ゲンロンSF新人賞感想.xlsx
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※ あくまで個人の評価・感想ですので的外れな部分や偏った部分等あるかと思いますがご容赦いただければ幸いです
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#タイトル作者文字数評価感想評価
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みわ名倉高橋みわ名倉高橋評価
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1七織抄朱谷十七41281SA文章がきれいで、描写もていねい。紙にちなんだ設定もよく考えられていて、独特の朱谷ワールドを楽しめた。アニメ映像にしても映えそう。デ・ジマの秘密や、主人公がみたがっている外の世界のことがなぞのまま終わるので、そこまで読みたかった……と思っていたら、続編があるとのこと(!?)描写がきれいでイメージが浮かぶ。世界観もすばらしい。和紙SFという新しさ。それぞれ産業として成り立ってることに説得力があると思った。翻訳帳などの道具も楽しい。紙暴君のこわさなどもじゅうぶんに伝わってくる。
ただ。感情移入して読んだだけにつらかった部分も……。ハツセが(とびぬけて?)こうまで不幸になる必要はあったのか(花街って。かなり重い話だと思う……ほかの登場人物はそれをどう思っていたのか。止めたりはしたのか)。また植民地と宗主国の搾取関係を考えるとオーリガとの関係も、物語としてはつづきがあるのかな。と思った。
宗主国の技術力なら紙暴君を一掃できるのでは?とか。なのにそれを隠してるとしたら。その搾取構造はかなり深刻な……などと勘繰ってしまう。けれど。
ようするにそれは物語の登場人物に深く感情移入し。彼女らのしあわせを願わずにいられないがゆえのものなんだと思う。そこまで感情移入させるというのは。なかなかできることではないと思うし。やはり優れた作品ということだと思う。ハツセしあわせになってほしい!
設定がロマンチックで大変よかった。背後に壮大な世界観を感じさせる。あんまりSFっぽさがなかったのが惜しかった。
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2とかっぷち森下元就16442DDE小説は自由であり、ゲンロンSF新人賞も、自由なかたちで出してよいと思う。すばらしい戯曲もある。けれどこの作品においては、シナリオという形式の選択が、小説を書く手間・労力の放棄にみえて残念だった小説というより。脚本?
こういう形式の小説があってもいいと個人的には思うが。そのときはそれなりのそれに適した物語のギミックなり「あえて」感が必要。と思う。
タイトルはなんかすき。
戯曲形式はそれが実際に戯曲になっていないのなら、読む意味はあまり感じない。フロベール「聖アントワーヌの誘惑」は「読む戯曲」を目指さして書かれたが、それもYoutubeのなかった二世紀前の話。SS
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3あるはずないのに行ける場所甘木 零32507AA甘木さんの作品は、登場人物が子どもであれ大人であれ、内面だけが時間をトリップする美男であれ、このひとは本当にいる、と思わされる。シニシズムにも理想主義にも寄らない、落ち着いた人間観察とやさしさが光っている。「SFファン」であられながらSF度が希薄なのがふしぎSF要素は少なめだけど物語としては楽しめた。とくにこどもたちの冒険のワクワク感。
お菓子工場の描写がかなり細かくリアルだったけど作者さんが本職なんだろうか? 読んでいて楽しかった。
加藤が母親に殺されそうになる思い出の場面は。かなしいけどうつくしい。不思議な感じだなと思った。
タイトルがなにを指しているのかはまだよくわかっていない。
子供の話がよかった。S
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4海を汲む神津 キリカ46862SSS文章はよどみなく、冒頭とラストの照合、伏線の回収も大変きれい。謎がきちんと解けたのも読後感がよかった。キャラクターやせりふまわしをややステレオタイプに感じる箇所もあったが、作者はあえて王道を踏襲したのかもしれない。第4回実作の、知的で異国的な作品世界が好印象として残っている素晴らしい。
ぱっと景色が鮮明に浮かぶ美しい世界観。そこに間主観性や独我論といったテーマがしっかりと噛みあっていると感じた。
