特定産業の課題解決型事業を対象とする起業プログラム参考資料
スタートアップ事業アイデアにおける「課題」
2025/6/26(ver.11.0)
Ryo Bando
本資料の目的
2
スタートアップは90%以上の確率で失敗する。
成長している既存事業を上手く運営する専門家・プロフェッショナルは世の中に多く存在するが、そのような優秀なビジネスパーソンでも、ゼロベースから世の中に受け入れられる新規事業案を立ち上げ成功させることは非常に難しい。
スタートアップのうち課題解決型事業の立ち上げにおける失敗理由は、「ソリューションが上手く作れなかった」「タイミングが悪かった」「チームの能力が低かった」「競合が強かった」なども挙げられるが、ほとんどの失敗要因は「顧客が解決したい課題がなかった」「課題が小さかった」ことである。プロダクト案を先に思いつき、そのプロダクトを使ってくれる顧客とその課題の存在を期待してプロダクトを作り運営してみて、「そんな課題はなかった」と分かる、というのがスタートアップの”あるある”な失敗例である。
スタートアップで課題解決型事業を立ち上げる最初のプロセスであるアイデア立案フェーズにおいてもっとも重要かつアイデアの起点となる「課題設定」についての概念・フレームワークを理解していただき、アイデアの整理をスムーズにし、早期に無駄な失敗確率を大きく減らす一助となることを期待する。
なお、本資料で紹介してるフレームワークを活用することで良いアイデア・事業ができることを保証するものではなく、あくまでも上流工程での失敗確率を下げることを目的に、編集時点においての筆者の投資判断や検証に関しての考え方などを体系的にまとめたものであり、他の思考方法やフレームワークを否定するものではない。
2
(0)スタートアップと課題解決型の事業とは
(1)事業アイデアにおける課題の定義
(2)課題の見つけ方
(3)課題の深掘り方
(4)課題の評価の仕方
(5)課題の大きさについて
(6)課題を踏まえたソリューション
(7)ソリューション案の検証
目次
3
(0)スタートアップと課題解決型の事業とは
4
(前提として)スタートアップとは
イノベーションを起こし世の中を変える事を目的とし、
短時間で急激な成長を目指す組織・事業
※ イノベーションとは、革新的な技術や発想により新たな価値を生み出し、社会に大きな変化をもたらすこと
参考資料(弊社起業プログラム参加者のみ閲覧可能):「スタートアップ・VCとは?」
5
スタートアップは90%以上失敗する
① 企画
② 検証
③ 開発〜PMF
④PMF以降
の成長
93%のStartupが
ここまで死んでいる
出典・参考:Startup Science2018 (著:田所雅之氏)
6
スタートアップが失敗する理由
などが失敗の大きな要因
→会社設立前・プロダクト開発前の上流工程からこれらの失敗要因を見つけて、
無駄な失敗確率を減らすことが重要
7
そもそも事業(ビジネス)とは
何かしらの「価値」を顧客に提供して、
その対価としてその対象顧客から「収益」を得ること
(対価を得られないとビジネスが成り立たないし、お金を払ってくれる人に価値を提供しなくてはならない)
顧客
事業者
価値
対価
上記が成り立っていないスタートアップの事業アイデアは意外なほど多い
8
事業が提供する価値の2つの型
→ 本資料は「課題解決型」を主な対象として説明する。
課題解決型
価値提案型
顧客の仕事等における課題・ペインを解決するもの。マイナス状態をゼロに近づけて対価を得るもの。
既存状態より良い・新しい体験等プラスの価値を顧客に提案し対価を得るもの。
0
+
−
現状
0
+
−
現状
9
事業が提供する価値の2つの型(主たる顧客ターゲット)
(主に)
法人・事業主
(主に)
個人
合理的に(金銭的な損得を鑑みて)消費判断をする状況にいる人
非合理的に(感情・好みによって)消費判断をする状況にいる人
課題解決型
価値提案型
10
事業が提供する価値の2つの型(それぞれの提供価値)
具体的・客観的・定量的
抽象的・主観的・定性的
課題解決型
価値提案型
11
事業が提供する価値の2つの型(サービス例)
課題解決型
価値提案型
12
事業が提供する価値の2つの型(どちらの型か?)
課題解決型
価値提案型
一つのサービスが課題解決型の要素も価値提案型の要素も両方とも含み、
どちらのモデルなのか判断が難しい場合があるが、
・そのサービスに対して実質的にお金を払ってくれる顧客は誰なのか?
・その顧客はサービスの何の価値に一番魅力を感じて対価を払おうとしているのか?
