「アーティストの報酬に関するアンケート」
調査結果β版
art for all「美術分野における報酬ガイドライン」を考えるワーキンググループ
協力:チキラボ
special thanks:a-n、industria
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はじめに
本アンケート調査について
美術分野の活動発表に関する依頼や報酬のあり方についてより適正な形を実現していくため、アーティストの報酬および経費の支払われ方について実態の把握を目的に行うものです。アンケート主体であるart for allはこの実態調査をもとに、報酬に関わるガイドラインの策定を目指しています。
art for all「美術分野における報酬ガイドライン」を考えるワーキンググループ
概要
実施時期: 2023年9月8日〜2024年1月4日
対象者 : 美術家・アーティスト*1
調査方法: インターネット・サイトを用いたアンケート
回答数 : 306*2
*1 日本国内で2000年以降に実施された各種企画(展覧会、パフォーマンス、レジデンス、コミッションワーク、ワークショップなど)、および日本国内の主催者が国外で実施した企画を対象としています。
卒展、自主企画、公募展、作品売買を前提としたコマーシャルギャラリーやアートフェアは除いています。
*2 回答1件につき、1つの企画の報酬としてご記入いただいた。複数の企画について回答いただける場合は、複数回に分けられています。
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【方法】
回答期間中に得た回答数は306でした。アンケートの告知はart for allおよびメンバーのSNSを通じて行い、アーティストに直接依頼メールも送りました。回答者は、今回の調査のためにart for allが用意したGoogle Formsページにアクセスし、回答しています。
本アンケートは、イギリスにおいてindustriaが作成し、a-nが実施した『Structurally F–cked -An inquiry into artists’ pay and conditions in the public sector in response to the Artist Leaks data-』を参考にしました。https://www.a-n.co.uk/research/structurally-f-cked/
【特徴、属性】
回答にある企画が行われた年は、多くが直近10年間となっており、約60%が2020年から現在まで、約25%が2015年から2019年でした。
各企画に参加した当時のアーティストの年齢は、30代、40代が中心で、全体の四分の三が30代から50代でした。
参加当時の活動年数は、5年から10年が33%、11年から20年が約45%でした。
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「アーティストの報酬に関するアンケート」調査結果
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グループ展が半数近い。次いで、芸術祭、フェスティバルが多い。個展は4分の1程度である。
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セクション1:参加した企画について
問1−1 企画の形態をお答えください。当てはまるものをすべて選択してください。
公立美術館(地方自治体)での企画という回答が最も多く(約4分の1)、次いでコマーシャルギャラリーを除いた美術館以外の民間施設(22%)、芸術祭、フェスティバル等(19%)、美術館以外の公立施設(13%)、民間の美術館(9%)、国立美術館(3%)と続いた。
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セクション1:参加した企画について
問1−2 企画の実施場所をお答えください。もっとも当てはまるものを選択してください。
企画の具体的な実施場所。非公開は除外。
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セクション1:参加した企画について
問1−3 実施場所の名称をご記入ください。明らかにしたくない場合は「非公開」としてください。
小規模と中規模の企画に関する回答がそれぞれ全回答の3割程度、併せて6割にのぼった。
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セクション1:参加した企画について
問1−4 企画主催者(主催機関)のおよその規模を教えてください。
※ 従業員数を規模の目安として、以下のように分けています。美術館での展示の場合、美術館の正規従業員数であり、その運営にあたる財団等の規模を問うものではありません。
東京が3割程度と圧倒的に多い。一方で、美術関連企画が47都道府県すべてにおいて開催されていることがわかる。
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セクション1:参加した企画について
問1−5 企画主催者(主催機関)の所在地を教えてください。明らかにしたくない場合は「非公開」を選択してください。
回答の多くが直近10年間となっている。約60%が2020年から現在まで、約25%が2015年から2019年となっている。
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セクション1:参加した企画について
問1−6 企画はいつ行われたものですか?実施の開始年を選択してください。
0円がほぼ4分の1だった。全回答の中央値は15万円、外れ値を含まない平均値(中央からかけ離れた回答を除外した平均値)は215,111円となっている。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−1 支給された金銭の総額はおよそいくらでしたか?