最初の部分で主人公やエナにばっちり(わざとらしさなく)好感をもたせておいて。エナの意識が奪われる。というのはほんとうにうまくハマってると思う。
結局機械の敵はなんだったのか不明ではあるけど。こわさはじゅうぶんに伝わった。こわさが伝わってるからゴウラ爺さんが助けにくるシーンも活きる。
はじめ海の設定はけっこうSF的にはブラックボックス部分の多い、(エナをねむらせるという)物語の要請にわりと都合のいい道具立てなのかなと思いながら読んでたんだけど。途中でおもいのほか濃い説明があっておどろいた。海をつくった過去の人類も含め、それぞれの人物の行動原理に納得できる。という点は重要だと思う。
ナウシカっぽさをイメージしながら読んだ。最後の哲学的背景の説明はやや突拍子ない感じだが、ゲンロンという場所だと考えるとありだとは思う。実際の地名を「あれはここかな?」と想像しながら読む楽しみもあった。ただ、実際に存在する名詞を出すのであれば、その意味をきちんと持たせることを考えてみてもいいかもしれない。A
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5マニエラ・マニエリスム英利24882A推敲は必要だと思うけれど、AI美術が一部の人間の脳に作用するというアイデア、油絵や美術の知識がおもしろかった。好きな人の叔父さんの失踪から始まる冒頭を含め、ミステリーや恋愛の要素を入れているのも引きつけられる。ラストがかなしいすこし青春の苦さもあるきれいな話。 世界は層構造をもっている。それを油彩画とのアナロジーにもっていく。そこにAIの人間性を無視した深層学習が行き着く。というアイデアはなるほどと思った。 絵画が人の認識を変えていく過程の描き方も説得力を感じた。ただし描写に説得されることとSF的説得性はちがうと思うので。層構造がどういうもので。AIのどういう特性が具体的にその探知に役立つのか。という理論面での補強ももうすこしあるとさらに面白くなるのでは。と感じた。(もちろんそこが「よくわからない」という話なんだけど、そこをそれらしく見せる「ハッタリ力」は重要と個人的に思う)
また人物に好感をもって読めた。人物に好感をもってもらうというのは重要かつむずかしいことなので。その点すごいと感じた。
B
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6処刑台のセヴンティ沖田正誤(ロバ)45465AA文章はポップでチャーミング(特に老婆パート)、ざくざく育った霜柱、クリスマスのオーナメントの色ガラスのような肌といった比喩もユニーク。団塊ジュニアが老いた未来という設定にも切実さを感じた。ただ、これは作者の意図かもしれないが、物語がみえない時間が長かった。昨年の最終講評で飛先生が「どこに行っているか読者は不安なのだ」というお話をされていたが、途中までその不安と負荷があったおそらくここでしか読めない物語。
世界観にしても少年と老女という組み合わせにしてもオリジナリティの塊。とくに終盤の老女の迫力は鬼気迫るものを感じた。
ただ読み進めるうえですこし悩んだ部分も。
老人をVR世界に送って眠らせる世界。そっち側に行った少女を助けるために少年が老女を巻き込んで策略を練る。その結果老人たちだけでなく少女まで植物状態になる(というしっぺ返しを少年は食らう)という話だったと思う。ただしこの流れがわかったのは読みおわってから。読んでる途中はどういう物語なのか迷う部分があった。(ただしエンタメなら話の筋は明瞭なほうがいいが、純文学ならむしろ強みになるケースもあると思う)
また↑の話の流れとは別に、作者が表現したいのはむしろ分人などのあたりという気がした。 そうなると分人の「中心的人格、いわば『本当の自分』を想定しない」という部分が読解をけっこうやっかいにする気がする。
というのはその場合。少年の少女への想いや欲望も少年のなかというよりは少年と少女の関係性のなかにあると言えそうだし。また一人称の文章は容易に「自己に語りかける自分」から近代的な個人を導いてしまい相性が悪いような気がした。が。そう書きながら思ったけど「君」に語りかける形になってるからそこはじつは乗り越えてるのかもしれない。とにかく「自分の読みが甘いかもしれない」と思いながら読む部分が多かった(それはそれで楽しい読書体験だった)。
舞台設定、言語センスなどは光るものを感じた。断章形式は書き慣れない人がやりがちなのだが、可読性に欠けていたので、それを直すともっと良くなるように思う。「これなんだっけ?」とつまづかせないこともまた筆力。C
