1 of 68

制作準備概論 作り始める前に

24.04.24 稲田和巳

1

スライド共有OK!

  • #mastival2024 で盛り上げてください
  • 机の上の資料は自由に見てOK

2 of 68

自己紹介

稲田 和巳(いなだ・かずみ)

  • mast17
  • 金先生(情報デザイン)の研究室
  • デザイン・メディアアートなど

2

3 of 68

3

4 of 68

4

……ほんとうにこれだけ?

5 of 68

5

今日はここを考えます

このへんは分野依存

詳しい人が他にもいる

6 of 68

インプットがないと、アウトプットも出来ない

  • いい「モノ」はすべて膨大なINからできている
  • ❌ 勉強 ではなく ⭕ 経験
    • 好きなものをたくさん見て吸収する
    • 技術を覚えるより、作りたいものが先にある方が良い

どうやって出会い、学ぶのがよいのか

6

7 of 68

本日のおしながき

  • おもしろいモノ(展示)にはどうやったら出会えるか
  • どこをみればいいのか
  • そのあとなにをすればいいのか

7

8 of 68

最近なにか「展示」を見に行った人?

8

9 of 68

「展示」を見られる場所

  • 博物館(美術館・科学館)
  • ギャラリー
  • イベント
  • 店舗など……

9

近隣かつ稲田がよくいくところからいくつか

10 of 68

博物館・科学館

  • 日本科学未来館(お台場)先端技術・立体視ドームシアター
  • 国立科学博物館(上野・つくば)自然科学・工学
  • 東京国立博物館(上野)歴史文化
  • インターメディアテク(東京)歴史・メディア
  • つくばにもある
    • エキスポセンター、地質標本館、JAXAスペースドーム、地図と測量の科学館……

10

近隣かつ稲田がよくいくところからいくつか

11 of 68

美術館

  • 東京都現代美術館(清澄白河)
  • 森美術館(六本木)
  • 国立新美術館(六本木)
  • NTTインターコミュニケーション・センター(初台)
  • 水戸芸術館 現代美術ギャラリー(水戸)�*ギャラリーというものの、規模的には美術館に近い(定義からは外れる)

11

近隣かつ稲田がよくいくところからいくつか

12 of 68

企画展・コレクション展の違い

  • 企画展
    • テーマのもと作品を集めて展示する
  • コレクション展(or 常設展)
    • 館蔵品を中心に紹介する
    • 「美術館のおすすめ」が出ていることも
    • たいていは企画展と一緒に見れる

12

13 of 68

13

宮島達男《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》

Keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever

いつでも会える、おなじみの存在としてのコレクション

14 of 68

ギャラリー

  • 小さい展示空間
  • 作品を販売しているものもある
  • 貸しギャラリーもある
  • 初めて入るのはやや怖い
  • 規模的には自分たちに近く、学ぶものが多い

14

戸谷成雄『視線体:散から連 連から積』�Shugo Arts(六本木)2022

15 of 68

横山奈美「遠くの誰かを思い出す」ケンジタキギャラリー六本木(六本木)

15

16 of 68

野村在 「君の存在は消えない、だから大丈夫」資生堂ギャラリー(銀座)

16

17 of 68

ギャラリー

  • 大手企業の企画によるもの
    • 資生堂ギャラリー、エルメスギャラリー……
  • 所属アーティストによるもの
  • 条件のもとで貸し出しているもの

17

  • 多くの場合は自由に出入りしてOK
  • ハンドアウト(配布物)も自由にもらってよい
  • スタッフさんは基本的に声をかけてこない

18 of 68

つくばのギャラリー

  • ちなみにつくばにもある
    • ネオつくば、千年一日珈琲、アートギャラリー布々……
  • なんと大学にもある
    • T+、芸術系ギャラリー、大学会館ギャラリー……

18

筑波大学アートコレクション選2023-Ⅱ『オマージュ石膏像—東京高等師範学校の遺産』芸術系ギャラリー(2023)

19 of 68

どこをみればいいの?

