磯崎ほか(2010)
ジュラ紀付加体(美濃−丹波帯,北部北上帯,渡島帯,秩父帯)
1980年代に地質学において大きな変換点がありました.1961年と1990年の20万分の1地質図からその違いを見てみましょう.
どのような違いがあるでしょうか.
地質図と凡例から考えてください.
20万分の1地質図「飯田」
20万分の1地質図「飯田」
地向斜説
美濃帯などのジュラ紀付加コンプレックスの形成過程については,プレートテクトニクス理論が出てくる前までは,地向斜説というもので説明されていました.それは,プレート運動の様な側方への運動ではなく,隆起と沈降という上下運動のみで考えられていました.
1.なぜか中軸部が陥没し,賛成火成作用がおきる(チャートや花崗岩の形成)
2.フリッシュの形成(級化構造をもった砂岩泥岩互層,つまりタービダイトの堆積)
3.塩基性火成作用(玄武岩やオフィオライトの形成)
4.造山運動が生じ,変成岩や衝上断層・褶曲などが形成され,山地から粗粒砕屑物(モラッセ)が供給された.
中江(2000)
西南日本内帯ジュラ紀付加コンプレックスの分布
近畿地方では丹波帯,中部地方では美濃帯,関東では足尾帯と呼ばれている.以前は,秩父古生層と呼ばれていた.
石灰岩
紡錘虫(フズリナ)
直径約1 cm
2 cm
2 cm
2 cm
目で確認できる大型化石
サンゴ
フズリナ
藤原岳
霊仙山
米原
大垣
養老山地
鈴鹿山脈
石灰岩と玄武岩
伊吹山
石炭紀からペルム紀(3億年〜2億5000万年前)の石灰岩
シームレス地質図(産総研HPより)
ほかのチャートや泥岩・砂岩もペルム紀の地層と考えられていた
秩父古生層
秩父古生層
丹波帯や美濃帯の地層はすべて整合と考えられていたため,1万mを超える厚い地層が堆積したと考えられた(地向斜).
中江(2000)
小さな化石
0.2 mm
放散虫は,海のプランクトンで,二酸化ケイ素(SiO2)の骨格をもつ.大きさは0.1 mm〜0.5 mmくらいの小さなもので,電子顕微鏡で観察できる大きさ.
微化石
最初(1970年代)はチャート中のコノドント化石が注目された古生代から中生代三畳紀の示準化石.チャートから中生代の化石が見つかり,古生層と思われていたので,大発見になった.
2億年前
束田・小池(1997)
国立科学博物館HP
微化石
1970年代後半になると放散虫化石による検討が始まった.放散虫化石は堆積物の堆積年代を決めることができる古生代から現在までの示準化石.
泥岩からジュラ紀放散虫(一部白亜紀初期)が発見され,さらに大発見となった.
3億年前
2億年前
1.5億年前
海洋プレート層序
岩相と年代に規則性がある.
玄武岩が最も古く,チャート,珪質泥岩,泥岩・砂岩と若くなる.
中江(2000)
付加コンプレックスの地質構造:デュープレックス
チャートと砕屑岩が比較的変形を受けずに重なっている地層
チャートは中期三畳紀〜前期ジュラ紀
珪質泥岩は中期ジュラ紀
泥岩・砂岩は中期ジュラ紀〜後期ジュラ紀
チャートの中でも年代の繰り返しがある
産総研シームレス地質図
付加コンプレックスに見られる地質構造:メランジュ
脇田(2000)
メランジュ
ある一定の面積的広がりをもった混在岩の地層.
砂岩,チャート,玄武岩,石灰岩などがレンズ状を呈し,剪断変形を受けた泥岩がレンズの基質となる
脇田(2000)
混在岩:複数の岩石が混在している岩石.成因は問わず,記載用語.
中江(2000)
中江(2000)
復元された海洋プレート層序
メランジュの様々な岩石から放散虫化石を抽出し,年代別に並べると,メランジュの元になった海洋プレート層序が復元される.
海洋プレート層序とプレート運動
脇田(2000)
付加コンプレックスを構成する岩石は,海洋プレートが誕生してから,沈み込み帯までの運動に関連した地質が関与している.
海洋プレート層序における年代の意義
中江(2000)
脇田(2000)
玄武岩は海山起源と海嶺起源がある
珪質泥岩はチャート成分に陸源の泥成分が混じったもので,陸が近づいてきたことを示す.
海溝ではチャートよりかなり早い堆積速度で陸源物質が堆積するので,放散虫が含まれる割合が少なくなる.
陸源砕屑岩の最も若い年代が付加直前の年代となる.付加によってそれ以上堆積しないため.
P-T境界の砥石型珪質粘土岩は海洋の酸欠事件により,放散虫が一時的にいなくなったため
海洋プレート層序の年代
付加コンプレックス内でも異なる海洋プレート層序の年代の地層がある→ユニット区分をする.
中江(2000b)
海洋プレート層序の年代
早期に付加したコンプレックスほど,構造的上位に位置している(日本列島では北側).
中江(2000b)
磯崎ほか(2010)
ジュラ紀付加体(秩父帯)
西南日本外帯のジュラ紀付加体:秩父帯
四国では,ジュラ紀付加体(秩父帯)の構造的上位により古い地質帯がクリッペ状に分布する(黒瀬川帯).
黒瀬川帯より北側に分布するものを秩父帯北帯,南側に分布するものを秩父帯南帯と呼ばれる.
現在では,北帯と南帯はシンフォームをなしており,基本的には連続していると考えられている.
山北(1998)
西南日本外帯のジュラ紀付加体:秩父帯
現在では,北帯と南帯はシンフォームをなしており,基本的には連続していると考えられている.
松岡ほか(1998)
日本地方地質誌「四国」朝倉書店
西南日本外帯のジュラ紀付加体:秩父帯