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2-3電池の起電力と分解電圧,工業への応用.doc
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物質化学工学実験III                     2電池の起電力 と 分解電圧

3工業化学への応用(2014)

2. 電池の起電力と分解電圧

3. 工業化学への応用

この実験はフリースタイルです

安全第一

グリーンケミストリーへの挑戦

PRTR法対応

2014年版

この実験テーマの担当教職員および学生ヘルパーは、常に環境にやさしい化学実験をめざして努力しています。

「グリーンケミストリー」の12箇条

1.廃棄物はできるだけ出さない

 2.原料をなるべく無駄にしない形の合成をする

     3.人体と環境に害の少ない反応物・生成物にする

 4.毒性のなるべく低い物質をつくる

5.有害な補助材はなるべく使わない

 6.省エネを心がける

 7.原料は、なるべく再生可能資源から得る

 8.途中の修飾反応はできるだけ避ける

 9.できるだけ触媒反応を目指す

 10.環境中で分解しやすい製品にする

 11.プロセス計測(「その場」計測)を導入する

 12.化学事故につながりにくい物質を使う

(P.T.Anatas,J.C.Warner 著、渡辺・北島訳、「グリーンケミストリー」、丸善、1999)

★★★この実験では、「水道」と「流し」を使用しないで下さい★★★


目 次

はじめに        

ここだけは読もう~読まないと単位認定にかかわります~        

実験をはじめる前に        

市販の薬品について        

履修の注意        

実験上の注意        

グループ編成について        

各自準備するもの        

準備されているもの        

■実験計画        

実験計画書の作成とリーダーの決定(予習で済ませてきてもOK)        

■電池の起電力 ~平衡論的取り扱い~        

銀|塩化銀電極(基準電極)の作成とエレクトロメータの較正(こうせい)        

電極電位の濃度依存性(ネルンストの式)        

溶解度積および生成定数の決定        

■分解電圧 ~速度論的取り扱い~        

析出物質による過電圧の違い        

金属の種類による過電圧の違い        

鉄のボルタンメトリ        

■表面加工とエネルギー変換 ~電気化学の工学的応用~        

アルミニウムのアノード酸化(アルマイト加工)        

金属の腐食(エッチング加工)        

二酸化マンガンの還元(アルカリ乾電池)        

エレクトロクロミズム表示デバイス(電気→色:出力デバイス)        

資料集        

テスターおよびボルテージフォロアのチェック        

コンパレータの作り方        

カレントフォロアの作り方        

関数発生器(積分器の応用)の作り方        

ポテンショスタット(ネガティブフィードバックの応用)の作り方        

        学生ヘルパー心得        

        TA(ティーチングアシスタント=指導者補助)心得        

予習のしかた        

よくある失敗例        

実験当日の周知内容(教職員、TA向け)        

PRTR法への対応        


はじめに

ここだけは読もう~読まないと単位認定にかかわります~

制限時間内で出せた実験結果およびそれを含む報告書によって評価されます。このテキストの内容は全て読んだものとみなします。

テスターは自分で準備してください。

実験は2日間です。実験結果をその場で評価します。実験時間内に終わらないときは、その実験は不合格です。レポートには署名入りの実験進捗票(じっけんしんちょくひょう)を自己採点してつけてください。

本文中のわからない用語はホームページを活用してください。

質問のメールアドレス:電気化学についてわからないところはここにメールを送ってください。

mailto:c1_electrochemistry@egroups.co.jp

イチケンのURL: レポート提出先はオフィスアワーとします。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/2614/

実験をはじめる前に

予習を行ってくること。

市販の薬品について

市販品の試薬(特に、硫酸、塩酸、硝酸など)の濃度は、慣用的に決まっているものがあります。下記の資料集などを使用して、事前に予習してくることを推奨します。


実験進捗票(じっけんしんちょくひょう)

学籍番号・氏名         ・        提出日  月  日 評点           点

共同実験者(学籍番号・氏名)_______・________、______・_______

実験グループリーダー(氏名)_____________グループ番号____―_____

確認項目(実験中に学生ヘルパーに確認署名をもらうこと)

確認署名

初回日:共通項目:実験をはじめる前の共通課題(各5点、17点)

リーダーになったか?(グループの中で1名のみ、個人評価となる。)

*

第2,3回の全ての実験計画書が作成されているか?

実験計画書の作成に意見などを発言し、貢献したか?

(内容:___________________________について述べた。)

試薬・器具などの準備されている物の確認を行ったか?

第2回目:電池の起電力と分解電圧

(☆印、★印の項目はそれぞれ2つ選択すること;各4点、26点)

☆銀|塩化銀電極を作成し、チェックできたか?

☆ダニエル電池を標準電池として、抵抗尺を較正できたか?

☆ダニエル電池の起電力が単極電位の差に一致したか?

☆電位と濃度の対数プロットが行われ、傾きがネルンスト勾配と一致したか?

☆溶解度積および安定度定数が計算できたか?

★白金による電流電位プロットが正しく行えたか?

★電流電位プロットから過電圧を計算し、析出物質による違いを示せたか?

★電極種類の異なる電流電位プロットを、極性を間違えずに正しく行えたか?

★電流電位プロットから過電圧を計算し、電極種類による違いを示せたか?

★鉄の腐食に関するボルタモグラムを測定できたか?

実際に使った試薬の使用量(1回目分)をまとめ、チェックシートを記入したか?

PRTR法に関するチェックシート(1回目)を実験終了時刻までに提出したか?

(実際に提出した人(1名)のみにチェックがつく。)

*

実験を遂行するときに、 自ら中心となって実験操作を行うことができたか?

(内容:________________については自分が中心となって実験した。)

第3回目:電池の起電力(平衡論)(☆印の項目は3つ選択すること;各5点、37点)

☆アルマイト加工および染色加工ができたか?

☆ネームプレートが作成できたか?

☆LEDを点灯でき、電池から取り出せたエネルギーを計算できたか?

☆スイッチひとつで電極の色を変えられたか?

