脳神経疾患治療の20年を振り返る:進歩とこれからの課題
大津赤十字病院 脳神経内科
今村久司
地域連携懇話会
2025年7月19日
脳梗塞
tPA時代の到来と血管内治療
てんかん
新規薬剤とデバイス治療を含めた外科治療
片頭痛
トリプタンの普及とCGRP製剤
認知症
対症療法の拡充から疾患修飾薬
パーキンソン病
薬物療法の多様化とデバイス治療
本日の概要
この20年で大きく進化した主な脳神経疾患治療
20年の進歩の全体像
20年間の変化の特徴
この20年間で、脳新患治療は対症療法から疾患修飾治療へ、薬物治療のみからデバイス治療の時代へと大きく進化
診断技術の進歩:画像診断の高度化、バイオマーカーの実用化
治療選択肢の拡大:新薬開発とデバイス治療の発展
医療提供体制の整備:脳卒中・循環器病対策基本法、地域医療連携の強化
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ドネペジル
2000年
トリプタン系薬剤
2005年 tPA 3時間
第2世代抗てんかん薬
2010年 VNS
tPA 4.5時間
2015年 血栓回収登場
ラコサミド、ペランパネル
2020年 集束超音波
CGRP関連製剤
レカネマブ DBS
ヴィアレブ ブリバラセタム
DBS アゴニスト
MAOB
LCIG
ラスミジタン
脳梗塞、てんかん、片頭痛
認知症、パーキンソン病
脳梗塞
tPA時代の到来と血管内治療の普及
脳梗塞治療の進歩 tPA時代の到来
2005年
アルテプラーゼ(tPA)静注による
血栓溶解療法が登場
発症3時間以内の脳梗塞患者
2012年
適応時間の拡大(3時間→4.5時間)
tPA静注療法の有効性
発症3時間以内 NNT=3.1
4.5時間以内 NNT=7.1
実施率
2005年頃は1%
2020年は約10%
脳梗塞治療の進歩:血管内治療の普及
2015年
大規模試験で血栓回収療法の有効性が証明
2018年 治療時間が24時間に拡大
デバイスの進化
ステントリトリーバー、吸引カテーテルの改良により再開通成功率 80-90%を実現
ステントリトリーバー法
メッシュ状のステントで血栓を捕捉して回収する方法
てんかん
新規薬剤とデバイス治療を含めた外科治療
てんかん治療の進歩:新規抗てんかん薬の登場
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第2世代 2006年頃から
ガバペンチン、トピラマート、
ラモトリギン、レベチラセタム
新規抗てんかん薬のメリット
第3世代 2016年頃から
ラコサミド、ペランパネル、ブリバラセタム
特殊疾患に対する治療薬
ドラベ症候群 スチリペントール、
LGS ルフィナミド
結節性硬化症 シベロリムス
てんかん治療の進歩:外科治療‧デバイス治療
VNS(迷走神経刺激療法)
2010年に保険適応、
薬剤抵抗性てんかんの
補助療法。発作頻度が30-50%減少。
DBS(脳深部刺激療法)
視床前核など特定の脳部位に
電極を埋め込み電気刺激
2023年に難治てんかんに保険適応
外科治療
焦点切除術:てんかん焦点の切除(側頭葉など)
離断術:発作の伝播路を遮断(脳梁離断など)
薬剤を複数試してから外科治療
↓
2剤で効果が不十分なら
早期に外科治療を検討
外科治療・デバイス治療の適応に関しては京大てんかんグループと連携して行っていきます。
片頭痛
トリプタンの普及とCGRP製剤の登場
片頭痛治療の進歩:トリプタン製剤の普及
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2000年代 トリプタン製剤の登場
セロトニン5-HT1B/1D受容体作動薬で、脳血管の収縮、神経原性炎症の抑制、三叉神経活性化の抑制などの作用により片頭痛発作を特異的に抑制します。
従来の鎮痛剤から片頭痛特異的な治療への革新
日本で使用可能な5種類
スマトリプタン (イミグラン)
ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
エレトリプタン (レルパックス)
リザトリプタン (マクサルト)
ナラトリプタン (アマージ)
トリプタンがもたらした臨床的恩恵
片頭痛治療の進歩:新規作用薬の登場
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CGRP抗体製剤(2021年以降承認)
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)
または、その受容体を標的とした片頭痛予防薬
ラスミジタン(レイボー)
新規5-HT1Fレセプター作動薬、2024年5月発売
血管収縮作用なし(血管系のリスク患者も可)
トリプタン無効例にも効果、2時間後の頭痛消失率30%
副作用 めまい、ふらつきがあり、服用8時間は運転禁
適応:月3日以上の片頭痛発作があり、既存の
予防薬の効果が不十分または使用できない患者
特徴:月1または3ヶ月に1回の自己注射
片頭痛発作頻度を50%以上減少
従来の予防薬より副作用が少ない
効果発現が早い(1週間程度で出始める)
認知症
対症療法の拡充から疾患修飾薬へ
アルツハイマー型認知症治療の進歩�:対症療法薬の拡充
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主な薬剤と特徴
コリンエステラーゼ阻害薬
アセチルコリンの分解を抑制し、脳内濃度を高める
NMDA受容体拮抗薬
グルタミン酸受容体の過剰興奮を抑制
薬剤選択のポイント
重症度による選択:軽度~中等度はChEI、中等度~高度はCHEI+メマンチン
副作用に基づく 選択:消化器症状、徐脈、体重減少などに注意
服薬アドヒアランス:服薬回数や剤型(バッチ剤など)で工夫
併存疾患への配慮: 心疾患、消化性潰瘍、肝腎機能などを考慮
1999年
2011年
2011年
2015年
ドネペジル 1日1回
ガランタミン 1日2回
リバスチグミン(貼付剤)
メマンチン
対症療法薬
残っている神経細胞に頑張ってもらう!
