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新東亜2011年6月号日本語
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●参考

▼王子の乱

第一次王子の乱1398年

第二次王子の乱1400年

李氏朝鮮の王位継承権をめぐる兄弟間の抗争。この事件の結果、李芳遠(イバンウォン)の独裁による一連の王権強化策が実現され、朝鮮王朝の基盤が固まった。


統一教「王子の乱」

ニ主役電撃インタビュー

統一教グループ會長文國進四男 対 UCI會長文顯進三男

統一グループ會長文國進(四男)

「兄は創始者の意に逆らったサタンであり堕落した天使長」

●後継者問題は終わり、だれも再論できない

●アボジをメシアと信じてこそ救援受ける。(=救いを受ける)

UCI會長文顯進(三男)

「アボジを盲目的に信じて救援受けるのではない」(=救われるのではない)

●アボジは統一教創始者ではない

●権力と金の力で指導者になるのではない

文國進

●ヨイドの土地を勝手に処分したことは信徒を蹂躙したこと

●統一教が世界過半数宗教になるだろう

文顯進

●アボジをメシアと信じるのかだと?アボジは人類に貢献した方

●弟がどんな行動をしようが、兄としての品位を守る

●私は宗教の箱には閉じ込まれない。アボジも統一教の創始者ではない

総体的難局である。路線・財産・ヘゲモニー(主導権)争いが激しい。牧會者が激憤する。弟が兄を相手に訴訟を起こしたとか、息子がオモニを相手に訴訟を起こしたとか、というマスコミの報道に統一教元老たちは舌を打ち、打ちながら沈黙する。

●統一教にどんなことが起きたのか

王子の乱という表現が言論紙に上がっては下りる。後継者争いあるいはヘゲモニー(主導権)争いが激しいということである。統一教あるいは統一運動創始者の文鮮明總裁の三男文顯進氏と四男文國進氏が騒動の中心に立っている。

四男が強者、三男が弱者である。文國進世界基督教統一神霊協会維持財団(以下統一教財団)理事長兼統一グループ會長は統一教の実権者である。韓国・日本の組織と統一グループを掌握した。財政権、人事権も握り締めた。

文顯進UCI會長兼GPF財団理事長は、統一教が1977年立てた国際組織UCIの資産を土台に活動している。統一グループのようにUCIも企業群を率いる。文顯進會長は文鮮明總裁の事実上長男だ。長男と次男は各々2008年、1984年死亡した。

記事を三つの部分に分けた。

■1部は統一教で起こっていることを扱った。

■2部では文國進理事長。

■3部は文顯進會長インタビューである。

二世紛争が起きた後三男、四男が対談に応じたのは「新東亜」が初めてである。

■1部 統一教にどんなことが…

●1・後継者争いか

2010年6月5日文鮮明總裁は夫人韓鶴子(ハンハクジャ)氏の助けを受けて七男文亨進氏を後継者に指名する宣布文を作成した。文鮮明總裁がこの日作成した文書の内容はこうである。

「萬王の王は1人ハナニム、チャンプモニムも1人父母、萬世代の百姓(ペクソン=民)も一つの血統の国民であり、一つの天国の子女である。天宙平和統一本部も絶対唯一の本部である。その代身者、相続者は文亨進である。その他の者は異端者であり爆破者だ。以上の内容はチャンプモニムの宣布文である。」

宣布文で、代身者・相続者と指定された文顯進氏は統一教世界會長を任せられている。五男文權進(ムンクォンジン)氏は統一教あるいは統一運動に関与しない。六男文榮進(ムンヨンジン)氏は1999年死亡した。

●「現実が…、アイヒュー、チャム」(「現実が…ああ…まったく」)

文顯進會長の家族、あるいは側近とみえる人が文鮮明總裁が宣布文を作成する過程を撮影したが、このビデオが外部に流出した。ビデオに登場する文鮮明總裁は高齢のせいなのか聡気(そうき)が以前にはおよばない(=以前のような聡明さがみられない)。夫人韓鶴子氏が読むままに文を書き取る言葉も出てくる。文鮮明總裁夫婦のこの日の対話の中の一部を記(しる)す。

韓鶴子:세계선교본부 회장 말만 들으라는 말은 안 하시겠어요? 그게 아버지 말씀 아니에요? 모든 선교국은, 모든 통일 백성은 세계선교본부의 공문 지시 사항만 인정하라는 데 사인하는 건 싫으세요? 인터넷에 올리면 아무 하자가 없어요. 식구들이 알면 현진이 말 안 들어요. 세계선교본부를 좀 세워주시라고.

「世界宣教本部會長の言葉だけ聞け」との言葉は書きませんか?それがアボジのマルスムじゃないですか?すべての宣教国は、すべての統一百姓(ペクソン)は世界宣教本部の公文指示事項だけ認定しなさいということにサインするのはいやですか?インターネットに載せれば何の問題もないです。食口たちが知れば顯進の言うことは聞かなくなります。世界宣教本部をちょっと立ててあげなさいということです。

文鮮明:그렇게 하는 거야, 전부 다 여기에 들어가 있어.

そのようにするの、(書かなくても)全部みなここに(その意味が)入っている。

韓鶴子:그러니 세계선교본부에서 나가는 공문만 백성들은 믿어라.

だから世界宣教本部から出る公文だけを百姓(ペクソン)は信じなさい(と書いてください)

文鮮明:왜 자꾸 그래? 응?

なぜ何度もそう(しろと)?ウン?()

韓鶴子:한마디가 중요한 것 같아서요. 선교본부를 인정을 안 하니까. 그걸 좀 살려주시라는 거죠.

(その)一言が重要だと思うからです。宣教本部を(顯進が)認定をしないから。それをちょっと助けてあげてくださいということです。

文鮮明:아 인정이고 뭐야, 형진이 본부에다 여기 다 문형진인데 허허.

あ、認定がなんだ、亨進が本部にここにみな文亨進なのに。ホホーッ。

韓鶴子:그런데 지금 현실이, 아이 휴, 참.

しかし、今現実が(=現実には顯進が宣教本部を認定してないでしょう)、アイヒュ、チャム(=ああ、まったく)。

「食口たちが知れば顯進の言うことは聞かなくなります。」という言葉は、三男文顯進會長に従う人が少なくないということを意味する。「宣教本部を認定をしないから」、「しかし、今現実が、アイヒュ、チャム」という言葉は、七男文顯進會長の立地がしっかりしていないことを傍証(ぼうしょう)する。統一教関係者は「文國進・文亨進兄弟の後(うしろ)には韓鶴子女史がいる」と話した。

傍証(ぼうしょう):間接的な証拠

●後継構図から押し出された三男(=後継者候補から退かされた三男)

統一教は宗教であり企業だ。文國進理事長が統一教が運営する企業を任され、文顯進會長が宗教としての統一教の責任を負うことで後継構図が組まれたが、文國進・文亨進体制が不満であると考えるグループもまた少なくない。

