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模擬国連ワークショップ

国際法模擬裁判の教育効果は?

根岸陽太 NEGISHI Yota

2023年9月21日

西南学院大学 法学部国際関係法学科准教授(国際法)

Email: ynegishi@seinan-gu.ac.jp

Twitter/X: @Nyota0414

researchmap: https://researchmap.jp/yota.negishi/research_experience

国際法学習プロジェクトKARDIANOIA:https://www.seinan-kardianoia.com/

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報告者自身の国際法模擬裁判からの学び-

ICISS『保護する責任』(2001年)

  • 国際法模擬裁判JESSUP CUP 2009年大会
    • A国で人道的危機→A国政府が関与の疑い
    • A国への軍事介入に対して安保理で拒否権
    • R国が人道的目的で単独軍事介入

  • R国の立場から書面作成・口頭弁論を担当
    • 虐殺の危険にある少数者への共感
    • :国際法によって主張を正当化
    • :書面・弁論による裁判官の説得

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国際法模擬裁判を通じて成長する(ブルーム・タキソノミー参照)

characterization

⑤人格化

 (領域国が対応しない場合の国際社会およびR国の「保護する責任」)

④組織化

 (軍事介入を受けるA国の「主権」とのバランス)

③価値づけ

 (虐殺の危険にある少数者の「人権」を保護する重要性)

②反応

 (A国での人道的危機に対応する必要性を確信する)

①受容

 (A国で虐殺の危険にある少数者の状況を認識する)

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国際法模擬裁判を通じて成長する(教育実例からの示唆)

⻄南学院⼤学・根岸陽太ゼミと横浜市⽴⼤学・瀬⽥真ゼミのオンライン⼤学間対抗戦(2020年)報告書より抜粋

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模擬裁判を通じて成長する(ブルーム・タキソノミー改訂版参照)

⑥自己の法的主張を創造する

 (人道的介入を正当化する国際法を証明する)

⑤他者の法的主張を批評する

 (人道的介入を否定する法的根拠を切り崩す)

④法的論点を分析する

 (人道的介入の先例を調査して分類する)

③法的概念を事実に応用する

 (R国の人道的介入は違法だが正統?)

②法的概念(規範)を理解する

 (武力行使禁止原則とその例外を把握する)

①事実を記憶する

 (R国がA国に人道目的で軍事介入した)

模擬裁判

講義

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模擬裁判を通じて成長する(ブルーム・タキソノミー改訂版参照)

R国がA国に人道目的で軍事介入した

R国の人道的介入は違法だが正統?

武力行使禁止原則とその例外を把握する

人道的介入の先例を調査して分類する

人道的介入を否定する法的根拠を切り崩す

人道的介入を正当化する国際法を証明する

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模擬裁判を通じて成長する(教育実例からの示唆)

⻄南学院⼤学・根岸陽太ゼミと横浜市⽴⼤学・瀬⽥真ゼミのオンライン⼤学間対抗戦(2020年)報告書より抜粋

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国際法模擬裁判を通じて成長する(ブルーム・タキソノミー参照)

naturalization

⑤自然化

 (意識せずに書面執筆・口頭弁論を進められる状態をつくる)

④分節化

 (書面での情報網羅や、弁論の質疑応答など、個別の項目を洗練させる)

③精密化

 (書面を完成させたうえで弁論を実践する)

②巧妙化

 (マニュアルに従って書面・弁論に着手する)

①模倣

 (過去のベストメモリアル/オーラリストを真似る)

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模擬裁判を通じて成長する(教育実例からの示唆)

JESSUP CUP 国際法模擬裁判大会(2009年)報告書(早稲田大学)より抜粋

 国内大会と比べ、海外大会ではコンプロミの事実に関する質問が多くなるということを聞いていたので、弁論練習の際にコンプロミの事実に関連した質問を多くするようにしたのに加え、日替わりで担当者を交代してメーリングリストでコンプロミクイズ(コンプロミの事実関係についての質問を10題ずつ出題)を送るということを行った。

練習の初期は、英語での弁論はおろか、英語で話しをするということに慣れていないため、裁判官の質問にうまく返せないという様子であった。国内予選で優勝する実力をもった弁論者たちでありながら、英語での弁論になると持ち合わせた力を十分に発揮できてはいなかった。

しかしながら、練習を重ねていくうちに英語を自在に操ることができるようになり、何度もされている質問だけではなく、初めてされる質問にも的確なレスポンスができるようになっていった。これは、毎回の弁論練習の後に自分がされた質問をメモし、それを英訳するという作業を行っていたことが功を奏したのだと思われる。これによって、英語力が向上し、想定外の質問に対しても的確に答えることができるようになったのであろう。

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国際法模擬裁判を教育で実践するためのアドバイス

  • 目的と手段が逆転しないように

 ・共感する価値()のための国際法()のための模擬裁判(

 ・国際法以外の知見にも視野を開く(政治経済社会、人文・自然科学)

 ・裁判を紛争解決の一部として捉える(模擬国連など他の教育手段と連携)

  • 一足飛びに最高のパフォーマンスを求めない
    • :自己の価値(⑤)に辿り着くための他者の価値(①〜④)
    • :クリティカル(⑤)クリエイティブ(⑥)の前提知識(①〜④)
    • :作業を無意識に実践できる(⑤)までの工程を意識(①〜④)

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国際法教育の比較研究と若手教育者の能力育成

―分野・国境・世代を超えるコラボレーション―

(公益財団法人 末延財団 比較法・外国法研究教育プロジェクト助成)

  • グローバル化時代の要請を背景に、国際法教育の内容・手法・目的を根本的に再考し、教育実践に取り入れるために、コラボレーション」の推進を提唱する。

  • 3つの境界(①分野:他の学問領域、②国境:他国の教育実践、③世代:先輩と後輩)を超えて、国際法教育について論じる空間を作ることを目的にする。

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国際法教育の比較研究と若手教育者の能力育成

―分野・国境・世代を超えるコラボレーション―

(公益財団法人 末延財団 比較法・外国法研究教育プロジェクト助成)

  • グローバル化時代の要請を背景に、国際法教育の内容・手法・目的を根本的に再考し、教育実践に取り入れるために、コラボレーション」の推進を提唱する。

  • 3つの境界(①分野:他の学問領域、②国境:他国の教育実践、③世代:先輩と後輩)を超えて、国際法教育について論じる空間を作ることを目的にする。