実際に使った試薬の使用量(2回目分)をまとめ、チェックシートを記入したか?

PRTR法に関するチェックシート(2回目)を実験終了時刻までに提出したか?

  *

実験を遂行するときに、 自ら中心となって実験操作を行うことができたか?

(内容:________________については自分が中心となって実験した。)

最終日:実験終了時の確認項目(各5点,合計5点)

2回の実験の廃液の量の合計が250mL以下であるか?(実際の廃液量___________ mL)

初めに配布された実験器具や試薬などが過不足なくあることが確認されているか?

:グループ評価、個人評価(「*」印のある確認項目は各グループ1名のみ、「*」印は、各2点。)

評点(小計:____/80)


実験進捗票(じっけんしんちょくひょう 2/2)

学籍番号・氏名         ・        提出日  月  日

グループ番号____―_____

※各項目を各2点として「自己採点」し評点を記入して報告書に添付してください。

報告書(報告書に以下の内容が含まれていることを自己確認すること、各2点、

確認月日

実験終了後、2回目のオフィスアワーまで提出したか?

試薬の名称、調製量、使用量が一覧され、使用量および調製量が適切であったか?

各実験(コイン電池含む)の電池式、電気化学反応式が記述されているか?

各実験のブロックダイヤグラム、回路、配線図が結果とともに添付されているか?

全ての設問の回答が実験結果と関連付けて記述されているか?

実験計画書が添付され、実験計画と実験の達成度を比べた評価が記載されているか?※1

省略、割愛、縮小などをせずに、報告書の枚数(グラフ用紙のデータを除く)を8枚以下にしたか?

(自由記載欄)※2

(自由記載欄)※2

実験道具PR項目(実験中にTAからサインをもらうこと;レシートは添付すること;各2点)

確認署名

名前が書かれたマイノギスを持っている(証拠:レシート・その他)

名前が書かれたマイラジオペンチを持っている(証拠:レシート・その他)

名前が書かれたマイ工具(工具名:_____________)を持っている

(証拠:レシート・その他)

:グループ評価、個人評価(「*」印のある確認項目は各グループ1名のみ)

評点(小計:____/24)

レポートの提出先はオフィスアワーとする。締切は定めない。コピー・ワープロ使用可。提出後、即返却するので、担当教職員が在席のときに来室すること。代理提出は認めない。実験終了後の実験進捗票の再配布は行わない。自己採点がない場合、評点が記入されていない場合は、0点とみなしますので、正しく記入してくること。100点を超えた場合,100点とする。

※1 達成度の評価は、あくまで自分たちの作成した実験計画を実際の実験の達成度を比較し、自らの能力(実験のペースやできることやできないこと)を確認させることが目的であって、この達成度で評点とするものではない。上手にできたこと、反省すべきところ各自でまとめることが重要である。

※2 自由記載欄は、実験および報告書の作成において、他人より優れていることを記入すること。


履修の注意

実験科目は実験を行うことで履修となりますので全回出席が原則です。欠席した場合は0点となります。ただし、止むを得ない事情等で所定の条件を満たした場合に限り補講(追実験)を実施する場合がありますので、学年の担任教官にご相談ください。

実験上の注意

「危険」は誤った取り扱いをしたときに、自分あるいは他人が死亡または重症を負う恐れが高い内容を示しています。「警告」は誤った取り扱いをしたときに、自分あるいは他人が死亡または重症を負う恐れがある内容を示しています。「注意」は誤った取り扱いをしたときに、自分あるいは他人がけがをしたり評価が下がったりする恐れがある内容をあらわします。

「危険」

実験室内を走る

転倒などの大事故を恐れがあります。

携帯電話の電源を入れる、ヘッドホンオーディオを聞く。

注意散漫になり大きな実験事故を招くことがあります。また同じ理由で周りの人へ迷惑がかかります。

試薬を口に含む。目に入れる。手で触る。

実験に使用する試薬はすべて劇物や毒物です。

不用意な試薬の混合など。

組み合わせによっては突然発火したり爆発したりします。有毒ガスが発生することもあります。

「警告」

保護眼鏡、白衣などを身につけない

半ズボン・短パンを履いてくる

化学薬品により薬品やけどを負う恐れがあり、命にかかわったり失明したりします。

流しに薬液や器具を洗浄した水を捨てる

もれた薬液が環境を破壊し地域の方々の健康を損ねます。

「注意」

実験開始時に器具や薬液をチェックしない

器具を破損する恐れがあり、器具の弁済などを請求される場合があります。

器具の操作を誤る

器具を破損する恐れがあり、器具の弁済などを請求される場合があります。

無断で席を外す、無断で帰る

欠席とみなされる恐れがあります


〇器具、試薬は初日に確認し、不足があった場合にはただちに申し出る。補充が実験期間に間に合わない場合は実験未了となるので注意すること。試薬や溶液は事前に全テーマを通じて必要な量を見積もり、過不足なく調製する。また実際に調製した量を必ず控えておくこと。また、試薬や溶液、電池の消耗などは実験開始時に自分でチェックすること。試薬の補充や電池の充電が間に合わなければ、実験がそこで終了となるので注意すること。

原則として流しおよび水道は使用してはならない。実験前後の手洗い、コイン電池を組み立てる際の湿し水(しめしみず)、火災発生や応急処置、および教職員または学生ヘルパーが必要と認めた場合は例外とする。洗浄も含め全て、配布されたイオン交換水を用いることとする。ただし、薬品が付着したなどの緊急の場合は、水道を利用することとする。

〇実験結果が得られたら学生ヘルパーに署名を貰うこと。

〇迅速かつ確実丁寧な操作による正確で信頼できる結果が得られる実験技術の習熟に心がけること。

〇実験に準備されているもので必要と判断したものは、危険を生じない限り全て自由に組み合わせて使って良い。但し、器具の故障や事故の恐れのある行為を故意に行ってはならない。

〇実験終了後は現状復帰を原則とし、薬品などの消耗に気づいた場合はただちに申し出ること。

〇白金は非常に高価な金属であるから、取り扱いには十分注意すること。(磨いたりしない)