公式後継構図から押し出された文顯進會長はUCIの資産を土台にGPF(グローバル ピース フェスティバル)というNGOをたてて独自基盤を構築した。「宣教本部を認定しないから」という韓鶴子氏の表現は、海外組織の相当数が七男(亨進任)でない三男(顯進任)に従うことを示したと見られる。(しかし)文國進理事長が導く統一教財団は、「GPF活動が創始者の意と無関係だ」と規定した。

文顯進會長はある期間、後継構図で最も先んじた(=後継者最有力)という評価を聞いた。統一教でその位置づけが弱くなった時は2009年初めである。「所信を曲げない性格のせいで脱落したと理解する」と統一教幹部は伝えた。それでも彼は後継者授業を受けていた時に構築した人脈・力量を土台に統一教の海外資産および組織の相当部分を掌握した。

文國進理事長と文顯進會長は一様に、「『後継者争いが起こった』という外部の見解は事実と違う」と主張した。

「資産に対する所有権が明らかな会社とは違い、宗教のような信仰の世界で信徒を所有することができると見ますか?人を所有することができると見ますか?違います。物質的資産を所有する会社とは違います。誰が後継者イシューを始めたのかは分からないけれど、これが重要な懸案だとみていません。」(文顯進會長)

「後継争いという言葉は正しくありません。文鮮明總裁は昨年6月5日統一教の相続者、代身者として文亨進世界會長を決めて下さった。全世界統一教人はこの決定と関連して文亨進世界會長を歓迎し尊敬している。その部分は總裁任(チョンジェニム)両位(ヤンウィ=夫妻)の絶対的固有権限により後継問題は終結した。」(文國進理事長)

文顯進會長をあからさまに支持することはないけれど、文國進・文亨進体制をややななめに眺める統一教元老と牧師も少なくない。これらの懐疑的視線は文國進理事長が押しつけた教会構造調整と企業式教会運営に対する反発から始まった側面もなくはない。

最近文國進・文亨進体制に異常気流が感知されたこともある。ある統一教幹部の説明である。

「動いている事情を一歩遅れて把握した文鮮明總裁が、文國進會長側近3人を解雇しなさいと指示した。黄善祚(ファンソンジョ)天宙平和統一連合韓国會長を中心に立てて、文國進・文亨進兄弟はその下でもっと学びなさいという要旨として知らされた。文鮮明總裁が親政体制復帰を宣言したと解釈された。すると黄善祚會長に対する攻撃が始まった。誰かが黄善祚會長の不正疑惑を流した。結局文鮮明總裁が海外巡回に発つことで事案が整理された。文國進・文亨進兄弟が危機を克服したのだ。」

●2・真実か偽りか、「息子がオモニを相手に訴訟した」

4月25日文鮮明總裁がヨーロッパに発ちながら文國進・文亨進体制が異常気流を潜(ひそ)ませたと見られた。

しかし、統一教元老グループと一部指導者を騒がせることが再び発生した。文顯進會長が韓鶴子氏を相手に239億ウォンを返してくれという訴訟を起こしたと新聞・放送が報道したためである。中央日報が、「文鮮明三男、オモニを相手に238億訴訟」という題で一報を書いた(5月2日)。翌日朝鮮日報は一面全体を使って統一教内紛を扱った(5月3日)。一番最初に報道した中央日報の記事を読んでみよう。

「ソウル西部地方法院によれば、文鮮明總裁の三男顯進氏が運営するグループの系列会社のワシントンタイムズ航空(WTA)はオモニ韓鶴子氏が代表である世界平和統一家庭連合宣教会(統一教宣教会)を相手に不当利得金238億7500万ウォンを返してくれという訴訟を起こした。韓氏は顯進氏をはじめとして文總裁の四男國進(統一グループ會長)、七男亨進(統一教世界會長)氏の実のオモニである。」

法院:裁判所

この記事は弟たちとヘゲモニー(主導権)争いを行っている文顯進會長の立場では致命的内容だ。後継者争いで押し出された息子がオモニを相手に金を出せと訴訟を起こしたと記事が読める。しかしながら、内部事情を知る統一教人士たちは矢を文顯進會長でなく、統一教財団に向ける。

文顯進會長と統一教財団は一様に、「文鮮明三男、オモニ相手に238億訴訟」という記事は誤報と主張した。文顯進會長は、「法人会社資金返還訴訟であるのみ」と言いながら、訂正報道を要請した。統一教財団も、「マスコミの報道は事実と違う。下の者たちの間で起こったこと」と明らかにした。両側の意見を総合すれば事件の実体は次のようである。

[統一教宣教会を相手に訴訟を起こしたWTAはUCIの子会社である。238億7500万ウォンはWTA代表理事であったが解任されたJ氏が、韓鶴子氏代表の統一教宣教会に2009年11月9日送金した。文顯進會長はこの日J氏を解任した。J氏は文國進理事長の側近である。解任直後お金を不法に送金したとのことがWTAの主張であり、J氏は解任された事実を分からない状況で借用証を受けて宣教会に金を貸したと主張する。J氏は統一教が運営するワシントンタイムズ社長であったし、2005年北朝鮮を訪問して金正日(キムジョンイル)国防委員長に会ったこともある。]

●「統一教の名誉が傷ついた」

UCI関係者は、文國進理事長側近が置いた「罠」にかかったと主張した。統一教財団の主張のとおり借りたお金なら借金を返済すればそれだけだが、意図的に返済せずに訴訟させるように誘導したということだ。悖倫兒(はいりんじ)として責め立てようとする統一教財団の者たちの陰謀にひっかかったという主張である。

悖倫兒(패륜아・はいりんじ):人倫に背いた行いをする者(韓国語)

文鮮明總裁を至近距離で補佐するK氏が、訴訟された宣教会の事務総長を現在受け持っているが、彼はやはり文顯進會長によってUCIから解任された。K氏は昨年2月世界各国の統一教指導者たちの前で文顯進會長がオモニを相手に訴訟を起こしたとして彼(=顯進任)を引き降ろしたことがある。

統一教財団関係者は、「中央日報と朝鮮日報の報道のせいで内部で騷ぎが起こった。私たちが言論に情報を流して報道させたと誤解する人がいる。私たちも報道機関に抗議している。マスコミの報道は事実と違うので、この部分と関連する記事を書かないほうが良い」と明らかにした。

一部信徒は統一教財団が、「文顯進失脚」の一環として情報を流したし、それによって統一教の名誉が傷ついたと考える。一部の元老たちも似た考えを持っていると統一教事情に精通したある要人は伝えた。このような推測は事実と違うと見られる。統一教財団が報道過程に介入した痕跡はない。

持ち株会社のUCIの子会社のWTAの代表が、オモニが代表である法人を告訴した事件であるが、これまたJ氏・K氏を解任する過程で起こったことという点に照らして主導権争いから始まったと見なければならない。文顯進會長は、「訴訟は後継構図とは何の関係もない」と主張した。

