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第31回質疑応答.rtf
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9/29 第31回勉強会 質疑応答

◆当日の質問

Q1  ALAでポスター発表された、小山市(栃木県)の農業支援についてお尋ねします。

何がきっかけとなって、あのようないい活動が出来たのでしょうか?

また、どうして(他の町ではなく)小山で活動を行ったのでしょうか?

A1  小山には栗原さんという非常に熱心な図書館員さんがいらっしゃいまして、ビジネス支援図書館協議会が始まった当初から、積極的な活動をしてくださっていました。しかし、すぐにうまくいった訳ではなく、10年くらいかけて成果を出すまでに漕ぎ着けたと言えます。

最初の2年くらいはビジネスセミナーを開催していたのですが、そこにジェラート屋を開きたいと思っていた参加者が来て、「まるで自分のためのセミナーだ!」と言ったことにによって、農業支援をやってみると良いのでは、と気付いたのです。

その後も、「なぜ図書館で農業支援?」と言われながら、地道な活動を少しづつ積み上げてきました。

また小山は、他の地域からの移住を推進している町なのですが、その人たちも図書館を頼って来ます。

自分でこの土地で何か新しいことをやってみたい、でも既成の組織からはなかなかサポートを得られない。図書館は、そういう方たちの受け皿となっているといえます。

また栗原さんは今、館長さんになられていますが、仕掛けや、手回しがすごい!ALAで発表することになったときも、すぐに下野新聞の記者を呼んで記事にしてもらい、市長に報告するなど、アピールに余念がありません。今度また、ALA発表を記念してシンポジウムを開くことにしたようです。

小山が成功した秘訣には、こういうメディアや行政機構との連携もあったと思います。

◆事後アンケートの質問

Q: ALA年次大会で上映されていたという、図書館を扱った映画に興味が湧きました!映画の中で図書館職員さんや図書館という場はどのように描かれているのでしょう。見てみたいです。

A: すみません、ALA大会で図書館に関係する映画が上映されていた、というように話したのですが、よくよくプログラムを見てみると、直接、図書館を扱った映画ではなくて、メディアの問題や社会問題などを扱った映画が、広く選ばれていました。誤解を与えてしまって申し訳ありませんでした。

映画の中の図書館員の描かれ方、ということについては、最近、知ったのですが、フレデリック・ワイズマンが「エクス・リブリス」というニューヨーク公共図書館を題材にした素晴らしいドキュメンタリー・フィルムを制作し、それが山形国際映画祭でも上映されたようです。 (参考:http://www.yidff.jp/2017/ic/17ic05.html

ニューヨーク公共図書館の本館・分館の様々な活動を通して、移民や低所得層の問題、教育、子供たちへの支援、コミュニティ・エンゲージメントなどを丁寧に描き出したもののようです。私はまだ見ていないのですが、アメリカの図書館活動をまっすぐに扱った作品として、ぜひ、見たいと思っています。

◆事前の質問(当日のプレゼンで触れられなかったこと)

Q: アメリカのライブラリアンのみなさんに、日本から一番伝えたいのはどのようなことでしょうか?

A: ビジネス支援図書館協議会の活動は、アメリカの図書館に刺激を受けて始まったものです。ニューヨーク公共図書館や、ブルックリンの図書館、シムズベリー図書館など、多くの図書館の方々が、日本の公共図書館でビジネス支援活動を進めていくことに賛同し、惜しみない支援してくれました。私たちの日本の活動も、20年を経て、よくやくここまで来ました、というのを彼らにまず報告したいです。

また日本の優れた点については、しっかり伝えたいです。魅せる書棚の作り方とか書籍の紹介ポップとか、日本の図書館は、展示の仕方がとても上手だと思います。また別置コーナを作るのも盛んです。いい意味で書店からの影響があると思うし、図書館と書店の連携が始まっていることなども、伝えたいことです。

Q: 幅広くご活躍されていると思うのですが、各活動を通してのライブラリアンとしてのやりがいをお聞きできればと思います

A: ライブラリアンの仕事は今、すごく広がっていると思っています。情報を選んで、まとめて、流通させる、というスキルは、どの社会においても必要ですし、人のニーズを聞き出し、それに対応できる情報や人を見つけてきてその人に繋げる、という仕事も、かつてなく求められていると思います。

ライブラリアンの仕事を枠にはめず、これもありだね、こんなこともできるね、という形で発展させていけたらいいな、といつも思っています。

Q: エンベディッド・ライブラリアンとはどういった職業なのか。また、これまでどのようにキャリア形成をされてきたのか。

A: エンベディッドの話は今回はできなかったので、もし興味があるようでしたら、「情報の科学と技術」 2015年2月号に拙稿を掲載しておりますので、そちらを読んでいただければと思います。