19

きょうは、展示形式/文章/施工方法について

20 of 68

展示形式そのもの」

  • 展示にも技術の上手い・ヘタがある
    • 白いきれいな空間に置けばOK、ではない
    • どう置くか自体にも意味をもたせることができる
      • 配置場所
      • 他の作品との関係
      • 什器(台座等)の有無
  • 評価基準をつくるとすれば:�「作品の魅力・個性をいかに引き出せるか」

20

21 of 68

21

アントニー・ゴームリー『反映/思索』東京国立近代美術館

画像出典:https://www.momat.go.jp/collection/s00377

対称な2体の彫刻�ガラスで視覚効果を作る

22 of 68

22

アントニー・ゴームリー “Two Times II” 東京オペラシティ

エレベーターホールの�空間構造に呼応させる

23 of 68

23

ロン・ミュエク�『スタンディング・ウーマン』�十和田市現代美術館

24 of 68

24

光線環境の変化する場所�表情の変化をつくる

25 of 68

25

『ダミアン・ハースト 桜』�国立新美術館(2022)

26 of 68

26

『ダミアン・ハースト 桜』�国立新美術館(2022)

巨大な展示室をお花見のような、�にぎやかな空間に

27 of 68

27

『マーク・マンダース マーク・マンダースの不在』東京都現代美術館(2021)https://youtu.be/Zlt1g2Sn28Q

同じ作品を形を変えて何度も展示

28 of 68

28

『マーク・マンダース:保管と展示』�東京都現代美術館(2021)

参考:マーク・マンダース、ふたたび。東京都現代美術館で特別展示「マーク・マンダース:保管と展示」 - 美術手帖(2021年7月17日)

https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/24333

「マンダースの不在」展では、個々の作品を精緻に配置することで、作品間の関わりを辿る「一つのセンテンス」の実現が企図されていましたが、本展示では、個々の作品がセンテンスを構成する以前の、いわばバラバラな単語の集合体として、一種中間的な状態が提示されます。同じ作品でありながら全く別のインスタレーションとなります。

(美術館ステートメントより)

29 of 68

29

マーク・マンダース《狐/鼠/ベルト》

30 of 68

30

🤔

31 of 68

31

ポスト出典:https://togetter.com/li/1797064

場所選びも展示づくりの作業のひとつ�違った観客との関わりが生まれるかも?

32 of 68

映像の展示って難しくない?

32

33 of 68

33

ジャン・シュウ・ジャン(張徐展) 《熱帶複眼》 https://youtu.be/rbWkZ38a5OI

34 of 68

34

六本木アートナイトに出品

作品と場の魅力を引き出すには�どう展示するのがよい?🤔

35 of 68

35

ジャン・シュウ・ジャン(張徐展) 《熱帶複眼-動物故事系列》六本木アートナイト2023

路上になにやらいかつい物量のセットが登場

LEDビジョン、スピーカ8本!

36 of 68

36

ジャン・シュウ・ジャン(張徐展) 《熱帶複眼-動物故事系列》六本木アートナイト2023

https://twitter.com/nandenjin/status/1662413228893433867

37 of 68

37

画像(左)出典:六本木アートナイト2023に 台湾アーティスト張徐展の動画作品『熱帯複眼』出展 -

台北駐日経済文化代表処台湾文化センター https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000042392.html

眩しい映像と突き抜ける音、屋外とは思えない迫力の映像体験

👆(楽士の人形がスピーカーに載っている)

38 of 68

38

『佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在』水戸芸術館(2021)�記録映像:https://youtu.be/UyjpONS1n7o

ループするアニメーションが作る、淡々と流れる時間

優しいが底なしの恐さがある空間……

39 of 68

39

『佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在』水戸芸術館(2021)

👆トイレ前にトイレットペーパーの映像がある

👇向かい合った壁に展示されている

40 of 68

デザインも難しくない?

40

デザイン作品は展示空間のためのものではない。�展示空間で魅力的になる形に作り直さないといけないかも

41 of 68

41

42 of 68

42

『未来のかけら』21_21 DESIGN SIGHT(開催中)より、nomena+郡司芽久

進化の過程で生まれたデザインを�触って感じられる模型に

43 of 68

43

『未来のかけら』21_21 DESIGN SIGHT(開催中)より、山中俊治+マンフレッド・ヒルド《Apostroph》

デザイン作品の中心は�モノではなく思考のプロセス?

44 of 68

44

『ジャン・プルーヴェ 椅子から建築まで』東京都現代美術館(2022)より、《「メトロポール」チェア》

椅子の前脚を浮かせて傾けるのが�好きだった作家。�構造がわかるようにバラして見せる

45 of 68

実は稲田も

《住人たち》(2019/2021)

  • 建物が作品�夜しか観れない
  • コンペで実会場展示の�必要が発生
  • どないすんねん

45

46 of 68

46

会場に置けるモノを作ることにした

👆サイズ感覚が崩壊したので近所の駐車場に置いてみている図

47 of 68

47

審査もう1段進めたので実物ももう一度作ることにした

48 of 68

48

映像+模型+時差ライブ配信で乗り切りました(『CAF賞展2021』代官山ヒルサイドフォーラム)

