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zLog で CW の通常交信をしよう!
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zLog で CW の通常交信をしよう!

坂東入香

はじめに

皆さん,CW で通常交信をしたことはありますでしょうか。私自身のまわりでも,CW はコンテストのみで,通常交信はしていないという方が多いです。その理由として,コンテストはコールサインとナンバーのみの簡潔で定型的な交信である一方,通常交信では,オペレーターネームや QTH などさまざま情報交換をしなければならなず,ハードルが高いということ,コンテストではパソコンキーイングでの運用をしており,通常交信は自由度が高くコンテストほど定型的でないため、コンテストのような形でパソコンキーイングでは限界があるとお考えの方が多いことがあげられると考えます。しかし、私自身、コンテスト同様にパソコンキーイングのみで通常交信を行うことは限界はあるものの、実現できています。

本記事では,コンテスト用ログソフトである zLog を用い、独自の CFG ファイルを作成することで、PC キーイングのみでパドルを用いずに CW 運用している事例・工夫について紹介します。これから CW の通常交信をしてみようという方の参考となれば幸いです。

CW での通常交信の例

CW での通常交信を始めて1年というまだまだ初心者ですが,7 MHz, 10 MHz での交信を実際にしたり,あるいはワッチした経験としては,多くの QSO はレポート交換のみの場合が多いように感じます。交信例を以下に示します。

A: CQ DE JA7YAA JCC 060101 K

B: JH7YAA

A: JH7YAA GM UR 5NN BK

B: BK GM UR 5NN FB BK
A: QSL 73 TU E E

というような,簡潔ないわゆる599 BK 交信と言われるものです。私自身は,まずは,このスタイルの交信ができるようにしながら,オペレーターネーム,QTH などもやり取りできるように,ある種 599 BK 交信に徐々に肉付けをしていきました。

オペレーターネームや QTH を交換する交信は例えば以下のような交信です。

A: CQ DE JA7YAA JCC 060101 K

B: JH7YAA

A: JH7YAA GM UR 5NN FB BK

B: BK GM UR 5NN HR QTH JCC 060101 ES OP NAME YAGI  BK

A: R HR QTH JCC 060101 ES OP UDA HW? BK
B: QSL TNX FB QSO 73 TU E E

A QSL 73 TU E E

上の交信例の通り,私自身は相手が打ってきたり,聞いてきたりした場合のみ,QTH やオペレーターネームを送信しており,多くの場合は599 BK 交信となっています。

ここで,CQ を出す側の送信メッセージを整理すると,主に以下のメッセージを組み合わせることで構成されていると思います。

そこで,これらを事前に zLog に送信メッセージとして記録しておくことで,パドルを使わずに交信できるのではないかと考えました。

zLog の定義ファイル,cwmessage ファイルを作成する

zLog では,ログを取る際に得点の集計方法,送信メッセージ,マルチについての情報が記載されている定義ファイルを読み込みます。今回,通常交信用の定義ファイルを作成してみました。定義ファイルは二種類あり,一つは得点の集計方法や送信メッセージが定義されている cfg ファイル,もう一つはマルチについて記載されている dat ファイルです。

#.cfg

#通常交信

prov        06; $V 都道府県ナンバー

city        060101; $Q JCC/G ナンバー

f1_a        CQ DE $M QTH JCC $Q K;

f2_a        $C $G UR $R BK;

f3_a        QSL TU DE $M K;

f4_a        CQ $M K;

cq2        CQ DE $M $M K;

cq3        CQ DE $M K;

power        HHHHHHHHHHHHH;

;

dat        #;                DAT FILE

;

jarl        on;

sendnr        $Q$P; 送信ナンバーJCCG + PWR code

mode        on;

warc        on;

nomulti        off; マルチを使う

unlistedmulti        on;

TIME        JST;

USEPERIOD        OFF;

STARTTIME        -1;

usesentrst        on;

以下に,cfg ファイルを作成する上で参考にしたサイトを示します。

cfg ファイルのフォーマット:ユーザー定義コンテストの仕様(CFGファイル仕様) - zLog令和版

置換マクロ:CWキーイングの設定 - zLog令和版

各パラメータの意味は上記サイトで詳細に確認していただければと思うのですが,簡単に述べると,$ とアルファベットで示されているメッセージは置換マクロと呼んでいる条件・設定によって値が変わるメッセージです。例えば $Q は cfg ファイル内の city で設定した値になります。

