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第73回放射線計測学国試問題 

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微小容積V 内で下図のようなコンプトン散乱が発生した。カーマと吸収線量の組合せで正しいのはどれか。ただし、制動放射線は無視する。

ans:2

次資料①参照

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解説 カーマは間接電離放射線の空間における放射線の強度を示す量で、ある点において物質の単位質量あたりから放出される電子やイオンなどの荷電粒子の初期運動エネルギーの総和である。ここでは電子の初期運動エネルギーはT0である。吸収線量は物質内の単位質量あたりに吸収された平均のエネルギーで、X線によって放出される電子(反跳電子)の初期運動エネルギーT0の一部は制動X線として失われる。設問ではこの制動放射線を無視するものとするとしており、吸収線量は着目する微小容積外に出た電子の運動エネんギーT1を差し引いたエネルギーを微小容積Vの質量で除した値となる。

よって吸収線量はT0- T1となる。

資料①

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光電子増倍管について正しいのはどれか。

1.電離箱と組合せて使用される。

2.ダイノードは10〜15 段で構成される。

3.検出器で発生した蛍光は光電陽極で光電子に変換される。

4.ダイノード間では印加された磁場により電子が加速・増幅される。

5.増幅された電子はライトガイドを通じてプリアンプへ信号が送られる。

ans:2

 

解説

光電子増倍管が用いられている放射線計測機はシンチレーション検出器、熱線量計、蛍光ガラス線量計、

 OSL線量計などであり電離箱ではない。

2.128Pの⑥電子増幅部の説明に10~15段のダイノードで構成されると明記

. 光電陰極で光電子に変換される。126Pの図9参照

4.磁場ではなく高圧直流電源によって加速される。

5.ライトガイドはシンチレーターと光電子増倍管をつなぐケーブル。

次資料①参照

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光電子増倍管は微弱な光を電気信号に変換して増幅する電子管で、一般的にガラス管に封じた真空入射窓を透過した光が、光電面 (陰極)内の電子を励起して真空中に光電子を放出する。光電子は集束電極で加速、収束され、第1ダイノードに衝突して二次電子を多数放出する。二次電子は次段以降のダイノードに次々と衝突して増幅し、最終ダイノードの二次電子群が陽極から電気信号として取り出される。高圧電源から供給した直流電圧は、電圧分割回路により各電極に印加される。サーキュラゲージ型、ボックスライン型(主に用いられている)などがあり、ダイノード段数は1〜19段の製品が市販され、ボックスライン型は8〜12段程度が用いられる。選択枝2は誤りではなく、他の選択枝は明らかな誤りである。

資料①

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光子が1m2の照射面積を2秒間に1016個通過した。このときのフルエンス率[m2・s-1]はどれか。

1.1 ×1015

2.5 ×1015

3.1 ×1016

4.5 ×1016

5.1 ×1017

ans:2

解説

粒子フルエンス 20Pの⑤、⑥参照� 粒子(放射線)の飛ぶ方向が一様の場合(平行線束)は、飛行方向に垂直である微少な面(面積da)を通過する粒子がdNである時、粒子フルエンスはdN/daで定義される。方向が単一でない場合は、単位面積の大円を有する球(すなわち半径1/π1/2の球)を通過する粒子の総数で定義される。単位は〔mー2〕である。単位時間当たりの粒子フルエンスは、粒子フルエンス率とよばれ、単位は〔mー2・s-1〕である。

フィルエンス= 1016÷2 = 5×1015(m-2)フルエンス率 = 5 × 1015(m-2 s-1

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空間分解能が最も優れているのはどれか。

1.蛍光ガラス素子

2.ファーマ形電離箱

3.平行平板形電離箱

4.熱ルミネセンス素子

5.ラジオクロミックフィルム

ans:5

解説

2次元線量分布の測定において放射線の最小検出サイズが小さい方か空間分解能が優れているとすれば、蛍光ガラス線量計システムの小型素子サイズは 1.5mmφ x 8.5mm、ファーマ形電雌箱は電離容積0.6cm3前後、外径7mm,長さ24mmの円筒形。平行平板形電離箱は電離容積0.2cm3程度、φ10mm程度、電極間隔1〜2mm程度 熱ルミネセンス素子は小型素子で5mm x 5mm x 1 mm程度。ラジオクロミックフィルムは、フラットベッドスキャナで解像度72dpiの読取条件とすると約0.35 mm