企画の必要経費(制作費や機材費、輸送費、宿泊費、交通費、保険料、広報宣伝費等)の現物支給は除きます。あった場合はおよその金額を、なかった場合は0(いずれも半角数字)、不明の場合は「不明」とご記入ください。(例:×10万円、◯100,000)
回答者の約48%が企画の報酬が0円と答えた。報酬があったと回答した中では10万円から25万円の間と回答した者が最も多く、13.1%となった。次いで多かった報酬の範囲は25万円から50万円の間であった。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−2 上記の設問で答えた支給総額の中に、企画の必要経費以外で、企画の報酬(謝金、出品報酬、アーティスト・フィーなど)に該当する金銭はありましたか?
「納得し、受け入れた」が回答の半数以上となった。一方セクション7「報酬の適切性」において、報酬が適切だったと考える人は20%台に留まっている。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−3 支給される金銭の額を提示された際に、あなたはどういう対応を取りましたか?
「制作時間」と「制作費と材料費」が7割となっており、多くのアーティストが旧作ではなく「新作」を期待をされていると読み取れることが出来る。
「作品案、展示案の提案」「広報素材の提供」が同じく7割となっており、企画から広報まで展覧会に関わる多くの部分にアーティストが労力を割いていることがわかる。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−4 支給された総額に対して主催者があなたに期待していた仕事内容として、当てはまるものをすべて選択してください。
約6割の回答が、旅費・滞在費・交通費の予算がない条件の企画だった。
約2割が金銭で支給され、1割が現物支給されている。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−5 企画に関する報酬や制作費とは別に、旅費・滞在費・交通費の予算はありましたか?
「異なる地方間の移動」が30.1%、「同じ都道府県内の移動」が27.8%、「近隣の都道府県間の移動」が22.2%、「海外からの移動」が14.4%だった。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−6 当時のあなたの活動拠点から企画の会場までの移動について、もっとも近いものを選択してください。
半数近くの企画で金銭の支払いは「企画の終了直後」に支給されていると回答している。企画開催期間が長期の場合、アーティストの金銭的な負担が大きくなると思われる。13.1%が「企画の開催中」であり、「企画の準備段階」「企画の終了後2ヶ月以上経過してから」がそれぞれ8.5%だった。少数回答からは、交渉や工夫のありさまが伺える。
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セクション2:主催者(主催機関)からの金銭の支給について
問2−7 金銭の支給が完了したのはどのタイミングですか?
8割以上が、主催者以外からの支援を受けていない。
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セクション3:主催者以外からの支援について
問3−1 企画の実施に際し、あなた自身の働きかけによって助成や協賛等の主催者以外からの支援を受けましたか?
全回答の平均値は、136,578円となっている。
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セクション3:主催者以外からの支援について
問3−2 上記の質問で「はい」と回答された方に伺います。支援の金額はおよそいくらでしたか?現物支給の場合は金銭に換算してください。
約6割が「アトリエ/制作場所に保管」しており、作品を後日再展示、販売できる状態にあるともいえる。
25.2%が残らないタイプの作品であった。13.7%が、主催者(主催機関)およびそれ以外に収蔵(販売)している。
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セクション4:作品のその後について
問4−1 企画終了後の作品の行き先について、当てはまるものをすべて選択してください。
72.9%が0円で「収蔵」されている。
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セクション4:作品のその後について
問4−2 上記の質問で「収蔵」「販売」と回答された方に伺います。販売金額はいくらでしたか?
「メール等だった」が33%、「契約を交わした」が32.7%だった。「口頭のみだった」が15.4%、「何もなかった」が11.1%あった。末尾記載の自由記述も参照のこと。
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セクション5:企画に関するその他について
問5−1 仕事を開始する前に、発注した側からあなたへ、報酬額、業務内容(新作の制作やトークへの参加など)、完了条件(納期など)、旅費その他の経費の負担などを示されましたか?
「21日〜30日」が最も多く、14.2%となっている。
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セクション5:企画に関するその他について
問5−2 その企画のためフルタイム換算でどのくらいの日数働きましたか?1日8時間労働、週5日勤務と仮定し、換算後の日数を半角数字のみでお答えください。
約5割が31-40歳となっている。41-50歳は約3割、26-30歳は約1割である。
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セクション6:あなたの属性について
問6−1 企画当時のあなたの年齢
11-20年が44.8%、5-10年が33%、1-5年および21-30年がそれぞれ約10%となっている。
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セクション6:あなたの属性について
問6−2 企画当時のあなたのアーティストとしての活動年数
女性が51.6%、男性が43.8%となっている。
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セクション6:あなたの属性について
問6−3 企画当時のあなたの活動上の性別
本調査では、性別による報酬格差が存在する可能性も検証の対象の一つとしており、この質問はそのために設けています。
「いいえ」が52.3%、「はい」が26.1%、「わからない」21.6%となっている。
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セクション7:報酬の適切性について
問7−1 当時のあなたの年齢と経験に照らし合わせて適切な報酬だったと思いますか?
