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企業における

AIエージェント実装の現実戦略

〜ワークフロー型 vs 完全自律型〜

株式会社エクスプラザ

生成AIエバンジェリスト / リードAIプロデューサー�宮田 大督

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自己紹介

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専門

AIxPM領域の知見発信

生成AI技術の社会実装・普及

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経歴

令和トラベル:ノーコードAIでの大規模コンテンツ生成

Gaudiy:SNSエージェント実装

楽天・メルカリでのPdM経験

01

宮田大督(みやた だいすけ)/ x: @miyatti

生成AIエバンジェリスト・リードAIプロデューサー

株式会社エクスプラザ

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取引先または取引先のサービス

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令和トラベルでの旅行記事AIワークフロー開発

GaudiyでのSNSエージェント開発

観光地・ホテルの魅力など旅行情報を自動で記事化

メジャー・マイナー問わない多用な記事生成の実現

アイドルイベントSNSでのバーチャルアイドルボットの実装

キャラ設定を持ち、参加者の発言に自律的に返信。やりとりを記憶し投稿に反映する。

Dify(ワークフロー型)のエージェント設計

エンタメ要素として盛り上がる

令和トラベル以前のAIプロジェクト

引用 Generative Agents論文を参考にした長期記憶機構をもつLLMエージェント×非同期コミュニケーションの実装 https://techblog.gaudiy.com/entry/2023/09/20/091704

引用 ハナスト https://hanasuto.carekarte.jp/

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例:Dify

事前にしっかり設計・人間がある程度

コントロールするワークフロー型

ワークフロー型

例:Deep Research

指示を一度受けたら

その後は自ら判断・行動する自律型

完全自律型

AIエージェント:2つのアプローチ

どちらのタイプがいいのか?

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【結論】「長期的なビジョン達成×短期的なクイックウィン」

理想: 「ドラえもんのように自律的なAGIエージェントが何でもやってくれる世界」

しかし、いきなりそこを目指すと大きな投資リスクと成果の不透明さがつきまとう。

ビジョンとロードマップの両立が鍵

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第1部:

自律型エージェント体験談

柔軟な判断と予想外のアクション

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しかし、実は今いちばん身近に使える

自律型エージェントツール

コーディング以外にも、仕様書の作成やリサーチなどのサポートをしてくれる

エージェントモードというチャット機能がまさに「自律型エージェント」のソリューション

一般的にはエンジニア向けのAIエディター

チャットでAIに相談して、コードをかいてもらえる

コーディング中にプログラミングをアシストしてくれる

Cursorとは?

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こんこあとスーパーで買い物していく

今日の夕食カレー

やりたいことメモ

例:夕飯の準備をCursorに丸ごと任せてみる

実際にCursorを使って「カレーの夕飯を作る」タスクを丸ごとアシストしてもらう

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勝手にファイルの作成などをどんどんすすめる

Cursorで夕食の準備

夕食のおすすめレシピや、買い物リストなどのファイルを自動生成

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事情変更:「19時以降しか調理できない」「にんじんが切れていた」など

AIが自動で勝手に、手元のメモファイルであるplan.mdやtasks.mdの内容を編集して、保存してくれる

プランの修正を依頼

自律型エージェントなので臨機応変に判断し、

どんどん作業を進める

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自律的な創造的行動が起きる

タスク管理のなかで、日々の振り返りを行っているが、そこの反省から改善アプリをつくりはじめる」など、予想外の成果

「勝手に頼んでもないのに、つまれた提案書作成タスクをみて、実際にたたきを作り出した」

普段、Cursorをタスク管理に活用

「おはよう」というと「今日のタスクはこちらです」「締切が近いのでこちらをやりましょう」とタスク管理やアドバイスをくれる。

毎日のTODO管理のアシストをCursorのエージェントChatにお願いしている。

第1部:自律型エージェント体験談 (1/2)

1. 柔軟な判断と予想外のアクション

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「Cursor(エージェント)がKPT(日々の振り返り)の反省からTryとして、いくつか案をだしてくれた。その中でも、ToDoファイルを読み込んでリストとして表示するアプリを作ってくれたのにびっくりした。指示なしで『こういうのが必要そうだから』と勝手に作ってくれた。これこそ個人エージェントの理想形。悩みを解決するためにミニマムなアプリを自ら作ってくれる。」(2025年2月20日)

実際のエピソード:

KPTからミニアプリ開発へ

実例:自律型エージェントが生み出したアプリ

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LLMが誤情報を自信満々に生成

時には致命的なミスも引き起こす

指示が曖昧だと暴走しがち

「嘘情報で飛行機に間に合わない」

「やばいファイル(レポジトリ)削除操作」

体験したやばかった例

第1部:自律型エージェント体験談 (2/2)

2. リスク・制御の難しさ

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「Cursorが重くなってしまい、エージェントとやりとりしてたら、いきなり暴走して数日分の作業データ、設定ファイル、チャット履歴が全部消えた...バックアップもないし、完全に無くなってしまった...」(2025年2月17日)

実際のエピソード:Cursorの暴走

自律型エージェントの"じゃじゃ馬"的側面

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第2部:

ビジネス現場での実装

小さく成功例を作る

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理想: 「ドラえもんのようにAGI的エージェントが何でもやってくれる世界」

ビジョンは大事。

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社内で「AIは結局使えない」という

認識が広まるリスク

1. なぜ"ビジョン型"だけでは危険?