で判断する。
例えば、オンラインフィットネスサービスは、一般消費者を顧客として、お手軽にフィットネスサービスを受けることができる新しい体験の価値提案とも捉えることもできるし、既存フィットネスサービスを受けるための時間や費用を課題と捉えることもできる。またトレーナーを顧客として彼らの顧客獲得やDX化による課題解決と捉えることもできる。
どっち?
13
事業が提供する価値の2つの型(2つの型に分けて捉える理由)
課題解決型
価値提案型
なぜ分けて捉える?
課題解決型の起業プログラム
V-ShIP
価値提案型の起業プログラム
M-ShIP
弊社の起業プログラムも
それぞれ別コースで展開
→ 本資料は「課題解決型」を主な対象として説明する。
14
事業が提供する価値の2つの型(アイデア検証の違い)
課題の存在をサービス提供前に
客観的・定量的
に確認できる
ターゲット一人・一社において課題解決するための消費金額や工数事象があれば具体的に課題の存在を客観的・定量的に確認できる。
顧客の好みや傾向はアンケートやインタビューで一定の反応は感覚的にある程度はわかるが、それだけでは判断難しい。消費を伴うトレンド事象があれば一定ニーズ把握ができる。
サービス提供前のニーズは
感覚的で確認困難
課題解決型
価値提案型
15
事業が提供する価値の2つの型(投資判断タイミングの違い)
課題解決型
価値提案型
課題・ニーズ
発見
企画
検証
開発
グロース
トレンドを捉えつつも主観的企画
(→合理的に検証・評価できない)
まずプロダクト出して
出たとこ勝負
トラクション見て
投資判断する
※ 価値提案型でも、起業家の能力・実績やセンスを信じて「エイヤ!」で比較的少額投資することはある(エンジェル等、一人・少数で投資判断できる場合)。
課題の存在や規模を
客観的・定量的に調査できる
企画・検証材料で
投資判断可能
失敗確率を下げた上で開発&サービス展開できる
16
(1)事業アイデアにおける課題の定義
17
「課題」設定の重要性
① 誰のどんな課題を解決する?
② 解決策・提供価値はどんなもの?
③ 既存代替手段・競合より優れている?
④ どんな収益モデル?等・・・
18
「課題」の定義 (クイズ)
Q:「課題」にあたるものを”全て”選んでください
19
「課題」の定義 (クイズ)
A:「課題」にあたるものは・・・
20
「課題」の定義 (クイズ)
A:「課題」にあたるものは・・・
単なる
悪い結果状態
(解決手法が無数)
悪い状態の要因
直接的に一括りに解決可能
(=課題)
21
「課題」の定義
目指す状態
現状(悪い状態)
要因3
要因2
要因1
ギャップの
要因群
各要因が
「課題」
22
「課題」の定義
目標:商談率30%
現状:商談率10%
要因3:営業職員の話法が下手
要因2:営業人員が少ない
要因1:アポイント調整の無駄な工数
ギャップの
要因例
前述のクイズの例だと、以下のような直接的に解決しうる要因例が「課題」と言える。
これらのような課題を解決する新規サービスを提供すれば、このような問題状態に陥っているユーザー(会社)はこの課題解決の価値に対してお金を払うことになる。
解決する価値(サービス)
を提供するのが事業
23
「課題」の定義 (業務課題の構造整理)
という業務
において
という状態で困っている。
① 顧客の立場(業種・職種・役職等)
② 顧客の一連の業務
③ 顧客が②業務で目指す姿・状態
④ 上記顧客が②業務で陥っている問題状態(≠要因)
⑤ GAPの主要因・障壁(=課題)
は、
を目指しているが、
その悪い状態の
主たる要因は、
ことである。
現状はこの要因を解決する手段として、
⑥ 現状の課題解決事象(課題の顕在化の証拠にもなる)
この手法では、
という点で④の問題状態が
まだ改善されていない。
などを行っているが、
⑦ 現状の課題解決策の不満点(ソリューションのコアバリューとなりうる)
自身が把握している顧客とその業務課題についての構造を大まかなストーリで整理する
24
「課題」の定義 (課題の構成要素と関係性:サンプル)
従業員規模⚪︎⚪︎人企業の情報システム部門の担当者
① 顧客の立場(業種・職種・役職等)
② 顧客の業務プロセス
③ 顧客が②業務で目指す姿・状態
④ 上記顧客が②業務で陥っている問題状態(≠要因)
社内で利用するSaaSのアカウントの管理
年間⚪︎⚪︎万円程度の無駄コストが発生している
