【声明】韓国への経済制裁の即時撤回ならびに朝鮮半島植民地支配への謝罪と賠償を求める
2019年8月
アジア共同行動関西青年部(AWCyouth)・梅田解放区

*この声明文は、誰しもが差別・抑圧されない社会を目指し、日本の戦争責任・戦後補償問題に取り組んでいる20~30代の青年らによって提起されたものです。
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8.15ソウルの徴用工問題解決国際集会で発言した被害者の方々
1.経済制裁は『武器をつかわない戦争』・問題の根本はなにか
 7月1日、日本の経済産業省は「韓国向け輸出管理の運用の見直し」を発表し、約1カ月後の8月2日には安倍政権は韓国の「ホワイト国」除外を閣議決定しました。安倍政権は表向きこれらの措置は徴用工問題や元日本軍「慰安婦」問題に対する対抗措置ではないとしています。

 しかし、輸出規制の理由として「日韓間の信頼関係が著しく損なわれた」(経産省)とあげているように、それは言い逃れに過ぎず、文在寅政権の徴用工裁判大法院判決への対応、また元日本軍「慰安婦」問題の日韓合意に基づく「和解・癒し財団」の解散措置などに対しての対抗措置にほかなりません。

 経済制裁とは、「武器をつかわない戦争」と言われるような敵対行為です。このような経済制裁は直ちに撤回されねばなりません。しかし、経済制裁の撤回だけで問題は解決するでしょうか。一体、問題の根本は何でしょうか。
2.植民地支配の謝罪・賠償の問題は解決済みなのか
 私たち、日本の民衆はこの問題について、まず歴史的な経緯を踏まえて考えなければなりません。1910年、日本は朝鮮半島を植民地化しました。この植民地支配において、朝鮮半島の民衆は解放までの36年もの間、筆舌に尽くし難い苦しみを受けました。この植民地支配の根拠である「韓国併合条約」は日本の軍事力によって強制されたものであり、まったく違法なものでした。

 そして、植民地支配下で行われた残虐な行為の数々が深刻な人権侵害であったことは明白です。しかし、日本政府は、この朝鮮半島への植民地支配に対して、1965年の日韓基本条約および日韓請求権・経済協力協定の締結から今現在に至るまで一貫して、植民地支配の違法性を認めていません。

 日本の民衆の多くが、日韓請求権・経済協力協定で、植民地支配に対する請求権は消滅したと思っていますが、そもそも日本政府は植民地支配に対する損害賠償請求権の存在そのものを認めることを一貫して拒否してきました。請求権協定に謝罪の文言がないこと、1965年当時の椎名悦三郎外相答弁でもはっきりと請求権協定における5億ドルの経済協力に賠償の意味は含まれていないと述べていることからもわかるように、請求権協定の合意内容には、植民地支配への損害賠償の観点は一切含まれていません。

 つまり、請求権協定は日韓両国が財政的・民事的債権・債務関係の請求権(未払い賃金の請求権など)をお互いに対し放棄するものでしたが、植民地支配による損害賠償は、この協定とはまったく無関係の別の問題として残され、未解決のままなのです。
3.個人請求権の解釈を覆した安倍政権の欺瞞
 また、日本政府は、1991年当時の柳井俊二外務省条約局長の答弁に示されるように、請求権協定によって日韓の外交的保護権は放棄されたが、個人請求権は消滅していないという立場をとってきました。

 実際、中国人強制連行戦後補償裁判では、原告である中国人強制連行被害者側が敗訴したものの、個人請求権の存在を前提として、和解基金が設けられたケースもあります。

 少なくとも2016年の三菱マテリアルを被告とした訴訟による和解基金設置までは、日韓両国政府および最高裁・大法院は、請求権協定によって個人請求権は放棄・消滅していないという立場で一致していたのです。しかし、安倍政権は請求権協定によって個人請求権も消滅したと主張し、一方的に解釈を覆しました。この安倍政権の主張は、旧来までの政府見解との整合性すら持たない不当な主張であり、許すことはできません。

 今回の輸出規制の引き金となった「徴用工」裁判大法院判決は、未解決である植民地支配に対する損害賠償の問題を未解決の問題として提起し、植民地支配に対しての損害賠償請求権を、韓国政府と個人の被害者に認めた正当な判決です。安倍政権はこの判決に対する不当な非難を直ちに中止すべきです。

 大法院判決や、それに対しての韓国政府の対応は、解決済みの問題の蒸し返しでは決してないのです。
4.日韓基本条約の見直しを求める
 その上で、請求権協定と共に結ばれた日韓基本条約は、植民地支配・侵略戦争の負の歴史を日本が一切認めないまま国交を結び、韓国を新たな市場として経済侵略するためのものであり、見直されるべきです。また、日韓条約は大韓民国を朝鮮半島における「唯一の合法政府」とすることで、日本の植民地支配によって引き起こされたとも言える南北分断の固定化を助長する役割を果たすものでした。

