「東日本大震災の発生から10年の節目をむかえた」というフレーズを耳にするようになりましたが、ひとの抱く「想い」は本来、数的に測ったり、一様に区切りがつけられるものではありません。報道が減り、被災地に対する社会的関心が薄れた現在、外側から突きつけられる「節目」を前に、心に秘めて来た「想い」を語ることを躊躇ったり、吐露する機会を逸して苦しんでいる方がいるかもしれない......そうした個々人の「想い」や付随する感情について、想像をめぐらせ共有しようとする優しさが、この社会には足りていないように感じられます。
あなたが飲みこんできた「震災にまつわる想い」、だれかと共有したかった「かなしみ」「怒り」「喜び」を明かしてくださいませんか?
ひとの心に秘められたエピソードを感情とともに読み取り、アート作品として発表する活動を続けてきた阿部由布子と田村萌絵は、いま、あらためて「震災にまつわる想い」を募るプロジェクトに取り組んでいます。「想い」はデータとして記録することが難しい対象ですが、実は他者の共感を力強く呼び込むことのできる、可能性に富んだ情報源でもあります。マスメディアが取り上げるようなスペクタクルだけが震災の事実ではありません。震災と向き合った「ひとりひとりの想い」の全体像こそ、次代に引き継がれるべき記憶であると私たちは考えています。
本サイトよりご回答いただいた内容をもとに制作した作品は、今後各地で発表してまいります。
本サイトよりご回答いただいた内容は、作品制作以外の目的には使用いたしません。また、個人情報につながるご利用端末の関連情報などは収集しておりません。
ご回答者のプライバシー保護やアート作品としての公共性の担保といった観点にもとづき、文章の一部を編集したり掲載を見送る可能性がございますことを、悪しからずご了承ください。
- - - - - - - - - - - - -
「性差にまつわる差別の経験」も募っております。下記サイトから回答にご協力をたまわれますと幸いです。
http://urx.blue/74vi- - - - - - - - - - - - -
阿部由布子(キュレーター/メディアアーティスト。宮城県出身。2013年より秋田公立美術大学美術学部助教)
田村萌絵(造形作家。秋田県出身。2020年秋田公立美術大学美術学部卒業)