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7寄生する機械夢想 真17282B敵にこちらの思考を読む能力があり、それに対し偶然性と突発性で抗うというのは、機械でなくとも、妖怪や超能力者の話として既存するので、先が読めてしまう。だからもっと工夫が必要だった。タイトルもそのままだから、読者に何だろうって思わせるもの、魅力の粉が必要だったSF的な仕掛け自体はけっこう単純だけど、楽しめた。
語り手の性質によって、緊迫感がありながらも妙に抜けたところがある。という読み味が楽しかった。
冒頭で敵が「心を読む」「操ってくる」という問題が示される。それをどうやって切り抜けるか。というシンプルな話の構造のおかげで読みやすい。どうやって切り抜けるのか。わくわくしながら読んだ。
ただ「心を読む」敵との戦いはすでにいろいろなところで蓄積のある分野なので(『幽々白書』とか『うしおととら』とかジョジョとか?)やるとなると新しいアイデアを求められる気はする。機械音痴=機械の予想できないことをする→機械の天敵、というアイデアは面白いと思った。
D
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8三姉妹戦記円堂 キカ32304B壮大な話なだけに推敲や工夫の余地は多そうだが、敵対するのが単純な敵味方ではなく、男の弱さと欲望に翻弄された母娘であり、その闇落ちした母にも、彼女を慕うあらたな子らがいるところに、おもしろさと切なさがある。第6回実作と通底する点もあり、このあたりに円常さんの鉱脈があるのだろうか。ラストで羊飼いが家族になるのを拒むのもよかったSFというより。神話的なファンタジー。という感じだろうか。
ちょっとバーフバリを思い出しながら読んだ。カーリーカリーアの踊りによる地割れなど。インド神話っぽさが随所にあるの個人的にすきです。
登場人物たちが神話らしく剛胆というか大胆にふるまうさまが読んでいて楽しい。
E
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9“fairAfair” ー 誠実な関係火見月 侃16503A+ABA+。愛と性における「誠実」さへのあこがれから作られたひとつの技術が、一組の男女と、宗教・文化を異にする国際社会に、どのように浸透・機能していくかというシュミレーションが、過不足なく、とても巧みに示されていると感じた。主人公の思考と心情、ビジネスシーンでの会話やふるまいなどにも血肉が通っていて、身につまされたり、引き込まれたりしながら、読書の楽しみを味わえた要素を絞って無駄のない。わかりやすい話の構造でエンタメ性が高い。またリーダビリティも高いと感じた。
その分オチはある程度読めてしまうが。短編としてはこれでいいとも思う。
あるいはオチが読めるのにそっちに行ってしまう、主人公の「どうしようもなさ」が話のテーマと妙にリンクするような感じもある。
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10不在のパゼッションひらぎの23864ASSA(ラジオでお話したので割愛)すごい。短いながら読んだ後の満足感がある濃密な小説。完成度の高い短編。あと個人的にこういうの好き。用語もかっこいい。
「意識のハードプロブレム」を前提として片づけて、自己意識がなくなるほどの発散という新しい欲望について語る。彼女の欲望・目的はまだ自分もうまく理解できてないけどその謎に迫る過程はあたらしいものを見せてくれるのではないかとわくわくしたし。あたらしいことをしようという意志を感じる。また途中で視点人物が変わってることに気付く仕掛けも。非常に好みです。
この作品を読みながらこれまで読んだ作品含めて思ったのだけど。ロバさんの分人や『海を汲む』の意識の溶け込み・間主観性。『逆数世界』の個人の分裂や“使者”の融合や〈内-外空間〉。『人の世の終わり』での一人称への複数人の混ざり合いなど。ゆるやかにではあるけど問題意識が共通してる(気がする)部分があるのが面白い。
文子人形というガジェットを中心に進められる話はな知的興奮を呼び覚ます。ただ、すでに見せたカードでもう一度勝負するのは、新人の態度としてあまり褒められたものではない。