・各社員のSaaSの利用状況がわからない
・利用状況が判明しても解約して良いかどうか判断がつかない
⑤ GAPの主要因・障壁(=狭義の課題)
は、
する業務
において
を目指しているが、
という状態で困っている。
その悪い状態の
主たる要因は、
ことである。
現状はこの要因を解決する手段として、
・各SaaS毎に利用状況ログを手動で調査
・長期利用がない社員を特定し、本人及び上長への解約可否確認
を行っているが、
⑥ 現状の課題解決策(課題の顕在化の証拠)
・各SaaSの個別の調査工数が膨大
・本人及び上長への確認コミュニケーション工数が膨大
⑦ 現状の課題解決策の不満点(ソリューションの優位点のポイント)
この手法では、
という点で④の問題状態が
まだ改善されていない。
全社員のSaaSアカウントの最適化・コスト最小化
25
「課題」の定義 (課題解決のビジネスモデルと顧客設定)
顧客
(主にtoB)
サービス
提供者
解決
対価
顧客B
(toB)
サービス提供者
対価①
解決①
顧客A
(toC)
(1)直接取引型(主にBtoB)
(2)間接取引型(BtoBtoC)
例:各種SaaSやAIなどのB向けDXサービス等
対価①②
(1)課題解決を受けてその対価を顧客がサービス提供者に直接的に支払うモデル
(2)複数の課題保有者に対して同時に解決し、双方または片方から対価をもらうモデル
この場合、顧客は双方だが本質的にどちらを解決しようとしているのかの優劣を決めて課題顧客を設定する
例:メディア・決済・サービスPF等
解決②
顧客が一目瞭然で事業の企画・検証・展開も比較的やりやすい。グロースは営業・マーケ勝負の傾向。
複数の顧客課題の解決が同時に行われる必要があるので事業の企画・検証の難易度は高い。企画段階では解決すべき主たる顧客(&課題)を一旦どちらかに絞るべし。
ネットワーク効果でスケールしやすい傾向。
(toCを主たる顧客にした場合、価値提案型になっていないか注意。
企画・検証の仕方が変わってくる)
26
(2)課題の見つけ方
27
課題の見つけ方
前提として、
自身や顧客候補の経験・行動から見つけるものである。
ソリューション案ありきで逆算して考えたり期待したり
課題を後付けで設定するものではない。
28
課題の見つけ方
① 自身の経験・興味
ある領域から
② 新しい地殻変動
(PEST分析)から
③ セグメント x
バリューチェーン
から
④ 課題の型から
⑤ 既存の解決
サービスから
自身が経験したり強い興味がある領域①を軸に、様々な手法(②〜⑤)を掛け合わせて課題を見つける
29
①自身の経験(業務)で強く解決したい課題から見つける
VB卒業生・起業家 | 自身の課題体験 | 起業したサービス |
スマート修繕 豊田 賢治郎 氏 | 居住マンションの大規模修繕期に理事長を務める。工事費用の見積もりを見ても適切なのかがわからずマンション管理会社の強引な値上げ交渉・中抜きにも強い違和感を持つ | マンション等の建物の修繕工事において、データベース活用の見積もり査定で適正な金額・工事内容の実現支援・伴走を行う |
zooba 名和 彩音 氏 | DeNAの情報システム部門のエンジニア。全社員が使う無数のSaaSのアカウント管理と社員からの質問対応に忙殺されていた | SaaSの利用状況・契約管理、デバイスの利用台帳を提供。AIを活用し、ヘルプデスク、アンケート機能を用いた棚卸業務や社員への個別ヒアリング業務など、情報システム部門の課題解決 |
immedio 浜田 英揮 氏 | Sansanのインサイドセールス部門の統括責任者時代の、メンバーの電話での商談依頼業務における低い通電率とその無駄工数・徒労感を改善したい | ターゲット顧客の商談を自動で獲得するインバウンド商談サービス。商談の自動割振り・自動追客などでインサイドセールスの工数を大幅に削減 |
ミライのゲンバ 佐藤 哲太 氏 | 日本製鉄の工場生産管理者として、工場運営・改善業務に従事。紙帳票からデータ化業務に課題感。 | 製造現場に特化した、AI電子帳票システム。今使っている紙帳票をAIがそのまま電子帳票化キーボード不要な独自の記入UXが特徴。現場データをリアルタイムに可視化 |
デライト・ベンチャーズのベンチャービルダー(VB)経由で起業し出資を受けた課題解決型事業の起業家たちは
その全員が自身の業務経験に関連した課題をテーマに起業している。
