A | B | C | |
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1 | 目的 | クラミジアおよび淋菌感染症検診のエビデンスに基づく質向上と社会実装を目的とし、文献レビューと推奨作成を実施する | |
2 | 文脈のクエスチョン | 疫学 | |
3 | 日本における性・年齢別によるクラミジア又は淋菌感染症の有病率はどの程度か、米国との比較はどうか? | ||
4 | 日本におけるクラミジア又は淋菌感染症の罹患率はどの程度か? | ||
5 | 現状 | ||
6 | 日本におけるクラミジア又は淋菌感染症検診の体制、指針、運用はどのようになっているか? | ||
7 | 検診を実施している自治体の割合はどの程度か? | ||
8 | 受診率はどの程度か? | ||
9 | 文献レビューの方針 | ||
10 | 各レビューアの裁量に任されるが、複数のレビューアがそれぞれ独立して行い、不一致の部分については第三のレビューアが加わり合意形成する | ||
11 | USPSTF クラミジア・淋菌感染症検診 推奨・文献レビュー 2021年9月 | USPSTFの推奨 | |
12 | 性交渉のある女性(妊娠中の者を含む) 24歳以下のすべての性交渉のある女性および感染リスクの高い25歳以上の女性に対して、クラミジア検査の実施を推奨する 推奨グレード:B 性交渉のある女性(妊娠中の者を含む) 24歳以下のすべての性交渉のある女性および感染リスクの高い25歳以上の女性に対して、淋菌検査の実施を推奨する 推奨グレード:B 性交渉のある男性 男性に対するクラミジアおよび淋菌の検査について、利益と不利益のバランスを評価するに足る科学的根拠が現在は不十分であると結論づける 推奨グレード:I | ||
13 | 解析の枠組み | ||
14 | 文献レビューの知見 | ||
15 | 主要クエスチョンに対する質の評価を含むエビデンスの概要についての表 | ||
16 | 文献レビューの結論 | ||
17 | クラミジア感染に対する検診は、若年女性において骨盤内炎症性疾患(PID)のリスク低下と有意に関連していた。 リスク予測基準は、年齢以外の要素によって予測精度が大きく向上することはなかった。 無症状のクラミジアおよび淋菌感染に対する検査は、尿や自己採取検体を含む多くの解剖学的部位で高い正確性を示した。 一方で、男性や妊婦に対する検診の有効性、最適な検診間隔、検診による有害事象については、さらなる評価が必要である。 | ||
18 | 文献レビューにおける限界事項 | ||
19 | ・米国の現行医療実践に即した検査および実施環境を選定基準としたため、核酸増幅検査(NAAT)の診断精度についての再評価は行われず、利用可能なエビデンスが限定された。ただし、この方針により、USPSTFの推奨に対する臨床的妥当性は向上したと考えられる。 ・採用された研究の質や一般化可能性にはばらつきがあった。多くの研究は、性感染症クリニックや感染リスクの高い集団において実施されており、プライマリ・ケアやリスクの低い人々への適用性は限定的である。 ・男性に関するエビデンスは限られており、妊婦を対象とした研究は存在しなかった。これらの集団における有効性や安全性については、さらなる研究が必要である。 ・スクリーニング試験の主要アウトカムは骨盤内炎症性疾患(PID)および精巣上体炎(epididymitis)に限られており、不妊、慢性骨盤痛、異所性妊娠といった他の重要な健康転帰については十分に評価されていない。これらのアウトカムは臨床的に重要ではあるが、検診との因果関係を明確にすることはより困難である。 ・1件の試験では、検診受診率が17~25%と低かったことが、PIDおよび精巣上体炎の検出を制限した可能性がある。また、アッセイの感度の違いが、PID予防効果の違いに影響した可能性もある。感度の低いアッセイは、細菌量の多い症例のみを検出する傾向にあり、一部の研究ではこれがPID発症リスクの高さと関連する可能性が指摘されている。 ・感染の獲得や伝播に関するアウトカムを報告したスクリーニング研究はなかった。 ・研究数が少なく、対象集団や実施環境、比較対象、アウトカムに不均質性があったため、メタアナリシスは実施されなかった。また、出版バイアスの図的または統計的評価も、研究数の少なさにより行われていない。 | ||