〇白金以外の電極に用いる金属は、実験に供する前に表面を紙やすりで磨き酸化物を取り除き、塩酸で表面を少し溶解させ、その後水洗いして清浄な面を出してから用いる(前処理)。

〇デジタルテスターを電圧計以外の用途で使うときはティーチングアシスタントの十分なアドバイスを受ける(後述参照)。

〇みの虫コードや接続コードは腐食されるので溶液や電解液につけてはならない。またコードの長さを十分考慮し、ビーカーを引きずって転倒させたりしない。

〇電極間の起電力を測る場合には、それぞれの電極は別々のビーカーにセットし、間を塩橋でつなぐ。電極間に電流を流す場合には、それぞれの電極は同じビーカーにセットする。

【相談窓口】実験室では、教職員や学生ヘルパーと学生の距離が非常に近くなります。危険防止のために学生ヘルパーのとった態度が、学生にとって過剰に高圧的に感じられたりします。また実験が思い通りに進まなかったりすると思わぬところで感情のもつれが生じたりします。万一、実験室で相談しづらいことがある場合は、仁科辰夫教授のところまで直接ご相談下さい。

グループ編成について

この実験は、16グループで行う。1グループあたり2+1名となる。実験台1台につき2グループとなる。器具や試薬は2グループ共通で使用する。なお、器具破損等による実験中断は2グループの連帯になるのでお互い迷惑をかけないように注意すること。

最終的な廃液の量は評価の対象になるので、廃液入れは各グループで管理すること。

各自準備するもの

最低限のツールと一般消耗品は各自で準備してください。

テスター(入力インピーダンスの大きなものが便利)、その他ピンセットなど実験器具セット。

関数電卓、グラフ用紙、対数グラフ用紙、筆記用具など。

準備されているもの

試薬類はグループ毎の汚損および過剰使用を避けるため、実験台ごとに小分けしてあるが、もとの瓶のラベルを見て、試薬名、化学式、毒性、危険性などについて確認すること。

↓試薬(2グループ共有|各実験台に準備)

項目

通称

化学式

形状・取り扱い

確認

試薬(固体、広口ポリ瓶またはサンプル瓶)

硫酸銅5水和物

胆礬1)

CuSO45H2O

青色固体結晶

硫酸亜鉛7水和物

皓礬2)

ZnSO47H2O

白色固体結晶

硫酸アンモニウム鉄(Ⅲ)3)

鉄明礬4)

NH4Fe(SO4)2

淡紫色固体結晶

硫酸アンモニウム鉄(Ⅱ)5)

モール塩

(NH4)2Fe(SO4)2

淡緑色固体結晶

塩化ナトリウム

食塩

NaCl

白色固体結晶、溶解時吸熱

塩化カリウム

カリ炭塩

KCl

白色固体結晶、溶解時吸熱

塩化鉄(Ⅲ)

塩化第二鉄

FeCl3

濃茶褐色固体結晶

フェリシアン化カリウム

赤血塩

K3[Fe(CN)6]

赤色固体結晶

フェロシアン化カリウム

黄血塩

K4[Fe(CN)6]

黄色固体結晶

電解二酸化マンガン

EMD

MnO2

黒色粉末

炭素

グラファイト

C

黒色粉末

テフロン(™)分散液

Teflon

乳化白色液体

水酸化カリウム

苛性カリ

KOH

白色固体結晶、濃アルカリ注意

水酸化ナトリウム

苛性ソーダ6)

NaOH

白色固体結晶、濃アルカリ注意

炭酸水素ナトリウム7)

重曹

NaHCO3

白色固体結晶

アニリンブルー、水溶性

C32H25N3Na2O9S3

青色粉末

コンゴーレッド

C32H22N6Na2O6S2

赤色粉末

ブロムチモールブルー

BTB

C27H28Br2O5S

淡紫色粉末

メチルレッド

MR

C13H13N3O2

黄色粉末

フェノールフタレイン

PP

白色粉末

DL-ガラクトース

寒天

(C6H12O6)n

白色粉末

食卓塩

あじしお

NaCl

グルタミン酸ナトリウム(HOOC(CH2)2CH(NH2)COONaを10%含有

試薬(液体、細口ポリ瓶)

95%エタノール

CH3CH2OH

吸水性、揮発性、引火性

29%アンモニア水(15 mol·dm-3)

NH3

ドラフト内で操作

95%硫酸 (18 mol·dm-3)

H2SO4

発熱注意、希釈時は水に硫酸を注ぐ

36%塩酸 (12 mol·dm-3)

HCl

ドラフト内で操作

60%硝酸 (13 mol·dm-3)

HNO3

ドラフト内で操作

サラダオイル

-

「たんばん」と読む

2「こうばん」と読む

3 旧名称:硫酸第二鉄アンモニウム

4「みょうばん」と読む

5 旧名称:硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸鉄二アンモニウム

6 漢字で「曹達」と書くこともある

7 別名:酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダ

  8  電解二酸化マンガン(EMD)は,乾電池の活物質材料として欠かせない.硫酸マンガンの電気分解により作られる

   MnSO4 + 2H2O ⇄ MnO2 + H2SO4 + H2

マンガン鉱を硫酸により浸出し,石灰石,硫化水素で中和,洗浄を行い電解槽供給液とする.電解は低電流密度で行い,アノード上に二酸化マンガンを析出させる.乾電池材料としての特性は析出条件や後処理条件で微妙に変化する.