(自身の経験のない課題領域での挑戦を否定するものではないが、難易度は高いと思われる)
30
② PEST分析(新しい地殻変動)から見つける
Politics
(政治・規制・国際情勢)
Economiy
(経済・消費動向・所得変化)
Society
(社会・人口動態・価値観変化)
Technology
(技術進化)
・新市場の規制緩和 : Uber等のライドシェア規制の緩和による交通業界の激化
・貿易政策の変更 : 米国の関税引き上げに伴う製造業のサプライチェーン見直し
・CO2排出規制強化 : EV車開発へのシフト
・中央銀行の利上げ : 住宅ローン金利上昇による住宅販売への悪影響
・為替レートの変動 : 円安による輸出企業の利益増加、輸入品のインフレ
・少子高齢化 : 介護や医療サービスの需要増加も労働力不足
・健康志向 : オーガニック食品やフィットネス市場の拡大
・コロナ禍&リモートワーク普及 : オフィス需要の縮小・オンラインツール需要増加
・AI化 : 生成AIによる業務の自動化・効率化
・クラウドコンピューティング拡大 : 企業が柔軟にソフトウェアを利用できる環境が整う
・暗号資産やスマートコントラクト : 金融サービスの分散化・取引の透明化
31
③ 領域セグメント × バリューチェーンで見つける
大領域 | 中領域 | 小領域 | | | | | | |
企業側 | 職種 | ビジネス職 | | | ◉ | ◉ | | |
エンジニア | | ◉ | | | | ◉ | ||
ルート | 直 | | | ◉ | | | | |
Agent | | | ◉ | | ◉ | | ||
候補者 | 積極的に転職意向 | | ◉ | ◉ | | ◉ | | |
いい条件あれば | | | | ◉ | | | ||
採用計画
募集メディア掲載・Agt活用)
書類選考
面接
(選考管理)
内定・クロージング
入社・
オンボーディング
<中途採用セグメントの例>
Bizの書類選考フィルタリング難しい
Fee高い。
早期退職
減らしたい
自社の面接スキル上げたい
応募者
増やしたい
マッチしない人材提案してくる。
応募が多くて
工数かかる
綺麗ゴトばかりで
実態見えない
即決迫られる
何回も面倒
バリューチェーン
知見があったり熱量がある領域において、
バリューチェーン(ビジネスプロセス)を横軸に、対象ターゲットを縦軸において一覧表を作る。
それぞれのプロセスやターゲット毎の問題・課題をいくつも列挙してみる。
32
④ 課題の型から見つける
中間業者の搾取
情報の質や検索コスト
情報の非対称性
非効率・無駄時間(工数)
不必要・過剰コスト
余剰資産の未活用
低品質・ミス
知識・経験不足
逸失利益要因
課題の型
課題の事例
・物流業界の多重下請け構造による配送コスト増加
・農産物の流通過程に複数の業者が入り、生産者利益が圧迫
・適切な人材を見つけるための多大な時間
・市場変化や法規制の最新情報の検索コスト
・建物の修繕工事における情報の不透明さを利用した高額な値付
・BtoB取引においての市場価格情報を持たない状態での価格交渉
・経費精算の手動処理
・商談スケジュールの調整
・未使用ソフトウェアライセンスの維持コスト
・効率的でない設備運用による無駄な電力コスト
・使われていないオフィススペース
・クラウド移行後の未稼働物理サーバーの放置
・製造ラインでの検品ミスによるリコールや信頼失墜
・ソフトウェア開発におけるバグ発生
・新入社員の業務習得に時間がかかり生産性低下
・AI等の専門知識が社内に不足し競合に遅れをとる
・需要予測ミスにより在庫不足となり販売機会の損失
・見込み顧客へのフォローが遅れ商談獲得に至らない
※課題の型に応じて、解決するサービスの型も決まってくる
⇨(6)ソリューションで後述
33
⑤ 既存手段・サービスから見つける
デライト・ベンチャーズで作成し、起業家志望者に提供している「課題リスト」(一部抜粋)
34
<ワークショップ①> 自身の経験した課題を見つけよう
まずは、あなたやあなたの身近なユーザーがどんな立場・状況(プロセス)においてどのような悪い状態に陥っていて、その主たる要因(課題)は何か?をいくつかリストアップしよう。
ユーザーの立場
陥っている悪い結果状態
解決したい主要因(課題)
×
×
×
×
×
×
①
②
③
→
→
→
状況・プロセス
情報システム部門の担当者