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X線フィルム(ラジオグラフィックフィルム)に対するラジオクロミックフィルムの特徴で正しいのはどれか。

1.水中利用はできない。

2.反応は温度依存がない。

3.照射後の濃度上昇はない。

4.エネルギー依存性が大きい。

5.読み取り方向の依存性がある。

ans:5

 解説

 ラジオクロミックフィルムの特性(P170参照

  • 水中利用は可能
  • 保管は常温(40 度以下)の机の中等で行う。
  • 高温状態に曝されるとオレンジに変色する。
  • 曝射終了後の経過時間に寄って濃度が変化する。
  • Ag+の含有がないため、エネルギー依存性が小さい。
  • スキャン時の方向依存性がある。
  • 明室で作業が可能な為、暗室を必要としない。
  • 現像を必要としない為、自動現像機が不要。
  • 照射時の方向依存性や表裏の区別はない。

次資料①も参照

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資料①

ラジオクロミックフィルムは厚さ100μm程度のポリエステル基材上に、放射線感受性のモノマーが厚さ約25μm程度に塗布し成膜されている。放射線照射による化学反応でポリマー構造となり呈色する。明室、水中での短時間利用が可能で、照射後の温度に依存してわずかに反応が促進される。ラジオグラフィックフィルムはハロゲン化銀の還元作用を利用Lており、エネルギー依存性が大きいが、ラジオクロミックフィルムは炭素、水素、酸素を組成とし、実効原子番号が人体軟部組織に近いためエネルギー依存性は比較して小さい。光学式のフラットヘッドスキャナで読取する場合は、モノマーの塗布方向により光の散乱・屈折量が異なり測定値が異なるため、フィルムの短辺方向一定で読み取ることが推奨されている。呈色とは発色または変色を伴う化学反応。 色調自体は同じであるが色の濃さが変化する場合も含む。 比色分析や容量分析、定性分析などに利用される。

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空洞電離箱線量計を用いた診断用X線の線量測定について正しいのはどれか。

1.温度気圧補正が必要である。

2.極性効果補正が必要である。

3.イオン再結合補正が必要である。

4.水吸収線量校正定数が必要である。

5.線量計にビルドアップキャップを装着して測定する。

ans:1

解説

空洞電離箱は空気等価物質の壁材の内面に導電性被膜を塗布した電離箱で、内部の空洞中で生じた電離イオン対の電子が中心(集)電極に収集され、電位計により電流または電荷として測定する。空洞密封型ではない場合は、温度と気圧による空洞内気体の質最変化分を補正する必要がある電離箱に印加する電圧の極性により電位計の指示値が異なることを極性効果(P208)という。相互作用により発生したコンプトン電子が集電極などの電気的結線系に流入することが主要因で、照射される絶縁体の体積などに依存するが、診断用X線のエネルギー範囲ではほぼ無視できる。線量率が大きくなると電離密度が増加し、空洞気体内で生じたイオンの再結合により飽和電流が得られなくなるためイオンの再結合損失分を補正する診断用X線の線量測定ではほとんどの場合は補正する必要がない線量率の範囲である。診断用X線の線量測定は空気カーマを計測することが多いため、国家標準にトレーサブルな校正定数は空気カーマで与えられている。診断用X線のエネルギーは最大でも150keVなのでビルドアッアキャッブは装着しないで測定する

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β線の測定において計測値100カウントが得られたとき、その標準偏差はどれか。