実験全体を見通し、計画的な試薬の調整を行うこと。また廃液の量は評価の対象になるので、廃液入れは各グループで責任を持って管理すること。

電極(各グループ|各実験台に2セット)

項目

数量

E0 /V

形状

確認

銅電極

Cu|Cu2+

0.337

ワイヤ2φ×40、前処理必要

亜鉛電極

Zn|Zn2+

-0.763

ワイヤ2φ×40、前処理必要

鉄電極

Fe|Fe2+

-0.440

ワイヤ1.45φ×40、前処理必要

ニッケル電極

Ni|Ni2+

-0.236

ワイヤ2φ×40、前処理必要

アルミニウム電極

Al|Al3+

-1.68

ワイヤ2φ×40、前処理必要

ステンレス電極

Fe-Cr-Ni(SUS304)

ワイヤ1.5φ×40、前処理必要

銀電極

(銀|塩化銀電極)

Ag

(Ag|AgCl)

0.2224

ワイヤ2φ×40、前処理必要

(実験中に作成)

白金電極

Pt

ワイヤ0.5φ×40、やすり不可

黒鉛電極

C

シャープペンの芯(2B)

Al-PET

50cm2

Al

やすり、前処理必要

Fe-PET

50cm2

Fe

やすり、前処理必要

Cu-PET

50cm2

Cu

やすり、前処理必要

ウェストン電池

窓口

Cd(Hg)|CdSO4

8/3H2O|Hg2SO4|Hg*

カドミウム標準電池のパッケージ

窓口に実物を展示

(実験ではダニエル電池を用いる)

*Cdアマルガム(10%Cd)|CdSO4・8/3H2O結晶および飽和溶液|Hg2SO4(飽和)|Hg

E=1.01830-4.06×10-5(t-20)-9.5×10-7(t-20)2+1×10-8(t-20)3   tは,摂氏温度

↓器具(2グループ共有|各実験台に準備)

項目

規格・数量

確認

ガラス器具

ビーカー

10mL×20(測定・汎用)、30mL×4(汎用)、100mL×2(寒天除去用)

メスピペット

10mL

時計皿

×2

駒込ピペット(スポイト)

1mL、2mL、5mL×各1

駒込ピペット(スポイト)

5mL×2(テフロン分散液専用×1、寒天吸い上げ用×1)

安全ピペッタ

×1

ピペットスタンド

×1

メスフラスコ

25mL×1

シャーレ(ふたつき)

φ90×4

秤量瓶

×2

試験管

φ16×6

試験管立て

×1

ガラス棒

×1

ガラス器具以外

廃液入れ(ポリカップ)※

×2、重金属イオン用、全ての廃液を入れる。寒天は入れないこと。

乳鉢と乳棒

φ65、正極合材混練用

細口ポリ瓶

溶液保存用 30mL×10

トレー

試薬用×2

プラスチックピンセット

×1

プラスドライバー

×2

洗瓶(500mL)

×2、イオン交換水(350mL)

ツールボックス

ツール収納用

スパチュラ8

小×3 (プラスチック製薬さじ)

マイクロスパチュラ

指示薬用×1

シリコンゴム管(塩橋用)

φ2×150mm ×2本

ピンチコック

×1

ろ紙

×4、φ9cm(コイン電池に使用)

セロハンチューブ

1000mm 透析用セロハンチューブ M-5(塩橋に使用)

紙やすり

#800、#1000、#1500 (電極研磨用)

×2

みの虫コード

(赤、黒、白、青、黄)×4本

デジタルタイマー

×1

棒温度計

×1

電位差計

代わりに自作したボルテージフォロアを使用

電流計

代わりに自作したカレントフォロアを使用

検流計

代わりに自作したコンパレータを使用

抵抗尺(3V)

電位測定用(NiCd電池×2)

抵抗尺(6V)

分解電圧電源用(乾電池×4)

シャント抵抗(みの虫コード付き)

1Ω(1W) 、10Ω、100Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩ、1MΩ(他1|4W)

積分コンデンサ

0.1μF、1μF、10μF(電解コンデンサは極性に注意)

2回路2接点トグルスイッチ

電位掃引反転用

NiCd単3乾電池

×2、電位測定抵抗尺用、ニッケル水素単3乾電池の場合もある

NiCd電池充電器

×1、NiCd電池充電用、ニッケル水素電池充電器の場合もある

豆電球

2.5V 0.3A×3(抵抗尺用)

回路改造用抵抗

5kΩ、10kΩ×各2

ノギス

×1

ハンダごて

×1、大洋電気産業KK KS-20 20W (電気分解と共通)

ニッパ、ラジオペンチ、半田

回路改造用、修理用(各2)、半田(10cm) (電気分解と共通)

抵抗付きLED

(赤、緑)×各1

ジャンク

1セット

磁石

×1、非鉄金属判別用

油性フェルトペン

×1本

薬包紙

×10枚(正極合材整形用、薬剤のはかりとりには時計皿を使用)

蒸発皿

×1、水分蒸発用

三脚

×1、寒天溶解用

石綿付き金網

×1、寒天溶解用

ガスバーナー

×1、寒天溶解用

マッチ・燃えさし入れ

×1 (マッチの本数は,8本)

レタリングセット

×1、ネームプレート作成時のマスキング用

ビニールテープ

×1

両面テープ

×1、ビーカー固定用

セロハンテープ

×1, セロハン橋作成用

ダブルクリップ、4mmワッシャー付きネジ、4mmナット

口巾15mm×16(電極固定用×14、ゼムクリップ固定用×2)

ゼムクリップ

大×24、(1.電気分解の銅めっき用)

黒ラシャ紙

×1(ネームプレート台紙)

OPアンプセット

万能基盤×2、OPアンプ(741相当) ×2、抵抗(4.9kΩ、10kΩ)×2

乾電池(9V形)

×4、006P電池とも呼ばれていた。 (電気分解と共通)

乾電池(単三形)

×4 (電気分解と共通)

抵抗

1Ω(1/2W)×4 (電気分解と共通)

電池ボックス

×4 (電気分解と共通)

電池スナップ

×4 (電気分解と共通)

方位磁針

×1

エナメル線

φ0.4×8m×1 (自作電流系用)

※8 スパチュラは英語読み、スパーテルはドイツ語読み

以上、足りないものがあった場合は速やかに窓口へ申し出ること。

廃液の量は評価の対象になるので、廃液入れは各グループで責任を持って管理すること。

設問:実験全体を通して使用する硫酸の量はどれくらいか?