全社員の加入しているSaaSアカウント管理
使ってないのにアカウントの費用が膨大にかかる
不要アカウントが可視化と
解約可否の判断がつかない
×
×
→
例
35
(3)課題の深堀り方
36
ユーザー理解を深める(インタビュー)
多ければ多いほど望ましい(各顧客課題の解像度は深い前提)
37
ユーザー理解を深める(インタビュー項目)
① 顧客立場
(社名・業種・部署・職種・役職等)
② 一連の業務
③ 業務で
目指す状態
④ 現状の
悪い状態
⑥ Gap要因分割
(=課題分割)
⑦ - 1
現状の解決行動(行動内容)
⑦ - 2
現状の解決行動(社内業務工数)
( )h *( )人 *( )万円
=( )万円/年 ※
※新しい解決手法に代替できるもののみを対象
⑦ - 3
現状の解決行動(外注費)
アウトソース( )万円/年+システム( )万円
合計 ( )万円/年 ※
※新しい解決手法に代替できるもののみを対象
粗利増加額( )円/年
・平均売上単価( )円
・解決による確実な粗利UP率( )%
・売上件数( )件/年
⑧- 1 逸失利益
(アップサイド)
費用減少額( )円/年
・平均コスト単価( )円
・解決による確実なコスト減少( )%
・費用発生件数( )件/年
⑧- 2 逸失利益
(コストダウン)
上記課題が解決されれば、直接的・確実に増加が見込まれる粗利
上記課題が解決されれば、直接的・確実に減少が見込まれる費用
⑦ - 4
現状の解決行動
の不満点・問題点
( )h *( )人 *( )万円
=( )万円/年 ※
※新しい解決手法に代替できるもののみを対象
アウトソース( )万円/年+システム( )万円
合計 ( )万円/年 ※
※新しい解決手法に代替できるもののみを対象
( )h *( )人 *( )万円
=( )万円/年 ※
※新しい解決手法に代替できるもののみを対象
アウトソース( )万円/年+システム( )万円
合計 ( )万円/年 ※
※新しい解決手法に代替できるもののみを対象
⑤ Gap共通要因
(=課題一言で)
※ 少なくとも5社(5名)以上の課題仮説の解決を試みている顧客にヒアリング(特に⑦の定量把握は必須)する。
38
(4)課題の設定・評価
39
課題の設定
顧客立場
(社名・業種・部署・職種・役職等)
一連の業務
業務で
目指す状態
現状の
悪い状態
Gap要因分割
(=課題分割)
現状の解決手法(行動内容)
現状の解決手法
の不満点
現状の解決手法(外注利用)
※ 顧客インタビューの結果を踏まえて、定性的情報の共通項や特徴をまとめて記載する。
Gapの共通要因
(=課題一言で)
40
課題の評価について
41
顧客がありたい姿に沿った課題か?
現状
ありたい姿
(ビジョン)
課題
課題
課題
課題
課題
課題
×
×
×
⭕️
⭕️
⭕️
例えば、部活動でチームが強くなることを目的として部活動アプリをサービス展開する場合に、部費の徴収について課題設定をしたりすることは、ありたい姿に即してどうしても解決したい課題ではない。
42
ソリューションありきの逆引きで課題設定していないか?
など。
43
悪い結果状態を課題と設定していないか?
結果状態
主たる要因
解決策(商品価値)
課題として設定する
課題ではない
マンション大規模修繕の費用が無駄に高い
中間業者が情報の非対称性を利用し高いマージンを得ている
施工会社のオープンな見積もり情報提供
⭕️
×
44
悪い結果状態と関連性の薄い要因を課題としていないか?
例)某部門の組織内コミュニケーションによる◯億円の損失が試算された。
リモート勤務となり気軽に話せなくって待ち時間が発生することを課題設定したが、
結果との因果関係が不明で生産性向上するかどうか証明しづらい。
要因
A
要因
B
要因
C
要因
D
要因
E
要因
F
要因別関連度
関連度
(因果関係)
高
×
◯億円の損失・逸失利益
45
課題設定の粒度が適切か?
適切なレイヤーで
課題設定して
解決策を考える
「なぜ」で掘り下げ
分解・具体化する
細かい課題群を
共通化・抽象化する
・うつ病は社会的な課題だ
・従業員の早期の抑うつ状況把握と適切な相談相手が必要だが困難だ
・抑うつ状態は仕事にも悪影響出ている
・既存の相談サービスは高額。
・相談申し込みで勤務先名を記載しなければならない
メンタルヘルス課題のレイヤー例
大
小
46
異なる課題の掛け合わせ・列挙をしていないか?
