ABCDEFGHIJ
1
言操典意味用例[類]注釈
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3
愛くるしい無邪気で可愛らしい様子。「愛くるしい動物」[類]かわいらしい,あいらしい,めんこい,愛愛しい,可憐,愛おしい“愛”に“狂おしい”や“苦しい”がついたものだという説がある。
4
阿吽の呼吸絶妙なやりとり。[類]つうかあ,以心伝心“阿”と“吽”はサンスクリット語で最初と最後の文字であり、密教においては「万物の根源」の象徴である。神社には、向かって右に「阿像」の獅子、左側に「吽像」の狛犬がいる。
5
あえなく耐えきることができず。「あえなく撃沈」[類]あっけなく,健闘むなしく,やむなく,もろくも,はかなくも”敢えなく”と書く。
6
あきたらない飽きるにはまだ十分でない。満足できない。[類]満足しない,不十分,不満足
7
悪手適切でない手段のこと。[類]愚策,失策[対]好手
8
あくどいたちが悪い。「あくどいやり口」[類]えげつない,いやらしい,容赦ない,悪質な,あこぎな,たちの悪い,しつこい,せこい,陰湿な,悪辣な,卑怯な,ずるい灰汁どい=あくが強い 。しつこい、ねばっこい、というのが元の意味。
9
あぐねる行き詰まってどうにもしようがなくなる。「言いあぐねる」[類]もてあます,窮する,…かねる,ためらう“倦ねる”と書く。
10
あげつらうことさらに、ものごとの是非を問う。わざわざ細かいことまで理詰めで文句をつける。[類]聞き咎める,詮議立てる,けちをつける,いちゃもんをつける,揚げ足を取る,難癖をつける,取りたてる,槍玉に挙げる“論う”と書く。
11
あざといずる賢いようす。[類]ずる賢い,狡猾な,小利口,打算的,したたか,抜け目無い“小聡明い”と当てることがある。
12
足がかり足をかける踏み場。転じて物事を始めるきっかけ。[類]端緒,契機,手がかり,とっかかり,糸口
13
足掛け年月の数え方。足が掛かっている年の数。九年と二ヶ月なら“足掛け十年”になる。“足駆け”は誤り。
14
悪しからず「悪く思わないで」を意味する語。[類]気を悪くしないで,御免
15
悪し様に(あしざまに)いかにも悪いものとして扱うさま。「悪し様にとらえる」[類]偏見で,謬見で,酷評で,冷遇して
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足繁く何度も足を運ぶさま。[類]入りびたって,根気よく,通いつめて,熱心に“あしげく”は誤り。
17
あそびものごとにゆとりがあること。「すこしあそびがある」[類]ゆとり,余裕,空き,隙
18
徒し世儚い世。無常の世。「この徒し世に、生きる甲斐などない」[類]憂き世“徒(あだ)”は“無駄”という意味。”徒花”と言えば、無駄な花という意味。
19
辺りを払う側に寄り付けないほど堂々としている。「辺りを払う風格」[類]威勢ある,気迫のある,堂々とした,圧倒する覇気でまわりを気おくれさせる様子。
20
あっけらかん何もなかったかのように澄ましているさま。[類]けろっと,意に介さず”あっけにとられる”の”あっけ”。
21
あつらえ向き条件などが合うこと。「あなたには、その程度がおあつらえ向きね」[類]うってつけ,絶好,好ましい,ふさわしい,適した,丁度良い,お似合い,ぴったり“あつらえる”は“特注する”、“向く”は“ふさわしい”という意味。
22
あてどない目的地がないこと。[類]行き当たりばったりの,よすがのない,よんどころない“当て所ない”と書く。“やりどころがない”という意味でもある。
23
あとくされなくものごとが済んだあと、問題があとを引かないこと。[類]わだかまりなく,遺恨なく,後味よく
24
あどけない無邪気でかわいい。することが幼い。[類]いたいけな,無邪気な,がんぜない,無垢な
25
あとさきになる順序が逆になっている。「話があとさきになりましたが」[類]うしろまえになる,前後する,相前後する,逆になる,本末転倒する
26
後を絶たないあるものの出現が、途絶えることがない。[類]続出する,止めどない,連発する,絶えない,根強い,ひっきりなしに,いつまでも,止まる所を知らない
27
あながち断定し切れない気もちをあらわす。[類]案外,かならずしも,意外と,もしかすると,一概に,ともすると,ややもすると,もしかすると“強ち”と書く。
28