設問:0.05 mol・dm-3 KOH を無駄なく調整するには、どうすれば良いか?

  

ラベルで化学式を確認(左図)、参考書は十分に(中央図)、実験ツール類(右図)

■実験計画

(全グループ共通第1回目)

        

実験計画書の作成とリーダーの決定(予習で済ませてきてもOK)

グループごとに、リーダーを決定し、実験計画書を作成すること。第2,3回までの実験計画書を作成し、TAに確認していただくこと。下記の実験計画書の雛形を示すので、参考にすること。

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実験計画書

学籍番号・氏名         ・             作成日  月  日 

共同実験者(学籍番号・氏名)_______・________、______・_______

実験グループリーダー(氏名)_____________グループ番号____―_____

・1回目:予備実験(実施予定日:○○○○年○○月○○日)

目標: 実験を行うための実施計画書を作成し、4回の実験全体の準備をすること。また、予備実験として、○○○のテーマを行い平衡論と速度論について、概念を理解する。

実験内容

  1. リーダーを決める。
  2. 1-8~1-11頁と照らし合わせならが、器具・薬品の確認をする。
  3. ○○○のテーマを実施する。
  1. テキスト1-xページと参考書「○○○」を参考に、実験を行う。
  2. 参考書「○○○」の△ページの計算式を元に、グラフにプロットしデータ整理を行う。このとき、横軸:○○○、縦軸:○○○とする。

注意:薬品は全て原液なので、火傷や怪我に注意すること・・・

・・・・・

・2回目:予備実験(実施予定日:○○○○年○○月○○日)

目標: ・・・

実験内容

・・・・

------------------------------------------------------------------------------------

■電池の起電力 ~平衡論的取り扱い~

(前半グループ第1回目、後半グループ第2回目)

        

銀|塩化銀電極(基準電極)の作成とエレクトロメータの較正(こうせい)

【結果】2本の銀|塩化銀電極の電位差[V]、ダニエル電池の起電力の理論値[V]、Cuの単極電位[V vs.Ag|AgCl]、Znの単極電位[Vvs.Ag|AgCl]、電位数直線(横軸電位[V])と単極電位の差[V]

電気化学セルを組み立てて銀線を塩酸中でアノード酸化して1本だけ作ります。その作り方は次の通りです。銀線を紙やすりで研磨し、清浄な金属面を露出させます。その金属面を3M HNO3で前処理し、水洗いします。その電極で以下のセルを作成し、0.8mA/cm2で15分ほど電解し、表面に塩化銀を析出させます。電解セルには10mLビーカーを使います。転倒防止のため電解液を注ぐ前に底に両面テープを貼っておき、電解液を注ぎ終わったビーカーは実験台にしっかり固定します。電極はダブルクリップで固定します。

  

電解セルの作成(左図) 回路の接続(中央図) 出来上がり(右図)

参考書:電気化学測定法(上)技報堂出版、p97「銀|塩化銀電極の作り方」

Ag|0.1 mol・dm-3 HCl|Pt

同じ手順でもう1本作成する。2本の電極を飽和KCl溶液に浸漬し下記のような電池を作成し、電位差をデジタルテスターで確認する。電位差が5mV以内であることを確かめる。もし、2本の電極電位が5mV以上ある場合は、うまく出来ていないと思われる方を作成しなおし、電位差が5mV以内になるまで繰り返す。10mLビーカーを2個用いて塩橋で接続する。塩橋にはシリコンゴム管を用いる。煮溶かした電解質-寒天溶液を専用スポイトで吸い上げて固め、ゴム管の両端をカットする。

参考書:電気化学測定法(上) 技報堂出版、p96「新しく作った電極の電位チェック」

参考書:電気化学測定法(上) 技報堂出版、p94「塩橋の作り方」

Ag|AgCl|KCl||KCl|AgCl|Ag  (※ ||=塩橋)

[新訂物理図解]p.103または[応用物理化学Ⅱ]p.191の図10・2を参考にして、ポッゲンドルフの補償法による電位差測定の回路を組む(ポテンショメーター)。検流計の替わりにコンパレータを使う。以下のダニエル電池を作成し*1)、標準電池の代用とする。白金以外の金属は測定直前に研磨後、0.1 mol・dm-3 HClで前処理を行い、水で十分に洗浄する。

Cu|0.01 mol・dm-3 Cu2+||0.01 mol・dm-3 Zn2+|Zn

ネルンストの式を用いてできるだけ正確にダニエル電池の起電力を計算する。計算した起電力とダニエル電池を用いて、抵抗尺の目盛りを較正する(本来ならウェストン電池を用いるが、ウェストン電池は水銀やカドミウムを使用するため取り扱いに注意を要する。そこで、ここでは標準電池をダニエル電池で代用し、電位や電圧の概念を習得する)。摺動抵抗と電源には電池付き抵抗尺(NiCd電池×2)を用いる。

ダニエル電池の起電力を直接エレクトロメータ(後述のボルテージフォロア参照)に入力し、その出力が抵抗尺の同じ目盛りに対応することを確認することで、エレクトロメータの動作を確認する。(エレクトロメータはポッゲンドルフの補償法をオペアンプで電子的に瞬時に実現する装置と言える)

銀|塩化銀電極の標準電極電位を計算する*2,3)。塩化カリウム水溶液の濃度は、実測した室温から、添付資料より飽和濃度を求める。飽和塩化カリウム水溶液の濃度は非常に濃いので活量係数による補正が必要である。添付資料から活量を求めてそれを用いる*4)。以下のような電池を組み、その起電力を補償法およびエレクトロメータを用いて測定し、それぞれの単極電位の測定結果からダニエル電池の起電力を計算し、一致することを確かめる。

Cu|0.01 mol・dm-3 Cu2+||KCl|AgCl|Ag

Zn|0.01 mol・dm-3 Zn2+||KCl|AgCl|Ag

設問:参照電極の照合にはなぜデジタルテスターを用いてもよいのか?

