xRTech Tokyo #15@メルカリ
FacebookとInstagramのアプリに
標準搭載されているARカメラ制作の話
2019年4月20日
ARCAMERA.JP 鈴木順二
xRTech界隈の方は顔系ARに�興味ない人が多いようですが、
これだけは言わせてください。
今後、世界で一番使われる
ARになることは間違いないです。
詳しくはあとから話します。
はじめに注意点
�FacebookとInstagramのARカメラの話が混じってます。
Instagramはまだベータ版で、将来的に正式リリースしたとき�今回お話する内容と変わる可能性があります。
自己紹介
名前:鈴木順二
屋号:ARCAMERA.JP(昨年末から)
岐阜県出身・横浜在住のデザイナー
1980年生まれの38歳
名古屋の専門学校卒業後、ポスプロ、TV局、制作会社と渡り歩き、2009年独立。
今年でフリーランス11年目
昨年からARカメラの制作スタート
Twitter: BMA_JAPAN
Instagram: bma_japan
Web: https://arcamera.jp/
ARを始めたきっかけ
2017年11月Facebook主催のFacebookのARカメラハッカソンがあり、
これに参加するとベータテスト期間中だったFacebookのARカメラの
ベータテスターになれることを理由に参加。
人生初ハッカソンで最優秀賞を受賞
ほかにも2つの賞をいただきました。
人生初ハッカソン
FacebookのARのプロモーション利用に
面白さと可能性を感じ、
ARカメラ制作をスタートしようと計画
去年のxRTech#9登壇のちょっと前くらい
本格的にARカメラの仕事を受注しようと、2018年4月に東京ビッグサイトで開催されたコンテンツ東京の
クリエイターEXPOに出展。
ほぼ成果なく無駄な出費になりました。
※詳しくはnoteに書いてます。
クリエイターEXPOに初出展した感想。�https://note.mu/bma_japan/n/n07b4194d6b5f
イラストレーターではない自分がクリエイターEXPOに出展してから約1年経った今だから言えること。
プライベートワークで制作していた
フェルメールやゴッホのARカメラをFacebookにピックアップしてもらい、インプレッションが急増
このカメラは今年の4月時点で1300万回の
インプレッションを獲得しました。
某アニメの犯人になれるARカメラを
MoguraVRの記事にしていただきました。
昨年のFacebookのカンファレンスで
InstagramのARフィルタもFacebookと
同じように作れることが発表され、ベータテスターの受付開始。
昨年11月、日本人で最初のInstagramの
ARカメラベータテスターに選ばれました。
世界でも60人目くらい
Instagramのフォロワーが急増中
200人から3ヶ月弱で10万人突破。
フォローされているのは外国人ばかりですがw
FacebookやInstagramのARカメラとは?
一言でわかりやすく説明するとSNOWのようなオリジナルの
カメラを作り配信できるプラットフォームです。
SNOWはプラットフォームがオープンになっておらず、
制作・配信するのに高額な費用が必要です。(情報非公開)
SNOWと違い、FacebookやInstagramは
掲載料は必要ありません。
制作費のみで配信できます。
Facebookはなぜ無料配信できるのか?
ARカメラを作って公開する方法
Facebookが無償提供している、
Spark AR Studioという専用ソフトでARカメラを作ります。
今のところMac版のみ
Windows版はアルファテスト中
Unity使える人なら簡単に使えます。
Win版のアルファテスターになってますが、
まだ使い物になりません。
Mac版に比べて機能少なすぎ、バグ多すぎ。
2週間ほど前にアップデートされてバグは多いですが、Mac版の9割ほどことはできるようになりました。
AR Studioから書き出したファイルを
専用ページからアップロードし、
Facebookの承認が得られれば、自動発行されたURLを
シェアすれば誰でも使うことができるようになります。
機能紹介
InstagramとFacebookは
できることが少し違うのでご注意ください。
これからお話するのはFacebookの機能です。
顔認識
顔に追随してサングラスや化粧をシミュレーション
顔認識
バンダイナムコEUが太鼓の達人のプロモーションで使ってました。
自分のiPhoneでは動かなかったけど。
表情認識
笑顔、キス顔、驚いた顔など判定
複数顔認識 最大5人まで
手を認識
美肌効果
SNOW的なもの
顔の変形
目を大きくしたり、顎をシャープにしたりもできます。
人物の切り抜き
アウトカメラでオブジェクト表示
ボーンアニメーションが読み込めるようになりました。
マーカー画像を認識してオブジェクト表示
レディ・プレイヤー1
ジャイロセンサー使ってVRっぽいもの
サーバーからリアルタイムにデータ取得して結果を表示
マンチェスター・ユナイテッド
JavaScriptでプログラムを書いて簡単なゲームコンテンツ
期間限定やエリア限定
イベントなどで利用。エリアは複数可
フェス会場の周辺でしか使えないとか
画像解析
写った画像を解析してTrueを返す
画像解析
41種類の画像を解析できる
画像解析
どう使って良いのかわかりません!
