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W3C Accessibility Guidelines (WCAG) 3

ドラフト(草案)初版の概要

原題:W3C Accessibility Guidelines (WCAG) 3 First Draft - What to look for (Jeanne Spellman)

日本語版:植木 真(株式会社インフォアクシア)

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おことわり

  • W3Cのタスクフォースでリーダーを務めるJeanne Spellmanさんが作成したスライドを日本語化しました。
    • 一部、編集・加工してあります。
  • 日本語訳(用語の訳語)は、あくまでも「仮」です。
  • 元の英語版スライド http://bit.ly/3onBM1T

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WCAG 3.0 とは?

  • WCAG 2の後継となるW3Cの新しいアクセシビリティ  ガイドライン
    • 2.xは無効にはならない
  • より広範囲のコンテンツを カバーするため名称を変更: W3C Accessibility Guidelines
  • コードネーム "Silver" は  タスクフォースとプロジェクトの名称

参考:WCAG 3.0 Introduction

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警告!

これは最初のドラフト(草案)

  • 多くの変更が入る可能性があります。
  • 完成には数年かかります 。
  • ツール開発者は、最新の情報(変更)を常に把握するように注意しておく必要があります。

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リサーチ (2016 - 2018年)

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公開ワーキングドラフト初版

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ガイドラインの新しい構造

  • Guidelines: 管理者、政策立案者、アクセシビリティ初心者向け。 "plain language" で書かれた上位レベル
    • How-To セクションはガイドラインを 説明している。
  • Outcomes: 適合宣言時(任意)にコンテンツをスコア化する方法の情報を含む、判定可能な基準。
  • Methods: ”Outcome”を満たす方法コードサンプル 実例、リソース、および テストとスコア リングに 関する詳細な情報。

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WCAG 2.x の構造との比較

WCAG 2

WCAG 3

ガイドライン(Guidelines)

ガイドライン(Guidelines)

達成基準(Success Criteria)

結果(Outcomes)

達成方法(Techniques)

方法(Methods)

解説書(Understanding)

ハウツー(How To)

原則(Principles)

タグ(Tags *TBD)

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事例 Guideline - Text Alternatives(テキストによる代替)

  • Guideline: 非テキストコンテンツに対してテキストによる代替を提供する
  • Outcomes: ユーザーエージェントや支援技術向けに、非テキストコンテンツにはテキストによる代替を提供する。非テキストコンテンツを知覚及び / 又は理解できないユーザーは、その意味を判断できるようになる。
  • Methods:
    • 文字画像 (HTML)
    • 機能的な画像 (HTML, PDF, ePub)
    • 装飾画像 (HTML, PDF, ePub)
    • 制作者による「テキストによる代替」のコントロール(ATAG)   ほか

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Text Alternatives “Method” の構成

  • イントロダクション(Introduction)
  • 解説(Description)
  • 事例(Examples)
  • テスト(Tests)
  • リソース(Resources)

例)Method: Images of Text

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  • はじめに(Get started)
  • 企画(Plan)
  • 設計(Design)
  • 実装(Develop)
  • 事例(Examples)
  • リソース(Resources)

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公開ドラフト初版における “Guidelines”(5つのみ)

5つのパターンの代表例として作成中

  • Text alternatives - WCAG 2.xからそのまま移
  • Clear words - WCAG 2.x に含まれていなかった新しいガイダンス。
  • Captions - WCAG 2.xの達成基準をウェブVRなどの新技術に適用した一例。
  • Structured content - WCAG 2.xにある複数の達成基準をマージして移行
  • Visual contrast of text - WCAG 2.x のコントラスト比の達成基準を 大幅に変更。レベル AAとAAAの達成基準をマージしている。

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適合

(Conformance)

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WCAG 2.x からの変更点

WCAG 2

WCAG 3

ページ単位での評価

サイトまたは製品全体(一部も含む)での評価

A, AA, AAA

”Gold”, "Silver", "Bronze"

重大なエラー  “Critical Errors”

適合 or 不適合

ポイント制  “Point System”

諸法規では レベル AA が基準

“Bronze” が推奨されるだろう

結果は「適合」or「不適合」

”Guideline” ごとに最適化したスコアリング

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重大なエラー ”Critical Error” 

ユーザーがプロセス(タスク)を完了できなくなるアクセシビリティの問題。

例えば:

  1. ユーザーがタスクを完了できないようにするアイテム
    • 例:点滅、キーボードトラップ、一時停止できないオーディオ
  2. ユーザーがプロセスを完了できなくするエラー
    • 例:送信ボタンがキーボードでは操作できない
  3. 全体にわたって失敗を引き起こすエラー
    • 例:大量の紛らわしい、あいまいな言い回し

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ポイント制  “Point System”

  1. コンテンツやプロセスをテストする (Atomic tests)
  2. “Outcome” ごとのスコアを判定する
  3. 全体スコアを算出する
    1. サイトや製品の全体スコア
    2. 機能カテゴリ(障害タイプ)ごとのスコア
    3. 全体および各機能カテゴリが3.5以上(満点 4)=“Bronze”
      • 点数は変更される可能性あり
      • つまり、多少の問題があっても「適合」できる

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スコアリング ”Scoring Atomic Tests”

目的:テストに柔軟性を持たせるために、容易に一貫性のあるスコアを出せるようにする。また、ユーザーに実害を与えない問題箇所を許容できるようにする。

テストの範囲は、「View」または「Process」のいずれか。

各 ”Outcome” にはスコアリング方法を示すセクションがある

  • True / False の結果になるテスト=「100%」または「0%」;
  • 該当箇所を数えられる要素レベルのテスト= 「0~100%」
  • 上記以外のテスト = 評価尺度(レーティング)
  • プロセス内に “Critical Error” がある場合=スコアは「0」