●3・汝矣島(ヨイド)土地争い…弟が兄を相手に訴訟した

ソウル、永登浦区(ヨンドンポク)、汝矣島洞(ヨイドドン)パークウォン工事現場は労働者は去り、曇った天気のようにうらさびしい。この現場と肩を並べるSFIC(ソウル国際金融センター・56階)建築工事が活気に満ちていることとは対照をなす。パークウォンは72階建てと56階建ての摩天楼二棟を作るプロジェクトだ。2兆3000億ウォン規模に達するこの事業を置いて訴え事が起こり、昨年11月に工事が中断された。

工事が中断された「汝矣島(ヨイド)土地」の所有主は統一教会財団である。地上権はY22という所が持っている。この会社は2005年統一教財団から99年期限の地上権を確保した。

訴訟は土地所有者と地上権所有者の争いだ。統一教財団は昨年10月ソウル中央法院に地上権登記抹消訴訟を提起した。Y22に譲り渡した地上権を返してもらうというのが訴訟の骨子だ。Y22が統一教財団を欺瞞(ぎまん=あざむく)して契約を結んだと言うのが統一教財団の主張だ。Y22は文顯進會長が掌握したUCIの関連会社である。

統一教財団は、Y22が高層建物二棟を未来アセットをはじめとする金融会社に売却することにしたというマスコミの報道に激憤した。聖地であるはずの所を自分勝手に処分しようとするという主張だ。定款変更および主務官庁許可を経なかったし、欺瞞されて締結したので契約が無効だというのが文國進理事長側の意見である。反面、文顯進會長側は、「正常になされた契約を後になって問題にしている。工事中断により物的被害がこの上なくはなはだしい」と主張した。

ソウル地方法院は2月21日、「기망을 당했다거나 착오로 인해 계약을 체결했음을 인정하기에 부족하다.…欺瞞(ぎまん)にあったとか錯誤(さくご)によって契約を締結したことを認定するには不足する」としながら統一教財団が要求した工事中止仮処分申請を棄却した。

文顯進會長が小戦闘で1勝をおさめた局面であるが、財産争いは血も涙もない局面として継続している。両者が戦いを止めて譲歩するとか悪い感情を解く公算は小さいようだ。

●汎(はん=全)統一教が保有した最も重要な土地

汝矣島(ヨイド)土地は汎統一教がソウルに保有した不動産中で最も重要である(알짜배기)。土地をめぐる争いは財産の争いであるが、主導権争いとも連結される。

2005年統一教財団がY22と契約を結ぶ時、財団理事長は文顯進會長の妻の父の郭錠煥氏が任せられていた。その頃、彼は統一教の第ニ人者と呼ばれたし、婿(むこ)の文顯進會長は後継者授業を受けていた。統一教公式文書に「郭錠煥ファミリー」という単語が登場するが、これは聖地を自分勝手に処分しようとする勢力を示す。文顯進會長が持った影響力に傷をつける手段として訴訟が活用されるというのである。

文國進理事長は、「私たちは郭錠煥ファミリーが責任ある位置にいる時に多くのことを委任して進行したが、早く全てのものを原状復旧して帰ってくることを期待している」と話した。

●4・ヘゲモニー争い…「底辺の民心を捉えろ」

統一教が美国で発行するワシントンタイムズはUCIの子会社だったが、現在は文國進理事長が経営権を確保した。三男から四男に経営権が移ったのだ。

文顯進會長が2010年初め、統一教と関連した要人を理事陣から解雇した後、ワシントンタイムズの経営危機が深化し、昨年11月統一教が1ドルでワシントンタイムズを買い入れた。

「文國進理事長が支援金を絶ったので新聞社事情が悪化した」、ということがUCI側主張である反面、統一教財団は、「支援金を送ったがお金を他の用途で使った」と反論する。このように兄弟は随所で衝突している。

表面に現れた兄弟間反目の大綱は財産戦いだが、「ポスト文鮮明」時代を囲んだヘゲモニー争いがその本質にある。「後継者争い」というよりは文鮮明總裁を「信じる」人々に対する今後の影響力を置いて争っていると見るのが正しいようだ。後継者が公式に確定したので、これを戻すことは難しい。

文國進理事長は宗教としての統一教を強化しようとする。教会の正式の名前を統一教に変えたし世界平和統一家庭連合という名称を使わないことにした。文顯進會長は宗教の枠組みを抜け出してなされる「統一運動、ユニフィケーション ムーブメント」が文鮮明總裁の意だと主張する。統一教財団ではこのような活動を公的資金を浪費する行為として見る。

文國進理事長・文亨進世界會長兄弟が強者でありながら主流で、文顯進會長は弱者でありながら非主流だ。非主流は逆転を夢見る。「文顯進グループ」は後継者に指名され注目を集められなかったが、窮極には自分たちの路線が認められると期待する。それと共に「底辺民心が変わっている」と考える。

主流は非主流がこれから自分たちの影響力を侵害することを憂慮する。文顯進會長のGPF活動のせいで文亨進會長が任せられている統一教会の海外力量が打撃を受けた。

●世界各国で主導権争い

兄弟間ヘゲモニー争いは美国を含んで世界各国で起きている。主な様相は主流が非主流に是非を問いかけたりり攻撃することだ。統一教は昨年11月15~19日「UCI関連教区巡回」と名前をつけた行事を日本6都市で進行した。「新東亜」が入手した統一グループ文書は、巡回結果を次の通り要約した。

△巡回中、國進任訪日、梶栗會長の確実な郭錠煥會長サタン宣言

△全日本300人公職者の郭錠煥會長サタン宣言

△日本食口の50%は郭錠煥會長が誰なのかよく分からないが、確実に郭錠煥會長の背信とサタンになったことを理解

△食口たちがUCIおよび郭錠煥會長との関係断絶、およびEメール、手紙拒否

△この危機の時代を克服するために絶対信仰を決意、絶対訓読

統一教財団の日本教会に対する影響力は外観上、強固なものと見られる。日本は統一教の教勢が韓国より大きく、信徒が出す献金も韓国より多い。統一教が長い間、力を入れた第三世界国家(後進国)では文顯進會長の影響力が強い。アフリカと南米でも葛藤が起こっている。

「兄弟が和解しなければならない」と言う中立的統一教牧會者や信徒の間では、「後継者が決定されたのだから頭を下げて統一教会に戻ってこなければならない」という見解と、「強者が弱者のものまで奪おうとする」という意見が交差して出ている。

統一教は宗教であり企業である。韓日海底トンネルのような国際的規模のプロジェクトを推進する国内外に多数の企業を保有した企業集団であり宗教団体だ。宗教色を脱いだ文化・言論・教育・スポーツ分野で多様な活動を行いながら社会的影響力も育てて来た。

統一教は今まで異端是非(ぜひ)をはじめとする外部の攻撃に一糸不乱に対応してきた。そのような統一教が二つに分裂して見苦しい姿を演出している。今から二兄弟の話を聞いてみよう。

■2部 統一グループ會長文國進(文鮮明四男)

「兄がサタンということは神学的に分明だ(=明らかだ)」

文國進統一教財団理事長兼統一グループ會長は漂う雰囲気が冷たい人だ。彼は三才の時美国に渡っていって三十五才の時帰国した。それで韓国語が下手だ。彼の英語の返事は短くて簡潔だった。