あまつさえ好ましくない物事や状況が、さらに加わるさま。「ただでさえひどいのに、あまつさえそんなことするなんて」[類]そのうえ,おまけに,こともあろうに,あろうことか
29
あまねくすべてに広く行き渡るさま。[類]もれなく,すみずみまで,広く,一般に,余すところなく,まんべんなく,全体に動詞ではなく副詞。
30
あまりあるさらに十分な余裕がある。「想像するに余りある」[類]十二分である,余裕がある,余計にある,腐るほどある,十分すぎる
31
甘んずるそのまま受け入れる。[類]諦める,甘受する,諦観する,観念する,ゆだねる,潔(いさぎよ)しとする,妥協する,よしとする
32
あやかる影響を受けて、同様の状態になる。[類]感化される,お相伴に与る,便乗する,まねる,手本とする,見本にする
33
過たず(あやまたず)狙った通りに。思った通りに。「あやまたず、事は運んだ」[類]案の定,たがわず,間違うことなく,丁度,ほどよく,違わず“あやまちを犯さず予定どおりに”という意味。
34
あらかたほぼ全部に近いさま。「結果はすでに、あらかた決まったようなものだろう」[類]大方,だいたい,おおよそ,ほぼ,ほぼほぼ,大部分“粗方”つまり“粗い部分は“ということ。
35
あららかに荒々しく。おおざっぱに。[類]手荒く,乱暴に,適当に,おおまかに,粗野に,猛々しく“荒らかに”と“粗らかに”と書けるが本質的にはさほど違いはない。
36
あられもない似つかわしくない。「あられもない姿」[類]あるまじき,しどけない,はしたない,けしからん,ありえない,信じられない,考えられない“ある”に可能の助動詞“れる”が付く構成。特に女性の身だしなみについて用いられることが多い
37
ありき__があった。前提があっての。「はじめに言葉ありき」/「結果ありきの八百長試合」[類]”有る”に過去の助動詞「き」という構造。
38
ありったけあるだけ全部。可能なかぎり多く。[類]あらん限りの,ある限り,渾身の,一切の,全部,すべて,残らず“有りっ丈”と書く。
39
有り体(ありてい)嘘やいつわりのないさま。[類]ありのまま,虚飾ない,包みない,あるがまま有るがまま、素のまま、ということ。
40
有りや無しやあるかないか分からないくらい目立たないさま。/真実であるかないか。「ありやなしやの、とぼしい証拠しか見つからなかった。」/「事の真相のありやなしやが取り沙汰された。」[類]かすか,ひとしずく/実否,真偽
41
あわよい物事がうまくゆくさま。ころ合いがちょうど良い。「あわよくば」[類]都合が良い,丁度良い,好都合,適時,折りよいあわい(間)が良い、ということ。
42
[類]
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言い得て妙うまく言いあらわしているさま。[類]慣用句。
44
言い止す(いいさす)途中まで話してやめる。言いかけてやめる。[類]言いかける,絶句する,言いよどむ
45
言い知れない言葉ではあらわせない。何ともいいようがない。「言い知れない感動を覚えた」[類]得も言われぬ,形容しがたい,名状しがたい,筆舌に尽くせない
46
言い過ぎではないあながち誇張表現とも言えない。「史上最高と言っても言い過ぎではない。」[類]過言でない,妥当だ,嘘ではない,間違いではない慣用表現。
47
言いすくめる相手を言葉で丸め込む。[類]言いくるめる,口車に乗せる,説き伏せる,丸め込む語気でたじろがせたり、言葉をまくしたて、相手に口を開くひまを与えないようす。
48
言い募る(いいつのる)興奮し、口調はげしく言い立てる。[類]息巻く,まくし立てる,言い寄る,主張する,言い立てる“募る”は“ますます激しくなる”という意味なので、だんだん激しくなっていくニュアンスを持つ。
49
言うならくある人の言うことには。[類]聞くならく,子曰く,曰く,聞くところによると,一説によると”ならく”の形は、漢文訓読調。
50
言うに言われぬ言葉では表現できない。/言いたくても言うことができない。「言うに言われぬ美しさ」/「言うに言われぬ訳があるんだよ」[類]得も言われぬ,言いようもない,なんとも言えず,筆舌に尽くしがたい,名状しがたい,形容しがたい,口にはできない/言い出せない
51
言い抜けるうまく言いつくろって、罪や責任を逃れる。「うまく言い抜けようったって、そうは行かないよ」[類]ごまかす,はぐらかす,あしらう,言い逃れる
