◆ゲスト
工藤梨穂 Riho Kudo
1995年生まれ。福岡県出身。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科卒業。
同大学の卒業制作『オーファンズ・ブルース』が第40回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2018」においてグランプリなど2冠を受賞し、2020年にはPFFスカラシップで『裸足で鳴らしてみせろ』を製作し商業デビュー。同作は第51回ロッテルダム国際映画祭・ハーバー部門に正式出品され、第36回高崎映画祭において新進監督グランプリ、最優秀新進俳優賞を受賞した。
2024年、第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に正式出品された『オーガスト・マイ・ヘヴン』が配信プラットフォームRoadsteadにて販売中。
久保 豊 Yutaka Kubo
映画研究者。金沢大学人間社会学域国際学類准教授。専門は日本映画史、クィア映画史、クィア批評。単著に『夕焼雲の彼方に─木下惠介とクィアな感性』(ナカニシヤ出版、2022年)、編著に『Inside/Out─映像文化とLGBTQ+』(早稲田大学演劇博物館、2020年)、論文に“Feeling the Friction: Reworking Japanese Film Studies/ Criticism from a Queer Lens”(Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan, Düsseldorf University Press, 2024)などがある。最近は、クィア映画における食表象の社会文化・美学・政治的な役割に加えて、喜劇女優・藤山直美について調査をしている。
◆イベント概要
今年度の映画上映会では工藤梨穂監督『裸足で鳴らしてみせろ』(2021)を上映します。本作は、日本映画を代表する監督たちの商業デビュー作を送り出してきた「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップ」の第27弾として製作された作品。惹かれ合い、互いに触れるための格闘に自分たちの愛を見出していく二人の青年の行方を「偽りの旅」を通して描き出します。
上映後には工藤監督と映画研究者の久保豊氏によるトークセッションを実施します。久保氏にはクィア批評の手法や触覚に関わる映画理論をご紹介いただきながら、現代日本の地方社会に生きる青年たちが接触を通じて築く豊かな関係の複雑さともろさが、男性が求められる地方社会の性役割による重圧だけでなく、異性愛中心主義社会が用意する「規範的な」磁場に対してどのように抗うことに成功/失敗しているのかについてお話しいただきます。工藤監督には、本作の製作に至った背景に加え、現代のアジア映画におけるジェンダーとセクシュアリティの表象などについてお話を伺います。トークの最後には参加者とのQ&Aも予定。ぜひご参加ください。