 私たちは植民地支配・侵略戦争への謝罪と賠償を行った上で、初めて日韓における真の友好関係が結べると考えます。また、今回の韓国への措置だけでなく、日本政府が長年に渡って朝鮮民主主義人民共和国と国交を結ぶことを拒否し、経済制裁をはじめとした数々の敵対政策を行ってきたことも誤っており、今すぐやめるべきです。

 旧宗主国(植民地支配を行った国)政府の責任として、旧植民地の民衆の自立性・自己決定を尊重すべきで、分断を助長するような行為をもってして介入することは許されません。
5.韓国民衆の真の要求とは
 日韓請求権協定締結後、1995年に当時の村山富市首相が談話を発表し、植民地支配に対する「お詫び」を述べ、民間の基金などの設置によって、戦後補償がいくらか行われたという言説もあります。

 しかし、それらは植民地支配の被害者が真に求めているものとはほど遠く、結果的には、日本政府や日本の戦犯企業に「免罪符」を与えてしまいました。

 元徴用工、元「慰安婦」をはじめとする韓国の民衆が一貫して求めていることは、植民地支配の事実認定を通じた真実の究明、日本政府ならびに植民地支配に協力し、朝鮮半島で非人道的行為を行った日本企業の謝罪と賠償を含む被害回復、すでに亡くなられた被害者に対する追悼と歴史教育を通じた再発防止です。

 彼らはなによりもまず、自らの受けた被害と苦しみは、日本の植民地支配が原因であり、それは過ちであったと、日本政府に認めてほしいのです。
6.私たち日本の民衆が要求すべきこと
 私たち日本の民衆は、今回の一連の輸出規制やそれに伴う嫌韓助長とも言える政府の対応を批判するだけでは甚だ不十分であり、これまでの経緯を踏まえ、朝鮮半島の植民地支配に対する誠意ある謝罪と賠償を、被害者である韓国民衆が納得する形で行うことを政府に対して要求しなければなりません。

 今回の問題の最大の背景は、日本が朝鮮半島の植民地支配に対して一度たりとも被害者らが納得する形での謝罪と賠償を行ってこなかったことであり、また韓国民衆が植民地支配からの解放後も、今現在まで日本政府および植民地支配に加担した日本の多くの勢力によって民族の尊厳を踏みにじられ続けたことにあります。日本は植民地支配下で行われた多くの非道な行為を認めないことによって、被害者らに二次的な精神的苦痛を与えてきました。

 のみならず安倍政権は、9条改憲のためにも韓国と朝鮮民主主義人民共和国を敵視する政策をとりつづけており、世間での嫌韓ムードを助長・利用しています。元日本軍「慰安婦」の事実があったということは裁判で認められたにも関わらず、教科書からは記述が削除される有様です。また、朝鮮半島や朝鮮民族に対する優越思想は敗戦後も今まで一貫して存在しており、日本国内の在日コリアンに対する差別・ヘイトは根強く残っています。
7.日韓-私たちの関係性・真の隣人とは
 私たちは日韓の関係性を考えるときに、「大切な隣人である」以前に旧宗主国―旧植民地という視点を忘れてはなりません。今、韓国での日本政府に対する反対運動の中で愛国主義的立場の民衆が含まれていることを取り上げて、ナショナリズムは良くないという理由での日本側の批判があります。

 しかし、そもそもそのような批判をすることは、加害側のとるべき態度ではありません。日本側は表面的な問題を取り上げて、植民地支配の加害の問題という根幹をあやふやにすることも、「お互い様」だと日本の加害の度合いを引き下げることも、許されません。そして、韓国民衆は、日本から抑圧されていた民族であり、彼らの愛国主義は、日本をはじめとする帝国主義国での愛国主義とは違うものです。

 朝鮮民族の愛国主義・民族主義は、植民地支配で抑圧・支配され、その後も日本から民族としての尊厳を奪われていたことに対する尊厳の回復のためであり、自民族・自国の尊厳の保持のためでもあります。私たち日本の民衆は、旧宗主国の民衆の責任として、彼らの愛国主義を非難すべきではなく、彼らの要求に耳を傾けるべきです。

 そして、日本政府に朝鮮植民地支配に対する謝罪と賠償を行うことを強く要求しなければなりません。日本が植民地支配に対する深い反省を持ち、具体的な行動として現れた時はじめて、私たちはお互いを尊重し、共生できる隣人となるのです。
8.私たちは要求します
・韓国に対する輸出規制を即時中止せよ
・日本は朝鮮植民地支配の不法性を認め、元徴用工・元「慰安婦」をはじめとした被害者に対して誠意ある謝罪と賠償を行え
・日韓基本条約・請求権協定を見直し、日韓関係を、朝鮮植民地支配への日本の謝罪と賠償にもとづくものへと転換させろ
・朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策をやめろ
・朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化に向けて努力せよ
・日本の植民地支配・侵略戦争によって損害と苦痛を与えたすべての民族、地域の被害者らに、誠意ある謝罪と賠償を行え
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