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11親方酒と酩酊千年紀の始まり架旗 透 (かはた とおる)12147AB筋立てはシンプルだが、食料難時代の酒蔵という設定や、謎のコート男の奇妙な話しぶりなどに、オリジナリティと妙なリアリティがある。文章もスムーズで、退屈や苦痛を感じることなく読ませられた。グロテスクで剣呑だが、架旗さんの「イヤSF」の集大成かグロテスクだがSFならではの発想が光る作品。タイトル(前半)が回収されるとなるほど。と思った。
これによって世界がどう変わるのか。というのはもしこの後もなんだかんだ世界が回ってしまうならもうすこし見てみたい気もした。「酩酊千年紀」はどうなるのか。
人肉食SFは(ぜんぜん知らないけど)ある気はするけど。酒にするのはあたらしいのでは。
作者の底意地の悪さが存分に発揮されていた。講座を通しての最終的な印象としては、無理にこなれた表現を追求せず、この意地の悪さを追求していく方が作者の性にあっているのかもしれず、またそれでこそ浅学非才の私には思いもよらない傑作が生まれるのかもしれないと思った。いや、冗談ではなく。
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12二十世紀最後の実験谷田貝 和男16090C①この長さは必要なかったのでは、②オカルト・疑似科学ネタはSF講座では危険、③ソニーへの連想を排し、まったく架空の会社を舞台にしたほうが書き手も読者も自由になれたのではないか、という3点が気になった。サイトでは見られなくなっているようだけれど、第7回の突き抜けた実作が印象的だった面白く読み進めた。
ただやはり「エスパー」や疑似科学的な題材をSFとして扱う場合はしつこいくらい「あえて」感を出す必要があるかもしれない。とも思った。
(昔はそうでも無かったかもしれないけど)いまSFとして「エスパー」を書くなら扱いかたで独自性を出したり、なんらかの必然性を出すべきなのかも。
あるいは「エスパー」を徹底的に科学的につきつめる。とか。
ただ読んでいて大きな驚きがあるような作品ではないけど。けっこう安心して読めた気がする。
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13壺と兄弟田中 一14758A再考・手直しは必要だと思うけれど、独自の紋様文化を持つ村と近未来のスラム、壺のモチーフや意外性のあるストーリー展開など、魅力的な要素も多く、ここからユニークな、いい小説を作れそう。作品から垣間見える、作者のものの見方や考え方にも好感を持ったアピールでは謙遜されていたが。かなり面白く読んだ。紋様や壺という道具立ての選択のセンスも感じる。
過去かと思われた東紀が未来だったなどおどろきも用意しているし。いきなり違う話がはじまったと思ったら、その語り手が紋様を食べる壺の正体だった。というのもいい。
エンシュのさいごの選択もよかったと思う。オリベとエンシュの兄弟や河野と玉出もそれぞれキャラが明確ですみ分けられていて。いいと思う。
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14逆数宇宙麦原 遼53942A+SSSSA+(ラジオでお話したので割愛)素晴らしい。ほんとうに素晴らしい。
SFらしい数学的・物理的なセンスオブワンダー。前半の箱庭ゲー(あるいはストラテジー系ゲーム?)のような楽しさをもった独自の生命史(『竜の卵』を想起した)。後半の宇宙像を解明するサスペンスと倫理的な葛藤。そして全体を覆うコンビのやりとり。それぞれ魅力がある。
今回いちばん文字数が多いが、長くは感じなかった。
3次元にとどまる主人公から見た4次元の描写や。設定や主人公たちの目的から自然に導入される「分岐」による人物の分裂。時間のスケール。「青方偏移」や「デフレーション宇宙論」などのワードの我々の宇宙との対応関係からどういうことなのか、なぜ「逆数宇宙」なのかわかってくるのも楽しい。個人的には〈内-外空間〉あたりの話がすごく面白いと思った。とにかくSFとしての魅力をめいっぱい感じた。
SFとしての挑戦も一番してるはず。自分よりもっとSFリテラシが高くて科学・数学知識をもったひとが読んだらもっと輝いて読めるんだろうなとも。そういう方向の可能性も持った作品だと思う。
SF力がすごい。また、伸び代を考えると、もっとも才気を感じた作家である。物語としてのドライブ感が他の最終候補作と比較するとやや見劣りするのだが、その部分はわりと鍛錬でどうにでもなるので、この偏差値が高そうな感じをいつまでも失わないでほしい。