20 | 不足している研究 | ||
21 | ・リスク評価や、誰に対して検診が最も有効かを明らかにする研究 ・無症候性の男性に対する検診が、感染症の合併症やクラミジア・淋菌およびHIVの感染・伝播を減らすかどうかを評価する研究 ・男性間性交者(MSM)、LGBTQ+コミュニティの構成員、ノンバイナリーの性自認を持つ者など、特定のリスク集団における検診の利益と不利益をより深く理解するための研究 ・アメリカ先住民/アラスカ先住民、黒人、ヒスパニック/ラテン系、ネイティブ・ハワイアン/太平洋諸島系のクラミジアおよび淋菌の有病率が高い人々におけるアクセスの格差や、効果的な予防戦略に関する情報を提供する研究 ・妊娠中の者に対する検診の有効性、外陰部以外の部位(例:咽頭・直腸)での検査、他の性感染症との同時検査(コーテスティング)、検診間隔に関する直接的なエビデンスを提供する研究 | ||
22 | 最新のエビデンス | 最新のシステマティックレビュー論文 | |
23 | 新たに検索し、同定した最新のシステマティックレビュー論文における知見を整理、要約し、研究の不足を以下のセクションごとに整理する:主要な直接的エビデンス、スクリーニング方法、介入・治療、不利益、その他の特定のトピック(例>潜在的に予防可能な健康負担、現状のプラクティス) | ||
24 | 過去に結果がまだ出ていなかった研究 | ||
25 | 過去に結果がまだ出ていなかった研究のデータをフォローアップし、確認する。 | ||
26 | 結果がまだ出ていない現在進行中の研究 | ||
27 | 現在進行中の研究とその予想完了日および連絡先を確認する。 | ||
28 | 解析の枠組み | 解析の枠組み | |
29 | 主要クエスチョン | KQ1. 無症状で性交渉のある思春期の者および成人(妊娠中の者を含む)において、クラミジアまたは淋菌感染に対する検診は、感染に伴う合併症やクラミジア・淋菌・HIVの感染・伝播の抑制に有効であるか。 | |
30 | KQ2. クラミジアまたは淋菌感染のリスクが高い者(例:若年者や男性間性交者)を特定するための、リスク層別化手法または代替的な検診方略(HIVを含む他の性感染症との同時検査、検診間隔の変更など)は、どの程度の正確性を有するか。 | ||
31 | KQ3. クラミジアまたは淋菌感染の有無を特定するための、解剖学的位置ごとの検査および検体採取法の診断精度はどの程度か。 | ||
32 | KQ4. クラミジアまたは淋菌感染の検診によって生じうる不利益(例:ラベリング、不安、偽陽性結果、偽陰性結果による安心感、リスク行動やリスク認識の変化など)には、どのようなものがあるか。 | ||
33 | 選択基準と除外基準 | ||
34 | 主要クエスチョン | KQ1. 無症状で性交渉のある思春期の者および成人(妊娠中の者を含む)において、クラミジアまたは淋菌感染に対する検診は、感染に伴う合併症やクラミジア・淋菌・HIVの感染・伝播の抑制に有効であるか。 | |
35 | |||
36 | カテゴリー | 選択基準 | 除外基準 |
37 | ポピュレーション | 無症状の成人(18歳以上)および思春期の者(13歳以上18歳未満) 妊娠中の者 | クラミジアまたは淋菌感染の症状がある者 最近性感染症(STI)の急性診断を受けた者 HIV感染症の治療を受けている者 13歳未満の小児 HIV感染者またはHIVに未感染でPrEP(曝露前予防内服)を使用中の者が大多数を占める研究 Doxy-PrEP又はDoxy-PEPを使用中の者 |
38 | スクリーニングの手段および介入・治療 | クラミジアまたは淋菌感染に対するスクリーニング(検診) | 介入なし、スクリーニングなし |
39 | 比較 | スクリーニングあり vs スクリーニングなし、または代替スクリーニング方略・手法 | 比較なし 厚労省により承認・許可されていない検査法 |