52
言い含めるよく分かるように言ってきかせる。「申し訳ありません。以後はよく、言い含めておきますので」[類]言い聞かせる,さとす,注意する“含む”は“理解する”という意味。「お含み下さい」など。
53
言いよどむすらすらと言葉が続いて出ないで、口ごもる。「その話になると、かれは急に言いよどんだ。」[類]言葉を濁す,歯切れが悪くなる,まぎらわす,言葉に詰まる,口ごもる“よどむ”は、流れがとどこおること。
54
言うまでもないあれこれ言う必要のないほど、分かりきったことである。[類]当然だ,言われなくても,自明,火を見るより明らか尊敬語にすると“仰せまでもない”となる。
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如何ともしがたい(いかんともしがたい)どうすることもできない。[類]やるかたない,せんかたない,にっちもさっちもならない,やむをえない,余儀ない,万事休す,是非も無い
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粋な気質、態度、身なりなどがさっぱりと、あか抜けしている。「粋を添えたおもてなし」[類]つやっぽい,小粋な,お洒落な,おつな,いなせな反意語は“無粋”や“野暮”。
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生きあえぐ生きるに窮する。[類]困窮する,路頭に迷う生き地獄をあじわうこと。
58
いきおいその時の成り行きで。必然的に。[類]流れで副詞。
59
生き仏仏のような心を持った、徳のある人。[類]生き如来,生き菩薩,聖人メタファー。
60
息巻く勢い込んで言う。息づかいを荒くして怒る。[類]気焔を吐く,意気込む,張り切る,奮い立つ,憤る”息を巻く”とは書かない。また、“舌を巻く”との混同に注意。
61
域を出ないある枠組みを越えない。[類]…程度,…にすぎない,以下
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幾度となく多くの回数。[類]何度も,何回も,なんべんも,幾度も“何度も”を強調したい時にもちいる。”いくどとなく”とも”いくたびとなく”とも読む。
63
異彩を放つ多くの中で、きわ立って見える。[類]際立つ,傑出する,並外れる,水際立つ,精彩を放つ,突出する,抜きん出る
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いさかい言いあらそい。「いさかい果てての契り」[類]いざこざ,悶着”言+争”で”諍い”と書く。
65
潔しとしない(いさぎよしとしない)そうすることを、自分に許さない。[類]認めない,できない,許さない,妥協しない,甘んじない信念にもとることをしない、ということ。
66
いざ知らず…についてはよく分からないが。…はとにかくとして。「彼のことなどいざ知らず」/「大義名分があるならいざ知らず…」[類]ともあれ元々は”いさ知らず“。”いさ”は“さあ?”という意味。
67
いささか数量、程度の少ないさま。[類]やや,すこし,申し訳程度,わずか
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いざよう進もうとしてもなかなか進めない。[類]躊躇する,ためらう,行きつ戻りつする十五夜の月よりやや遅く出る十六夜の月は”十六夜(いざよい)”という。
69
いざり寄る膝をついて近寄る。少しずつ寄る。[類]にじり寄る
70
礎(いしずえ)建物の柱を乗せる土台石。ものごとの根本。[類]みなもと,根底,基部踏み台、土台、足がかり、犠牲というような語感もある。
71
意趣返し(いしゅがえし)恨みを返すこと。[類]しかえし,復讐,報復,意趣晴らし,おかえし,仇討ち,返報,敵討ち,しっぺ返し“意趣”というのは“うらみ””遺恨”という意味。
72
射すくめる相手を見据えて怖がらせ、身が縮むようにすること。[類]ねめつける,にらみつける矢のような視線で、ひるませること。
73
甚く(いたく)程度のはなはだしいさま。「いたく、お気に入りの様子だった」[類]非常に,ひどく,とても,深く,すごく
74