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15人形の家から江藤 竜19645SB姉妹間の猜疑、不気味な女教師、人間のこころを見透かし教唆するクラフト(人工生命)など、物語を生みそうないいモチーフが随所にあるが、話の展開に無理があるように感じられて、惜しく思った。「信頼できない語り手」であっても共感できる人物を作り、細部のリアリティをみがいたら、ぞくりとするホラーSFになりそう短いなかに光るどんでん返し! 短編として理想的だと思います。個人的には選出作に匹敵するんじゃないかと。
「彼女」の不気味さや主人公の抱える不安などがちゃんと伝わってくる書きっぷりも素晴らしい。ひきこまれます。
どんでん返しとしても「読者はこの作品をSFとして読む(非現実的なことが起こることを予め想定している)」「読者は基本的に主人公・語り手に感情移入して読む(味方になる)」ということを巧みに利用していると思う。結果読者は主人公の悩みや「彼女」への疑いをひっかかりなく受け入れ。美鳥川先生にも好感をもつ。そしてひっくり返される。
面白かったのだが、SF力をあまり感じなかった。
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16ラゴス生体都市トキオ・アマサワ35866A+SSSSA+(ラジオでお話したので割愛)ほんとうに唯一無二のスタイル。
生命力にあふれた文章。表現と。思い切りのいいセリフ。軽快なやりとり。ルビ芸。さいごのカタストロフと自由の行進と。エンタメとしてのサービス精神満点。
ナイジェリアの部族に関する描写はほんとうに説得力があって。いったいなにを摂取すればこんな文が書けるようになるのか。
しかもセンスや才覚のみかといえばそうではなく。巧みな部分があると思う。抵抗勢力もけっこう目立つディストピアのなりかけと対立させるのは(よくあるパターンの)理想的に自由な状態や現代ではなく。ハイエナを狩り呪術で先祖と会うマジの部族。それによって通常のディスピアモノや風刺とは意味が変わってくると思う。たとえばたんなる表現規制・ポルノ規制への風刺みたいなものに矮小化されないにらみになってると思う。
トキオ・アマサワらしさが存分に発揮されていた。口の悪い桐野夏生のようなスタイルを貫いてほしい。おそらくなにがしかの評価を得ることだろう。「世界的に珍しい習俗を取り入れたSF」というメソッドはこの講座を通してやや陳腐化つつあるので、次のステージでは別の武器を探すことも忘れないでほしい。そういえばこのあいだネパールいったんですけど、クマリには会えませんでした。
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17神と悪魔のターニングポイント押似火心 (オシイカミユ)24227DDひとふで書きのような文章でも、物語がハチャメチャでも、話の筋とは関係のない場面がいくらあっても構わない。それが、小説のことを考えた末のことであるならば。けれど、この作品に、それを感じることはできなかった。読者と小説のことを考えて書かれたものを読みたいラノベっぽいのは悪くは無いのだけど、すこしご都合主義的な展開が目立つ印象。あと主人公があまり活躍していない。
やはりSFとして読むならその作品独自の「あたらしいなにか」を見せてほしい。と思う。
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18神の褶曲鵜川 龍史52497A棄てられた子どもたち、大地セド、ラストの柱の発想などに引きがあり、謎が解けたのもよかったけれど、物語世界に入り込むまでに時間と負荷を感じ、前後編の長さも気になった。近未来の東京を舞台にした第3回実作のおもしろさが記憶に残っているが、作者はそこから飛躍して、難しい挑戦に挑もうとしている。その意気を感じた力作。紫の霧の怖さや化碩の強力さ・それゆえの危うさなどかなりうまく表現されていると思った。
ただ主人公のせいでだれかが死んでしまう(とくに大量に)場合はけっこう注意を要する。と思う。特にこういったモチーフは容易にメタファーとして解釈される。現実の事件や技術のメタファーと解釈された場合、ほんとうに細心の注意を要する。
二つの時代が描かれたのは前半の重苦しさから後半で解放される感があって個人的によかった。前半と後半で時代による倫理観のちがいが表現されているのもよかった。後半の主人公エレンのキャラもよくて(エレンという名前も手伝ってか?)『進撃の巨人』のハンジをイメージしながら読んだ。
