HCD専門資格コンピタンスマップ(2020年度)
特定非営利活動法人人間中心設計推進機構
そもそも、コンピタンスとは・・・?
ユーザビリティ、人間中心設計(HCD)、UXデザイン、サービスデザインの実践に必要な能力・技能・知識のこと。
2020年度変更履歴: コンピタンス定義文面見直し
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B.プロジェクトマネジメントコンピタンス
プロジェクトにおいてHCDプロセスを推進し�マネジメントすることに関る能力
C.導入推進コンピタンス
組織に対してHCDを導入し普及・推進�することに関する能力
A.基本コンピタンス
L.テクニカルコミュニケーション能力
HCDのプロジェクト及び活動を円滑に実施するために必要となる基礎的なコミュニケーション能力
HCDプロセスの
計画立案
利用状況の
把握と明示
要求分析と
仕様化
設計解決案の
作成
要求に対する
評価
ユーザーの要求を満たす製品の実現
プロジェクトにおいてHCDのプロセスの各活動を実施して適切な成果物を産出できる能力
HCD専門資格コンピタンス体系
認定専門家
HCDプロジェクト
実務経験5年以上
+PMや組織導入経験
認定
スペシャリスト
HCDプロジェクト
実務経験2年以上
資格認定との対応
A1-A4
A11-A13※1
A5-A7
A8-A10
C1-C4
B1-B3
L1-L3
K.HCDに関する基礎知識
HCDに関する理論・関連学問知識。実践知識
※1: A11-13の評価は上記工程に留まらず�各活動それぞれで実施する場合もありうる
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2020年度コンピタンス一覧
A/基本 | B/プロマネ | C/導入推進 | L/技術コミュ | |||
A1.調査・評価設計能力 | A5.ユーザー体験の構想・提案能力 | A8.製品・システム・サービスの要求仕様作成能力 | A11.プロトタイピング能力 | B1.プロジェクト企画能力 | C1.HCD適用・導入設計能力 | L1.文書作成能力 |
A2.ユーザー調査実施能力 | A6.新製品・新事業の企画提案能力 | A9.情報構造の設計能力 | A12.ユーザーによる評価実施能力 | B2.プロジェクト調整。推進能力 | C2.教育プログラム開発能力 | L2.コミュニケーション能力 |
A3.定性・定量データの分析能力 | A7 .ユーザー要求仕様作成能力 | A10.デザイン仕様作成能力 | A13.専門知識に基づく評価実施能力 | B3.チーム運営能力 | C3.人材育成能力 | L3.ファシリテーション能力 |
A4.現状のモデル化能力 | | | | | C4.手法・方法論開発能力 | |
専門家
スペ
3項目以上
(B・C群から各1項目以上)
加点項目
加点項目
A群から7項目以上
A群から6項目以上
利用状況把握
設計解決案
要求への評価
要求分析&仕様化
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HCDプロジェクトや専門家とスペシャリストとは?