犬が写ったらDog、猫が写ったらCatと出せって命令書いてるだけ。
鳥で何も出ないのは命令書いてないからです。
SketchFabデータの直接読み込み
素材として利用可になっている素材のみ
ノードで簡単なシェーダー書けます
エッジ抽出とか
みんな大好きPBR対応
CGソフトで作った絵をある程度正確に再現できます
頭の動きをトラッキングしてVTuber的なものを作る
インプレッションは72万回
FacebookのARカメラを使う方法
カメラアイコンを
タップ
顔アイコンをタップ
カメラ一覧が表示される
ベータテスト期間中の
InstagramのARカメラの状況
昨年2018年5月のF8でInstagram対応が発表
昨年10月から一部のグローバル企業や
フォロワーの多いアカウントから提供スタート
日本で唯一配信しているのは著名人は渡辺直美のみ(多分
アジア人で初らしい
フォロワーの多いアカウントのエフェクトを作り、
配布することでInstagramフィルタの知名度を上げる作戦
完全にSnapChatを潰しにかかってます。
Instagramでは「AR」とは言わず、
エフェクト、フィルター、
マスクと言われています。
ARだと分かりづらいから?
AR?
ベータテストのざっくりとした概要
制作するソフトはFacebookもInstagramも共通なので
どちらにも公開するとが可能。
InstagramのARを使う方法は?
顔マークをタップ
エフェクト一覧が表示される
フィルタを公開しているアカウントをフォローすることで
エフェクト一覧に出てきます。
私のフォロワーが増えている理由がこれ。
私をフォローすると私の作ったエフェクトが使えるから。
フォロワー数の多い人が紹介してくれてから
フォロワーが爆発的に増え始めました。
80万人
220万人
ストーリーシェアがInstagramの醍醐味
エフェクトが使われて、ストーリーにシェアされた場合、
上にエフェクト名が表示され、タップすると読み込み
エフェクト
読み込み
アカウントへ
エフェクトをストーリーで紹介している
アカウントのフォロワーが伸びている
将来的にはこのアカウントの人たちにお金を払って
エフェクトを紹介してもらうビジネスになるかも?
Instagramのエフェクト紹介
インフルエンサー誕生の予感
ストーリーにはリプライ機能があり、
自分にリプライされたストーリーは自分のストーリーで
シェアすることが可能。
Twitterのリツイートみたいなものです。
初期からベータテスターになりクオリティの高いエフェクトを
公開している人はかなり増えてます。
ベータテスターになっている人全員のフォロワーが
増えているかと言うとそうでもありません。
Instagramエフェクトのビジネス使用
面白いエフェクトを作ると
シェアされてフォロワーが急増。
実際に私のアカウントが三ヶ月弱で10万超えました
Instagramは詳細なインタラクションや、
フォロワーの属性などもわかるのでビジネス向き。
外国人ばかりにフォローされ
日本語で普通の投稿ができなくなったのが最近の悩みです。
バズるエフェクトを作り、フォロワー増やして
プロモーション利用できる。
無料LINEスタンプのようなプロモーション利用が期待できる
無料LINEスタンプは配信料が高い
一番安いプランで1000万円~
友だち追加して、スタンプだけダウンロードして
通知オフにしたり、ブロックする人も多いのでは?
InstagramやFacebookのフィルタは
個人・商用関係なく、無料で配信可能
FacebookとInstagramのARの違い
InstagramはFacebookに比べて
規約も厳しく、機能も少ない
Facebookでは問題なかった以下の2つは規約違反で未承認
パンツかぶるのは下品でダメ?
黒い顔は黒人差別と思われた?