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19赤砂ティウ・モーデン46476A感情を排した引き締まった文章で「赤砂」の飛来する島で生きる主人公の仕事や生活、人間関係が、手ざわりを持って描かれている。企業と家族の関係、耳のイメージ、バー「オアシス」もいい。作者に書きたいことがあるのが伝わった。それは得がたいことと思う。冗長な箇所や展開の甘いところがないか見直したら更によくなると思う消化不良感はあるが、それも含めて印象に残る話だった。
不穏な赤砂の正体が物語を交えて徐々に明らかになる過程は読みごたえがあった。
消化不良というのは悪い意味ではなく。独特の読後感を生むものになってると思う。世のなかのどうにもならなさ。みたいなものを感じた。
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20人の世の終わり高丘 哲次46605ASSA(ラジオでお話したので割愛)非常に面白かった。
グロテスクであったり妖艶であったり。視覚的にイメージしやすい描写力。技の出し方などエンタメ性高。(「繋根」「引擎(インチィン:エンジン?)――示現流」。「創発」「上傳(シャンチュアン:ダウンロード)――千手」など)そして入出力を増やすことで脳の性能をひきだすというアイデアは単純でわかりやすいながらも新しさを感じさせ。「なるほど!」と思わされた。僕と俺の入れ替わる2人分の一人称も楽しい。
三苗がいきなり「頓悟」といって人を斬りだすときの迫力など。随所に良い描写が。
結末は物語としてはきれいなのだけど。SFとしてはもうひとひねりあってもいいかもとも思った。入出力増による進化というせっかくのアイデアが否定されて終わってしまうので。たとえば『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のように。否定された技術(?)にも一縷の希望がのこるような終わりかただと技術を描くSFとしては理想的なのかもと。個人的な考えに過ぎないかもだけど。
面白いので、SFではなくファンタジーとして作品を発表すれば、もっとよい評価を得られると思う。
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21はんぶんカフェ椿 りつ12859C後半はほぼメモノートで、小説として成立させる前段階であるように感じた。とはいえ前半は、フリーダムなことばやストーリーの運び、植物、食べもの、人物の描写、主人公や若い母親の思考の流れなどに、素直さとあかるさのふしぎな魅力があり、読んでいることが苦にならなかったなんというかふしぎな読み味の小説だった。物語というよりは断片的な文章が連なるという感じで。なんだろうこれは。
典型的な「物語」だと大抵浮き沈みというか肯定があれば否定があり、楽ありゃ苦がある。その意味ではこの作品はポジティブなもののみがある感じで、物語になっていないとすればおそらくそこが原因なんだけど。それが作者の意図したことなのかもしれないとも。
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22江戸1910八島 游舷46069ASSA(ラジオでお話したので割愛)さすが。うまい。
さいしょ「江戸」+「巨大な木の絡繰人形」ということで城ボクトは『がんばれゴエモン』のゴエモンインパクトを思いうかべながら。コメディよりなのかな?と思いながら(すこし戸惑いながら)読んでいたらどんどん引き込まれ。さいごには「マジ」になった。
リアリティレベルを確保する描写の積み重ねがうまいんだろうか。また1つの場面が複数の役割をこなしているように見え。構成力も感じた。
キャラクターもいい。WhoTuberマーキスは通常と異なる行動原理でトリックスター的な役割を果たし。しかもそれが結末に結びついている。ハードボイルドな感じのある御木本とのとりあわせはバディモノとして○。推子は姫であることを強調してから侍女であることを明かしてもよかったとは思うが、説得力あり。
旗野は映画『沈黙』の井上筑後守(イッセー尾形)を想像しながら読んだ。おそろしかった。
Project ANIMAに出したとのことだが実際アニメになったものをみてみたい。特に城ボクトとの戦闘シーン。
よくできていた。ただ、講座の最中に出していた作品が圧倒的によくできていたので、本作はやや見劣りした。すいません。思うに、八島さんはふざけたりはっちゃけたりするより、普通に真面目に書くのがいいと思う。サイコパスっぽいキャラ、クソ真面目なキャラの造形が光るので、そこを生かしてほしい。
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