彼はスーツ姿に野球帽子をかぶった。ヨーロッパ巡回に発たれた文鮮明總裁を見送って来たところといった。彼の一番下の弟の文亨進會長夫婦が文鮮明總裁に随行するという。

▼Q.現在の状況をどのように見なければならないのか。

「困難があるということを認定します。(=認める)。より大きい成長のための痛みだと考えます。困難の中でも統一教会と統一グループは急速に成長しました。兄任(ヒョンニム)1人を除いたすべての統一教指導者および信徒は總裁任(チョンジェニム)マルスムに一つになってより大きく成熟した未来のために努力しています。痛みを踏み越え必ず勝利するでしょう。」

●「信徒たちに申し訳ない」

彼は「汝矣島(ヨイド)土地」に対する質問に次の通り答えた。

「私たちの経済的権利が十分に保護されなくなっているというのが根本的です。」

長い返事を予想したが彼の返事は簡潔だった。財産を置いて争うということを隠さなかった。

汝矣島(ヨイド)工事現場の前で統一教信徒数百人がデモをしたことがある。「郭錠煥は反省せよ!」と書かれた垂れ幕も張り出された。デモ隊の主張は次のようだった。

「統一教聖地に金融会社が入ってきてはだめ。」

「統一教世界本部が入居するべき。」

「郭錠煥ファミリーと彼の追従者は便法不法行為を明らかにしろ!」

便法(べんぽう):一時しのぎの便宜上の手段。

<1部>で言及したように郭錠煥前統一教財団理事長は文鮮明總裁の三男文顯進會長の妻の父で一時統一教第二人者と呼ばれた人物だ。

彼は「聖地」「世界本部」のような名分を前に出さなかった。先立って答えたように本質は財産権争いというものだ。

▼Q.一部信徒は汝矣島(ヨイド)土地を聖地として作らなければならないと主張するが。

「食口たちがそのように言うのを知っています。財団の立場では被害を受けたことに対して充分に補償を受けられずにいます。財団がその土地の法的所有者です。しかし、権限の保護を受けられずにいるのが本質です。」

汝矣島(ヨイド)土地は汎(はん=全)統一教がソウルに保有した卵で言えば黄身にあたる不動産である。この土地の地上権を三男の文顯進會長が確保したのである。瑞草区(ソチョグ)、盤浦洞(パンポドン)のセントラルシティもUCI所有である。

▼Q.損害がどれくらいになるか?

「ダメージが大きい。」

▼Q.ずっと争うのか。

「経済的な権利が明らかに認められる時まで争うでしょう。」

▼Q.調停も可能なのか?

「どんな方法で調停されるのかによって….」

彼は後ほど書面に送ってきた追加答弁書では汝矣島(ヨイド)の土地が聖地という点を次の通り強調した。

「汝矣島(ヨイド)土地は単純な土地でなく、全世界統一教信徒たちの献金と精誠でなされた聖地です。それをある一人の個人が思いのままに処分するのは全世界信徒たちの心情を蹂躪(じゅうりん)することであり、信徒を無視する処置として黙認できない。権利を取り戻し守ろうとして見たら、事が法廷に拡大して心が重く信徒たちに申し訳ない。」

●「私はビジネスマン」

彼は統一教という宗教の後継者というより、ビジネスマンと見なされる。感じたそのまま彼に尋ねた。

▼Q.企業家のようだが。

「私は統一教メンバーです。神学もいくらか習いました。宗教的な者であるが、それよりは現実的な者です。財団で任せられていることは教会の資産を管理することであります。アボジと世界會長の弟を実用的な部門で助けます。末っ子の弟が霊的なリーダーです。彼がアボジの霊的な後継者です。私の役割ははるかに現実的なのです。」

▼Q.あなたにアボジはどんな方なのか。

「統一教の創始者であり宗教指導者です。個人的には肉身の父母であります。救世主、再臨主、真の父母としてハナニムの真の愛を実現しようとこの地に来ました。16才に啓示を通して召命を受けた使命を92才の今まで真の主人の生(せい)、真の師匠の生、真の父母の生と真の愛を実現しようと全生涯を犠牲にしました。強いハナニムの国を作ろうと4月25日から92才であるにもかかわらず、世界巡回の道を出発しました。」

▼Q.アボジのような人になりたいと思ったことはないか。

「アボジの能力と私の能力は違います。私ははるかに現実的です。宗教指導者よりは企業家としての役割がさらに適性に合うようです。弟の文亨進世界會長は宗教指導者としての資質を持っています。」

彼は自身を説明しながら「プラクティカル」という単語をしばしば使った。「現実的」「実用的」と翻訳される英単語だ。

彼は後継者問題は終わったと強調した。

「アボジが教会の次世代(じせだい)の霊的なリーダーとして弟の文亨進世界會長を指定した。ノープロブレム(=何の問題もない)。彼が私よりはるかに優れた霊的なリーダーです。私は一生を教会でない現実的な分野で仕事をしてきた。」

彼はこのように付け加えた。

「後継争いという言葉は正しくありません。文鮮明總裁は昨年6月5日統一教の代身者、相続者を文亨進世界會長として決めました。總裁任(チョンジェニム)両位分(ヤンウィブン=御夫妻)の固有権限として誰も再び論じることはできません。文亨進世界會長は今でも宗教指導者としての役割をよく遂行している。個人的にアボジの次に尊敬する人が文亨進世界會長です。」

▼Q.統一教財団理事長、統一グループ會長として文鮮明總裁の意を受け継ぐということなのか?

「財団は教会を支援する目的で存在します。企業を所有する理由は教会のために資金を作ることです。統一グループでの活動が父親が抱いた御旨を実現する事業をすることは正しいです。統一グループが設立された以後、今までアボジの弟子が父親の意向を実現しようと活動してきました。その延長線上に私がいます。」

●「企業は金を儲けなければなりません」

▼Q.企業家としてのビジョンは何か。

「統一グループは統一教を支援しようと設立されましたが、統一教を支援できなく、かえって統一教の支援を受けて維持されました。これからは設立目的を忠実に履行(りこう)しようと思います。統一グループに属した企業と機関の経営改善を通じて統一教を経済的に支援し、統一教が世界的宗教に成長することに使命を尽くします。」

▼Q.与えることのみできないではないか。(퍼주기만 할 수는 없지 않나)

彼が韓国語で答えた。

「企業は金を儲けなければ。企業は金を儲けなくてはね。」

文顯進會長を「サタン」、「堕落した天使長」だという激しい表現が統一教の一角で広く知られている。彼はこれをどう思っているだろうか。

▼Q.「サタン、堕落した天使長」という表現は過ぎるのではないか。

彼は迷わないで答えた。

「それは私たちの神学で非常に分明(ぶんめい)な(=明らかな)事実です。私たちの神学を勉強する機会があればそれがどれくらい明確なことか分かるでしょう。神学的には正確です。アボジは私たちのメシアであるハナニムの代身者です。アボジを助ける教会指導者は天使長の位置にある。ハナニムを背信した天使長のように、メシアであるアボジを背信すればそれはサタンで、堕落した天使長です。統一教神学を分からない人は理解し難いが、私たちの神学を理解する人ならばそれが非常に簡単で、適当な表現であることを知るでしょう。」

▼Q.兄が聞けば悲しがるでしょうね。

「アイ アム シュア(私もそう思います)。彼は悲しいでしょう。しかし神学的にはそのように説明するほかはありません。私たちの教会が運営される神学的枠(わく)があります。」

▼Q.文顯進會長のGPF活動は統一教とは関係がないものか。

「関係ありません。」

▼Q.文鮮明總裁の御旨と関係がない…?