ちなみにFacebookでも「変態仮面」とタイトルを付けた
以下のカメラは未承認
「変態」という単語が
セクシャリティな単語でダメだった?
「変態仮面」のタイトル消して、
マスクマンに変えたら承認
Instagramのエフェクトは画面に
ロゴや文字は入れられない
文字やロゴを入れる場合は
フェイスペイントやアイテムに表示する
ユニティちゃんとかライセンス表記が必要なのは
どこに表示しましょう?
InstagramはARマーカーが使えない
レディ・プレイヤー1のようなARは不可
Instagramはボタン表示が不可
Instagramではボタンが使えなかったので、
タップでタトゥー切り替え、長押しで色変更仕様に変更。
メッセージのような長い文字は不可
これはストーリー投稿で文字や位置情報などを
入れることが多いので邪魔になるからだと思います。
ただしFacebookと違いInstagramはシェアしやすく、
インプレッションもフォロワーも増やしやすい。
Facebookはシェアされにくい
ストーリーやユーザーが使ったARカメラを
ほかのユーザーが使う方法がFacebookにはない
これがFacebookのARが
いまいち流行らなかった
理由だと思います。
そもそもFacebookにストーリーを投稿する人があまりいないのと、
Facebookアプリで写真を撮る人があまりいない。
FacebookとInstagramの
インプレッションの比較
今年の謹賀新年コンテンツとして作り、
年賀状にQRコードを印刷したFacebookとInstagramのAR。
コンテンツはほぼ同じ
143
233万
その差は歴然!
Instagramで公開したモナリザのエフェクトは
2ヶ月で2000万超え
牛の頭になるエフェクトは
2ヶ月弱で4000万超え
今まで作ったARカメラのインプレッションの合計は、
3ヶ月で
1億5000万回を超えています
これが「世界で一番使われるARになる」
と言った理由です。
FacebookのフェルメールのARは一年で1300万
これでもかなり多い方
Instagramはカテゴリという項目が最近できたので、
エフェクトの検索ができるようになるかも?
カテゴリを指定すると、エフェクトを見つけてもらいやすくなります。
また、アプリでエフェクトとともに表示される場合もあります。
ちなみに開発者ページの13カテゴリ分けの参考として
私の制作したエフェクトが3つ選ばれています。
35ある参考エフェクトのうち3つが私の
まだベータテスト中なので正式リリース時に
どうなるかはわかりません。
FacebookやInstagramのARで
プロモーションするメリット
AR専用アプリのインストールが不要
プロモーション利用できるARプラットフォームが多くありますが、
まだメジャーなツールではなく、多くてもダウンロード数は数百万程度。
プロモーション利用のためにユーザーにアプリをインストールさせるハードルは高く、コアなファンイベントなど以外ではなかなか使われていないというのが現状です。
面白そうだけど、
これ見るのにアプリが必要なの?
ダウンロードが面倒だなー。
圧倒的なユーザー数
日本のFacebookのアクティブユーザーは2800万人、
Instagramのアクティブユーザーは2900万人。
世界ではFacebookが22億、Instagramは10億と言われており、
専用のARアプリをインストールせず、配信料がタダでプロモーション利用できるプラットフォームはありません。
対応している端末が多く、検証が楽
Facebookが配布している専用ソフトを使って開発するので、対応端末が多く、OSのアプリがアップデートされたとき、こちら側で対応する必要がほとんどなく、iPhone、Android両方にも対応できます。
SNSにシェアしやすい
SNSアプリのカメラ機能なので、撮ったものをそのままSNSにシェアすることが可能で、ほかのARに比べてシェアが簡単です。
端末に写真を保存できるので、Twitterに投稿したり、メールやLINEで友だちに送ったりすることも可能。
QRコードからの自動読込
QRコード読み込み→アプリ起動→AR読み込みがスムーズです。
インサイトも確認できる
インサイトを確認できるのでどれだけインプレッションを獲得したか
すぐにわかります。
配信料がいらない
配信に費用を必要としないので、中小企業問わずARコンテンツの配信が可能。
同じようなARではすでにSNOWもありますが、オリジナルのARコンテンツが数千万いるプラットフォームに無料で配信できるのかなりありがたい。
管理者じゃなくてもアップロードできる
