青森の住宅メーカー公開アンケート2021
目的:① すべての人の未来のため、より省エネルギーを意識した住宅作りの促進
② 新築・改装する方の参考・省エネルギーの動機付けになること
主催: 青森の温暖化対策を考える会
アンケート対象: 青森県内で営業する工務店・ハウスメーカー
監修: (株)稲見建築設計事務所 代表取締役 稲見公介
( 住宅性能評価員 省エネ適合性判定員 )
実施期間 2021/11/8~2021/12/10
回答数: 7 件 (公開 5 件 匿名 2 件) / 116 件中
方法: 青森県で営業している工務店・ハウスメーカー計 116 件に
電話後FAX・メール( 38件 ) または直接FAX( 78件 )などで連絡
※青森市内は主に電話で回答を依頼
発表月: 2022/1
アンケートの解説:2022/2/9 公開いたしました。次のスライドから解説になります。
↓↓↓クリックで結果のリンクに繋がります。
今回、なぜ 住宅の断熱に注目しているのか?
建物は暖房やお湯を作る時、たくさんのエネルギーを使っています。
私も自宅を建てて、実際に冬の電気使用量をみてわかりました。
「こんなにたくさんのエネルギーを使っているんだ!」と。
そして、温暖化のことを調べていくと、電気を火力発電から太陽光や風力に変える事も大切ですが、建物の省エネも効果が高い事ががわかってきました。
家を建てると、30年以上住み続けると思います。そのため、使うエネルギーが少ない住宅の建設が、気候変動対策として注目されております。
また、温度環境も、夏はさらに熱く、冬は寒波がきやすくなるでしょう!
できるだけ温度差を作らない住宅は、健康の観点からも重要です。
現在、国でも、将来の住宅はゼロエネルギーが標準になるように動いております。
より断熱性能の高い住宅を建てることは、自宅の価値を守る点からも注目するとよいと思います。
初期投資は少しかかりますが、高断熱の家のほうが長い目で見ると光熱費の削減により、ライフサイクルコストの面でプラスになると専門家の見解があります。
また、現在自宅がある方も、内窓の設置などは、非常に効果的なので断熱リフォームの検討にも今回のアンケートでお役に立ちたいと考えております。
今回のアンケートから、建物の断熱性能は、どのような点に注目するとよいのか、少しでも知っていただけると幸いです。
アンケート項目 (省エネ住宅のポイント)
【気密】①高気密の工夫 ②標準でのC値 ③気密測定可否
【断熱】①窓 ②壁 ③床・基礎 ④屋根・天井
※各仕様と断熱材の厚さ、商品名、熱伝導率など
【換気システム】製品名 種類
【省エネ基準】①UA値 ②計算方法
【太陽光の利活用】 太陽光発電パネル 太陽集熱 日射取得・日射遮蔽
【給湯・空調・節水節湯・調光などの設備】
【年間の使用エネルギー】
【使用木材について】
【ZEH(ゼロエネルギーハウス)・省エネ改修への対応】
【気密】
建物からの空気の漏れ具合が気密(密封度)です。
結露の防止・冷たい空気の侵入を防いでくれるので、大切な項目になります。
C値という値で評価してます。C値が低いほうが、気密が高い事になります。
家を建てるときは、自宅の気密性能がどのくらいになるのか、測定してもらうとよいと思います。
【断熱】①窓 ②壁 ③床・基礎 ④屋根・天井
※各仕様と断熱材の厚さ、商品名、熱伝導率など
外からの熱の出入りを抑えてくれるのが断熱材です。家の四方に、各社、様々な工夫をしています。断熱材の熱伝導率は、熱の伝えやすさを表します。低いほうが高断熱になります。熱伝導率だけでなく、断熱材の厚さとセットで考える必要があります。
窓 断熱材 断熱方式 にはどんな種類があるか?
今回のアンケートで聴き取りした 窓・断熱材の種類です。参考にしてください。
窓: 樹脂製トリプルガラス 樹脂製ペアガラス(Low-e)樹脂製ペアガラス
木製トリプルガラス 木製ペアガラス(Low-e) 木製ペアガラス
アルミ樹脂製ペアガラス(Low-e) アルミ樹脂製ペアガラス
断熱材:グラスウール ロックウール 現場発泡ウレタン
硬質ウレタンフォーム ポリスチレンフォーム
フェノールフォーム セルロースファイバー
羊毛断熱材 木質繊維断熱材 ポリエステル断熱材 遮熱材 断熱塗料
※最近は断熱リフォームにも対応できる断熱塗料もあるそうです。
断熱方式: 充填断熱 外張り断熱 充填断熱+外張り断熱
窓選びは超重要!いい窓を選んでください。(私見含む)
ガラスは冷気を圧倒的に通してしまいます。
断熱性の低い窓だと、冬場に冷蔵庫の扉を開けて室内を冷やしているようなものだと思っています。
ガラスの間に空気、断熱ガス(アルゴンガス等)を入れた ペアガラス、トリプルガラスがだいぶ普及してきましたが、まだ単板ガラスも店舗などではみられます。
冬の熱の約50%は窓から逃げ、夏の熱の約80%は窓から入ると言われ、省エネの大変だいじなポイントです。
既存の窓を残したまま内窓設置がとても効果的です。電気料金の高騰もありますので、リフォームの検討いかがでしょう?