質問がまだ終わる前に彼が韓国語で答えた。

「アボジの御旨と関係がありません。」

▼Q.混乱に関連した和合のメッセージを話してください。

「アボジは私の末の弟の文亨進世界會長を後継者に指名した。クン(大きい)兄任(ヒョンニム=お兄さん)はこれに同意せずに、郭錠煥會長と兄任(ヒョンニム)が美国にある私たちの教会財団の中の一つを掌握して自分たちのグループを作っているようです。私の考えではほとんどすべてのメジャーの宗教歴史でよくあることです。大部分の大きい宗教を見れば創始者がいて、創始者の次に分裂があって、また合わされる。それほど大変な事だとは思いません。」

▼Q.平和を愛するという宗教で争いが起きたが。

「宗教というものは人類の現在の状況を超越する何かを追求することです。現実はハナニムの神聖な状況から離れているので救援を必要とします。私たちが平和を言うのは世界がそれと距離が遠いからです。」

●「私たちはクリスチャンだ」

文國進理事長と文顯進會長は統一教の現位置と未来を見る視角が違う。「アボジは宗教を立てろと言わなかった」だというのが兄の主張で、弟は「統一教は文鮮明總裁をメシアと信じる基督教のある分派」と定義した。

▼Q.統一教は基督教のある分派なのか。

「私たちは基督教人(=クリスチャン)です。イエスニムはハナニムの独り息子であり、この地に来られて人類に罪を蕩減しようと十字架に釘打たれて亡くなったし、彼により人類はハナニムの大きい祝福と恩寵(おんちょう)を受けました。ただし既成基督教と私たちの神学的差異は、私たちはレバレンドムーン(文鮮明牧師)が再臨キリストとしてこの地に来られたと信じます。」

(同じ質問に亨進任は、「誤解があるようだが、統一教は基督教ではない。」と言われた。)

統一教の公式名称はしばらく世界平和統一家庭連合だった。彼が実権を占めた後「統一教」という表現が強調された。文顯進會長側は統一教という名称がよみがえったことを不満に感じる。組織を維持しようとする勢力が創始者の意をわい曲しているということだ。二人の兄弟はメシア観も違った。

▼Q.文鮮明總裁を信じてこそ救援されるのか。

「そうです。加えて祝福を受けなければなりません。ハナニムの宣教目的は個人が個人として存在するのではなく、家庭の中で存在します。ユダヤ教とイスラエルがイエスニムを受け入れたとすれば十字架で亡くならないで家庭を持っただろうと私たちは信じます。個人の救援でなく家庭の救援を強調することが既成基督教と私たちが違う点です。」

統一教で言う祝福は、文鮮明總裁が主管する結婚式に参席して家庭を作ることを意味する。

▼Q.文鮮明總裁をメシアと信じながら祝福を受ければ救援されると理解すれば良いか?

「そうです。」

彼は統一グループを任せられた後、構造調整(=人員削減)を通じて企業群の負債比率を低くした。教会にも成果主義を導入した。信徒数、献金金額のような実績を物差しに牧會者を評価するのである。文顯進會長を支持する側では、「献金金額で牧會者と教会を評価することができるか」と批判する。

▼Q.構造調整に不満を持った人が少なくない。

「個人的には働き口を失った人を残念だと考えます。構造調整プロセスは苦痛です。構造調整をしてみた人はそれが人気を得られないことというものをよく分かるでしょう。叫びを聞かなければならず、脅迫、デモもあって、人々が泣いて、怒って….」

▼Q.教会構造調整は…。

「反感はあるでしょう。」(반감 있지)

彼は韓国語で話した後、英語で付け加えた。

「私が解雇された境遇ならば気を悪くして失望するでしょうが、その方たちに言うことは、そのような困難のおかげで教会が繁栄しているということです。」

●教会にも成果主義導入

文國進理事長に批判的な人々は、宗教の役割の中の一つの対社会活動が大幅に減ったと鋭く突く。宗教本来の活動を軽視するというのだ。

▼Q.NGO活動が減ったが。

「今は生産的な面を強調して、非生産的な部分を強調しないでいます。統一教が基盤です。それを強化しなければならない。」

▼Q.統一教の未来は…。

「明るい。構造調整を通じて教会信者数がだいぶ増加していて、献金金額も増えています。」

▼Q.美国でどんなビジネスを。

「大学を卒業して美国で事業を始めました。銃を作る会社を運営します。銃に関連した特許7つを持っています。」

彼はハーバード大を卒業して、マイアミ大でMBAを終えた。美国で運営する銃器会社「カー」の売り上げは1000億ウォンを越えるという。韓国と美国を行き来しながらビジネスをしている。

MBA:マスター オブ ビジネス アドミニストレーション(Master of Business Administration)経営管理学修士。経営学修士。

統一グループ系列社を訪問する文國進氏

▼Q.韓国で最も集中する事業は?

「最も大きいのはリゾート事業です。リゾートビジネスは資産は多いが資産に対する利潤が少ない。私が好む事業分野ではありません。」

▼Q.世界日報、ワシントンタイムズの状況は….

「世界日報はだいぶ良くなりました。赤字が270億ウォンであったのに15億ウォン以下に減らしました。ワシントンタイムズはまだ赤字が多い。」

ワシントンタイムズは統一教が1982年美国で創刊した新聞である。発行部数は少ないけれどワシントン政界でそれなりの影響力を持った。李ミョンバク大統領が文を寄稿したこともある。(2010年6月26日付)三男文顯進會長が運営したが、昨年11月所有権が変わった。

▼Q.兄が渡してくれたのか。

「アボジが買い戻された。購入した。」

<1部>で言及したように統一教は昨年借金を抱え込む条件で1ドルでワシントンタイムズを買収した。ソウル(の指示)で財政支援を切って経営が悪化したというのが文顯進會長側主張だ。

▼Q.支援をしなかったので会社が難しくなったというが。

「私たちは実際にワシントンタイムズに資金を送りました。私たちが送金した目的でお金が使われないことと理解します。」

▼Q.今持った肩書中、最も大切なのは何か。

「銃を作る会社を運営することに楽しみを感じます。」

▼Q.所得は銃器会社だけ得ているか?