課題群
解決したいことA
解決したいことB
解決したいことC
解決したいことA
優先度をつけて絞って検証
掛け合わせて検証
解決したいことA
解決したいことB
解決したいことC
×
×
⭕️
❌
47
課題が顕在化しているか?
顕在課題
潜在課題
(認識させるために啓蒙工数がかかる)
48
<ワークショップ②> あなたの業務における顕在課題を評価しよう
| 顕在課題 | 現状の解決手段 | コスト・労力 |
1 | | | |
2 | | | |
3 | | | |
49
新しい課題か?
| 既存の顕在課題(市場) | 新しい課題 |
既存の製品価値 | 解決策・サービスがある成熟市場 への後発参入 (スタートアップでは無い) | まだ解決されてない(市場化されていない) 新しい課題への既存製品展開 (スタートアップが攻めることもある) |
新規の製品価値 | 既存製品よりも優位な製品価値で攻める (スタートアップが攻めることもある) | まだ解決されていない新しい課題に 優れた新しい解決策を提供 (スタートアップの狙いどころ) |
50
課題規模は大きいか?
課題の
大きさ
解決策
提供
価値
(≒お金)
参照:馬田隆明氏「良い課題を選ぶ」https://speakerdeck.com/tumada/liang-ike-ti-woxuan-bu-jia-zhi-hake-ti-dejue-maru
課題の
大きさ
解決策
提供
価値
(≒お金)
課題の
大きさ
解決策
提供
価値
(≒お金)
大きい課題のほとんどを解決することができれば大きな価値を提供できる。そしてそれが収益になる。
大きい課題に取り組んだとしても解決できる度合いが少なければ価値は小さく、収益も期待できない。
解決策が素晴らしくとも課題に対してオーバスペックであれば提供価値は小さく、収益も期待できない。
51
解決されると最高に革新的な課題か?
※ 前ページまでの「やっちゃいけない」系のチェックポイントも押さえて欲しいが、NG項目を回避することばかりに注意するのではなく、 スタートアップとして革新的に解決できるような課題を選んで欲しい。
52
(5)課題の大きさについて
53
課題の大きさ算出方法
頻度
(件数)
人数
工数
(1回あたり)
単価
<企業における業務工数の課題の例(経費精算業務など)>
×
×
×
=
社数
×
年間の経済規模は
いくら?
54
課題の大きさ算出の注意点 ① 顕在課題のみを対象とする
顕在課題規模
✖️
顕在課題成長率
(10年)
>
1,000億円/年
顕在事象が確認されている課題に関わる
55
課題の大きさ算出の注意点 ② 解決できる部分のみを対象とする
・内定可能性が明らかに低い候補者との面談
- 上記の解決手段により減少しているが未だに発生
カ
ジ
ュ
ア
ル
・
一
次
面
談
・面談にて見極めるべき候補者との面談
・通常の書類選考
書
類
選
考
・定期的な評価基準の見直し�・ダブルチェック
現状の解決手段
課題(非効率)
業務・行動
誤った算出範囲
正しい算出範囲
課題の大きさ
対象の課題を解決した際に、
工数・コストを削減できる部分のみ
課題の大きさに含む
※「逸失利益」の場合も同様
56
課題の大きさ算出の注意点 ③ 顧客セグメント毎に算出する
(少なくとも検証フェーズではマスト)
ただし、課題によって様々であり、会社規模や業種とは限らないため注意
57
課題の大きさ算出の注意点 ④ 逸失利益について
58
課題の大きさ算出の注意点 ④ 逸失利益について(チェックポイント)
①
逸失利益を生む「直接的な」要因か?
②
逸失利益を生む「単一の」要因か?
