「漢字を書くこと」(棚橋先生)、「文字を書くこと」(松本先生)が、どのような機能・役割を果たすものとして捉えられているのだろうか、と思いました。
なんらかの社会(の中の言葉・文字)イメージにもとづいて、本日のご発表があると思うので、そのような先生方の社会イメージをお伺いしたいです。
【棚橋】ご質問ありがとうございます。デジタル時代ですので、伝統文化などの側面を考えなければデジタル上で漢字を書くということでよいと考えております。ただ、デジタル上でしっかり意味を理解して漢字を使っていくために手書きで習得することが大事ではないかと考えております。
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2023/11/04 16:44:18広島大学間瀬茂夫野中潤氏(コーディネーター), 会場校本日提案いただいているのは、「書くこと」のうち書記方法、ワークシートへの形式をともなわない記述、という提案はあったが、思考および文章の形式をともなった論理的な文章の書くことは、デジタル化以前に、国語の学習において忌避され崩壊してきたのではないか。研究者も少なくなってて、他国との差も広がっているように思うが、こうした問題をどう位置づけるのか。そのような問題を考えるには、$まず現状分析が必要でしょう。具体的には、教育課程における論理的な文章の書き方の位置づけ、教員の専門性と指導法の現状、現代社会のニーズと児童生徒の実態などについて議論の俎上に載せることが必要です。その上で、論理的な文章を書く力を育成するためのカリキュラムの改善、教員の研修プログラムの充実、そして生徒が実践的に学ぶ機会を増やすことが考えられます。当然のことながら、ICTの利用を通じてこの種の文章力を養う新しい教育方法の開発も解決策の一つとなり得ますし、さらに対話型生成AIについての研究も必要でしょう。しかしながら、今回のシンポジウムでは、登壇者の専門性や時間的な成約があり、こうした問題を考えることはできませんでした。理事や幹事の皆様に今後検討していただければと存じます。【野中】
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2023/11/04 16:45:18東京学芸大学大学院・院生田中 秀憲全員 GIGAやデジタルデバイス拡張を通じて「書く」ことの何が「変わった」のか(あるいは「変わりそう」なのか)という議論が中心でしたが、逆に何が「変わらない」のでしょうか。その「変わらなさ」とは、近代以降の教育制度の確立においてどのような文脈であり、人間のことばという営みにおける文脈においてどのように位置づけられるのでしょうか。
 言い換えると、人間にとっての「書く」という言葉の営みと「国語科教育における」「書く」ことは、どのように同じであり、あるいはズレがあって、それらがどのように問題として前景化しているのでしょうか。
 個人的に、「変わる」ことの議論を伺いながら、もしかしたら「変わらなさ」の感覚すらも(共通しているようで)実は違うところがあるのかもしれないと感じました。先生方のご専門やお立場それぞれからみえる「風景」のようなものについて、もう少し深堀して伺いたいです。
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2023/11/04 16:46:56東京学芸大学教職大学院・院生前田歩南棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)スライド9枚目について質問です。漢字検定試験の「書き」と文章読解・作成能力検定試験の「作成」との関係を分析されていましたが、文章を「打つ」場合も同様なのでしょうか。例えば、漢字の大体の形を覚えていたり正しく変換することができたりしても、デジタル上の文章作成には漢字を書けることは必要なのでしょうか?ご質問ありがとうございます。本当に恐縮ですが、このご研究は、京都大学の大塚貞男先生方のご研究ですので、事象としてご紹介のようになったしか申し上げようがないところです。漢字、作文の両方とも手で書いている調査が対象となっておりますので、ご質問の点は私の方ではお答えしにくいです。申し訳ございません。
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2023/11/04 16:49:34北海道武蔵女子短期大学多田久実子棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)漢字を手書きする力が文章作成力に直接影響するというお話でしたが、漢検と文作検の結果から言えることは、因果関係の有無ではなく、両者に相関があるということだけではないかと考えるのですが?ご質問ありがとうございます。ご指摘の通りかと存じます。ただ、漢字を手書きできることは、文脈等を含め多くの言語的要素を獲得していることですので、作文能力に何らかの影響は及ぼしていると考えることもできそうかと存じます。また、原典をご参考になさってくださいませ。
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2023/11/04 16:49:45徳島大学医学部保健学科森慶子全員読字障害を有する子どもの支援にかかわっております。読字障害を有する子どもは、書字障害も併存することが多く、漢字書字が苦手で、作文がかけないという現状があります。しかし、デジタル媒体で入力しようとすると、ローマ字を覚えないといけないのですが、そもそも、アルファベットを覚えることが難しい。特に習うローマ字は小文字が多く。端末のキーボードは、大文字で表記されています。いまここで、かなり困っております。フリック入力や音声入力を利用するということが解決方法になりますでしょうか。なにか、よい方法があれば教えていただきたいのです。よろしくお願いいたします。
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2023/11/04 16:50:57水都国際高校蓮井洋城髙井太郎氏(シンポジスト・作文教育), 棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)作文にせよ漢字にせよ、習得の初期段階では児童生徒の書くことの負担感は大きいのではないかと現場で体感しています。デジタル時代でもキー入力による負担感は少なからずあると考えますが、その負担感について先生方はどのように受け止めておられますか?またその負担感を低減する方法、また負担感を乗り越えて児童生徒が主体的に書くための方法方略についてどのように考えていますか?(差し出がましいのですが、質問者は授業中、タイムアタック形式で5行程度の文章の試写課題を定期的に与えて負荷を減らしています。参考までに)学習者にとって、手書きであってもタイピングであっても、書くことの負担感は大きいと私も感じています。私が実践していたのは中学校や高校でしたので、入門期についての負担感は相当なものだとも思います。その負担感を乗り越えるためには、ある程度の練習が必要だと思っています。ただ、その練習の中にも、書く楽しさや喜びを感じられるような場があると良いと考えています。その方法としては、今回、ご紹介させていただいた作文ワークショップ(ライティング・ワークショップまたは作家の時間)です。そして、もう一つは学習ゲームです。楽しみながら書けそうな学習ゲームを考え取り入れ、話題や文種、読み手を変えて、短いスパンで、たくさん書かせようと私はしてきました。「課題を定期的に与えて負担を減らす」という先生のご実践、私はとても大切だと思います。「負担感を乗り越える」ということが、書き手としての成長につながると考えています。【高井】
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2023/11/04 16:53:45京都橘大学 池田修野中潤氏(コーディネーター), 髙井太郎氏(シンポジスト・作文教育)作文執筆指導のChatGPT-4で動く「うめさんプロンプト」を使って作文を書く子どもは、考えて書いていると思いますが、いかがでしょうか。