「HCDプロジェクト」と書いてしまうとピンとこないかもしれませんが
ユーザーに対する仮説を立て、実際にインタビューやプロトタイピングを経て�実証・検証のサイクルを回していくプロジェクトであれば、HCDプロジェクトと呼べます。
HCDコンピタンスマップは、上記のプロジェクトを動かしていく上で必要なスキルセットを�細かく定義したものです。担当者としてのスキルセットは基本としてA1-A13に定義しています。�このスキルセットを持ち合わせている人を、スペシャリストとして認定しています。
スペシャリストの持つ基本スキルに加え、プロジェクト全体を推進するマネジメント力(B1-B3)や�組織のメンバー自体を導入、推進(C1-C4)してHCDプロジェクトを成功に導く力もチームには必要です。�このようなリーダースキルも持ち合わせている人を人間中心設計専門家として認定しています。
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コンピタンスと専門資格
各コンピタンス解説
A.基本コンピタンス�(A1-A13)
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専門家
スペ
A1.調査・評価設計能力
人間中心設計プロセス(HCDプロセス)に基づく調査、評価の計画を企画提案できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
アウトプットの例: 右記を記述した調査・評価の企画書、提案書など(調査・評価の目的/実施内容/用いる手法の特徴や�それを選んだ理由の説明/プロジェクト全体における位置づけ/調査・評価結果をどのように活用するか)
A2.ユーザー調査実施能力
ユーザーの利用状況や本質的要求などを把握するために、現場でユーザーの利用文脈調査を適切に実施できる能力のこと
8
A.基本コンピタンス
専門家
スペ
インタビュー設計実施能力の例: 半構造化インタビュー、文脈的質問
観察実施能力の例: 行動観察、エスノグラフィー
A3.定性・定量データの分析能力
収集した定性的/定量的データを、目的に対して適切な手法を用いて分析し、ユーザーの特性を把握できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
データの例:�[定量データ] アクセスログ、質問紙回答、ライフログ、操作パフォーマンス系データ(生理計測値、メンタルワークロードなど)�[質的データ] インタビュー発話データ、操作映像、音声
解析法の例:� [定量的分析] 記述統計、推測統計、多変量解析
[定性的分析] グラウンデッドセオリー法、KJ法、上位下位関係分析、KA法、導線解析
A4.現状のモデル化能力
ユーザーの利用状況や本質的欲求などについて、調査データや分析結果に基づいてモデル(構造)化できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: ペルソナ、ワークモデル分析、KJ法、カスタマージャーニーマップ(AsIs)、KA法(価値マップ)
A5.ユーザー体験の構想・提案能力
製品・システム・サービスにおける理想的なユーザー体験を構想・提案できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: カスタマージャーニーマップ(ToBe)、UXDコンセプトツリー、ストーリーテリング、理想シナリオ
A6. 新製品・新規事業の企画提案力
ユーザー理解から生まれた視点、価値から生まれた新たなコンセプトを、関係者に提案し実現に向けて合意をとれる企画提案能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: ビジネスモデルキャンバス、ビジョン提案型デザイン手法、ピッチ資料、事業企画書、リサーチ分析結果
A7.ユーザー要求仕様作成能力
ユーザー調査データや分析結果および構想・提案したユーザー体験を用い、ユーザー要求仕様
として表現できること。また、それらに対し適切な優先順位、評価指標を設定できること
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: ユーザーシナリオ、ユーザー要求仕様書、コンセプトシート、利用品質メトリクス、アクセシビリティを考慮し拡張
したペルソナなど
A8. 製品・システム・サービスの要求仕様作成能力
ユーザー要求仕様をもとに、製品・システム・サービスに必要な機能を定義し、それらを要求仕様として表現できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: 基本設計書、要求仕様書、ユーザーストーリーマッピング、Design Doc、製品要求仕様書(PRD)
A9.情報構造の設計能力
製品やシステム、サービスの使用に際し、ユーザーが情報を理解しやすく、またユーザー自身が情報を探しやすくなるような構造を、要求仕様に基づいて設計できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: コンテンツインベントリ、サイトマップ、状態遷移フロー、命名規則リスト、類義語リスト、メタデータ仕様書、ナビ
ゲーション設計書、API設計書、メニュー構造、ドキュメントの構造、ワイヤーフレーム
A10.デザイン仕様作成能力
ユーザー要求仕様・システム要求仕様・情報構造設計をもとに製品・システム・サービスをデザインでき、仕様あるいは実体として表現(視覚化)できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: インタフェース仕様書、ワイヤーフレーム、UIガイドライン、デザインシステム、報知仕様書、取扱説明書、ハードウェア
デザイン設計書
A11.プロトタイピング能力