設問:うっかり亜鉛棒を硫酸銅につけると黒くなるのはなぜか?

  Cu2+ + Zn → Zn2+ + Cu

設問:デジタル式のテスターにはなぜ電池が必要か? 標準電池としてのウェストン電池はどのようにして作成するか?

  

電極と溶液(左図) 単極電位の測定(中央図) ダニエル電池の起電力(右図)

電極電位の濃度依存性(ネルンストの式)

【結果】Fe3+,Fe2+系の電位[V vs. Ag|AgCl]と濃度比の片対数プロット

ネルンストの式を使って*5)、鉄イオンの濃度を変えたときの酸化還元電位を計算する。0.1 mol・dm-3硫酸に硫酸鉄アンモニウム(Ⅱ)と硫酸鉄アンモニウム(Ⅲ)を溶解して、0.025 mol・dm-3鉄イオン(Ⅱ)と0.025mol・dm-3鉄イオン(Ⅲ)の溶液を調整し、これらの溶液を混合して種々の濃度比の電解液を調整する。次に銀|塩化銀電極と電池を組み、補償法およびエレクトロメータによって起電力を測定する。鉄イオン(Ⅱ)と鉄イオン(Ⅲ)の濃度比は、濃度比1を中心に片対数方眼紙上で等間隔になるように少なくとも5点以上測定する。片対数方眼紙へのプロットは測定と同時に行うこと。プロットから最小二乗法によって求めた傾きが、RT/nFになることを確認する。

Pt|Fe3+,Fe2+,0.1 mol・dm-3 H2SO4||KCl|AgCl|Ag

   

溶液の調整(左図) ポテンシャルメータ(中央図) ネルンストのプロット(右図)

設問:ネルンストの式によれば電位は濃度依存性があるが、それはどうしてか?

設問:0.025 mol・dm-3鉄イオン(Ⅱ)のみ(鉄イオン(Ⅲ)=0)の場合、あるいはその逆の場合は、ネルンストの式による電位はどうなるか?

設問:鉄イオン(Ⅱ)と鉄イオン(Ⅲ)の組み合わせとしてフェリシアン化カリウム|フェロシアン化カリウムの系について行った場合はどうか?

溶解度積および生成定数の決定

【結果】Cu系濃淡電池の起電力[V]と水酸化銅の溶解度積、Cu系濃淡電池の起電力[V]と銅アンミン錯体の安定度定数

以下の電池を組み、補償法およびエレクトロメータによって起電力を測定して、水酸化銅の溶解度積を求める*6,7)。銅は測定直前に研磨し、水で素早く洗浄する。この電池は特に分極しやすいので、塩橋で電解液をつないだら、できるだけ早く起電力を測定する。再び測定したい場合には、銅電極を取り出して再度清浄な面を出す。

Cu|Cu2+|OH-|Cu(OH)2|Cu

(Cu|0.01 mol・dm-3 CuSO4||KCl||0.05 mol・dm-3 KOH|Cu(OH)2|Cu)

また、以下の電池を組み、起電力を測定して銅アンミン錯体の安定度定数を求める*8,9)。0.1 mol・dm-3アンモニア水50mLに、0.01 mol・dm-3硫酸銅を2.0mL加えて電解液とし、補償法およびボルテージフォロアによって起電力を測定する。全てが反応して銅アンミン錯体になるものとして濃度を計算する。銅イオンとアンモニアの濃度から酸化還元電位を求め、安定度定数を計算する。

Cu|Cu2+,NH3||Cu2+|Cu

(Cu|0.1 mol・dm-3 NH3,0.01 mol・dm-3 CuSO4||KCl||0.01 mol・dm-3 CuSO4|Cu)

設問:電気化学的に溶解度積や安定度定数を測定するメリットは何か?

  

溶液の調整(左図) 電解セル(中央図) 電位の測定(右図)


■分解電圧 ~速度論的取り扱い~

(前半グループ第1回目、後半グループ第2回目)

        

析出物質による過電圧の違い

【結果】電解液の種類による過電圧の違いを示す電圧-電流プロット、アノードの種類による過電圧の違いを示す電圧-電流プロット、カソードの種類による過電圧の違いを示す電圧-電流プロット

参考書より、理論分解電圧を求める。アノードとカソードに白金を用いて0.1 mol・dm-3 H2SO4, 0.1 mol・dm-3 NaOH、0.1 mol・dm-3 HClの電流電位曲線を測定し、分解電圧を求める。方眼紙へのプロットは測定と同時に行うこと。理論分解電圧と実測値から過電圧を求める。電流の測定にはカレントフォロアを、電圧の測定にはエレクトロメータを用いることを推奨する。

Pt|H2SO4|Pt

Pt|NaOH|Pt

Pt|HCl|Pt

金属の種類による過電圧の違い

参考書より、理論分解電圧を求める。アノードに白金、カソードに銅、亜鉛、黒鉛を用い、0.1 mol・dm-3 H2SO4の電流電位曲線を測定し、分解電圧を求める。理論分解電圧と実測値から過電圧を求める。白金以外の金属は測定直前に研磨後、0.1 mol・dm-3 HClで前処理を行い、水で十分に洗浄する。電流の測定にはカレントフォロアを、電圧の測定にはエレクトロメータを用いることを推奨する。同様にカソードに白金、アノードに鉄、ニッケル、黒鉛を用いた場合について、0.1 mol・dm-3 NaOHの分解電圧を測定し、過電圧を求める。

【結果】電解液の種類による過電圧の違いを示す電圧-電流プロット、アノードの種類による過電圧の違いを示す電圧-電流プロット、カソードの種類による過電圧の違いを示す電圧-電流プロット

Pt|H2SO4|Cu  

Pt|H2SO4|Zn  

Pt|H2SO4|C  

Fe|NaOH|Pt

Ni|NaOH|Pt  

C|NaOH|Pt  

設問:どの電位から測定を開始すれば良いか? またそれはどうしてか? 分解電圧を正確に求めるにはどうしたら良いか? 分解電圧と過電圧はどのような関係にあるか?