また、最近は、気密性のよい引き違い窓も出てきたと思いますが、基本的には、どうしても引き違い窓は空気が漏れやすいと考えます。他の窓などと比べて、省エネルギーの観点からはあまり個人としては、設置しないほうがよいと考えております。
※引き違い窓:リビングなどの大きい窓での設置例が多い、左右に動く窓
【換気システム】
住宅の主な換気の種類 (アンケートでは製品名も確認しました)
①第1種換気 (ダクトあり ダクトなしタイプがある)
熱交換器が多い (外気と室内の空気を熱交換し冬場の室温を低下させなくする)
外気温の影響を受けにい コストが第3種より割高
湿度ごと交換する全熱タイプと温度だけ交換する潜熱タイプがある。全熱タイプは
臭いごと温度湿度を戻す特徴も有る
②第3種換気 (ダクトあり ダクトなしタイプがある)
外気温の影響を受ける 気密がよくないと換気が機能しない 低コストである
用途に応じて三種、一種を使い分けることが重要。今は、ハイブリット(一種、三種自動切り替え)タイプもある。
【省エネ基準】①UA値 ②計算方法
①UA値はU値(熱の通しやすさ)のAII(家全体)を示したもので、家全体のエネルギー消費量を示しています。UA値に家の面積をかけることで、エネルギー使用量が計算できます。
低いほうがエネルギーを使わずに済むという計算になります。
②計算方法は、数種類あります。
難しい順で 標準計算ルート 簡易計算ルート モデル住宅法 仕様基準ルートとなっています。
計算が簡易なほど、安全率を高く見るため建築コストが割高になるため、建築コストを落としたい場合は、標準計算ルートを自社で出来る、設計事務所や工務店さんに頼むのがベスト。標準計算ルート以外の計算をしている業者や外注を使っている業者は高気密高断熱住宅の設計や施工を正確にできないと考えて良いでしょう。
そのため、どの計算ルートか、自社で対応出来るのかを確認してみるとよいかもしれません。
【太陽光の利活用】住宅で太陽エネルギーとうまく使う工夫も省エネには大切と考えています。
太陽光発電パネル
自宅で発電することでゼロエネルギーを目指すことが可能です。
地域の再エネ割合を増やすことに自宅でも貢献できます。
自宅でできる大きなCO2排出削減方法になります。
※初期費用なしで、ソーラーパネルを設置できる新電力のサービスが色々でていますので参考にしてください。例)
太陽集熱
太陽の熱エネルギーを集め、暖房、融雪、給湯に使うシステムです。
日射取得・日射遮蔽
庇や樹木を使い、冬と夏のない南中高度の違いを利用して、冬は高度の低い太陽光の光� を住宅に取り入れ、夏は南中高度の高い太陽の光をさえぎる方法です。
雪国では、庇の出が雪の重さに耐えられないといけないので、しっかりとした構造計算� も必要になっていきます。
【給湯・空調・節水節湯・調光などの設備】
できるだけ初めから高効率のものを選ぶ事が大切です。
節水も大切です。特にお湯を節湯することは、給湯器の稼動時間を減らし、エネルギー消費の削減になります。
新築時は節水トイレ・手元止水栓・水優先吐水 また既存住宅でも節水シャワーは導入しやすいと思います。
~アンケートした設備の種類を紹介します~
給湯: エコキュート 電気温水器 ガス電気ハイブリット給湯器 灯油給湯ボイラー 灯油給湯ボイラー(エコフィール)
ガス給湯ボイラー ガス給湯ボイラー(エコジョーズ)
暖房:灯油式パネルヒーター ガス式パネルヒーター ヒートポンプ式パネルヒーター 灯油式床暖房 ガス式床暖房
ヒートポンプ式床暖房 エアコン FFストーブ 薪ストーブ ペレットストーブ
冷房:ヒートポンプ式パネルヒーター ヒートポンプ式床暖房 エアコン
節水・節湯:節水トイレ 節水シャワー 手元止水シャワー 手元止水キッチン水栓 水優先吐水キッチン水栓
水優先吐水洗面水栓 ヘッダー方式配管 12A以下配管 雨水利用設備
調光など:明るさの調整が可能な照明機器 人感センサー付き照明
【年間の使用エネルギー】
エネルギー使用量(電気・ガス・灯油)は、実際のCO2排出量につながる事がポイントです。
坪数、家族の人数、使い方によって違うと思いますが、家を建てる時は、どのくらいの電気使用量、電気代が見込まれるのかを、確認することが大切だと思います。 工務店への断熱性能向上の後押しにもなると思います。
電気からのCO2排出が大きいため、太陽光パネルを設置することは大きな意味があります。
(参考:電気・ガソリン・灯油の使用によるCO2排出量の計算)
・年間使用電力量 10000kwの場合(オール電化だとこの位使用する可能性があります。)