「そうです。教会のことは頭が痛いことが多い。教会のような宗教を信じる人を助けることなのでやりがいを感じる。」

彼は韓国語でこのように付け加えた。

「事実、頭だけ痛いです。」

●「世界の過半数宗教になること」

▼Q.文鮮明總裁の息子ではなかったとすれば、この世で生きるのが気楽だったということは…。

彼は遠まわしに話すことがなかった。質問が終わる前に「(そうだと)よく思います」と韓国語で答えた。

▼Q.韓国文化が退屈な時はないか?

「初めは少し大変だったがたくさん慣れました。仕事が常に忙しいから、仕事だけするから他の考えをたくさんできません。」

▼Q.これからも宗教指導者になる可能性はないのか。

「教会の一員だが私の役割は実際的です。弟がもっと立派です。もちろん私は宗教家です。私に私たちの神学を説明しろと言うなら説明することもできます。」

▼Q.地上の天国はいつ到来するか。

「私たちの宗教的見解ではトゥルーファーザー(統一教で文鮮明總裁を示す言葉)はハナニムの御旨を完成することに勝利した人です。この時代は再び来られるクリストのために準備された時代です。世界がこのように繁栄し、科学技術が発達し、多くの人が良く暮らす理由がすなわちそれです。私たちの神学は地球の上に天国を作る枠組みをハナニムが準備したと考えます。しかし、過渡期があります。地上の天国へ行く過程にハナニムがお作りになる困難がありえます。世界が(思った通りに)動く姿を見ると私たちの信仰が正しいということを確信することができます。統一教が世界の過半数宗教になるだろうと私たちは信じます。」

ソウル、麻浦(マポ)の事務室は素朴(そぼく)だった。持ち物にも実用主義者のにおいがした。子供が六人といった。「子育てが難しくないか」と尋ねた。

「易しくない時もあります」、と韓国語で答えながら彼が初めて笑った。

(2部、國進任のインタビュ-終わり)

■3部 UCI會長文顯進(文鮮明三男)

「私は私の生(せい)を生き、私の道を歩んでいる」

文顯進UCI會長兼GPF理事長は漂う雰囲気が熱い人だ。彼は達弁でありカリスマがあふれた。インタビューは美国、モンタナ州ポズモンのある旅館でなされた。ポズモンは狩猟観光地で有名なところだ。

彼は文鮮明總裁の息子七人中の三男だが、長男と次男が亡くなって実質的な長男の役割をしてきた。美国コロンビア大で歴史学を専攻してハーバード ビジネス スクール(MBA)を卒業した。彼は気骨が壮大だった。国家代表乗馬選手としてオリンピック(1988年、1992年)に出場したこともある。今年四十二歳の彼は子供が九人だ。長男が大学卒業予備生とのことだ。子供を産み育てる話がインタビューの雰囲気を和らげる役割をした。

▼Q.こちらになぜきたか?

「山の中で精誠も捧げ、動物も世話している。自然は常に学校と同じだったし、礼拝の場所でもありました。」

▼Q.狩猟、釣りを楽しむとかいうが、それも同じ脈絡なのか。

「そうです。アボジとともに自然に出て行ったりした。あなたが原理講論を読んでみたことがあるかもしれないが、多くの内容が自然からインスピレーションを得たのです。」

原理講論は文鮮明總裁が著述した統一教の教理書である。

●「私たちはキリスト教の分派ではない」

文國進理事長とのインタビューが現実的だったとすれば、文顯進會長とのインタビューは哲学的だった。世俗的な質問をしても哲学的に答えた。はい、いいえを尋ねたストレートな質問にも彼は短く答える場合がほとんどなかった。

彼は宗教観、メシア観が弟のそれと違った。フレームが違うので、正しいとか正しくないとか問い詰めることはできない問題である。

▼Q.アボジがメシアと信じるか。

彼が真剣な表情で答えた。

「私たちの中でもこの表現を使うのが好きですが、私はまずメシアという単語が持っている多様な解釈と意味に対して話しましょう。メシアという概念はユダヤ教で、または、キリスト教でその中の教団ごとに他の意味を持っています。イスラム教が理解するメシア概念もまた違います。私のアボジをメシアと信じるのかと尋ねればその中のどの観点で話をしなければならないのか?私が信じていることを説明しましょう。その方が人類の前に貢献された方だと信じるのかと尋ねればそうだと言います。神の下(もと)人類一家族(ワン ファミリー アンダー ゴッド)の夢を起こした方と信じるのかと尋ねるならばそうだと言います。」

▼Q.文鮮明總裁を信じてこそ救援される(=救われる)ということに同意するか。

「信仰基台と実体基台というものがあります。盲目的な信頼や信仰だけでは救援に至ることができなく、自身の人生の中で見せることができる実績と実践がなければなりません。」

彼は誰でも霊的な指導者になることができるといった。哲学的問答が行き来しながら彼が仏教的世界観を持っているという気がした。もちろん彼は同意しないだろう。文鮮明總裁をメシアと信じて、祝福を受けてこそ救援されるという文國進理事長の宗教観とは筋が違った。彼は特定宗教、特定信仰に埋没することに否定的だった。

彼はこのように付け加えた。

「統一運動の中でメシアという概念は幅広く使われます。そこには国家メシア、宗族(そうぞく)メシアという概念もあります。したがって私たちが理解するメシアの概念はキリスト教やユダヤ教とは違うと見ることができ、もう少し開放的で拡大したものと考えられます。アボジは一度も統一教会だけを通じてハナニムが役事されると信じられなかったし、今後もそう言われるでしょう。事実統一教会はアボジがお創りになった教会の正式の名前ではなくて、実際の名称は世界基督教統一神霊協会です。ある人々は私のアボジを統一教会の創始者と考えますが、その方は自らを統一教会創始者とは考えません。」

彼はアボジを統一教という宗教でない、「統一運動」の開拓者と考えた。

●「私は宗教の枠組みを脱けた」

▼Q.それなら統一教がキリスト教の分派と感じるのは誤りなのか。

(顯進任)が問い直した。

「あなたはどう思うか?」

深く考えてみたことはないが、(記者は)「誤りであるようだ」と言った。

(顯進任)は「それなら、私も同意する(Well,then I might agree with you)」と話した。

▼Q.あなたの宗教は何か?