「いいえ」が53.3%、「はい」が20.9%、「わからない」25.8%となっている。
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セクション7:報酬の適切性について
問7−2 企画に対してのあなたの活動内容に照らし合わせて適切な報酬だったと思いますか?
「いいえ」が54.9%、「はい」が22.2%、「わからない」22.9%となっている。
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セクション7:報酬の適切性について
問7−3 企画の規模に照らし合わせて適切な報酬だったと思いますか?
「いいえ」が38.9%、「はい」が23.5%、「わからない」37.6%となっている。
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セクション7:報酬の適切性について
問7−4 企画のために働いた他の関係者と比べて適切な報酬だったと思いますか?
「はい」が95.1%となっている。
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セクション8:アーティストの報酬ガイドラインについて
問8−1 アーティストの報酬ガイドラインは必要だと思いますか?
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セクション9:自由記述
問9−1 ご記入いただいた案件に関し、報酬面について、あるいは他の点において気になったこと、特筆すべきことがあればご記入ください (132 件の回答)
(事例の匿名化、および簡潔化のため記述の一部を編集している場合があります、ご了承ください。)
【報酬がない】
・主催者は大企業であるのに、アーティストフィーはゼロだった。
・ギャラは無く、制作にかかる経費(人件費は除く)のみは出してもらえる、という条件だった。
・報酬は経費にしかならなかった。
・渡された予算は必要経費に費やされ、150万円以上の赤字で、アーティストフィーとして残るものは0でした。
・予算の全額が旅費と制作費に消えた。他の仕事をする時間もとれず、お金に困ることになった。
・報酬0、交通費0との書面が届いた時には、開いた口が塞がらなかった。搾取だと思う。
・経験を積んでもギャラが上がることはなく、ノーギャラのこともよくある。
・運営スタッフ、各業者に対しては予算計上されているのに対して、作品の本来中心となる役割を担うアーティストには報酬がないのは納得がいかない。
【報酬が低い】
・決まった予算を渡されて、その中から経費を自分でマネジメントして賄い、残った分があればアーティストフィーとしていい、という暗黙の了解のもとで企画が進行した。経費で余ったお金はアーティストフィーとは言えないのではないか。アーティストの労力やアイデア、クリエイテビティを、その程度のものとしか見做していないのがおかしい。
・ほとんど報酬もなく時間と労力を費やしてボランティア活動のように企画に従事したため、一方的に利用され、捨てられたと感じる。
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【報酬の有無、報酬額があいまい】
・支給されるものが不明瞭かつ不公平
・報酬の支払いは展示終了後が多く、それでは制作費にも当てられない。設営費が後払いであったことも大きな負担
・何にどのくらいのお金が支払われているのか、全体の予算がどうなっているのか、など、最後にならないと見えない、もしくは展示が終わってもわからないという不透明性が気になる。
・グループとしての支払いなのか、出展者一人一人に対する謝金なのかが明言されなかった。
・企画に対して無償で引き受けたのに、後から謝礼が出てくることがある。これを「無償だと思ってたのにいただけた!ありがたい」と思えるかは微妙なところである。むしろ失礼じゃないか?
