ワールドワーク2021 開催の宣言文
ワールドワークLABO
コロナ感染症が各地で広がっている現在、今回の開催決定をご覧いただいた方のなかには、次のようなことを思った方もいらっしゃると思います。
これらは私たちの中に聞こえる自分たちの声でもあります。私たちはワールドワークにおいて「すべての声を大事にする」ということを大切にしています。そのため、上記のようなコロナ感染症に対する不安や心配の声を尊重しつつ、同時に対面でお互いの存在を生身で感じながらつながっていきたいという思いも大事にできる方法はないかとチームで考えました。
情報を集めたり、アイデアを出し合ったり、だんだんと気が緩んでいくことも想定して、私たちが現実的にできうる限りのコロナ感染症予防策を取って、参加される方の安心安全を意識しながら開催することを決定しました。
チームメンバーには医師など医療従事者がおり、医療の専門的な観点と医療現場で実際に行われていることも含め、具体的なアドバイスを受けながら感染予防策を考えつづけています。また会場施設とも綿密な連携を取ってより包括的な対策についても考えています。具体的な対策については、後半に記載していますので、参加を検討する際の判断材料のひとつとしてご覧ください。
合宿形式で長い時間を一緒に過ごしますから、どんなに対策をしても、それだけで「100%安全です」とは言い切れませんが、お互いの喜びや楽しさ、遊び心を大切にしながら、創造性も使って安全性を高めるために協力しあっていきたいと思っています。
コロナ感染症が各地で広がっているいま、まるで戦場にでもいるような、生きるか死ぬかの間で追い詰められるような感覚をおぼえて、不安や恐怖のなかで気を休めることもできずに、毎日を過ごしている方も少なくないと思います。
状況が日々刻々と変化して、どの情報が正しいのかもわからない、先が読めない時期だからこそ、私たちはワールドワークを開催したいと思っています。
ワールドワークでは「自分の身の回りの世界で起こっていることを迎え入れ、そのプロセスを信頼する」ことを大切にしています。「コロナ感染症は、私たちになにを気づかせようとしているのか?」「突きつけられるチャレンジを通して、私たちにどのような行動を起こさせようとしているのか?」ーこのような在り方や世界との関わり方が、リビングウィズコロナの時代には、特に必要とされているのではないかと思うのです。
私たちは、過去7回、年1〜2回のペースでワールドワークの場を開催してきました。そのイベントとしてのワールドワークだけでなく、私たちにとっては、チームとしてのトレーニングの場も含め、日々の生活もワールドワークなのです。
ワールドワークは「関係性」です。それは、どういうことでしょう?
「関係性」という言葉は、英語では「relationship」といいますが、この単語は「 relate(関係がある・関わる)」「ion(こと)」「ship(性質・状態)」と分解することができます。ですから「関係がある・関わっている状態」という意味になります。
つまり、ワールドワークは、人や世界とどう関わっていけるのかということを、自分自身を含めた関係性において探求していくものなのです。現在の私たちの世界の様々な問題は、人が他の人たちや地球と関わった結果として起こったことです。様々な世界の問題は、まだ私たちが誰かや何かとうまく関われていないということを示しています。
関係性とは、あなたと私の間にある「なにか」なのです。私とあなたの間に、様々な社会の問題そのものがあるのです。性差別など、ジェンダーやセクシュアリティの問題についても同様です。
このような実践は、私たちの関係を深めながら、お互いの意識を少しずつ変化させてきました。得られた感覚や気付きや洞察が、それぞれのメンバーの家庭や職場での関係性に波及したり、さらに大きな社会や海外の問題への関心を高めることにつながったりして、チーム全体としてジェンダーやセクシュアリティにまつわるトピックに向き合ってきました。
私たちは男性ジェンダー優位の文化がどれほど自分たちの関係性に影響を与えているのかを学んできました。例えば、男性ジェンダーを自認するメンバーたちは、自分たちの特権(男性社会において構造・慣習的に有利な立場にあること)にあぐらをかき、無自覚かつ無言で、女性メンバーたちに、気遣いやその他たくさんのケアを当たり前のように強要していたかに気付き、そして、女性メンバーたちは、いかに自動的にそのケアをするロールをとってしまっているかに気付かされました。
このような気付きや理解は、お互いを縛っている価値観から解放することにつながり、私たちの関係性は以前よりも深まったように感じています。このような価値観は社会の制度や「常識」にまで浸透していることも見えるようになってきて、広いつながりを持った視野で物事を理解できるようになりました。