49 of 68

文章を見る

49

Q. どこ見ればいいの?

50 of 68

50

作品の横にあるキャプション

『みらいのかけら』21_21 DESIGN SIGHT(開催中)

『遠距離現在』国立新美術館(開催中)

51 of 68

51

『みらいのかけら』21_21 DESIGN SIGHT(開催中)

『大巻伸嗣 真空のゆらぎ』国立新美術館(2023)

会場や章の入口にあるステートメント

52 of 68

52

作品だけが展示の内容を語るのではない。言葉も作家の世界を支えている

「建物としての自画像は時間がすべて凍結しています。�私の作品、私にとってすべての作品は同じ瞬間に存在します。」

『マーク・マンダース マーク・マンダースの不在』東京都現代美術館(2021)

少ない言葉でも、読んだ途端�会場に流れる時間に目が行くようになる

53 of 68

(美術)展覧会にまつわるテキスト

  • 作家が書いてるもの/そうでないものがある
    • 作家ステートメント作品や制作活動について何を目指すか述べている(主観的)
    • 挨拶文、解説文展示主催者やキュレーター(研究者・展示内容の責任者)が�書いている(客観的)

53

  • 実際書いてみるとめちゃ難しい
    • 長すぎてもダメ、自己満足(いわゆるポエム)でもダメ

54 of 68

54

稲田は最近、いいなと思ったやつを全部写真に撮っています

55 of 68

55

自分ひとりでやるときはちょっと工夫が必要

ステートメントも解説も全部自分で書かなければならず、ごちゃる……

『稲田和巳 潮 重なり隣り合う世界』つくば市民ギャラリー(2024)https://nandenjin.com/e/tsukuba24

56 of 68

施工方法を見る

56

Q. どこ見ればいいの?

上級者向けです

57 of 68

57

『CAF賞展2021』代官山ヒルサイドフォーラム

58 of 68

58

『ジャン・プルーヴェ 椅子から建築まで』東京都現代美術館(2022)より、《「メトロポール」チェア》

例えばこの壁から生えてる�謎の台、どうなってる?

59 of 68

59

ケリス・ウィン・エヴァンス《照明用ガス…(眼科医の証人による)》ポーラ美術館

工事現場もかくやな設営作業

60 of 68

60

『稲田和巳 潮 重なり隣り合う世界』つくば市民ギャラリー(2024)

この壁に直接貼られてる文字とかも知らないと謎ですよね

ぜひ観察してみてほしい

61 of 68

そのあとなにをすればいいのか

61

62 of 68

インプットがないとアウトプットも出来ない(再掲)

  • いい「モノ」はすべて膨大なINからできている
  • ❌ 勉強 ではなく ⭕ 経験
    • 好きなものをたくさん見て吸収する
    • 技術を覚えるより、作りたいものが先にある方が良い
  • 幅広いものにアクセスする
  • 好きなものに敏感になる
  • 時間をきちんと取る

62

63 of 68

幅広いものにアクセスする

  • セレンディピティ / Serendipity
    • 素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。(Wikipedia)
  • 多様性を意識的に高める
  • 目的と違うジャンルのものにも触れ続ける
    • 目標分野と遠いジャンルほど自分の個性になる
      • 稲田だと絵本や人形劇

63

64 of 68

好きなものに敏感になる

  • 個性の言語化を試みる
    • どこが良いと思ったのか?
    • 自分の興味があることは、ほかと�何が違うか?
  • 「自分の興味はなにから出来て�いるのか」を明らかにする

64

稲田は最近、自分の見たものや�いいなと思ったコンテンツの�記録を取ってみています

https://scrapbox.io/kazumi-inada-bookmarks/

65 of 68

時間をきちんと取る

  • インプットがアウトプットになるための時間
    • 模倣にならないためには時間がかかる
    • つまり:締め切りギリギリに考え始めない�手を動かす作業のスケジュールとは別
  • 手を動かすための時間
    • Paul Graham “Maker's schedule, Manager’s schedule”
      • 作り出すためにはまとまった時間が必要

65

66 of 68

66

完成品

大量の試作品

山程のアイデア

アホほど多いインプット

ちなみに:インプットはどれくらい必要?

67 of 68

67

KYOCERA✕明和電機 アートコラボプロジェクト

登場しては次々とボツになるアイデア……!

68 of 68

まとめ

  • おもしろいモノ(展示)にはどうやったら出会えるか
  • どこをみればいいのか
    • 展示形式、文章、施工方法……
  • そのあとなにをすればいいのか
    • 幅広いものにアクセスする
    • 好きなものに敏感になる
    • 時間をきちんと取る

68