「私は宗教の枠組みを抜けた者です。」

彼はこのように付け加えた。

「宗教指導者は自らの宗教と特定信仰を擁護します。私は宗教指導者でなく霊的なリーダーです。そうした方々が各宗教ごとにたくさんいます。仏教だけでなくキリスト教にも多い。私と親しいペレというビショップはブラジルで最も大きいキリスト教宗教団体の代表ですが、偏狭な宗教の枠組みから抜け出て、ブラジルだけでなく南米大陸で社会的変革がなされるように努力しています。世界で最も大きいイスラム市民団体のNUの最高指導者のインドネシアのサイド博士も同じです。」

NU:ナフダトゥル・ウラマー(Nahdlatul Ulama、略称NU)とは、インドネシアの最大規模の動員力を持つイスラーム系組織。宗教教育と周辺共同体の福祉向上といった活動を中心的に行なっている。

彼は制度としての宗教に対して否定的だった。

「(宗教は)弟子たちと追従者が創始者のメッセージを解釈しながら次第にこれを制度化したものです。組織ができれば官僚主義ができ政治が生じます。」

彼は「ユニフィケーションムーブメント=統一運動)」という単語を主に使った。「ユニフィケーション チャーチ」つまり「統一教」という表現は統一運動と比較する時だけ使った。

彼が統一教内紛を見る視角は次のようだ。

「私のアボジに、教会を作ろうとして来られたのかと尋ねれば、違うと答えられるでしょう。根本的なメッセージを実現しようとする勢力と、組織を維持しようとする勢力の葛藤はいつも存在するという事実を理解しなければなりません。」

文國進理事長が強化しようと思う「統一教」、ではない宗教の枠組みを抜け出した「平和運動」であるから(顯進會長)自身が遂行する「統一運動、ユニフィケーションムーブメント」がアボジが抱いている御旨であるという主張である。

●「信徒を所有することができるのか?」

彼は天宙平和連合(UPF)共同議長、世界平和青年連合会世界會長をはじめとする核心の職責をたどりながら統一教の後継者になるという評価を聞いてきた。2008年UPF共同議長から退いた後、後継者競争から脱落した。

▼Q.3年前UPF共同議長から退いた。今と同じ考えが影響を及ぼしたのではないのか。

「リーダーシップについて話してみましょう。地位や権力、お金の力で指導者になるのではありません。リーダーシップは他の人が感動を受けてついてこれるように見本を見せることです。私が組織を引き受けた後UPFは大きく発展しました。しかし私が退きながら目的と方向が変わりました。それでGPFを立ててそのことを継続してきているのです。」

▼Q.辞めたら虚しくはなかったか。

「私は地位、権力、お金が動機になって動く者ではありません。」

▼Q.成果を出せなくて退かされたと知られています。

彼の声が高まった。

「それを信じるのですか?私が成果を出せない者だと考えるのですか。」

▼Q.統一教多くの人がそのように考えていると見るが。

「そうだと確信しますか?」

▼Q.組織としての宗教を建設しようという主張に明確に反対するのか。

「私が言おうとすることはそれではありません。自分の宗教の枠組みから抜け出せということです。いくらでも宗教を立てることができますが、その宗教の枠組みに拘束されてはいけない、偉大な信仰指導者たちの根本の教えに忠実でなければならないということです。宗教間葛藤が世界的次元として極大化する可能性が大きい今はより一層そうすべきです。私が焦点を合わせるイシューは私のアボジの生涯と活動がどんな業績として残されるかということです。」

▼Q.あなたの話のとおりならば統一教に後継者がいるということ自体がナンセンスだ。

「あなたがナンセンスと話したので私は笑います。(Well.you said it's nonsense.I am laughing)」

▼Q.アボジのような人になりたいという考えはしてみなかったか?

「アボジのようになりたいと話したことがありました。アボジは、「あなた自身になりなさい」と激励しました。私は私の生(せい)を生き、私の道を歩いています。」

▼Q.宗教に後継者があると見るか?

「資産に対する所有権が明らかな会社とは違い、宗教のような信仰の世界であなたが信徒を所有することができると見ますか?人を所有することができると見ますか?違います。物質的な資産を所有する会社とは違います。誰が後継者イシューを始めたのかは分からないけれど、これが重要な懸案だとは見ません。サイドショー(Side show=副次的なこと)に過ぎません。三流言論とかつまらないドラマにでも出てくる内容です。(It is a tabloid,It is a fluffy drama).」

▼Q.それなら重要なイシューに対して健康な論争が進行していると見るのか。

「そうです。」

●「失望したのかと?もちろんそうです。」

▼Q.ヨイド土地問題はどのように理解しなければならないのか。

彼の返事ははっきりしなかった。(아리송했다)

「私もどのように理解したらいいかわからない。どのように理解したらいいかわからない人が他の人にどのように理解しなければならないかを説明できますか?」

▼Q.財産を置いて争うのか。

「そのような噂が広がっていること自体が不幸なことです。私のアボジと私の家庭、そして全体統一運動を誤解するようにさせるだけでなく引き降ろすことです。」

彼は文鮮明總裁の意を強調しながら曖昧に他の話題に移ろうとした。率直でない返事という気がしたが文句はつけなかった。

「アボジはいつも韓国に寄与しようと思っていました。経済的な面で汝矣島(ヨイド)プロジェクトは韓国に数兆ウォンの投資を誘致するプロジェクトです。アボジは韓国を発展させる夢を持って生きてこられたし、韓国に帰国すれば汝矣島(ヨイド)敷地に訪問して祈られたりした。汝矣島(ヨイド)プロジェクトがソウルにものすごい活力を持ってくるでしょう。そのような面で李ミョンバク大統領がソウル市長だったときに緊密に協助した。(最近大きくなった問題は)不幸で恥ずかしいことであり統一運動の真の姿ではありません。」

▼Q.ヨイドの土地で統一教会信者がデモをした。聖地として作らなければならないということだ。

「多様な人がいるはずです。彼らが全体を代表すると見ることはできません。美国のある牧師が公共の場所でコーランを燃やしたことがあります。美国政府がそのようにするなと頼んだのにそのような行動を継続するとしました。その結果アフガニスタンで大きい暴力事態が発生して美国の若者たちが犠牲になりました。コーランを燃やした牧師の行動がキリスト教を代表しないということを、汝矣島(ヨイド)で起こることを比喩するものとして見ることができるでしょう。」

▼Q.解決する方法はないか。譲歩したり。

「解決策を尋ねるのですか?説明できる限り十分に説明したと思います。」

▼Q.答えたくなければしなくても良い。

「十分に説明したと思います。」

▼Q.統一教財団であなたを攻撃する様相なのに、残念な感情はないか。

「残念と見られますか?」

▼Q.残念ではないか?(서운하지 않나?)

「この困難がすべての人がより大きく成長して発展する機会と見ます。私が失望したのかと?もちろんそうです。世の中には色々な種類の人が存在する。あらゆる多様な状況を消化する能力がなければ世界的な運動をどのように導いていけますか?」

▼Q.怒らなかったということなのか。

「私も人です。怒ることができます。しかし時間が過ぎれば消える感情が私の行動と仕事を支配するようにするでしょうか?違います。大衆言論を通じて報道される内容が本来の統一運動を代弁しません。成熟した人はこのようなことがどの組織でも起きることができるということを理解するでしょう。人々が汝矣島(ヨイド)を中心として起こる事件によって、統一運動全体を非難したり私のアボジに対する誤った結論を下さないことを願います。」

▼Q.言論によればオモニを告訴して非倫理的と言うが….

