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美人とは何か?

美意識過剰スパイラル

中村うさぎ 著

第36回 読書するエンジニアの会

テーマ:女性

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本の概要

著者の紹介

美人とブスのキレイ事を廃した現実を見据えた上で、ブスが救われるにはどうすれば良いかを考察した本。

元ゲームライター、元ライトノベル作家。�買い物依存、ホスト通い、美容整形、デリヘル等の体験を通して書かれたエッセイで女性からの支持を集めている。やってることはムチャクチャなのに文章は論理的な人。

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1. ブスと美人

美人とブスは共に異形であり逸脱である。�    例:オードリー・ヘップバーン

�美人の記号は存在しないがブスの記号は存在する。美人がブスになることはあっても、ブスが美人になることはない。�    例:伊東美咲、黒木瞳、光浦靖子��美人を目指そうとしてブスになる恐れがある。だから具体的なビジュアルモデルが欲しい。

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2. バービー人形

セックスのための肉体ではなく、ファッションを楽しむための肉体。己の肉体と物欲に溺れた、ナルシシズムの快感に満ちた孤独の世界。自分探し、自分磨き、自分へのごほうび・・・��美貌とナイスバディが自由なシングルライフに説得力を持たせている。(女が判定する)女の幸福に説得力を持たせるのは見た目の美である。��しかし、男は個性的で自己主張がある自立した女なんか好きじゃない。女ウケしても男ウケしないと利益がない。バービーに憧れた世代の女は、下の世代から輝いて見えなかった。

バービー人形とリカちゃん人形の比較

 

バービー人形

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3. 盆栽美人

自分にだけやらせてくれる、床上手な自立していないバービーなら良い。活動的でもいいが、あくまで男の許容範囲内で。

男からの歩み寄り

盆栽美人

伸びやかな枝ぶりも、咲き乱れる花も自然の産物ではない。男の領域まで根を伸ばすこともない。あくまで男が許容する規格内。

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4. 整形について

なぜ整形は批判されるか?「顔の美醜に拘泥すること自体が不道徳」という倫理観があるから?批判する人は「顔の美醜に拘泥すること」を批判しているのでは?そのくせブスだの美人だの言うのは理不尽だ。

整形した理由

ブスと言われて傷つくのは「ブスなのはおまえの責任」という世間の無言のプレッシャーである。しかしDNAに書かれた情報に責任を持つ必要はない。自分の顔に責任を持ちたい。�

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5. 「面食い」とは何か?

キムタクより赤井英和が好きだから面食いじゃない?面食いとは、顔の美醜ではなく顔の好みにこだわる人ではないか?��なぜ面食いはバカにされるのか?

1. 表層しか見ない浅はかな印象を与えるから

2. 自分が選ばれないことで傷ついたプライドを回復するため

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6. 美人オーラとブスオーラ

顔の印象を構成する要素は「顔立ち」+「顔つき」

顔立ち:外面情報�顔つき:内面情報(オーラ)

 

美人オーラ:色気、気品、知性、優しさ�色気:男を受け入れてくれそうな雰囲気。女の自己主張(の強い顔)は嫌われる。圧迫感があり、色気がないから。�例:鈴木京香�反例:杉本彩

 

    ブス = 顔立ちの悪さ + ふてぶてしさ、図々しさ、厚顔無恥、傍若無人

ブスオーラの発生過程

他者の視線に縛られて身動きできなくなった結果の開き直り、迷走、自己武装

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7. 「美人」と「ブス」と「かわいい」について

顔の美醜は、快・不快の問題。つまり、好かれるか、好かれないか。

 

美人

顔立ちの良さも含めて、他人に好感をもたらす外観

ブス

顔立ちの悪さも含めて、他人に不快感をもたらす外観

かわいい

相手を対等か、やや下に見ている言葉。美人とブスは一方通行だが、かわいいとブスは行き来自由。

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8. 女性のブス嫌悪

読者からのメール��ブスに対する嫌悪、侮蔑、憤り、(同属嫌悪ゆえの)痛み。ブスに自分を見てしまい、「自分がイタくになる」から、ブスが着飾ったりかわいこぶったりするのが許せない。ブスが生き辛いのは男のせいではない。ブスの敵はブス(つまりほとんどの女)である。

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8. 女性のブス嫌悪

デブ

努力信仰の落ちこぼれ�「ああなってしまいそう」なことへの恐怖�「努力しない女」への嫌悪

 

若作り

努力信仰の狂信者�「無駄な努力をし過ぎる女」への嫌悪

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9. ブスを救え!

ブスは全ての女だから、女を解放したければブスを救わねばならない。根本的にはブスに対する同属嫌悪をなんとかすべきだが、嫌悪や快不快の問題なので理性的には解決できない。

 

美人オーラをまとえば?

知性:上品ぶっちゃって!�気品:頭いいふりして、実はバカでしょ!�優しさ:あいまいなので取り繕いやすい。

「優しい人」を演じるべきであって、

「親切な人」であってはならない。�万人の「お母さん」を目指せ!

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10. キャラクターチャート

世の女は大雑把に以下の4つに分類される。

・かわいい女�・カッコイイ女�・面白い女�・地味な女

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10. キャラクターチャート

最強:ほどほどにボーイッシュでウザくない程度に快活な女

注:これはキャラのイメージチャートであり、顔の美醜とは関係ありません。

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11. 美醜のヒエラルキーから逃れる方法

無駄である。女が美醜について言われずに済むことはない。�美醜のヒエラルキーは、女の足を引っ張る時に使われる最終兵器である。

 

1. 自意識の持ちよう

最終兵器を使わせてしまったのはなぜか?�他者も己も冷静に見極めねばならない。�客観性とバランス感覚を持て!

2. 美醜を超えた圧倒的な存在へ

ブスは「女の偶像」「女の暗黒神(異形の神)」になりうる。�ブス神!�男モテ完全無視!�例:マツコデラックス、エムスラルダ

 

 

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12. 美醜自意識過剰の根底にあるもの

根源的な問題は、自己イメージの高さと、それゆえに生じる自己嫌悪の強さである。

本当に欲しいのは美貌、才能、魅力ではなく「自分」。

他者から羨まれ、自分でも満足できる「自分」。� 

美醜の地獄の正体はナルシシズム地獄である。

 

美醜に拘泥し、自分を追い詰めてしまう原因は、「愛されなければ、自分に価値はない」という思い込み。

「恋愛」だけを人生の最重要事項にするな!

「他人を愛する能力」こそ、人間が最終的に獲得すべきもの。

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感想

・美人とブスを語ることがフェミニズムになっている。�・書き手の切実さが伝わってきてリアル。�・女性に関する一般論なのか、著者の思い込みなのか判断し辛い。�・読みやすく、わかりやすいが故に、わかったような気になるので逆に危険。