物語と歴史のあいだ

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物語と歴史のあいだ

問１ P.314 1行目に「歴史学者といえども、過去の事実をありのままに描写することはできない」とあるが、それはどういうことか。最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。 *

過去の事実をありのままに描写しようと文献資料や考古学的資料を駆使しても、それは過去の出来事を再構成しているだけにすぎないということ。

過去の事実をありのままに描写するためには、文献史料や考古学的資料を駆使して「物語る」必要があるが、そのようなことは現実では物理的に不可能であるということ。

過去の事実をありのままに描写するためには、頭を記憶で満たす必要があるが、そのようなことは現実では物理的に不可能だということ。

過去の事実をありのままに描写しようと一種の動物でいることをやめようとしても、それは歴史学者には不可能なことだということ。

問２ P.315 11行目に【「理想的年代記」と「歴史叙述」との区別を際立たせてくれる。】とあるが、【区別】の説明として最も適当なものを次の①～④のうちから一つ選べ。

「理想的年代記」は、「歴史叙述」の資料とはなるが、「歴史叙述」そのものにはなりえないということ。

「理想的年代記」は、「歴史叙述」とは異なり、「記憶」である出来事と出来事をつなぐ脈絡が必ずしも必要ではないということ。

「理想的年代記」には「歴史叙述」とは異なり、出来事と出来事とをつなぐ脈絡である「物語」が欠けているということ。

「理想的年代記」にはその出来事が起こった瞬間のありのままの記述が存在するが、「歴史叙述」にはそれが存在しないということ。

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問３ P.316 16行目に「歴史的事実の成立条件」とあるが、それを説明したものとして最も適当なものを次の①～④のうちから一つ選べ。

断片的な思い出や個人的な思い出が「客観的事実」であるために、「物語行為」によって幾重にも媒介されること。

断片的な思い出や個人的な思い出が、「物語行為」による媒介によって構造化及び共同化されること。

断片的な思い出や個人的な思い出の脈絡を補い、断片を織り合わせることで起承転結の結構を整えること。

断片的な思い出や個人的な思い出の濾過と選別を行うことによって、解釈学的に再構成すること。

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問４ P.317.4～6で筆者は文献資料を【「解釈」の産物である」】としているが、それはどういうことか。最も適当なものを次の①～④から選べ。 *

文献資料は「客観的事実」であり、歴史的事実が記されたものであるが、その「記述」を「解釈」する者に関心の遠近法が働いてしまう「物語」であるということ。

文献資料は「客観的事実」ではなく、すでに文献の記述者によって、情報の取捨がなされた「物語」であるということ。

文献資料は「客観的事実」であり、その客観性を保証するために、記録に値する有意味な情報を取捨選択した「物語」であるということ。

文献資料は「客観的事実」ではなく、過去の出来事を完璧にしようとしたために関心の遠近法が働かなかった「物語」であるということ。

問５ P.318 14行目「歴史的出来事と歴史叙述との古典的二分法が、そのままでは維持しがたい」とあるが、これはどういうことか。最も適当なものを次の①〜④から選べ。

歴史的出来事と歴史叙述は「事実」と「虚構」のように対立するものだと考えられていたが、実は完全に同じものであったため、古典的二分法による対立関係では説明できないということ。

歴史的出来事と歴史叙述は「事実」と「虚構」のように対立するものであるようにみえるが、歴史叙述にも事実が存在するため、対立しているわけではないということ。

歴史的叙述には物語が存在するが、一方で歴史的出来事にも同様に物語が存在しており、両者の違いはただ歴史的事実としての身分を確立することが出来たかどうかだけだということ。

歴史叙述には物語が存在するが、一方で歴史的出来事も物語行為によって語られることで歴史的事実としての身分が確立されるものであり、両者は対立するものではなく「物語る」ことが根本にはあるということ。

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問６ P.319 9～10行目「むしろ歴史叙述の原型である「口承」や「伝承」のあり方を見ればわかるように、両者は表裏一体のものなのである」とあるがこれはどういうことか。最も適当なものを次の①〜④から選べ。

「歴史」は「事実」であり、「物語」は「虚構」であるように思えるが、「歴史」は「物語」を含んでいるものなので「歴史」と「物語」は完全に同一の概念であるということ。

「歴史」は「事実」であり、「物語」は「虚構」であると思えるが「歴史」は「物語」に介入されたものなので、それは「虚構」ともいえるものだということ。

「歴史的出来事」を言語化する過程で必要となる、「解釈」をもとに出来事を再構成する、すなわち「物語る」という段階は、「歴史的出来事」を「歴史的事実」にするための必須条件であるということ。

「歴史的出来事」は言語化することによって「客観的な事実」となり、言語化の際に行う、「解釈」をもとに出来事を再構成することは「物語る」以上に重要であるということ

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