40 | アウトカム | 感染の合併症(PID、異所性妊娠、不妊、慢性骨盤痛、精巣上体炎など)、感染の獲得または伝播(クラミジア、淋菌、HIV)、生殖・妊娠・周産期アウトカム | 健康アウトカムでない中間アウトカム(感染の消失、検査値変化など) |
41 | セッティング | 日本のプライマリ・ケア、またはプライマリ・ケアと関連のある環境(矯正施設、地域ケア、学校、STIクリニック、産科医療機関、家族計画施設、救急外来、自衛隊や大学の健診など) | 日本のプライマリ・ケアと関連性のないその他の環境 |
42 | 研究デザイン | システマティックレビュー、RCT、対照観察研究 | 非対照観察研究、症例報告、ケーススタディ |
43 | 研究の質 | USPSTFの基準に基づく「中等度」または「良好」な研究 | 質の低い研究(poor-quality studies) |
44 | 発行日 | PubMed,およびCochrane Libraryについては2020年5月29日から現在まで、医中誌については発行日の限定は無し。 | |
45 | 言語 | 日本語,英語 | |
46 | |||
47 | 主要クエスチョン | KQ2. クラミジアまたは淋菌感染のリスクが高い者(例:若年者や男性間性交者)を特定するための、リスク層別化手法または代替的な検診方略(HIVを含む他の性感染症との同時検査、検診間隔の変更など)は、どの程度の正確性を有するか。 | |
48 | |||
49 | カテゴリー | 選択基準 | 除外基準 |
50 | ポピュレーション | 無症状の成人(18歳以上)および思春期の者(13歳以上18歳未満) 妊娠中の者 | クラミジアまたは淋菌感染の症状がある者 最近性感染症(STI)の急性診断を受けた者 HIV感染症の治療を受けている者 13歳未満の小児 HIV感染者またはHIVに未感染でPrEP(曝露前予防内服)を使用中の者が大多数を占める研究 Doxy-PrEP又はDoxy-PEPを使用中の者 |
51 | スクリーニングの手段および介入・治療 | リスクの高い集団(若年者、男性間性交者、高リスク行動・パートナーのある者など)に対する選択的検診、HIVなど他のSTIとの同時検査、検診間隔の比較など | 介入なし、スクリーニングなし |
52 | 比較 | スクリーニングあり vs スクリーニングなし、または代替スクリーニング方略・手法 | 比較なし 厚労省により承認・許可されていない検査法 |
53 | アウトカム | 検診方略の正確性 | 検診方略の正確性以外のアウトカム |
54 | 判別の結果(例:c統計量、判別スロープ、感度、特異度、ROC曲線下面積) | ||
55 | セッティング | 日本のプライマリ・ケア、またはプライマリ・ケアと関連のある環境(矯正施設、地域ケア、学校、STIクリニック、産科医療機関、家族計画施設、救急外来、自衛隊や大学の健診など) | 日本のプライマリ・ケアと関連性のないその他の環境 |
56 | 研究デザイン | システマティックレビュー、横断研究、コホート研究(前向き又は後ろ向き)症例対照研究、診断精度研究(ただし、明確なリスク層別化戦略が設定されているものに限る) | | 症例報告、シリーズ エディトリアル、解説、意見論文 スクリーニング戦略の正確性に関係しない記述的研究 感染率や有病率の報告のみで、層別化手法の評価がないもの |
57 | 研究の質 | USPSTFの基準に基づく「中等度」または「良好」な研究 | 質の低い研究(poor-quality studies) |
58 | 発行日 | PubMed,およびCochrane Libraryについては2020年5月29日から現在まで、医中誌については発行日の限定は無し。 | |
59 | 言語 | 日本語,英語 | |
60 | |||
61 | 主要クエスチョン | KQ3. クラミジアまたは淋菌感染の有無を特定するための、解剖学的位置ごとの検査および検体採取法の診断精度はどの程度か。 | |
62 | |||
63 | カテゴリー | 選択基準 | 除外基準 |
64 | ポピュレーション | 無症状の成人(18歳以上)および思春期の者(13歳以上18歳未満) 妊娠中の者 | クラミジアまたは淋菌感染の症状がある者 最近性感染症(STI)の急性診断を受けた者 HIV感染症の治療を受けている者 13歳未満の小児 HIV感染者またはHIVに未感染でPrEP(曝露前予防内服)を使用中の者が大多数を占める研究 Doxy-PrEP又はDoxy-PEPを使用中の者 |