それは自分の存在を通して、世界に働きかけていく体験として、日常のなかに染み込んで広がっていくような感覚なのです。自分が変わっていくことで、家族や現場が少し変わる。社会も少しだけ変わる。このように、自分の内面も、家庭も、職場も、街場の出来事も、すべてがワールドワークなんだと思うように変わってきています。すべてが自分ごとの現場に変わってきています。
また、自分だけの小さな痛みや傷つきだとあきらめて引っ込めていたことが、実は「他の人も感じている痛み」である可能性もあり、「構造的でパターン化された社会的な課題」だったのだと気付かされることも多々あります。
私たちは関係性のなかで生きています。誰かとの関係性のなかで傷ついたこと、その傷がいまも癒えずにズキズキと痛み続けていることもあるかもしれません。皆さんとワールドワークの場を一緒に経験したいと思うのは、ここが私たちにとって「他では見つけることができなかった大切な場」だからです。誰かとの関係性のなかで受けた傷や痛みは、関係性のあたたかさのなかでこそ癒やされていくということを、私たち自身の関係性のなかで何度も経験してきました。
私たちは、多様で、それぞれ違っていて、でも似たようなところもあります。「自分らしくいられて、相手のことも大事にできる場」として、私たちはワールドワークを大切にしています。自分の心の奥底にしまっていたような大切な想いを勇気を出して声にしてみると、それが受けとめられる。その関係性のなかで、私たちの多様な居場所を見つけていくプロセスをみなさんと一緒に体験したいのです。
ここまで読んでいただいても「まあ、いい場なのかもしれないけれど、このコロナ禍のなか、なぜわざわざリスクを冒して集まってやらなければいけないの?」という声があることも承知しています。
それなのに、なぜやろうと決めたのか?
ここ数ヶ月、私たちもオンラインでの可能性を模索するために、チームのなかや関係性の近い人たちとのセミクローズの場で試行錯誤してきました。オンラインでできることがあることもわかった一方で、会うことでしか得られない人間として大切な質があることも痛感しました。
実際に会えるとしても、感染予防のため、いまはハグしたり、触れ合ったりはしないと決めました。それでも集まることでしか得られない価値、視線や身体の繊細な動きや震え、その他の非言語で伝わる細かなニュアンスや雰囲気を大切にしたい。一緒にいるからこそ感じられる関係性の豊かさを共に味わいたいと思うのです。このリスクがないとは言いきれない場にジャンプインしたいと思ってくれた人たち、同意できると言ってくれる人たちとだけでも、この場を一緒に開催したいと思ったのです。
また、コロナが目の前の大きな影響として立ちはだかっていますが、私たちの前にある危機はコロナだけではありません。コロナ以前からずっと様々な状況で苦しんできた人たちがいます。コロナをめぐる多様性だけではなく、私たちの社会には、もっと色々な多様性があります。私たちは、それらの多様性にもひらいていたいのです。
ワールドワークでは、個人やグループの間の関係性も扱いますが、それらは社会的な構造とつながっています。私たち自身の関係性に現れる痛みや違和感を通して、内在化された批判や習慣的なパターンや当然だと思っている無意識の行動などに意識的になっていくことで、社会の構造やシステムの影響に自覚的になっていきます。そして、それらを再生産している私たち自身が変わっていくことで、社会の構造やシステム自体を変えていくことだってできるのです。
以上のような想いをふまえ、メインテーマとして掲げているジェンダーやセクシュアリティにまつわる課題だけではなく、経済や政治のシステム、環境はては宇宙のことも、私たちの関係性を入口として、どうやって良くしていけるかを模索していける場として、ワールドワークを開催します。
2021/09/23
ワールドワークLABOプロジェクト
代表 Daya & ヘルパーチーム一同
ワールドワークLABOで考える感染予防策は、参加者が安心して合宿に参加できること、また高齢のご家族や疾患を持っているご家族の命や健康を守ること、さらには周りの職場や学校、コミュニティ、医療従事者の方々にも思いを馳せ、作成しています。細かく面倒に感じられたり、ご負担をかける点もあると思いますが、ご協力をお願いいたします。
9月25日(土)~10月9日(土)当日朝までの検温、症状等の健康チェックの際に、以下の条件に当てはまった場合は、参加をご遠慮いただきます。その際、キャンセルポリシーに準じたキャンセル料をいただきます。
※この基準は、以下のガイドラインを参考に設定しました。
※マイボトルか、名前を明記したペットボトルのみを持ち込みます。
※ペットボトルを利用する場合は、中身がなくなっても補充せずに、毎回、新しいペットボトルを購入します。