1 of 12

Comments on��“Analysis of Investment Behavior and Performance of Japanese Individual Investors”��by T. Ikebata, M. Morita, and A. Kamesaka

Discussed by Ken Iwatsubo

(Kobe Univ.)

1

JSME-JWE Kyoto Conference

                   2026. 3.21 

2 of 12

Overview

  • 日本証券業協会の個票データ(2019–2023年、最終サンプル8,009人)
  • 日本の個人投資家の投資行動(取引有無)および投資成果(利益ダミー・利益額・リターン)を分析
  • 主な結果は以下の通り:
    • 女性は男性より取引頻度が低いが、利益を得る確率は高い
    • 若年層ほど投資成果が高い
    • 現在志向(時間割引率が高い)な人ほど取引しやすい
    • リスク回避的な人ほど取引しない
    • ただし、行動バイアス(時間割引・リスク回避)は投資成果との関連は弱い

2

3 of 12

コメント1:取引をしない人を考慮

  • 年間を通じて売買を行っていない人が約3割超

  • 投資収益率の推計では、サンプルを削除�(サンプルセレクションバイアス)

  • ⇒Heckmanの2段階推計

3

4 of 12

個人投資家の損益分布

4

(注)( )内は売買損益の対象年。2016年調査までは株式の売買損益、2017年調査以降は有価証券の売買損益。

(出所)日本証券業協会『個人投資家の証券投資に関する意識調査』2006年~2025年

(論文に書かれているように)株式を保有している投資家ではない

5 of 12

コメント2:実現益をめぐる疑問

  • 1. 測定誤差が大きい
    • 利益・資産額ともにカテゴリ中央値で代替
    • 上限は恣意的に750万円と設定
    • ⇒ 推定値のバイアスが大きい可能性

  • 改善案
    • ① 感度分析を追加
    • 上限値を変更:
      • 500万円
      • 750万円(現状)
      • 1000万円
      • 結果が変わらないことを示す
    • ② 分布仮定による再推定
      • 対数正規分布 or ガンマ分布で区間平均を推定
      • interval regression も検討
      • 「中央値依存ではない」ことを証明

5

6 of 12

コメント2:実現益をめぐる疑問

  • 2. リターン指標の不整合
    • 分子:過去1年の利益
    • 分母:調査時点の資産
    • 時間的不一致

  • 改善案(いずれか必須)
    • ① 利益額中心に議論をシフト
      • リターンは補助的扱いに格下げ
      • 一番簡単かつ安全�
    • ② proxy改善
      • 「資産規模でコントロール」のみ

6

7 of 12

コメント2:実現益をめぐる疑問

  • 3. 建玉の保有期間が1年未満は20%にも満たない
  • ⇒ 分析対象はアンケート回答者の7割とはいえ、彼らはポジションのほんの一部を売買しているにすぎない。
  •  ポジションの多くは長期的(1年以上)で保有

    • 実現収益を被説明変数にするのではなく、
    • 未実現収益を含めたトータルの収益を分析対象にするのが理想的。

7

8 of 12

建玉の保有期間

8

(出所)日本証券業協会『個人投資家の証券投資に関する意識調査』2006年~2025年

9 of 12

コメント3:結果の原因

  • 女性が男性よりも投資パフォーマンスが高い
    • なぜ?
    • Barber and Odeanは男性の自信過剰⇒取引回数の多さ
    • (取引なし、あり)は取引回数とは異なる

  • 若者が高齢者よりも投資パフォーマンスが高い
    • なぜ?

  • 時間割引と投資パフォーマンスの関係は頑強ではない
  • リスク回避度は投資パフォーマンスの測度によって結果が異なる
    • 成果が良い → リスク回避が低くなる可能性

9

10 of 12

Other Comments

  • 4. 重要変数の欠落
    • 金融リテラシー
    • 投資経験
    • ポートフォリオ構成
    • ⇒ omitted variable bias の可能性
  • 5. モデルの説明力が低い⇒説明変数の少なさ
    • 擬似R²:最大でも約0.05程度(Table 4)

10

11 of 12

アンケート調査の限界

  • 6. 自己申告データの限界
    • 代表性 サンプルが母集団と同じ分布か?
    • 実際の取引データではない
      • 記憶バイアス・過少/過大申告

  • 7.行動変数の測定が粗い
    • 時間割引:1問のみ(10万円 vs 11万円)
    • リスク回避:1問のみ
    • ⇒ 心理特性としては不十分

11

12 of 12

Overall Evaluation

  • 個人投資家の個票データが限られている日本で、アンケート調査を用いた分析は貴重。

  • しかし、推計結果はいずれも、先行研究で示されているもの。新規性・独自性の面で、工夫がほしい。

  • 結果の解釈が物足りない

12