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事業成長と�技術組織の変化

2023/02/10 関西 CTO Meetup

株式会社はてな 大坪 (@motemen)

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自己紹介

  • 大坪弘尚
  • @motemen
  • 株式会社はてな CTO

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職歴

  • 2008 入社
  • 2012 エンジニア職種長
  • 2016 CTO
  • この間の事業と組織の変化をお話します

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はてなについて

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ミッション

「知る」「つながる」「表現する」で

新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする

はてなの最初のサービスは「人力検索はてな」です。

創業者の近藤淳也が、自身の父親が検索エンジンをうまく使いこなせずに苦労している様子を見て、�インターネットに慣れない方でも簡単に知りたい情報にたどり着けるよう「質問を文章で投稿し、�別のユーザーに回答してもらえるQ&Aサービス」を開発したことが、はてなのはじまりです。

2001年の創業以来、技術力を梃子に、ユーザー投稿サービスを中心としたインターネットサービスを�一貫して開発・提供してまいりました。

我々の持つ技術を用いて提供されるインターネットサービスが、個人・法人ユーザーのみなさまの生活を�豊かにすることを目指し、サービスの開発と運営に取り組んでいます。

京都リサーチパークの4平米のブース(2001年)

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職種構成・出社率

全従業員の43.5%がエンジニア。人員規模も堅実に成長しています(5年で1.43倍)。�20年2月より全社的な在宅勤務を許可しており、多くのスタッフが在宅勤務中心の働き方を選択。

企画

編集

営業

デザイナー

管理部門

カスタマーリレーション

職種別構成比

エンジニア

43.5%

従業員数推移

出社率推移(21年3月-22年3月)

京都平均    東京平均

6.3% 9.7%

2023年7月目標

従業員189名

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はてなの事業

個人ユーザー向け「コンテンツプラットフォームサービス」で培われた技術力やノウハウを活かし

企業向けに「コンテンツマーケティングサービス」「テクノロジーソリューションサービス」を提供

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はてなの事業 | コンテンツプラットフォームサービス

提供開始から10年を超える「はてなブログ」「はてなブックマーク」など、

個人ユーザー向けコンテンツプラットフォームサービスを提供

「はてなブログ」はユーザーの「書きたい」気持ちに応えるブログサービスです。手軽に書きたい人も、しっかり書きたい人も満足できる便利な機能を備えています。シンプルかつモダンなブログサービスとして継続的な機能開発に取り組むとともに、検索流入に寄与する要件への対応や機能改善、「はてなブックマーク」との連携など、ユーザーの書いたコンテンツが読まれる仕組みも用意しています。

「はてなブックマーク」は国内最大級のソーシャルブックマークサービスです。ニュースやブログのなかから気になった記事をクラウド上に保存し、ほかのユーザーと共有することができます。オンラインブックマークツールとしての利用だけでなく、時々刻々と移り変わるインターネットの人気ページや旬の話題が集まるメディアとしても多くのユーザーにご利用いただいています。

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はてなの事業 | コンテンツマーケティングサービス

企業のコンテンツマーケティングの支援サービス

オウンドメディアの戦略立案、CMS「はてなブログMedia」、記事制作支援などを提供

オウンドメディアCMS

「はてなブログMedia」

オウンドメディア支援サービス

「はてなMediaSuite」

コンテンツ集客のための

「はてなブックマーク ネイティブ広告」

コンテンツマーケティングサービス

楽天株式会社様

「ソレドコ」

オリックス株式会社様

「MOVE ON!」

DMM.com Group様

「DMM inside」

京都府様

「KYOTO SIDE」

LINE株式会社様

「LINE RECORDS」

株式会社リクルート様

「SUUMOタウン」

エン・ジャパン株式会社様

「エンジニアHub」

コンテンツマーケティングサービスを採用いただいているオウンドメディア(一部・順不同)