居丈高(いたけだか)人に対して威圧的な態度をとるさま。[類]威圧的,高飛車,高圧的,横柄,権威的,傲岸,傲慢,驕慢,腰高,高慢ちき,不遜,かさ高“居丈(座っているときの高さ)”を高くして、偉そうにすること。当て字で“威猛高”と表記することもある。
75
居たたまれないそれ以上その場所にとどまっていられない。それ以上我慢できない。「注目されているような気がしていたたまれなかった」[類]座に堪えない,肩身がせまい気まずい様子。
76
痛み入る/傷み入るあいての手厚い好意や配慮などにたいして、深く感じ入る。[類]恐縮する,恐れ入る,ありがたがる,感服する「おそれいります」よりやや改まった言葉。
77
いたりあるものごとが、最高の状態に達していること。「光栄の至り」「若気の至り」[類]極み,限り
78
いたわしい気の毒で同情しないではいられない。[類]不憫な,かわいそう,あわれな,身につまされる,気の毒な“労わる(いたわる)”ことを、してあげたくなるような様子のこと。
79
一円ある地域全体。「関東一円」[類]全体,周辺,辺り一帯,全域
80
一堂に会する(いちどうにかいする)おなじ場所に集まる。[類]集結する,出そろう一つの堂(たてもの)で会うこと。
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一抹のほんのわずかな。[類]かすかな,一縷の,ほのかな
82
一も二もなくとやかく言うまでもなく。迷うことなく。すぐに。「一も二もなく快諾した」[類]即座に、二つ返事で、諸手を挙げて、無論、無条件で四の五の言わず、と同じ。
83
一里塚(いちりづか)おおきな目標へ向かう過程の、ひとつの段階。[類]標石、里程標、一段落、一区切り、マイルストンむかし、おもな道路の両側に、一里ごとに作られた塚のこと。それを目印にしてどれだけ進んだかを確認していた。
84
一粒万倍(いちりゅうまんばい)わずかなものが、非常におおきく成長することのたとえ。また、すこしでも粗末にはできない、という気もちをあらわす。「一粒万倍日」[類]一粒のもみが、万倍にも実ることから。
85
一縷(いちる)一本の糸。また、そのように細いもの。[類]一抹、わずかな、はかない、ひとすじ、かすかな、
86
一過性一時的で、すぐに消えること。[類]一時的、その場限り、仮初め[対]慢性
87
一巻の終わり物事の結末がついてしまうこと。[類]幕が下りる、終焉、ジ・エンド、命運尽きる
88
一笑に付すばかにして相手にしない。鼻で笑って軽く扱う。[類]取り合わない、馬鹿にする“付す”は“そのような扱いをする”という意味で、不問に付すと言えば、問いたださない扱いをする、という意味。
89
一心にほかのことを考えずに、心を一つに集中させるさま。[類]一途に、一心不乱に、専心して、余念無く、真心を込めて、一途に“二心”は、裏切りのこころ。
90
一刹那(いっせつな)ごく短い時間。「その一刹那のうちに、わたしは、すべてを悟った」[類]一瞬、刹那、一時(いっとき)“刹那”を強調した語。
91
一歩をゆずる相手の主張を少し認める。すこし劣る。[類]譲歩する、妥協する、引けを取る、遅れを取る
92
いつわらざる真実や本心のともなった。[類]ほんとうの、嘘のない、飾らない、ありのままの
93
暇乞い(いとまごい)別れを告げること。「暇乞いをして、座を立った」[類]休憩、休み(いとま)をもらうこと。
94
いとわない嫌がらない。「火水も厭わない」[類]構わない、意に介さない、気にしない
95
否めない否定できない。[類]なくはない、否定できない、
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居並ぶ(いならぶ)席を連ねて座る。[類]勢揃いする、列席する、列座する、揃い踏み
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意に介する(いにかいする)気にかける。気にとめる。[類]憂う、心配する、気にする、意識する
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いの一番に真っ先に。[類]真っ先に、最初に、はじめに“いの一番”の“い”は、“いろは”の“い”。
99
今しがたついさっき。[類]先ほど、先刻、いまさっき
100
今際の際(いまわのきわ)臨終のとき。「今際の際に、かれは私に、こう言った。」[類]臨終、死に際、最期”今際”は当て字。