1. 1

2. 5

3.10

4.15

5.20

ans:3

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ウェル型NaI(Tl)検出器による放射能測定について正しいのはどれか。

1.測定位置依存性がない。

2.気体状の試料の放射能測定に用いる。

3.検出効率は試料の体積には依存しない。

4.パルス波高分布のデータをもとに、計数値を決定する。

5.放出β線のエネルギーを含む波高弁別レベルを設定する。

ans:4

解説

ウェル型Nal(TI)検出器はシンチレータの中央部に円柱状の穴を井戸型に開けた検出器(P134)で、穴の中に試料を入れた試験管などを挿入して測定する。測定試料の体積や位置により測定値が異なるため、校正時の測定条件と一致させて試料を測定する。幾何学効率が高く微量放射能の分析ができる。パルス計測により波高分布を測定して分析する方法や、光電ピークの波高弁別により放射性核種別の放射能を測定する方法などがある。気体状の試料は一般的に測定できないNaI(TI)シンチレータは潮解性があるためにアルミニウム容器に封入されておりβ線の測定はできない(P120)

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光電子増倍管を利用する放射線検出器はどれか。2つ選べ。

1.GM計数管

2.OSL線量計

3.半導体検出器

4.蛍光ガラス線量計

5.ラジオクロミックフィルム

ans:2,4

解説

光電子増倍管は光を電気信号に変換して信号増幅する真空管。光(蛍光)の発生を利用した放射線検出器は、光刺激ルミネセンス線量計(optically stimulated luminescence : OSL)と蛍光ガラス線量計で、いずれも蓄積型の放射線検出器で、放射線照射後の読取装置に光電子増倍管が利用されている熱蛍光線量計(TLD)やシンチレーション検出器にも光電子増倍管は使われている。(P118 ,P161,P156,P149,)

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Bragg-Gray(ブラッグ・グレイ)の空洞理論の成立条件で正しいのはどれか。

1.空洞内で消滅する二次電子があること。

2.二次電子は媒質と空洞内で生じること。

3.入射光子は空洞内で相互作用を生じないこと。

4.空洞により二次電子フルエンスが変化すること。

5.空洞の大きさは二次電子の飛程より大きいこと。

ans:3

解説

(76P-77P)の空洞理論が成立する条件の説明参照

①空洞に流れ込んでくる二次電子の飛程の長さ程度では一次線例えば(X線、γ線)は相互作用しない。

②空洞内で一次線例えば(X線、γ線)は相互作用しない。

③空洞の大きさは二次電子の飛程に比べ十分に小さい。

④二次電子の挙動は空洞が存在しても変わらない(空洞がないときと同じ)

⑤Bragg-Gray<ブラッグ・グレイ>の空洞理論は(X線、γ線)だけではなくすべての放射線に適応できる。

次資料①も参照

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資料①

Bragg-Gray<ブラッグ・グレイ>の空洞理論は物質内の吸収線量を電離箱により測定する際に用いる理論。空間的に一様な光子フルエンスにさらされた一様な物質中に置かれた空洞気体を考えたとき、物質の吸収線量と空洞気体の吸収線量とは一般的に異なる。媒質中で発生した電子のフルエンスは空洞中で変化せずに一様であり、空洞気体中での光子の相互作用が無視できるとしたとき、空洞気体を通過する全ての2次電子は周囲の媒質により生成されたものと考えることができる。物質の吸収線量と空洞気体の吸収線量との比は、2次電子に対する物質と空洞気体との質量衝突阻止能比である。空洞内の電荷量を測定することにより、2次電子が空洞気体の単位質量あたりに与えたエネルギーから物質の吸収線量を求めることができる。

・空洞の大きさが、充填ガス中の2次粒子(δ線)の飛程と比べて小さい

・電離箱の壁の厚さが2次粒子の飛程より十分に大きく、一次放射線が乱されない程度に十分に小さい

・条件が成立したときに電子平衡状態となり、空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の

 比に等しくなる