最近Facebookページの管理者でなくても、ARをアップロードできるようになったので、クライアントにとっては良いことです。
Instagramはベータ版なのでどうなるかはまだわかりません。
更新も容易
管理ページで更新も手軽におこなえるので、書き出したファイルを再度アップロードし、承認が得られればすぐに更新されます。
FacebookやInstagramARの
いまいちなところ
外部サイトに飛べない
AR専用ツールでは表示されたアイテムをタップすると該当サイトに飛んだりすることができますが、これはSNSツールのカメラ機能を使ったARなので、そのようなことはできません。
あくまでユーザーに遊んでもらい、シェア拡散してもらうプロモーションツールです。
容量制限がシビア
容量制限がかなり小さいです。
画像を多く使ったりするコンテンツの配信は難しい。
Facebookユーザーは先進国だけでなく、ネットの回線の細い途上国も多いので仕方がない。
2MB
4MB
規約に準ずる必要がある
エロやグロな表現、酒やタバコ、仮想通貨、政治的なARコンテンツは公開できません。
特に酒やタバコは「子供の口にタバコを加える」ことができてしまうのでかなり厳しく審査されます。
スペックの低い端末では使えない機能もある
人物切り抜き機能はiPhone6以前の端末は使えない。
スペックの低いAndroidでも使えない。
天使の羽根を人物の後ろに出すようにしているので
使えないという問い合わせが多い。
ARの告知の際は使い方をわかりやすく
知らない人にとっては何かわからず、特にほかのSNSやWebで告知するときは注意が必要。
告知やSNS運用をしっかり考える必要がある
QRコードからの読み込みが少し不安定
プロモーション利用しかできない
LINEスタンプのように売ったり
YouTuberのように
見られても(使われても)お金は入ってこない
日本語フォント非対応
GPS情報から
今いる街を
表示する機能
フォントを埋め込んでないから
端末が日本語設定だと文字化け
OSの言語設定を英語にすると表示される
日本語フォントを埋め込めますが、
フォント埋め込んだだけでFacebookは容量オーバー
日本語で現在地が表示
横向き非対応
縦向きのストーリー投稿のためにカメラのため、横向きでは顔を認識しません。
一度縦向きで認識してから横向きにすれば大丈夫。
急な仕様変更で対策を迫られることがある
Instagramでネットワーク機能を
使えなくするから4月9日までに修正しろと
4月4日にメールが届く
ただこれはInstagramが
まだベータ版だからというのもあると思います。
顔エフェクトはできることが限られているためネタが被る
SNOWのような顔に何かを被せるARはネタがかぶりやすい傾向にあり、
クリエイターの間でも議論になっています。
あるクリエイターが
「SNOWに私の作ったエフェクトパクられた!」と開発者フォーラムに怒りの投稿。
各社の犬フィルタ比較
どれも同じじゃねーか!
犬フィルタの公開順(多分)
1.Snapchat
2.SNOW
3.Instagram
4.LINE
各プラットフォームで同じようなARをパクったり、
パクられてるのが現状です。
新しいネタないかなー。
最近女子高生の間でSNOWのこれが流行ってるらしいですが...
実際ある商品をARにしただけ
似たようなエフェクトが
今後も多くなるでしょう
このARでどのようなプロモーションが
期待できるのか?
キャラクターになれる系自撮り系
AR空間にキャラクター表示して遊ぶ
撮った写真をハッシュタグを付けてSNSに投稿し、
抽選で賞品プレゼントキャンペーン
顔に関係する商品の体験
AR空間に商品を表示して立体的に見せる
BGMを鳴らして音楽視聴
TikTok的な使われ方?
スポーツ応援系
ARマーカー封入特典(今のところFacebookのみ)
ARマーカーをかざすと
ARコンテンツ表示
イベント限定系(顔はめパネルのAR版)
ゲーム参加型
ゲーム結果をハッシュタグを付けてSNSに投稿し、
抽選で賞品プレゼントキャンペーン
ARで撮った写真を店員に見せたら割引クーポン発行
今後のFacebookのARについて
一部パートナーはMessangerのARからそのままECへリンク
スマホだけで身体のトラッキングができるようになるかも?
セカイカメラやSNOW、ポケモンGOなどのアプリが普及して
ARの認知が高まったように、
FacebookやInstagramのARカメラが世の中に普及することで、
よりARが身近な存在になっていくと思います。
FacebookやInstagramの
ARカメラに乞うご期待
今月末開催のF8の発表を待ちましょう
以上です。
ありがとうございました。