設問:電極表面における気泡発生の仕方と電流はどのような関係が見られたか? またそれはどうしてか? 同じ電位でも電流が変化する場合があるのはなぜか? またそのような場合、正確な電流値を得るにはどのように測定すれば良いか?

設問:電極表面に気泡が発生していないのに,電位を変化させると,変化させた直後と時間が経過したときで電流値が違うことがある.どのときの電流を測定すれば良いか?

設問:工業電解における過電圧がエネルギー効率に与える影響について述べよ。

  

電極の研磨(左図) 電位の掃引(中央図) 分解電圧(右図)

鉄のボルタンメトリ

【結果】鉄の腐食挙動に対応するサイクリックボルタモグラム

鉄のボルタンメトリを測定する。ポテンショスタットとファンクションジェネレータを作成して測定することを推奨する。金属の腐食反応と不働態について理解したら*10)、0.1 mol・dm-3炭酸水素ナトリウム水溶液に鉄電極をセットする。鉄は測定直前に研磨後、0.1 mol・dm-3 HClで前処理を行い、水で十分に洗浄する。対極には白金を用いる。参照電極として銀|塩化銀電極を使い、-2.5Vから2.0Vまで、10mV/sで電位を掃引する。塩橋には塩化物イオンが混入しないようにKOHとH2SO4を中和して作った電解質を使う。2.5Vまで達したら、今度は折り返し逆方向へ掃引する。あらかじめ電解液はよくかき混ぜて空気中の酸素を十分に溶かしておく。測定前に電位を-2.0V程度にして、十分水素を発生させておき、カソード側から電位を掃引する。電位掃引とともに電位と電流を記録する。

Fe|NaHCO3||K2SO4||KCl |AgCl|Ag

設問:鉄の不働態化の挙動をガルバノスタットで測定した場合、どのような結果が得られるか?


■表面加工とエネルギー変換 ~電気化学の工学的応用~

(前半グループ第2回目、後半グループ第1回目)

        

アルミニウムのアノード酸化(アルマイト加工)

【製品】美しく着色されたアルミニウム

試料極にアルミニウムワイヤを用いる。アルミニウムは測定直前に研磨後、0.1M NaOHでアルカリ前処理を行い、水で十分に洗浄する。電解液に0.1 mol・dm-3 H2SO4を用い、対極にアルミニウムワイヤを用いて一定電流10mA/cm2を通電し、電位時間曲線を測定する。電流値を監視し、常に一定になるように抵抗尺を操作する。カレントフォロアと電流分割器を使うか、後述設問のガルバノスタットを使うことを推奨する。そのときの電位をエレクトロメータで読み取る。アノード酸化が終ったら、加温したコンゴーレッド(50mg/10mL)、アニリンブルー溶液(50mg/10mL)に浸漬し、酸化していないアルミニウムワイヤと着色状態を比較する。またAl-PETフィルムを紙やすりで磨き清浄な面を露出させ、同様に染色加工し、メタリックピンクおよびメタリックブルーのフィルムを作成する。

Al|H2SO4|Al

設問:電流値を一定にする操作を自動的に行うにはどのような回路を使えば良いか?

設問:硫酸の替わりにアジピン酸アンモニウム(NH4OOC(CH2)4COONH4)やホウ酸(B(OH)3)を用いた場合にはどんな工業製品に応用できるか?  →アルミニウム電解コンデンサー

  

電解セルの組み立て(左図) 時間-電位曲線の測定(中央図) 染色されたアルミニウム(右図)

金属の腐食(エッチング加工)

【製品】メタリックなネームプレート

40wt%塩化第二鉄FeCl3水溶液を10mL調製し、さらに濃HClを1mL加えて腐食液とする。Cu-PET、Fe-PET、Al-PETフィルムを適当な大きさに切り、紙やすりで磨き清浄な面を露出させ、ビニールテープを貼ってマスキングする。また染色したAl-PETではそのままビニールテープでマスキングする。マスキングを自分の好きな形(自分のイニシャルなど)を残して切り取る。着色していない場合はPET面から字が読み取れるように左右反転してマスキングすると美しく仕上がる。マスキングされていない金属部分を腐食液で腐食溶解する。腐食液を水洗いし、マスキングを剥がして水洗いし、乾燥する。黒ラシャ紙を台紙にしてメタリックネームプレートを作成する。突然激しい溶解が起きることがあるので、操作はドラフト内で行う。またPETフィルムは弾力があり、溶液を弾き飛ばすことがあるので保護眼鏡などを着用して実験する。

設問:銅は鉄よりもイオン化傾向が小さいのになぜ塩化第二鉄によって腐食されるのか?

  酸化還元電位を使うとわかるね.

  Fe3+/Fe2+ E=0.77V

設問:銅および鉄をエッチング加工して得た工業製品をそれぞれ挙げよ。

  銅:プリント基板,

鉄:ICリ-ドフレ-ム,ブラウン管のシャドーマスク

  

塩化鉄の調整(左図) エッチング(中央図) 出来上がったネームプレート(右図)

二酸化マンガンの還元(アルカリ乾電池)

【製品】発光ダイオードを明るく長持ち、アルカリ乾電池

正極活物質として、電解二酸化マンガンを用いる。活物質30mgにグラファイト30mgを良く混ぜ、テフロン分散液を専用駒込めピペットで2~3滴加えて乳鉢上で良く混練し、ラバー状とし正極合材とする。正極集電体としてニッケルを用い、この集電体の先端に正極合材を落ちないようになすりつけて試料電極とする。電解液に9 mol・dm-3 KOH5mLをビーカーに入れ、対極に亜鉛を用いて電池を作成する。この電池を2個直列繋ぎにし、並列繋ぎにした発光ダイオードを点灯させ、時間とともに電圧がどのように変化するかを記録する。濃アルカリが眼に入ると失明の恐れがあるので保護眼鏡などを着用して実験する。

Ni|MnO2,C|KOH|Zn

設問:取り出せたエネルギーは何Jか? それは活物質の量に対して何%か?