製品・システム・サービスの企画や開発の途中段階で、ユーザーの要求仕様や製品・システム・サービスの要求仕様を、設計案やデザイン案として提示するためのプロトタイプを作成できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: コンセプトムービー、各種モックアップ、シミュレーション、アクティングアウト(製品やサービスを使用する場面の寸劇)
A12.ユーザーによる評価実施能力
製品・システム・サービスの企画や開発の初期段階、または途中段階でユーザーに評価対象を提示することにより、評価対象がユーザーに適しているかどうかを判断するためのテストを適切に実施でき、プロジェクトの目的に合わせ結果を適切に分析できる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: コンセプト受容性評価、αテスト、シナリオの受容性評価、製品・システム・サービスのユーザビリティ評価
A13.専門知識に基づく評価実施能力
人間中心設計(HCD)および関連する専門知識を用いて、製品・システム・サービスのユーザビ
リティ、ユーザーエクスペリエンス、ユーザーインタフェースなどの良し悪しの判断・指摘がで
きる能力のこと
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A.基本コンピタンス
専門家
スペ
例: ヒューリスティック法、ウォークスルー法、タスク分析
各コンピタンス解説
B.プロジェクトマネジメントコンピタンス�(B1-B3)
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専門家
B1.プロジェクト企画能力
人間中心設計を適用するプロジェクト(HCDプロジェクト)を企画、計画できる能力のこと
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B.プロジェクトマネジメントコンピタンス
専門家
例: プロジェクト企画書、プロジェクト計画書など
B2.プロジェクト調整・推進能力
人間中心設計を適用するプロジェクト(HCDプロジェクト)に対する�プロジェクトマネジメント能力のこと
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B.プロジェクトマネジメントコンピタンス
専門家
例: プロジェクト計画書、マスタースケジュールなど
B3.チーム運営能力
人間中心設計を適用するプロジェクト(HCDプロジェクト)において、チームビルディングや�チームワークを維持・仲介・推進できる能力のこと
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B.プロジェクトマネジメントコンピタンス
専門家
例: プロジェクト計画書、プロジェクト憲章、WBSなど
各コンピタンス解説
C.導入推進コンピタンス�(C1-C4)
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専門家
C1.HCD適用・導入設計能力
人間中心設計プロセス(HCDプロセス)の組織への導入やそれを実践する体制を構築する企画・計画が立案できる能力のこと
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C.導入推進コンピタンス
専門家
例: HCDプロセスを社内(あるいは社外)の開発プロセスへ導入する稟議書、提案書
補足:社外の事例とは、自身がコンサルタントを行い、相対する組織にHCDプロセスが導入された場合や、ガイドラインが策定さ
れた場合などを想定
C2.教育プログラム開発能力
人間中心設計(HCD)に関する教育プログラムを開発できる能力のこと
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C.導入推進コンピタンス
専門家
例: HCDに関する教育・研修プログラム、HCDに関する学習教材
C3.人材育成能力
人間中心設計(HCD)に関する教育や訓練をおこなう機会を設けたり、みずから組織・�メンバー・関係者のHCDに関するスキルを向上できる能力のこと
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C.導入推進コンピタンス
専門家
例: 講師やファシリテーターを行った研修や研修プログラムの概要(実施日時、参加人数、場所、実施概要)
C4.手法・方法論開発能力
人間中心設計(HCD)に関する手技法や、方法論を開発できる能力のこと
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C.導入推進コンピタンス
専門家
例: NEM法、UXカーブ法、SEPIA法、開発した手法が掲載された社内外のメディア(論文、雑誌、Web媒体など)
各コンピタンス解説
L.テクニカルコミュニケーション能力�(L1-L3)
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専門家
スペ
L1.文書作成能力
目的に応じて、伝える相手に適切に意図が伝わる文書、ドキュメントを作成できる能力のこと
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L.テクニカルコミュニケーション能力
専門家
スペ
L2.コミュニケーション能力
相手が納得・理解できるよう、活動成果や自身の考えをわかりやすく適切に伝えることの�できる能力のこと
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L.テクニカルコミュニケーション能力
専門家
スペ
L3.ファシリテーション能力
HCDに関するプロジェクトを実施する際に行われる様々な活動を、円滑に・容易にできるよう支援するとともに、ステークホルダー(関係者)の参加を促進したり議論・検討の過程のかじ取りを行うことのできる能力のこと
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L.テクニカルコミュニケーション能力
専門家
スペ