・展示依頼はまず最初に報酬や制作費を書いて欲しい。書いていない事がほとんどで、こちらから言い出さないといけないことが多い。さらに聞いても曖昧な答えを返されることが非常に多い。
【経費に関するトラブル】
・報酬金や経費だけでは材料代にもならず、作家の持ち出しでどうにか回っている。
・主催者の予算があまりにも少ないため、何かと作家負担にできないか、記録撮影などの経費をカットできないか打診される。
・出品する作品の規模が大きくなってしまい、最終的には経費も賄えない予算になってしまった。
・足の出た制作費の分を作家が埋め合わせている状態が続く。このような状況では、作れば作るほど、経済的に厳しくなる。
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【契約書がない】
・契約書の作成を要望したにもかかわらず、作成されなかったことで金銭関係のトラブルに巻き込まれた。
・契約書の手交を要望していたが様々な理由で先送りにされ、権利関係もうやむやなままその後の活動に支障が。
・事前に告知のないタスクが複数生じた。事前に契約書で明記してほしい。
【賞の問題点】
・アーティストフィーはゼロで、受賞者だけ賞金があるという賞がある。アート界を盛り上げるための賞が、アーティスト同士の競争を煽り、他の参加作家のやりがい搾取、ボランティアで成り立っている
【報酬ガイドラインの必要性】
・主催者は大きな企業なので、予算がないわけではなく、アーティストフィーを出すべきものと認識していないから出さない、という姿勢なのだと理解した。アーティストの報酬ガイドラインが出れば、企業コンプライアンス的にも参照せざるを得ない。若手のアーティスト支援という名目でやりがい搾取が行われているのではないか。
・アーティストが報酬について話し合える余地がほとんどない。
・大企業であるのに、アーティストフィーはゼロだった。交渉したが、その理由というのが、フィーの支払い根拠がないから、ということだった。同業団体による報酬ガイドラインがあれば、このような時に交渉しやすかったと思う。
・不当に低い報酬を提示されたとき、アーティスト一人が学芸員に対して意見をしても、薄給の学芸員を困らせるクレーマーのように思われかねない。アーティストが横の繋がりを作り、アート業界全体に対して訴えていかないと状況の改善につながらないと思う。
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【ハラスメント】
・性別、年齢による差別を受けた。
・キュレーターがハラスメントに近い言動を行うさまをよく目にしました。自分も罵声を浴びたことがある。
・施設責任者から「抜けてる女の子はモテるから助けて貰える」というような、男女差別かセクハラに近い発言があった。
・返答を求めるメッセージを無視され、軽んじられている印象を受けた。
・会場の貸主から嫌がらせやジェンダーハラスメントを受けたが、主催者は根本的な解決策に応じず、泣き寝入りせざるを得なかった。
・施設のディレクターのモラハラを目撃してしまい、大きな衝撃を受けた。
・人件費や制作実費に関して交渉した結果、交渉したことに対する叱責を受けた。まさに不当な搾取だと思いました。
【地方の課題】
・地方美術展など報酬について明記されない企画が多い。打ち合わせ等で説明されないことも多々あり、アーティストがボランティア的活動を余儀なくされている。
・地方へ複数回リサーチにいき、新作の制作をして報酬三万円(謝礼、制作費、交通費込み) 。芸術祭は若手のやりがい搾取によって成立していないか慎重になってほしい。
・地域アートの現場では、地域活性化の為の労働力として、アーティストは特にいいように使われがち。参加報酬の額はなく、滞在生活と交通費だけでもむしろ赤字となる現状で、不満が残るものであった。
・地域格差が酷すぎる
・地方の美術館などでは低予算なのが当たり前になっている。別に本業を持ち、余暇・趣味の時間として美術をやる、もしくは生まれつき金持ちである以外は制作を続けられないと思う。
・芸術祭では作家側の「やりたいからやる」という気持ちがお金を出さない自治体の体質を助長しているところもある。私の参加した芸術祭は数年黒字だときいているが、収益がどこに還元されているのかが分からない。町民に還元されているとも思えない。
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セクション9:自由記述
問9−2 あなたが関わった企画に限らず、美術分野全般における報酬に関して、思うことや提案などがあれば、自由に記述してください。126 件の回答
(事例の匿名化、および簡潔化のため記述の一部を編集している場合があります、ご了承ください。)
【報酬の低さ】
・アーティストの報酬が少なすぎる。
・企画全体の中で、どれだけアーティストの報酬になっているのかなど、不透明。
・報酬がないことが多く、それを問題視していない業界の空気もおかしい。
・作品輸送や保険などの必要経費の負担は当然のことながら、アーティストフィーも当然のものとして存在するべき。
・公立でアーティストフィー0というのは、作家に対して全く敬意が感じられない。
・公立の機関でも「予算がなくて申し訳ない」という理由のみでアーティストフィーが支払われないことが多々ある。
・作家同士で悩みを相談するが、無償のワークショップの要求が挙がることは多い。