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はてなの事業 | テクノロジーソリューションサービス

個人向けサービスで培った技術・ノウハウを活かし、

サーバー監視、マンガビューワ、共同開発などの企業向けのソリューションやサービスを提供しています

サーバー監視サービス

マンガビューワ

共同開発・協業サービス

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はてなの事業 | テクノロジーソリューションサービス

累計顧客指数

FY22:6,042

※ いずれもFY末時点

※ FY15末を100とした指数

サーバー監視サービス

Mackerel

サーバーにおける各種ハードウェアやアプリケーションソフトウェアの性能をリアルタイムに�監視することができるSaaS型サーバー監視サービスです。�使いやすいUIと効率的なAPIによる総合的な監視体験と、より自動化されたインフラ基盤の構築を�可能にするなど、その先進性により多くの大手企業からの採用実績を持っています。

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はてなの事業 | テクノロジーソリューションサービス

マンガビューワ

GigaViewer

GigaViewerが採用されたマンガサービス(15社・20サービス / 2022年8月時点)

マンガサイト、マンガアプリとしての魅力を引き出せるマンガビューワ「GigaViewer」は、

ユーザーが快適にマンガ作品を楽しむための各種機能に加え、サービス提供者の運用コストを

削減する管理機能、広告によるマネタイズ支援などにより集英社様、講談社様、小学館様などが

提供するマンガサービスに採用されています。

2017年から提供しているWeb版に加え、2021年よりアプリ版をスタートしました。

GigaViewer for Web

2017年~

GigaViewer for Apps

2021年~

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はてなの事業 | テクノロジーソリューションサービス

株式会社集英社との協業サービス

マンガノ

株式会社集英社との共同開発

ジャンプルーキー!

あしたのヤングジャンプ

マンガ投稿・販売プラットフォーム(Web)

マンガ投稿・公開サービス(Web/アプリ)

マンガ投稿・公開サービス(Web)

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はてなの事業 | テクノロジーソリューションサービス

株式会社KADOKAWAとの共同開発

カクヨム

リニューアル開発・運用支援

魔法のiらんど

小説投稿・収益還元プラットフォーム(Web / アプリ)

エンタテインメントサイト(Web)

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はてなの事業 | テクノロジーソリューションサービス

任天堂株式会社のゲーム連動サービスのデザイン、サービス企画、サービス開発に協力

スマプラス イカリング2/イカリング3

Nintendo Switch™ソフト「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」

(発売元:任天堂株式会社)のゲーム連動サービス

Nintendo Switch™ソフト「スプラトゥーン2」

(発売元:任天堂株式会社)のゲーム連動サービス

※Nintendo Switchは任天堂の商標です。

イカリング2 © 2017 Nintendo

大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL / スマプラス

© 2018 - 2019 Nintendo

Original Game: © Nintendo / HAL Laboratory, Inc.

Characters: © Nintendo / HAL Laboratory, Inc. / Pokémon. / Creatures Inc.

/ GAME FREAK inc. / SHIGESATO ITOI / APE inc. / INTELLIGENT SYSTEMS /

Konami Digital Entertainment / SEGA / CAPCOM CO., LTD. / BANDAI NAMCO

Entertainment Inc. / MONOLITHSOFT / CAPCOM U.S.A., INC. / SQUARE ENIX CO.,

LTD. / ATLUS / Microsoft / SNK CORPORATION. / Mojang AB / Disney�イカリング3 © Nintendo

Nintendo Switch™ソフト「スプラトゥーン3」�(発売元:任天堂株式会社)のゲーム連動サービス

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⏱️

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創業 (2001) ~

  • 自社サービスを中心に展開
    • 人力検索はてな、はてなアンテナ、はてなダイアリー、はてなグループ、はてなカウンター、はてなフォトライフ、はてなブックマーク、はてなグラフ、はてなスター、はてなメッセージ、はてなハイク、はてなキーワード、(+10)

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このときの組織体制

  • サービス開発チーム ×N
    • みんな「はてな〇〇」サービスなのでサービスのドメインにかなり共通部分が大きい
      • 社内フレームワーク
    • チーム間でエンジニアの可搬性もある
  • インフラチーム
    • 社内フレームワーク向けに設定された(仮想)サーバを提供

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2008

  • 本社を京都に移転
  • motemen 入社
  • リーマンショック
    • 自社サービスが依存していた広告収入への打撃

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+10年: サービスの多角化

  • 2008 うごメモはてな (協業)
  • 2011 はてなブログ (自社 BtoC)
  • 2012 Miiverse (受託)
  • 2014 Mackerel (自社 BtoB)
  • 2016 カクヨム (共同開発)
  • 2017 GigaViewer (自社 BtoBtoC)