「どの言論をいうのか。その報道機関が報道した多くの内容を撤回しようとしていることを知っていますか?その記事を中心資料として使わないように望みます。」

中央日報の報道より先に時事ジャーナルが統一教内紛を扱いながらWTAと統一教宣教会の訴訟を言及したことがある。時事ジャーナルの報道を信徒が読めば文顯進會長に拒否感を持つ内容がたくさん含まれている。

▼Q.その背景に何があると見るか。

「私にまた推測しろと言うのですね。」

この大きい課題で彼が興奮した。

「私が先に尋ねます。私をインタビューするのが私に対して知りたかったからなのか、そうでなければ韓国で創造されているタブロイド(=三流)ドラマと私を結びつけるためですか。」

彼はこのように付け加えた。

「統一教財団でも教会本部でも信徒が何をしようが、どんな讒訴(ざんそ)をしようが私とは何の関係もありません。私のような次元で仕事をする人には常に謀略する者がいます。そのような内容に答えさせようと思うことは私に無責任です。私は私の個人だけを代表するのでなく私が代表するすべての人を代表します。誰かが無責任に行動するといって私も無責任に行動するならばそれも無責任です。」

彼が興奮したのが目に見えた。

▼Q.統一教財団ではあなたがすることが創始者の意に逆らうことだという。(어긋나는 것)

彼が問い直した。

「財団で本当にそのように言ったか?」

▼Q.公式的にそのように話した。

彼は仮定、推測を要求する質問には答えないといった。

「見ていなさい。私がそれに対してどのようにコメントするか。」

▼Q.韓国社会で長男が持った意味が小さくない。弟と和解するメッセージを伝えてください。

(あなたは)ある前提を持って質問しています。ある前提、仮定することによりどんな話しを書くかが決定されます。私が見るには葛藤、残念な感情が存在すると仮定するようです。私はそうではないが、相手側はどうかわかりません。それを推測することもできなく、推測するには私がすることがとても多くて忙しい。私は事実長男でない。もちろん生きている子供の中では長男です。長男の位置が重要なのはただ韓国だけというのは違います。美国も同じです。長男の責任は家庭でどんなことが起こっても父母と家庭、その方が代表する全てのものに栄光を返すことです。私は私が愛して出てきて血縁関係のすべての人を尊重する生活を送りたい。血縁関係は絶対的であるからです。誰も父母や兄弟姉妹を選択できません。弟がどのように行動したとしても兄としてデグニティ(品位)を守らなければならないと信じます。私は韓国国民が私のアボジを(宗教の創始者でない)人類の希望を目覚めさせた方として正しく認定されることを願います。」

●「現実に土台を定めなかった理想主義者かと?」

GPFは美国、ワシントンに本部を置いたNGOである。宗教的利己主義を超越した超宗教運動、家庭の価値、奉仕に焦点を合わせた非営利機構という。ケニアでナイロビ川の浄化事業を展開しながら政派間紛争を克服することを助けたと彼は説明した。GPFはネパール、ブラジル、インドネシア、フィリピン、モンゴルなどでも活動している。「一回だけの行事で成し遂げることができることが何があるのか。統一教の資産を浪費している」と一部の統一教人士たちは批判する。

「開発途上国はこれ以上西欧社会をモデルとみません。ケニアで互いに政敵の大統領、総理が一カ所に集った中でGPFが主管する国際会議が開催されました。その行事で韓国のセマウル運動を強調しました。」

8月にモンゴルでGPF大会が開かれるという。彼はモンゴルでしていることに対しても長く説明した。

「モンゴル指導者の中に北韓最高指導者と深い関係を結んだ人が多い。モンゴル大統領が後援者として立ったモンゴルGPF大会は東北アジア平和定着と関連して重要な行事になるだろう。」

彼はスケールが大きかった。「普遍的霊性」、「神の下(もと)の一家族、ワン ファミリー アンダー ゴッド」という表現を使った。

▼Q.あなたはアイデアリスト(理想主義者)なのか。

「そうかも知れない。私は分からない。あなたが話してみなさい。多くの場合、人々が理想主義者という単語を使う時、その単語は頭は雲中(うんちゅう)にあって現実に基づいていないとの否定的ニュアンスを与える。あなたが私を見る時そのような理想主義者と考えますか?でなければ世界に基礎を置いて希望を成し遂げることができるイシューを目覚めさす理想主義者と考えますか?私は分からない。自らを評価するということは愚かなことです。あなたが判断しなさい。」

彼のアボジは2009年に「平和を愛する世界人として」という題名がついた自叙伝を出した。彼は出版記念会に参加しなかった。

▼Q.出版記念会の時は行かなかったか。

行かなかったというか、行くことが出来なかったのかを尋ねることです。

彼はこの質問に答えなかった。

●「このままならば韓鶴子(ハンハクジャ)氏が実質的教主であり実権者になる」

兄弟間争いでどちら側にも入らない人士たちは、黄善祚(ファンソンジョ)天宙平和統一連合(UPF)韓国會長に対する期待が大きかった。

「2月、文鮮明總裁が黄善祚會長を中心に立てなさいと言われた」という話が信徒たちの間で出回る時、これらは鼓舞された。

統一教の財政権と人事権、宗教行事関連の実権が文鮮明總裁の手を離れている状況で、彼が黄善祚會長を通じて親政復帰を試みたとのいうのが彼らの説明である。

黄善祚會長は彼らの期待に符応(ふおう)することはできなかった。彼は5月2日、「チャム子女任(チャニョニム)に心配をかけたことに謝罪する」、「文國進理事長に謝罪申し上げる」、「業務推進時過失があったし透明性を確保する」という内容が込められた誓約書に署名した。

符応(ふおう):天命と人事がお互い応じること

                  ▲黄善祚会長誓約書

中立を標ぼうした人士たちはこの誓約書に「屈辱」という単語を取ってつける。黄善祚會長が白旗(しらはた)投降したということである。

統一教のある幹部は、「文鮮明總裁に外側世論を伝達する最後に残ったルートが消えた」と言いながら惜しんだ。彼は、「このままならば実質的教祖であり実権者は韓鶴子女史になるものと見られる」と展望した。

統一教は信徒たちを対象に、「チャンプモ生涯路程摂理史講義」を進行している。この講義の結論は、「韓鶴子女史はハナニムの夫人」「文亨進會長は摂理的な後継者」というものである。

(記事翻訳終わり)


●参考

▼亨進任のメシア観

記者:「統一教が自ら『私たちは基督教ではない』と宣言すれば基督教と統一教の間の葛藤がたくさん解消されないだろうか。」

亨進任:「誤解があるようだが私たちは基督教教団ではない。

記者:文鮮明總裁はメシアなのか。

亨進任:「そうだ。」

記者:「彼は神なのか。」

亨進任:「ただ人であるだけだ。しかし彼はハナニムの愛を完ぺきに受け継いだ。」

記者:「彼は最後のメシアなのか。彼が亡くなればハナニムは新しいメシアを送るだろうか。彼は唯一のメシアなのか。」

亨進任:「アポジはハナニムの愛を全て人類のために受け継ぎ伝播する。アボジは勝利したし、メシアとしての役割を完遂した。メシアは他に必要がない。自身の宗族と民族のためにハナニムの愛を受け継ぐ宗族メシアと民族メシアはいる。」

中央サンデー 2009年11月22日

「アボジは健康だ。承継に関する限り混線はない」

統一教 教会部門 後継者、文亨進(ムンヒョンジン)牧師

http://docs.google.com/View?id=ddprmknb_3335fvbt82fm