注記:”Silver” や “Gold” レベルでは、さらにユーザビリティテストや支援技術を用いたテストの実施を求めることを検討中。

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事例:テキストによる代替(Text Alternatives)

テストには2つのタイプがある:

  • 自動テスト:代替テキストの有無=画像総数のうちの割合(%)
  • マニュアルテスト:代替テキストが適切かどうか=画像総数のうちの割合 (%) + “Critical Error” の有無の確認

テスト結果の例「画像の83%に適切な代替テキストあり。”Critical Error” なし。」

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事例:“Outcome” の評価 - Text Alternative

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全体的なスコアリング

  • テストの結果は全体で集計し、”Critical Error" の有無とあわせて、"Outcome" ごとに ”Rating”(Very Poor "0"~ Excellence"4")が決まる
  • 次に、”Rating” の平均値が「全体スコア」になる
  • 該当する “Functional category”(障害カテゴリ)ごとに合計スコアを算出する
    • “Outocome” ごとに該当する ”Functional category” が割り当てられている
  • "Bronze" レベル=各“Functional category”および全体スコアが「3.5」以上

注記1:”Guidelines” は、スコアリングや適合性に関係なく、グッドプラクティスとして活用できる

注記 2:現時点では、サイトの残りの部分が十分であれば、”Critical Error” があっても適合できる可能性がある

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適合を宣言する

  • 適合宣言は、任意
  • 対象範囲は、デジタル製品内のすべてのコンテンツにすることが可能
  • 対象範囲は通常、”Process” と “View” に基づいた、サイト全体や製品全体のうちの1つ以上の一部(まとまり)
  • スコアは、該当する “Outcome” ごとに「0」〜「4」のスコアに平均化
  • 必須要件:
    • “Critical Error” なし
    • 全体スコアの平均が 3.5 以上
    • 各機能カテゴリにおいて 3.5 以上

注記:数字は、現時点ではプレースホルダーであり、検討が必要です

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適合を宣言する - レベル

  • Bronze - 前のスライドにある必須要件(提案).
  • Silver & Gold - まだ開発中。”Silver” と “Gold” には、ユーザー視点でのテストの要素を多く盛り込みたい

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“Test” と “Critical Error” の利点

  • WCAG 2.x のAAA 達成基準を含めることも可能(全体スコアに加点可能)
  • ユーザーにとって”Critical Error”でない限り、サイトにはアクセシビリティのバグが少しあってもよいことになる
  • True / False の判定が困難だったユーザーニーズも含められる
  • ”Critical Error” を発見した時点でそのガイドラインには不適合になるので、テストを停止できる

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適合スキームが機能するか?

アクセシビリティ指標 ”Accessibility Metrics”

  • 有効性 (Validity) - スコアはアクセシビリティの度合いを反映しているか?
  • 信頼性 (Reliability) - スコアに再現性と一貫性はあるか?
  • 感度 (Sensitivity) - スコアは障害ごとのバリアの深刻度を反映していて、   様々な障害が平等に扱われているか?
  • 妥当性 (Adequacy) - スコアの違いはアクセシビリティ確保レベルの違いを  反映しているか?
  • 複雑さ (Complexity) - テストするのは従来より難しくなるか? どのくらい?

Metrics and Plan for Evaluating a Scoring Proposal

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概念実証ツール

(Proof-of-Concept Tools)

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“Clear Words” をテストする

“Clear Words” をテストするには、 Silver Writer tool を使用できる

  • スコアリングの可否を実証するためのプロトタイプツール
  • ツール開発者がこのアイデアを洗練・改善することを期待
  • ある書籍のために作られた XKCD’s Simple Writer がベース
  • アプリは 再開発されオープンソース化された
  • Googleの単語DBの上位3000語と5000語を含む2つのリストを追加

※ バグがあるものの、自動化するためのヒントが得られる

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Clear Words Tool を使う

Clear Words ツール(Silver Writer toolを使うには:

  1. 「ここに単語を入力してください」というテキストフィールドに、 テキストを入力するか、コピー&ペーストする
  2. “Less Simple” に該当する単語が、下部の “Less Simple Words” に一覧表示
  3. 現時点では、複数形は異なる単語としてカウントされる
  4. 適用する単語DB(コーパス)を切り替えることができる

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“Visual Contrast” をテストする

  • Research - WCAG 2からの大幅な変更であり、参考情報としてWCAG 2 と WCAG 3 の比較表など、背景にある膨大な情報がある
  • APCA Test Tool - WCAG3タスクフォースのAndy Somers氏が開発
    • Github repo
    • ツール開発者が、はるかにシンプルなバージョンを作成することを期待

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フィードバック

(Feedback)

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フィードバックが欲しい質問

  • EDITOR’S NOTEには、タスクフォースでそう決断した要因等の説明や、特にフィードバックを 求める質問を記載
  • 参考:An insider look at WCAG 3.0
  • ガイドラインのテキストではなく、「構造」や「適合スキーム」に関するコメントを募集

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フィードバックの提出方法

締切:2021年2月26日(金曜日)

日本語OK!

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例えば、皆さんはどう思いますか?

  • WCAG 2.0(JIS X 8341-3)と比べて、読みやすさ / 分かりやさは?
  • How-To” や “Outcome”、“Method” は分かりやすそう? UIはどう?
  • スコアでアクセシビリティの度合いを示す考え方はどう?
  • ”Bronze” レベル=レベル AAと同等だけど、ハードル高くない?
  • 少しは問題があっても適合宣言できるのは あり? なし?

アンケート(フォローアップメールでもご案内します)� http://bit.ly/wcag3fpwdjp

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