https://note.com/ume_nanminchamp/n/n3441c431aea3



また、生成AIが作文を書くという場合、執筆をしてくれるから楽というイメージがありますが、実際は、いい執筆を得るためにはかなり高度な思考をもとに練り上げられたプロンプトが必要なります。考えているのではないでしょうか。準備、執筆、推敲というプロセスが書くにあるとして、考える場所が変わったかと思います。執筆ではなく、準備と推敲に考えるが移動したと考えています。いかがでしょうか?

よろしくお願いいたします。
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2023/11/04 16:54:32軽井沢風越学園澤田英輔全員午前中の生成AIとの分科会とも関連する感想になってしまいますが、技術革新がもたらす「文章を書く」(文章で表現する)ことをめぐる環境の変化が、私たちに何をもたらすのかを改めて考えたいと思いました。

1)個に閉じたプライベートなものから、プロセスを可視化されるような営みへ。
2)さまざまなテクストを、ときに複数の人間で編集するような営みへ
3)音声やAIに書いてもらうプロンプトによる指示も含めた、多様な産出方法へ

このような変化が、「文章を書く」ことへの私たちの構えをどのように変えていくとお考えでしょうか。また、そうした変化の中で、書くことの教育が(これまで同様に/あるいは新たに?)担うべきコアの部分とは何でしょうか。漠然とした質問で恐縮ですが、どなたでも構いませんので、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
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2023/11/04 16:55:27広島大学・院生永井 ほのり髙井太郎氏(シンポジスト・作文教育)作文ワークショップにおいて、「遠隔からのティームティーチングの導入で役割分担をしながら学習者に個別指導を行える」とありましたが、複数の先生の役割分担や連携はどのようにされているのでしょうか。
生身の生徒に対する生身の先生の指導と、タイピングされた生徒の文章に対する先生のタイピンングによる添削やアドバイスという指導は、内容的にも食い違いが出てくるのではないか?と考えます。もし食い違いが明確に起こるのであれば、その違いこそが新たな気付き(学び)となるのではないかと思うのですが、そのあたりについてお考えがあればお伺いしてみたいと思います。
複数の教員で指導をすることは、1人の学習者の書く過程を様々な角度から丁寧に見ることにつながると思っています。特に作文ワークショップのような「好きなことを、好きなジャンルで、好きなように」書かせる指導は、学習者のプロセスの把握と次の予測が必要になります。その把握の段階で、扱っている話題や文種によっては、もう一人の先生が指導をした方が効果的な場合があると考えています。例えば、発表の中で触れさせていただいた専門家とのティムティーチング(2019年度)では、内容への指導が何度も入りました。その結果、学習者は内容修正はもちろんのこと、表記の問題だけではなく展開などの考え直しも行っていました。学習者に形式と内容の往還が生じていたように思います。