65 | スクリーニングの手段および介入・治療 | クラミジアまたは淋菌感染を検出するための検査方法および手法(例:自己採取と医療従事者による採取の比較)。 検体の採取部位には、尿、子宮頸管、尿道、腟、肛門、咽頭などの各種解剖学的部位を含む。 | 介入なし、スクリーニングなし |
66 | 比較 | 解剖学的部位ごとの核酸増幅検査(NAAT)または他の基準検査(ゴールドスタンダード) | 比較なし 厚労省により承認・許可されていない検査法 |
67 | アウトカム | 検体採取部位別の診断精度、自己採取と医師採取の比較精度 | 検体採取部位別の診断精度、自己採取と医師採取の比較精度以外のアウトカム |
68 | セッティング | 日本のプライマリ・ケア、またはプライマリ・ケアと関連のある環境(矯正施設、地域ケア、学校、STIクリニック、産科医療機関、家族計画施設、救急外来、自衛隊や大学の健診など) | 日本のプライマリ・ケアと関連性のないその他の環境 |
69 | 研究デザイン | システマティックレビュー、横断研究、コホート研究(前向き又は後ろ向き)症例対照研究、診断精度研究(ただし、明確なリスク層別化戦略が設定されているものに限る) | | 症例報告、シリーズ エディトリアル、解説、意見論文 スクリーニング戦略の正確性に関係しない記述的研究 感染率や有病率の報告のみで、層別化手法の評価がないもの | |
70 | 研究の質 | USPSTFの基準に基づく「中等度」または「良好」な研究 | 質の低い研究(poor-quality studies) |
71 | 発行日 | PubMed,およびCochrane Libraryについては2020年5月29日から現在まで、医中誌については発行日の限定は無し。 | |
72 | 言語 | 日本語,英語 | |
73 | |||
74 | 主要クエスチョン | KQ4. クラミジアまたは淋菌感染の検診によって生じうる不利益(例:ラベリング、不安、偽陽性結果、偽陰性結果による安心感、リスク行動やリスク認識の変化など)には、どのようなものがあるか。 | |
75 | |||
76 | カテゴリー | 選択基準 | 除外基準 |
77 | ポピュレーション | 無症状の成人(18歳以上)および思春期の者(13歳以上18歳未満) 妊娠中の者 | クラミジアまたは淋菌感染の症状がある者 最近性感染症(STI)の急性診断を受けた者 HIV感染症の治療を受けている者 13歳未満の小児 HIV感染者またはHIVに未感染でPrEP(曝露前予防内服)を使用中の者が大多数を占める研究 Doxy-PrEP又はDoxy-PEPを使用中の者 |
78 | スクリーニングの手段および介入・治療 | クラミジアまたは淋菌感染に対するスクリーニング(検診) | 介入なし、スクリーニングなし |
79 | アウトカム | 検診に伴う不利益(ラベリング、不安、偽陽性、偽陰性、リスク認識・行動の変化など) | 健康アウトカムでない中間アウトカム(検査値変化など) |
80 | セッティング | 日本のプライマリ・ケア、またはプライマリ・ケアと関連のある環境(矯正施設、地域ケア、学校、STIクリニック、産科医療機関、家族計画施設、救急外来、自衛隊や大学の健診など) | 日本のプライマリ・ケアと関連性のないその他の環境 |
81 | 研究デザイン | システマティックレビュー、RCT、対照観察研究、非対照観察研究 | 小規模非対照研究、ケーススタディ、症例報告 |
82 | 研究の質 | USPSTFの基準に基づく「中等度」または「良好」な研究 | 質の低い研究(poor-quality studies) |
83 | 発行日 | PubMed,およびCochrane Libraryについては2020年5月29日から現在まで、医中誌については発行日の限定は無し。 | |
84 | 言語 | 日本語,英語 | |
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