・名の通っている美術家でも制作と発表をしながら、生活のためにアルバイトや先生をしている人が多い。少なくとも美術家が人間らしく生きていける程度の報酬がほしい。
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【報酬と制作のバランス】
・アーティストが自身の作品を制作する時は報酬以上のものを作ることがほとんど。良い作品を作りたい、見せたいというアーティストの自負と責任によるところが大きい。�
・報酬を提示していただいてから契約をするので、報酬ありきで規模感や構想を考えることも多々ある(あえて収支マイナスに行く選択をすることもある)。
・報酬がない、もしくは自分が思うほど多くないことだけでなく、心や時間に余裕のない働き方や人生のあり方が「自分は貧しい」という認識や不満を大きくしているのでは。
【報酬と制作費の混同】
・「作家報酬」としてではなく「制作費」として支払われることが多い。
�・仕事の依頼があったときに謝礼と提示された金額に制作費や交通費が含まれており衝撃を受けた。
�・国立の美術館においては経費で買えない項目が多くあり、それをアーティストフィーから支払うことになり、結果フィー以上の出費になり赤字に。
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【報酬のあり方と納税】
・制作をした年の翌年に報酬が支払われると、確定申告で問題が起きる。
・レジデンスでの滞在費補助も含めて制作費が支払われる場合、収入になってしまうので金額が大きくなる。
・アーティストの報酬について税制上の優遇措置があればいいと思う。
【書面での合意の必要性】�・金銭に関わることは具体的に書類での取り交わしが必要である。
・行政や公立美術館の場合は必ず見積書を提出、交渉して、アーティスト側も報酬をもらう態度を示す必要がある。
・口頭約束がほとんどであり、海外とのやり取りから比べても、日本はアジア諸国でも劣悪であると感じる。
【仕事内容が不明確、アーティストが肩代わり】
・本来数万円の報酬が発生するはずのことを無償でしてしまう、できてしまう器用さがアーティストにはあり、反面報酬を要求出来ない不器用さに悩んでいる印象(例:展示のDMデザインを見かねて、アーティストが担当)。
・企画や事業内で、予算配置や作家・作品へ支払いへの配分がなされず、結果的に作家側が過度な負担を強いられることが常態化している。
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【経営、会計、交渉における知識・サポートの必要性】
・美術学校、ユニオンで見積書の作成方法を教えていける仕組みが必要。
・この10月から実質運用が始まるインボイス制度による作品価格の値下げおよび消費税分未払いの事案が弱い立場であるアーティストに多く見受けられる。これに対応できる組織や団体などがあまりなく、実際困っている若手のアーティストが多数いる。
【ガイドラインの存在意義、相談窓口】
・若手の場合は美術館に交渉することや文句を言うことも難しいだろうと想像する。報酬の目安が明示されているガイドラインがあることで、彼らを守る大きな盾になると思う。�・仕事の対価の基準を知る方法や、違和感を感じた場合に相談できる第三者機関などがあれば心強く、諸々のトラブルを減らし、業界を活性化させることにつながるのではないか。ガイドラインだけで解決するかどうかは疑問だが、最低限の報酬を守る監督のようなものが必要。
・ガイドラインなどがあると、それを元に交渉はしやすいですし、美術畑の人間以外を説得する材料としてはとても役に立つ。
・アートに関する報酬について、ひとつの基準/ガイドラインを設けることが可能とは思えない。さまざまなケースや合意形成のプロセスが想定され、個別の事情が多く含まれる。したがって、ガイドライン策定よりも個別案件について相談したり、この方面に明るい弁護士を斡旋するような窓口の開設が望まれる。
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【やりがい搾取、名誉】
・会場は無料で貸すから、名誉ある機会・場所だから、といった理由で、赤字でもやってほしいというような依頼が多すぎる。
・必要経費は払うべき。
・やればやるほど貧乏になる。
・近年は、舞台や音楽の現場などは特に、予算が全く足りない中でアーティストやクリエイターの善意だけでなんとか成立している、というものも散見される。作品を取り扱ってあげているという上から目線な考えが垣間見える。
・有名なイベントや主催側の役人から「展示させてやるのだから、作家が持ち出しで制作し、作品の損害についても自分で被るのは当然だ」と言われたことが何度もある。
・依頼の時点で無報酬を示唆、販売フィーの歩合が不当、マネジメント業の怠慢などが目立つ。
・アーティストがギャラリーや美術館、批評家やキュレーターが稼ぐための道具にしかなっていないことがあっていたたまれない。
・常にキュレーターが作家を選ぶという非可逆な非対称性があって、作家の立場が弱くなりやすいためだと感じる。
・作家のやりがい搾取を前提にした構造で、自由や多様性を謳って「アート界」をもりあげる祝祭は意味があるのか。美術界に対して幻滅してしまう。
・費用が一切出ないイベントへのオファーや、作品画像を無償で商品化することを勝手に想定されていたりすることがあった。