賛同締め切り:26日(金)0:00ごろ
提出先:群馬県 山本一太知事、群馬県都市整備課 金井亘課長
1.趣旨
私たちは群馬の森にゆかりのあるアーティストです。群馬の森の「記憶 反省そして友好」の追悼碑へ親しみを持つと同時に、その歴史的・文化的な重要性について発信し、関心を持ってきました。
ここに、群馬の森朝鮮人追悼碑の行政代執行中止、使用許可の更新を求めます。
そして2017年に群馬県立近代美術館で開催された企画展「群馬の美術2017」に出品された白川昌生氏の作品《群馬県朝鮮人強制連行追悼碑》の撤去に関して、政治的介入が行われたことに抗議します。
知事をはじめとする県庁・県議会・県職員のみなさまにぜひご認識いただきたいのは、この碑の社会的、歴史的重要性です。
この碑は歴史・政治・文化・コミュニティのつながりと合意のもとに建てられました。アジア太平洋戦争中、日本政府・民間によって、当時「日本人」であった朝鮮人を対象に強制的な労働が行われ、人々は差別、殺傷、虐待、病死、事故死などによって痛苦を受け、その犠牲となりました。彼らを追悼する碑は栃木県、長野県、三重県、奈良県など様々な地域にあります。
当時、群馬県内には鉱山や軍需工場が多くありました。徴兵された日本人たちに代わり労働し、この地で没した多くの朝鮮人の人々の慰霊と追悼のために記念する碑は群馬の森にある必然性があります。
「協和事業機構調」(1943年3月)によると、群馬県19支会の朝鮮人は5467人で、動員の強化により、半年で約6000人が増加し、1943年末には1万2000人ほどになりました。また、知事事務引継書(1944年2月)の記載から、中島飛行機小泉工場へは1943年12月に朝鮮人20人が徴用されたことが明らかになっています。
以下は碑に刻まれた文です。どうか、この記憶と意思を消さないでください。私たちは、この事実と共に生き、将来の世代に対して伝えていく責任があります。
「21世紀を迎えたいま、私たちは、かつてわが国が朝鮮人に対し、多大の損害と苦痛を与えた歴史の事実を深く記憶にとどめ、心から反省し、二度と過ちを繰り返さない決意を表明する。過去を忘れることなく、未来を見つめ、新しい相互の理解と友好を深めていきたいと考え、ここに労務動員による朝鮮人犠牲者を心から追悼するためにこの碑を建立する。この碑に込められた私たちのおもいを次の世代に引き継ぎ、さらなるアジアの平和と友好の発展を願うものである」
2.要望事項
要望項目1 群馬県に対して、群馬の森朝鮮人追悼碑の行政代執行の中止、使用許可の更新を求めます。
碑の撤去は、この歴史的事実の継承を行わないという宣言に等しい行為です。
2001年に県議会で全会一致で可決された、過去の過ちを記憶し、平和と友好の礎として碑の建立を決めた県と「記憶 反省そして友好」 の追悼碑を建てる会の意図はすべての人々の公共の利益に適うものです。どうかその姿勢を現在の県も受け継いでください。
追悼碑の撤去は公共の利益に反し、実行すれば二度と回復ができない不可逆的な行為です。歴史的事実の継承を断絶するとともに、この碑に心を寄せる多くの人々の心をも傷つけます。
撤去ありきの県の姿勢は、ヘイトスピーチ指定団体の活動を活発化させることに他なりません。県は「強制連行」はなかったとする人々の恣意性と政治的意図を理解し、その要求通りに碑の強制撤去を行わないでください。
要望項目2 群馬県は2001年の議会の決定を重視し、加害の歴史も継承をする責任を持ち、知事は「守る会」と追悼碑のあり方について話し合う機会を持ってください。
私たちは東京高裁判決〈追悼碑は存在自体が論争の対象であり、街宣活動、抗議活動など紛争の原因となっている。このような追悼碑は憩いの場である都市公園にあるべき施設としては相応しくない。追悼碑は都市公園にあるべき施設としての機能を喪失しており、更新不許可〉には問題があると考えます。
運動団体による行動は、追悼碑があることが原因なのではありません。共にこの社会に暮らす在日コリアン(在日韓国・朝鮮人)の人々への差別に基づく歴史の否定が原因です。
朝鮮人への制度的・集団的差別による間接的、直接的な強制労働・強制連行を経験した人々は高齢となっています。私たちはいずれ、彼ら彼女らから、その語りを直接聴くことが難しくなる日が訪れるでしょう。植民地主義の歴史を学ぶ公的なミュージアムがない日本社会では、地域に残された追悼碑や慰霊碑は、植民地支配とアジア太平洋戦争時の加害の歴史を知り、学ぶための重要な礎です。
人々が負の歴史を知り、後の世代に伝えていく機能を持つ「記憶 反省そして友好」の追悼碑を「行政代執行」で撤去することは、群馬県行政による少数者への新たな加害行為、文化的ジェノサイドの始まりとして日本社会に刻まれ、国際世論の強い非難を受ける可能性があります。
追悼碑はただの建造物ではありません。どうかこの意味の重さを受け止め、撤去を中止してください。山本一太知事は「守る会」をはじめとする市民と追悼碑のあり方について話し合う機会を持ってください。
要望項目3 群馬県は市民の「表現の自由」を侵害しないでください。
私たちはアーティストとして、県の行政代執行が、日本国憲法第二十一条において保障される「表現の自由」への重大な侵害となると考えます。
また、碑の前で行われた追悼式において参加者が行った「強制連行」という言葉をはじめとする発言について、知事が「政治的発言」と判断し、「記憶 反省 そして友好」 の追悼碑を守る会に対して報告を求めたことに抗議をします。これは市民による表現の自由に対して圧力をかけ、歴史的事実の継承を閉ざすものです。
市民による「政治的発言」があったとする根拠のみで、追悼碑の撤去という強い決定が行われることは決して許されません。これは民主主義社会の根幹を毀損します。
呼びかけ:朝鮮人追悼碑存続をのぞむアーティスト有志(飯山由貴・滝あさこ)
2024年1月26日