また,運用毎に必ず変えなければならないメッセージとしては,city です。この値には運用地の JCC/JCG コードを設定してください。他は運用ごとには変えていません。

特に工夫した点としては,相手の jcc/jcg コードを rcvd 欄に入力することで、市郡をマルチとして保存・表示できるようにしたことです。jcc/g コードは送ってこないこともありますので,undefmulti, unlistedmulti は on にしています。jarl という末尾のアルファベットをカットする機能も on にしています。

cfg ファイルの作成は、網掛部分をメモ帳などのエディタに貼り付け、#.cfg として保存してください。保存先は CFG/DAT の保存先です。保存先は、ハードウェア設定 -> 各種フォルダ で確認してください。特に設定していない場合は、zlog.exe と同じディレクトリ内で良いようです。

dat ファイルは全市全郡,ALL JA の定義ファイルを合体させていますが,長くなるので省略します。dat ファイルは #.dat という名前としていますが,dat ファイルの名称を変える場合は cfg ファイルの dat のパラメータを変える必要があります。dat ファイルはマルチを使用する場合は必ず用意してください。

また,zLog には,cwmessage と呼ばれる設定したメッセージをクリック一つで送信できる機能があり,以下のメッセージを登録しています。messgae の B に登録しても良いと思います。

cwmessage.txt

CQ

        CQ DE $M JCC $Q K

        CQ DE $M $M JCC $Q K

Template

        OP NAME UDA

        HR QTH JCC $Q

        POTA JP xxxx

        QSL 73 TU E E

        CFM TNX FER FB QSO 73 TU E E

        BK $G UR $R BK

        ES

        BK

        HW?

        RST?

        E E

オペレーターネームや QTH の送出は cwmessage により対応させています。

実際に交信してみる

zLog の立ち上げ

ビルドインされていないコンテストはスコア係数の上にある「選択」をクリックし,定義ファイルを選択する必要があります。

定義ファイル選択画面で,作成した「通常交信」の定義ファイルを選択します。その際に,「CFG編集」をクリックし,市郡が現在の移動地になっているか毎回確認しましょう。

ログの保存ファイルの作成・選択などをすると、zLog が立ち上がります。私自身は,以下の画像にある画面を表示させています。

呼ぶ

CQ を出すときは,F1 or F4 です。F1 は長めの CQ,F4 は短めの CQ に設定しています。

局が呼んで来たら,コールサイン欄に相手のコールサインを入力し,Tab キーを押します。すると,F2 に設定されているコールサインが送信されるとともに,rcvd 欄にカーソルが移ります。

レポート交換のみで QSO を終える場合はセミコロンを押します。op name, qth などを交換する場合は,cwmessage や画面右下に出している CW Keyboard を用いながらメッセージを送信しています。その際に,相手局の jcc/jcg ナンバーは rcvd 欄に,オペレーターネームはメモ欄に入力しています。(実は,入力した内容をスプレッドシートに転記して管理できるプログラムを自作していたり... その話はまたいつか...)

意外にも,通常交信でも問題なく使えることがわかっていただけると思います。

感想とまとめ

コンテストと同じ感覚で使えることが zLog を通常交信で使えるメリットだと思います。例えば,Super Check や N + 1 は過去に交信した局から候補を表示してくれるので,一部コールサイン聞き取れなかった場合などは非常に便利です。キー操作なども,zLog に慣れているので,すんなり使えました。ただ,一方でデメリットとしては,zLog の仕様上だと思いますが,送信 RST が 599 固定です。相手の信号がどんなに弱くても 599 しか送れません。(もし 599 以外を送8る方法を知っている方がいたら教えていただけますと幸いです。)(追記:599 以外の RST も送信できるよう、仕様変更されたようです)また,今回の事前にメッセージを登録しておく方法は 599 BK + α の交信にはなじむと思いますが,いわゆるラグチューのような交信にはなじまないと思います。和文の送信も、zLog の仕様上対応していません。運用形態によっては、本記事で紹介した方法に限界があることは、念頭に置いていただければと思います。

ただ、紹介した方法で容易に CW での交信を実現できる一方で、私自身パドルを使えないというのもものすごい恥ずかしいので、電鍵での送信練習を頑張りたいと思います...

73 TU!