大きな夢だけ追うと「成果が見えない」

→  失望が広がり、プロジェクトが止まる。

泥臭くともトップラインを伸ばす領域

短期成果を目指す

2. 小さく成功例を作る

クイックウィンを重ねていく

→ 自分も真似してみたいと、影響が広がる。

第2部:ビジネス現場での実装 (1/2)

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2段階プロセスでクオリティアップ

記事生成サンプルを参考に、ワークフロー設計

Difyの活用

品質がでない・どこを直したらどう変わるか予測つかない

単純な長文プロンプト

ChatGPT

クイックウィンを目指して

Difyとの出会い

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Step1

記事構成の

設計をするブロック

Step1

記事構成の

設計をするブロック

Step2

構成にもとづき

実際に執筆するブロック

まずは運用面が楽だった。一発プロンプトはどこをどうかえたらいいかがさっぱりわからない。構成までがおかしいのか、その後記事生成がおかしいのか、区別がつきやすい

ワークフローで構築された記事生成プロセス

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クオリティの向上

一発生成より明らかに高品質・高生産性

CoTによるクオリティUP

これが自然とCoT(思考連鎖)になり、クオリティ向上が実現

記事生成というゴールに対し、良い構成を考えるという戦略を検討

人の介入を最小限に

チャットのように何度もやり取りせずともよい

最初に1度人間がこういう記事を書きたいとお願いする

他にもメリットが!

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他社でも応用可能

クオリティの向上 一発生成より明らかに高品質・高生産性

ビジネスインパクト 検索流入も向上し売上アップへ直結

人間による最終チェック1.5h/記事 → 安定的な品質確保

効率的なコンテンツ前後比10倍近くの生成速度向上

2か月で旅行ガイド400本をワークフロー型AIがサポート

令和トラベル事例

第2部:ビジネス現場での実装 (2/2)

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エクスプラザのMark紹介

AIでのコンテンツ生成のオンボーディング(導入)が容易な�生成AIコンテンツ生成ツール「Mark」も内部的にはワークフロー型

UI/UXがシンプル

直感的な操作でスピーディにコンテンツを生成。プロンプト入力なくさくさくぽちぽち完成

ミニマムで効果的なパーソナライズ機能

過去の施策事例・ターゲットのペルソナを簡単操作で設定ができ、パーソナライズさせることが可能

プロによる導入・オンボーディング支援

熟練したサクセスメンバーによる集中オンボーディングで生産性向上までしっかりと伴走

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ワークフロー型

完全自律型

おまかせ性

△ (部分自動)

◎ (理想の自動化)

危険性

◎(コントロールしやすい)

△ (誤動作対策コスト大)

開発難易度

低〜中(ノーコードOK)

高(技術,予算,責任所在問題)

適用範囲

複雑なコンテンツ/日常業務

予測不能タスク/創造性が必要とされる場面

ワークフロー型 vs. 完全自律型

手間はかかるがコントロールしやすいワークフロー型と

おまかせだがリスクと難易度が高い自律型

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第3部:

二軸戦略の提案

ワークフロー型と自律型を並行して進化させ、最終的に統合する

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Step1-A: ビジネス導入(ワークフロー型)

Step1-B: パーソナルDX(自律型)

コンテンツ生成・リード獲得など、確実にROIが出せる領域で開始

ノーコード(Dify)で誰でも改善 → 早期の成功体験を創出

クオリティコントロールがしやすく、ビジネス展開が容易

Cursor等を自分用ツールとして小規模にテスト

ハルシネーション許容範囲で実験 → 知見の蓄積

「有効プロンプト」「必要な制御」を体感的に学習

Step1

ワークフロー&自律型の二軸による並行スタート

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Step2-A: ワークフロー型の組織展開

Step2-B: 自律型エージェントのチーム適用

部門ごとにワークフローを標準化、ドメインスペシャリストが自走

プロセスの洗練とノウハウの共有・蓄積

個人実験で得た知見をチームに拡大

Cursorなどをつかった業務支援の仕組みを試験的に導入

Step2

組織への横展開と拡張

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将来的には完全なAGI的自律型エージェントの活用を目指す

融合

社内DXでためた

自律型のノウハウと

実践で蓄積した

ワークフローの知見

Step3

統合アプローチへの収束: 両アプローチの強みを生かした統合システム

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自律型も「ゴール設計 + 実行 + フィードバック」というCoT的プロセスが必要

エージェントが右往左往しないための事前仕様書(プロンプトドキュメント)が不可欠

完全自立型エージェントの開発も、結局人間が細かく事前設計するのは変わらない

チェインオブソウトなどのプロンプトエンジニアリングの考え方

→ 自律型でも同様に重要

ワークフロー経験は無駄にならない

ワークフロー型で学ぶエージェント制御の知見

ワークフローと自律型は融合する (1/2)

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開発したワークフローは

無駄にならない

ワークフローは自立型エージェントでも

ツールとして再利用可能

インテリジェントワークフロー

既存のワークフローを自律型エージェントが最適な選択をする。

その場で、新たなワークフローを生み出すことも。

ワークフローと自律型は融合する (2/2)

自律型エージェントがワークフロー型エージェントを指揮する

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将来への布石

一部では自律型PoCも並走し、手元での生産性改善の実験も行う

確実なビジネス成果

Agentic Workflowで実務成果を出し、社内外の期待を裏切らない

しかし、まずはクイックウィンが必須

ビジョン(AGIエージェント)を確実に組織全体で強くもつ

まとめ

夢に向かいながら現実的な二軸戦略で企業のAIエージェント活用を加速

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パネルディスカッションもよろしくお願いします。

ご清聴ありがとうございました

「大きな夢を描きつつ、今年はクイックウィンで成果を出す」