1 of 13

終わるサービス、続くミッション

Webcat・CiNiiの経験から

大向 一輝

東京大学大学院人文社会系研究科

2 of 13

自己紹介

  • 国立情報学研究所(2005〜2019)
    • インターネットとコミュニケーション・AI
    • インターネットと学術情報流通
      • CiNii Articles・Books・Dissertations
      • NACSIS-CAT/ILL
  • 東京大学(2019〜)
    • マンガ・アニメ・ゲームのアーカイブ
    • 人文学のアーカイブ
      • メディア芸術データベース
      • 全国美術館収蔵品サーチ「SHŪZŌ」

大江健三郎文庫デジタルアーカイブ

3 of 13

基本的な構図

  • サービスが終わってうれしい人はいない
    • 提供者もユーザも日常の変化を強いられる
      • 「一寸先は闇」への本能的な恐れ
    • 続けることが合理的
      • 合理的だから続いている
  • それでもサービスが終わるのは・・・
    • 能動的な理由
      • Webcat
    • 受動的な理由
      • NII-ELS(電子図書館サービス)
    • その中間
      • CiNii Articles

4 of 13

WebcatからCiNii Booksへ

Webcat(1997〜2013)

CiNii Books(2011〜)

5 of 13

WebcatからCiNii Booksへ

2011年図書館総合展「きょうからのCiNii」

6 of 13

WebcatからCiNii Booksへ

  • すべての機能をアップデートする
    • 検索項目(7→16)
    • 検索結果(200件→20000件)
    • レスポンス
    • ユーザインターフェイス
    • 各館のOPACへのリンク
    • 著者名典拠とのリンク
    • メタデータ・APIの提供
    • ・・・
  • 情報システムのコスト削減
    • サステナビリティへの貢献

7 of 13

WebcatからCiNii Booksへ

  • 最初の反応は散々
    • 「情報が多すぎる」「レイアウトに無駄が多い」
      • 技術的な優位点をアピールするが・・・
  • サービスを「語る」人々
  • サービスを「復活させる」人々

8 of 13

WebcatからCiNii Booksへ

  • 社会的存在としてのWebcat
    • いちサービスではなくコミュニティの象徴
  • 教訓らしきもの
    • 過去を語ることは未来を否定することではない
    • 未来を語ることは過去を否定することではない
  • 時間をかける
    • 1年4ヶ月の移行期間
    • それを折り込んだ計画は可能か?

9 of 13

NII-ELSの終了(2017)

10 of 13

CiNii ArticlesからCiNii Researchへ

  • 2005 CiNii
  • (就職)
  • 2009 CiNiiリニューアル
  • 2011 CiNii Articles・CiNii Books
  • 2014 CiNii Dissertations
  • 2017 NII-ELS終了
  • (転職)
  • 2021 CiNii Research
  • 2022 CiNii Articles終了

11 of 13

CiNii Articlesを終えるための条件

DOI

DOI

終了

12 of 13

CiNii ArticlesからCiNii Researchへ

  • システムのシンプル化
    • 情報基盤・運用体制
  • メタデータの名寄せが不要になる時代(が近づいている)
    • 最大のコスト要因
    • DOIの普及(J-STAGE・機関リポジトリ)
      • DOIのないメタデータは名寄せしなくてもよいという判断
  • 未来に縛りをかけない
    • ソフトウェアの寿命を考える
    • 現在のスタッフの発想の自由度を妨げない

13 of 13

まとめ

  • 終活を考えられるのは幸せなこと
    • 社会に受容されたからこそ
    • ミッションは変わらないが実現方法は変わる
  • ウェブサービスは跡形もなく消える
    • インターネットアーカイブ・カレントアウェアネスさまさま
    • 語ろう、スクショを撮ろう