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このときの組織体制

  • サービス開発チーム ×N
    • 社内フレームワークもあれば、独自フレームワークもあれば……
    • サービスの関心事もそれぞれ違っている
  • 基盤チーム(インフラチーム)
    • 各サービス向けにカスタマイズされたサーバ群を提供
    • IaCは行われているが、主に触るのは基盤チーム

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起きていたこと: 技術の停滞

  • 開発チームは技術導入の責任を取りにくい
    • 新技術の投入に時間がかかる・規模が小さい
    • 保守的な技術選定
      • N年遅れの技術
  • 運用チームは基盤を進化させられない
    • 運用業務に手を取られすぎている
    • 迫りくるEOL

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なぜ起きていたのか

  • 「産めよ増やせよ」時代の遺物の管理コスト
    • サービス終了をする勇気を持てていなかった
  • サービス多角化への追従遅れ
    • Dev-Opの共有領域の縮退と誤った境界線
  • サービスの品質向上
    • 開発・インフラの知識が集約され、高度化していった
    • 障害が発生しづらくなり、システムに向き合う機会が減った

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「プロダクトオーナーシップ」(2018)

  • 開発チームが、運用含めたプロダクト全体のオーナーシップを持てている状態
    • 自分たちの責任で技術選定や障害対応を行えている
    • インフラの構築やミドルウェアの導入を行える
  • これを1.5年で目指します、とした

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狙い

  • 開発・意思決定のスピード向上
  • 開発チームの技術の幅が広がり、プロダクトで実現可能なことが増える
  • 基盤チームの負担が減り、サービス開発・運用のための開発ができている

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プロダクトオーナーシップに向けて

  • 障害発生時の一次対応を開発チームが担当
    • 基盤チームからエンジニアを派遣、知識を移転
  • 基盤チームのミッション再定義
    • 開発・運用のための基盤とバックアップ
    • エンジニア職種を “SRE” に
  • 言語やライブラリの縛りを撤廃
    • チームで適切に選択し、記録を残す

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⏱️ +1.5yr

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🤮

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🤮

  • リソースと支援の不足
    • 基盤から開発チームに労苦を移しただけになった
    • 集約できていない分、総量は増えている
  • 方針の先行している状態
    • 方針は正しくても、どこまでやればいいのか現場に判断がつきかねた

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➔ 仕切り直し

  • プロジェクトの旗振りを本部長レベルに
    • 事業計画と技術ロードマップとをすり合わせる
    • 人員配置・採用による各チームへの支援
  • システムのオーナーシップだけでなく、事業全体のオーナーシップとしての捉え直し

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⏱️ +1.5yr

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結果: 😊

  • インフラ基盤の刷新 ✅
    • オンプレからの移行
  • 技術選定の自由度 🆙
    • クラウド・コンテナ・マネージドサービス化
    • サービス独自の技術
  • システムの健全性 🆙
    • 硬直していない状態が”普通”に

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SRE文化の浸透

  • 開発速度と可用性のバランスを取るツールとしての認識を作っていけた
  • Embedded SRE の活躍と横のつながり

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🍵

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その後のはなし

  • 技術の自由度に振った結果、大局的にはチームごとの技術は発散
  • ひとつの事業本部が2つに分割
    • チームの独立性が高まっていく流れ
  • 次のテーマは「自律と同期」に

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EM体制の導入

  • 職種組織のマネージャから、事業に所属するエンジニアリングマネージャへ
    • これまでは職種長、という立場で少し遠かった
  • 事業責任者とともに人間・技術を見ていく

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技術的な共有物をつくる

  • 技術の標準化
    • 標準のデプロイフローやミドルウェアをコード化
    • 言語やライブラリについて、議論と文書化
  • チームを越えて技術を共有するサブ会
  • はてなの技術組織2021 - Hatena Developer Blog

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まとめ

  • はてなにおける事業と組織の変化について、一事例を紹介しました
  • 大きな変化が定着するには時間が必要
    • 混沌を予期しつつ、コントロールしてやりたいもの
    • 決断だけは早く。「半年早く行動する」がテーマです