計算式:電気のCO2排出係数 0.521(東北電力の場合)×10000=5210kg(5.21トン)
・ガソリン年間400Lの場合(月33L位)
計算式:ガソリンのCO2排出係数 2.32×300=928kg(0.928トン)
・灯油 年間1000L使用の場合
計算式:灯油のCO2排出係数 2.49×1000=2490kg(2.49トン)
【使用木材について】
県産木材、国産木材であれば、木材の輸送によるCO2排出を減らすことに貢献できるだけでなく、国内の林業への後押しにつながります。
林業の後押しは、森林整備につながり、健康な森林は二酸化炭素を吸収してくれます。
価格などの理由で、海外木材を使うことがほとんどですが、青森県人の私見としては、地域のため県産木材を使ってほしいと思っています(笑)
~アンケートした使用木材の一覧~
青森県産無垢材 青森県産集成材等加工木材
国産無垢材 国産集成材等加工木材
外国産無垢材 外国産集成材等加工木材
【ZEH (ゼロエネルギーハウス)・省エネ改修への対応】
ZEH:エネルギーを実質使わない建物になりますが、太陽光発電パネルを載せて、発電との差し引いてゼロになる住宅です。補助金制度があります。
※将来的にカーボンニュートラル*を目指すためZEHが義務化になる可能性があります。
省エネ改修:既存住宅でも、断熱改修によりエネルギーを節約することができます。各住宅にあった、改修方法があると思いますので、
ぜひ、今回のアンケート項目より各工務店さまに相談する参考にしてください。
*カーボンニュートラル:二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を、森林の吸収分から差し引いて実質ゼロにすること。日本は2050年までの実現を目指しています。
アンケートで確認した断熱改修一覧
①内窓の設置 ②カバー工法*によるサッシの高断熱化 ③サッシ交換によるサッシの高断熱化 ④玄関建具交換による玄関建具の高断熱化 ⑤カバー工法*による玄関建具の高断熱化 ⑥風除の設置 ⑦壁の断熱化 ⑧基礎または床の断熱化 ⑨天井または屋根の断熱化 ⑩壁の遮熱化 ⑪基礎または床の遮熱化 ⑫天井または屋根の遮熱化 ⑬断熱遮熱塗料による断熱改修 ⑭大改修による気密化 ⑮高効率な暖房システムへの変更提案 ⑯高効率な冷房システムへの変更提案⑰高効率な給湯設備への変更提案⑱水廻り改修に伴う省エネルギー化 ⑲給水給湯配管の更新による節水節湯化 ⑳照明器具のLED化 ㉑換気設備の熱交換化 ㉒トータル的断熱改修工事
*カバー工法:既存の窓枠の上に新しい窓枠をかぶせて新しいサッシにする工法。
まとめ
①省エネルギー住宅を作るため、新築の際は、気密測定有無や、C値・UA値の数値、おおよその使用エネルギー量をぜひ確認ください。
②窓の種類、配置は大切です。しっかり打ち合わせください。
③既存の住宅でも断熱改修、特に内窓などで、冬の寒さを緩和できるとともに、使用エネルギーを減らすことができます。費用に関しては、補助金の利用などに詳しい工務店さまもいると思いますので、聞いてみてください。
④太陽光パネルの設置は、個人でできる最大のCO2削減になります。初期費用を抑える様々なサービスが出てきているので、検討ください。
このアンケートは、何を工務店に確認したらよいかを分かるようにするために実施いたしました。アンケート結果と併せて参考にしていただければ幸いです。
最後に
最後まで見ていただき、誠にありがとうございました。
基本的な内容ではございましたが、少しでも、未来のために省エネルギー住宅へ興味を持っていただけたら幸いです。
今回のアンケート実施にあたり、稲見建築設計事務所 稲見公介さまより専門的立場からご指導・監修いただきました。
誠にありがとうございました。稲見先生はたくさんの住宅関連の資格をお持ちで、省エネ住宅に大変お詳しい方です。
省エネ住宅ご興味がある方は、ぜひ、お問い合わせください。
また、お忙しい中にもかかわらず、ご協力していただいた工務店様にも感謝申し上げます。これからも未来のため、また消費者のために、よりよい省エネ住宅を提案、開発してほしいと思っております。ご都合によりご回答が難しかった工務店様もおかれましても、参考になれば幸いです。
「青森の温暖化対策を考える会」では引き続き、どうしたら温暖化をとめるために、脱炭素社会を実現できるのか考えて参りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
青森の温暖化対策を考える会 代表 中堀一弥