アルツハイマー型認知症治療:疾患修飾薬時代へ
CLARITY AD試験
認知機能の低下を27%抑制
地域医療との連携ポイント
早期アルツハイマー病の疑いがある患者様の紹介
投与中の患者様における副作用症状の早期発見
認知機能評価の定期的な実施と情報共有
保険適用:早期AD、70歳未満または70歳以上でMMSE22点以上など条件あり
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2023年 レカネマブ(レケンビ)承認
国内初の疾患修飾薬
作用機序: 可溶性アミロイドβプロトフィブリルに
選択的に結合し,凝集,沈着を抑制
投与方法: 2週間に1回の点滴静注
適応: 早期アルツハイマー病(MCI~軽度)
アミロイド陽性確認(髄液検査・PET)
副作用: ARIAアミロイド関連画像異常(浮腫、出血)
注入関連の副反応
パーキンソン病
薬物療法の多様化とデバイス治療
パーキンソン病治療の進歩:薬物治療の多様化
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年齢層別アプローチ:若年発症例ではドパミンアゴニスト先行、高齢者では少量レボドパから
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症状優位型による選択:振戦優位型、筋強剛優位型など症状に合わせた薬剤選択
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併存疾患への配慮:当認院知で症は合薬併物例治で療はのド個ネ別ペ化ジにル積極と的のに併取用り、組精ん神で症い状まへすの対応
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2000年代初頭
新規ドパミンアゴニスト(プラミペキソール, ロピニロール)の登場、
副作用軽減・持続性向上
2000年代中頃
MAOB阻害薬(ラサギリン)
2010年代
持続性ドパミンアゴニスト貼付剤、
イストラデフィリン、ゾニサミドなど
レボドパと作用機序の異なる薬剤
2020年代
サフィナミド(MAOB阻害薬+グルタミン酸放出抑制など多機能薬の導入)
薬剤の選択肢が大幅に拡大
多様な作用機序、持続型製剤や
貼付剤など投与方法も進化
症状に合わせた個別化治療が可能に!
パーキンソン病治療の進歩:デバイス治療
DBS: 2000年に保険適応、視床下角や淡蒼球内節に電極を埋め込み持続的な高周波刺激により異常な神経回路活動を修正
LCIG: 2016年に承認。
胃瘻を通して小腸に直接レボドパゲルを持続投与
ヴィアレブ: 2022年承認。
レボドパカルビドパのプロドラッグを持続皮下注療法
集束超音波
2020年承認。MRIガイド下で超音波を集積させ
視床を熱凝固させる。
片側治療が原則で、難治性振戦に有効
今後の脳神経疾患治療の展望
MRやバイオマーカーを活用した超早期診断と発症前、
初期段階での治療介入
遺伝子情報や生体情報に基づいた患者ごとに
最適化された治療戦略
アルツハイマー病やパーキンソン病など原因に直接
はたらきかける治療薬の増加
AIによる診療支援、遠隔医療、ウェアラブルデバイス
によるモニタ
地域連携への期待
初期症状の見極めと適切なタイミングで専門医紹介
Join導入予定
(スマホだけで、画像をみながら相談できるアプリ)
脳神経疾患治療の次なるステージへ
脳梗塞
tPA時代の到来と血管内治療
てんかん
新規薬剤とデバイス治療を含めた外科治療
片頭痛
トリプタンの普及とCGRP製剤
認知症
対症療法の拡充から疾患修飾薬
パーキンソン病
薬物療法の多様化とデバイス治療
本日の概要
この20年で大きく進化した主な脳神経疾患治療
脳梗塞
tPA時代の到来と血管内治療
てんかん
新規薬剤とデバイス治療を含めた外科治療
片頭痛
トリプタンの普及とCGRP製剤
認知症
対症療法の拡充から疾患修飾薬
パーキンソン病
薬物療法の多様化とデバイス治療
本日の概要
この20年で大きく進化した主な脳神経疾患治療
地域連携への期待
・早期発見早期治療:かかりつけ医→当院
・双方向の情報共有:シームレスな連携
かかりつけ医⇔当院
・患者中心の医療:当院とかかりつけ医が一体となり
患者のQOLを最大化
脳梗塞
tPA時代の到来と血管内治療
てんかん
新規薬剤とデバイス治療を含めた外科治療
片頭痛
トリプタンの普及とCGRP製剤
認知症
対症療法の拡充から疾患修飾薬
パーキンソン病
薬物療法の多様化とデバイス治療
本日の概要
この20年で大きく進化した主な脳神経疾患治療