対象の課題に関して、下記の2つの条件をクリアする場合、課題の大きさに逸失利益を含められる
ただし、ヒアリング等を重ねて、慎重に見極める必要あり
条件
NG例
59
市場規模と課題の大きさの違い
市場
課題
課題
■市場規模
いわゆる特定産業領域のGMV(TAM、経済レポートに載っている値)切り口は様々。売上ベース。
■課題の大きさ
対象ターゲットにとって「困っていて解決するために無駄に工数やお金がかかっているコストボリューム」 + 「逸失利益」の総和。課題は市場に内包される場合もあれば、複数の市場にまたがる場合もある。
60
(参考)TAM・SAM・SOM
TAM
(Total Addressable Market)
SAM
(Serviceable Addressable Market)
SOM
(Serviceable Obtainable Market)
製品やサービスが獲得可能な最大の市場規模のこと。製品やサービスが最大どれだけの総需要を生み出せるかの年間総額のこと。その市場シェアの100%を獲得した場合の年間売上高で計算する。理論的に提供できる市場規模を推定する方法の一つ。
製品やサービスが実際に提供しうる市場規模のこと。TAMのうち、実際に顧客になってくれるだろう層の市場規模。主な顧客ターゲットでセグメントした場合で推計を行う。自社の顧客層を明確に定義する必要がある。
製品やサービスが実際に獲得できる市場規模、あるいは既に獲得できている市場規模のこと。SAMのうち、製品やサービスが実際に獲得できる現実的な市場規模、獲得できた市場規模。SOMがそのまま売上目標として扱われることもある。
出典:https://makitani.net/shimauma/total-addressable-market
これらは想定売上ベースでの規模試算であり、課題の大きさとは異なる。
61
なぜ1,000億円の課題規模を投資基準にしているのか?
課題の大きさが1,000億円あれば、
→ その課題を解決することに支払っても良い提供価値の上限は数百億円程度の規模が期待できる。
→ その全提供価値における当該プロダクトのシェアが10%として数十億円の売上規模まで成長が期待できる。
(よって、VCとして投資に足りうる事業規模・時価総額が期待できる)
課題の大きさ
1000億
解決策
提供価値
(数百億)
売上(数十億)
時価総額
(少なくとも
数百億・
ユニコーンも)
62
<ワークショップ③> あなたの業務の課題の大きさを算出しよう
| 顕在課題 | 1人(社)あたりの課題規模 | 対象者数 | 全体の課題規模 |
1 | | | | |
2 | | | | |
3 | | | | |
63
課題の大きさ算出や理論についての補足
64
(6)課題を踏まえたソリューション
65
(6)課題を踏まえたソリューション(参考:各課題の型への対応例)
中間業者の搾取
情報の質や検索コスト
情報の非対称性
非効率・無駄時間(工数)
不必要・過剰コスト
余剰資産の未活用
低品質・ミス
知識・経験不足
逸失利益要因
・中間マージン削減
・取引の透明化
・情報収集時間の削減
・意思決定スピード向上
・価格・取引の透明化による不当コスト削減
・取引業者間の市場競争促進
・工数削減
・業務効率化
・不要支出の可視化・削減
・予算超過の防止・管理
・不稼働資産の活用による収益化
・資産管理効率の向上による維持コスト削減
・エラー削減による損失防止
・製品・サービスの信頼向上
・迅速なスキル習得
・社員のトレーニングコスト削減
・機会損失防止
・意思決定スピード向上
課題の型
解決価値
解決するサービス例
・P2Pマーケットプレース
・価格比較・透明化・入札プラットフォーム
・AI活用した検索・レコメンド
・業界特化の専門性の高いデータベース
・リアルタイム情報の即時共有
・レビュー・評価可視化
・RPA、SaaS、AIエージェント等
・API統合プラットフォーム
・サブスク管理・可視化ツール
・AIによる予算最適化・コスト異常の検知
・資産シェアのプラットフォーム
・資産活用の可視化・トラッキング
・品質管理プラットフォーム
・自動テストのソフトウエア
・AIパーソナライズ学習サービス・メンター
・社内・業界ナレッジデーターベース
・在庫・リソースの可視化・最適化
・パフォーマンス分析・アラート
66
(6)課題を踏まえたソリューション
課題を分解し、現状の解決策では解決しきれていない問題点を踏まえた解決価値&ソリューション内容を考える
業務�プロセス
作業者
現在の解決策
問題の要因
(課題)
目指す状態
(業務のToBe)
問題状態
(業務のAsIs)
現在の解決策
の問題点
(解決する)
価値仮説
ソリューション案
67
(6)課題を踏まえたソリューション(サンプル事例)
課題を分解し、現状の解決策では解決しきれていない問題点を踏まえた解決価値&ソリューション内容を考える