机間指導(プロセスへの指導)では口頭での指導になりがちです。そのような中、チャットによる指導では執筆過程においても、コメントを残すことができます。学習者にとっては、そのコメントを見ての考え直しが可能ということが、メリットだと思っています。もう一つ、チャットによる指導はご指摘の通り、学習者との食い違いを生じさせることもあると思います。時間的に可能であれば、対面の指導と組み合わせ、学習者の声を引き出し、そのうえで教師の指導の意図なども伝えることができれば、より効果があるとも思いました。
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2023/11/04 17:00:13埼玉県熊谷市立新堀小学校小川祐太郎棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)漢字習得において、デジタル機器の書くことへの活用は発達段階に鑑みる必要がある、学習者自身が手書きとデジタルを場に応じて選べることが大切ということですが、手書き・デジタルはどのような基準や視点で選ぶべきでしょうか。教師側・子ども側それぞれ教えていただけると幸いです。
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2023/11/04 17:08:23慶應義塾大学政策・メディア研究科、横浜市立中学校梁梨花 Yang Lihwa全員公立中学校の教室で感じていることは、ICTを使って書くことで、生徒たちの個性が視覚的な工夫で発揮されて、生徒たちが個性を出すことを楽しみ、それを互いに褒め合っているとです。(普段は自分を出すことをためらうような生徒でも)一人一台端末で、生徒の幅が増え、自己肯定感を高められる機会が増えたことによさを感じています。
漢字学習では、小学校の漢字を復習する際、教員が漢字を含むストーリーを口頭で話し、それを生徒たちは書きとりますが、は分からない漢字はキーボードで調べ、部首や成り立ちを調べ、アップして共有しています。中学校の漢字学習は、覚えたことを書きとる小テストですが、小学校の漢字の書き取りは、気持ちが楽だとのことです。(調べられるので当たり前かもしれませんが)
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2023/11/04 17:24:38広島大学・院生永井 ほのり堀田龍也氏(基調講演), 棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育), 松本仁志氏(シンポジスト・書写書道教育)書くという行為の中で、嬉しさや快感を帯びる動きは、別の新しい動きとそれに伴う快の台頭によっても廃れることがないように思います。例えば、半紙に筆で字を書いて、両手に持ったものを遠くから見比べていい感じの方を選ぶ、そこには嬉しさが発生しうると思います。硬筆にも、キーボード入力にも、フリック入力にも、音声入力にも、AIへの指示作成も、その動き自体にどのような快がありうるのかということが気になっています。
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2023/11/04 17:26:22大阪教育大学住田勝棚橋尚子氏(シンポジスト・漢字教育)ルビの話を伺って、話し言葉(声)と、漢字を読み書きすることとの間に、【カナ】というシステムがはいるのだなと思いました。二つの世界をブリッジするシステム。とりあえず、その文字列を負荷をかけずに音声化するためのブリッジです。ありがとうございました。ご意見ありがとうございました。みんなが自由に文字を使える手立ての一つがルビかなと感じます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
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2023/11/04 17:28:33東京学芸大学 教職大学院望月歩佳全員「書く」ことと「思考」の関係についてのお考えをお伺いしたいです。
「書く」ことが表現として捉えられる、「思考」の表出の結果として考えられる、「思考」が身体化を伴うことによって深められる、ビジュアル化をして他者に伝わったということが「思考」したということになるのか、気になりました。
日本語母語話者でなくとも、(漢字書字ができなくとも)音声入力であっても、「思考」はできているようにも捉えられると思いますが、いかがでしょうか。
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2023/11/04 17:29:12島根大学冨安慎吾感想音声入力については話し言葉と書き言葉との違いがあるため、音声入力を手(など)による入力の代替として使うことは、さほど簡単ではないようにも思いました。一部にそういったことを率先して行われているアーリーアダプターはいますが、誰もが習得できる技能なのか、というところは疑問があるようにも思います。

ただ、話し言葉として入力したものを、ChatGPTなどで書き言葉(段落などの構造を伴った文章)に整えてもらう、なども可能なので、そのようにして書き言葉を産出していく、ということは、これからの「書く」方法としてはかなり現実的な選択肢になりそうです。

そういったことをするために必要な書く力(あるいは読み、評価する力?)や、そういったことをする中で培われる力とはどのようなものか、ということを考えてみることも必要になりそうだと思いました。

ありがとうございました。
【棚橋】ご意見ありがとうございました。言語環境の激変に私自身戸惑っております。またご一緒にに勉強させてくださいませ。よろしくお願い申し上げます。
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