全社員のSaaSアカウント管理を適正に行いコスト最小化を図る
全社員の各SaaSの利用状況の把握
業務�プロセス
情報システム部門担当者
作業者
本人及び上長への解約可否確認
情報システム部門担当者
全社員とその上長
情報システム部門担当者
各SaaS毎の利用者をダウンロードし、
スプレッドシートで絞り込み目視で対象者を条件フィルタリングし洗い出し
現在の解決策
アカウント契約更新と台帳更新
各SaaS個別の管理画面でしか確認できず、
一元的に利用状況が整理できていない
問題の要因
(課題)
利用状況が分かったが、解約して良いかどうか判断がつかない
解約可否回答を待っているので
解約・台帳更新までに時間がかかる
目指す状態
(業務のToBe)
問題状態
(業務のAsIs)
年間⚪︎⚪︎万円程度の無駄コストが発生している
メール or Slackで今後の利用意向や解約可否を本人と上長に個別に確認
手作業で個別SaaSから解約・更新
現在の解決策
の問題点
可視化の準備作業がアナログで工数膨大
個別に連絡するため文章作成工数かかる
抜け漏れも発生、返事待ち時間も
待ち時間と更新作業がかかる
削減額管理ができていない
(解決する)
価値仮説
利用状況の一元管理・即時可視化
解約レコメンド・確認・催促の自動化
自動で解約・台帳更新・コスト管理
ソリューション案
SaaS横断での利用状況管理台帳
縦横無尽の条件検索・分析
条件に基づき解約確認Slack送信
(未対応者には催促もされる)
各SaaSとAPI連携してアカウントを解約するとともに利用状況の台帳更新
68
(6)ソリューション案のチェックポイント
顧客課題との整合性
革新性・競合優位性
実現性
69
(7)ソリューション案の検証
70
(7)ソリューション案の検証
① 企画
② 検証
③ 初期開発
(初期投資)
④グロース
71
(7)ソリューション案の検証 3つのトラクション検証
顧客へのリーチ
プロダクト価値
顧客契約獲得
各指標の最低目標が期間中に達成できない場合はピッチを待たず撤退が原則
72
(7)ソリューション案の検証 顧客リーチ検証
ターゲット | SMB | to B |
対象顧客説明 | 万単位以上存在するの小規模事業者 (月間数万円以下程度のサービス提供先) | 数千社〜万単位の法人 (月間10万円以上のサービス提供先) |
検証内容 | ・商品説明を記載したLPをオープンにしてデジタルマーケティングで誘引 (職種によってはデジマが効かないことも) ・あらゆる人脈やルートを使って営業活動 | あらゆる人脈や営業活動で、対象顧客に対して営業資料を持って商談 |
指標 | 顧客情報の事前登録数 | 有効商談数 (お付き合いではなく顕在課題保有者) |
最低限の定量目標の目安 (おおよそ) | 30件以上 | 10社以上 |
73
(7)ソリューション案の検証 プロダクト価値の検証
ターゲット | SMB | to B |
検証内容 | リーチできた顧客の中から、プロトタイプ利用に同意した顧客に利用してもらい、以下指標を測定 | |
指標 | ① 課題規模の削減量 ② 顧客満足度スコア | |
最低限の定量目標 目安(おおよそ) | 10社以上の顧客に対して 既存の課題解決コスト比べて50%以上の削減 (削減率は他解決手段や競合・コスト感を踏まえて調整可) | 3社以上の顧客に対して 既存の課題解決コスト比べて50%以上の削減 (削減率は他解決手段や競合・コスト感を踏まえて調整可) |
74
(7)ソリューション案の検証 契約獲得の検証
ターゲット | SMB | to B |
検証内容 | 事前登録やトライアル利用してもらった顧客候補に、価格を示して以下の指標を確認 | |
指標 | ① 有料契約 ② 有料契約の意思表明 (近い将来の有料契約を前提とした短期間の無償トライアル利用の契約含む) | |
最低限の定量目標 目安(おおよそ) | ① 3社 ② 6社 | ① 1社 ② 2社 |
75
(7)ソリューション案の検証 撤退の考え方
検証前に、事業責任者と 投資家(予算提供者)以下を合意
(期間・予算内で)合格基準・撤退基準の判定
投資継続
・今後の基準突破モメンタムが期待できるか?
・顧客トラクションを増幅させる施策が見えているか?
撤退
合格
不合格
延命(小予算)
76
Appendix
77
参考動画
【新規事業案が魔法のように作れる!】ユーザーが抱える課題が見つかる5つのフレームワーク
スタートアップは90%以上失敗する?NGな新規事業アイデアを見極める9つのポイント
【DeNA内定者が本気の事業案をピッチ】VC視点でのジャッジの行方は..
【ピッチ企画】「〇〇してたら投資検討できた」DeNA内定者の学生起業家にデライト・ベンチャーズ坂東さんがガチFB!
https://youtu.be/UIrCUT6e3rU?si=gCIv2lrknNg6bY6o
78
以上
79