設問:実用化されている電池の種類とそれらの電池を利用する工業製品をあげよ。

  

正極合材の調整(左図) 電解セル(中央図) 点灯したLED(右図)

エレクトロクロミズム表示デバイス(電気→色:出力デバイス)

【製品】スイッチひとつで文字が表示される未来派ディスプレイ

エレクトロクロミズムによってディスプレイを作成する。0.02 mol・dm-3 K3[Fe(CN)6]水溶液と0.02 mol・dm-3 FeCl3水溶液をそれぞれ10mLずつ作る。試料極と対極によく洗浄したPtを用いる。電解還元直前に0.02 mol・dm-3 K3[Fe(CN)6]水溶液と0.02 mol・dm-3 FeCl3水溶液を同時に混入し、電流密度40μA/cm2、120s通電する。試料極Pt表面にプルシアンブルーが析出したら、0.01 mol・dm-3 H2SO4水溶液で洗浄する。Pt|プルシアンブルー|1 mol・dm-3 KCl|Ptのような電池を作成し、アノード側、初期自然電位、カソード側 -0.459V vs. Ag|AgClを参考に電位を変化させ色の変化を観察する。

Pt|0.02 mol・dm-3 K3[Fe(CN)6],0.02 mol・dm-3 FeCl3|Pt

Pt|プルシアンブルー|1 mol・dm-3 KCl|Pt

設問:現在用いられているディスプレイ機器と化学および電気の関わり合いについて調査せよ。

   

電解セル(左図) 電位の設定(中央図) 色の変化した電極(右図)

資料集

テスターおよびボルテージフォロアのチェック

テスターの電源を入れ、直流電圧計モードにする。テスターの端子を開放(何も繋がない)して、電圧の値がふらふら揺れ動くことを確認する。次にテスターの端子を短絡(ショート:赤と黒を直接接触させる)して、電圧が0を指し示すことを確認する。電圧計以外のモードは使用しない。

予備実験の内容が理解できない場合、高校で使った化学の教科書で電池のところをよく復習しておくこと。高校で化学をとっていないものは、この機会に化学の基礎を身に付けておくこと。*11)。オペアンプについては、テキストの最後の参考資料や「図解アナログICのすべて 白土義男、東京電気大学出版局」を参考に予習すること。

ボルテージフォロアは、エレクトロメータ、インピーダンス変換器などとも呼ばれます。電気化学の分野ではエレクトロメータと呼ばれる場合が多く、ここでもエレクトロメータと呼ぶことにする。最近は、ほとんどの場合測定機器に組み込み済みで、デジタルテスターにも組み込まれています。

設問:何も繋がない場合、デジタル式のテスターの値はなぜふらつくか?

コンパレータの作り方

オペアンプをフィールドバックなしで使う使い方を電圧比較器、コンパレータなどと呼ぶ*12)。オペアンプの電源のグラウンドを定めるために、被測定系の電位差をアッテネータにより2分割する。具体的には3番の非反転入力ピンに新たに5kΩの抵抗を接続し、2番の反転入力ピンに接続されていた5kΩを利用してアッテネータを構成し、その中点にオペアンプの電源のグラウンドを接続する。出力ピンには極性が互い違いになるように発光ダイオード(赤)および発光ダイオード(緑)を取り付け、それぞれグラウンドに接続する。測定する電位差は、アッテネータの両端に入力する。そして点灯した発光ダイオードの色によって電位の高低を判定する。

カレントフォロアの作り方

カレントフォロアは、電流-電圧変換回路、I-Vコンバータ、無抵抗電流計、ゼロシャント電流計などとも呼ばれる*13)。電気化学の分野では、測定機器に組み込み済みの場合が多い。

アノードとカソードを理解したら*14,15)、電解のための回路を組む*16)。電源およびボリウムには抵抗尺(乾電池×4)を用いる。まず、シャント抵抗を2番-6番の間に挿入する。シャント抵抗の値は十分検討してから決定し、事前に値を測定しておく。次にオペアンプの電源のグラウンドを電流のリターン回路とするために、被測定系の試料極を系全体のグラウンドと定め、そこに接続する。3番の非反転入力ピンをグラウンドに接続し、2番の反転入力ピンを電流ソースである抵抗尺の出力に接続する。オペアンプより出力された電圧をオームの法則よりスケール換算し、電流値に変換する。オペアンプの許容電流は数mA程度であるのでそれを超えないように注意する。電圧の測定にはエレクトロメータを用いる。

関数発生器(積分器の応用)の作り方

関数発生器は、ファンクションジェネレータ、ポテンシャルプログラマー、ポテンシャルスイーパーなどとも呼ばれ、連続あるいは単発の三角波、ランプ波、矩形波などを発生する。ここでは積分回路を使ってランプ波だけを生成する回路を作成し、リニアな電位掃引を行う*17)。較正された抵抗尺をシグナルソースとして、電位上昇速度が10mV/s程度になるように抵抗とコンデンサを選択し、それを確かめる。初期の電荷消去は、みの虫コードでコンデンサをショートさせて行う。電位反転には2回路2接点のトグルスイッチを使う。

設問:この回路をクーロメトリに応用するにはどうしたら良いか?

ポテンショスタット(ネガティブフィードバックの応用)の作り方

ポテンショスタットは、試料電極と参照電極との間の電位を一定の電位に保つように対極に電流を流す装置で、電気化学の分野ではもっともポピュラーな機器である*18)

コンパレータの3番ピンに繋がれていた抵抗を外し、3番ピンをグラウンドに接続する。2番ピンに並列に5kΩの抵抗を2本接続し、フィードバック抵抗無限大の反転加算回路を作成する。加算回路の入力1に参照電極に接続したボルテージフォロアの出力を繋ぐ。加算回路の入力2に関数発生器の出力を繋ぐ。補償法で使用した抵抗尺の出力を入力3に繋ぎ、内部電位設定用とする。6番ピンを対極に繋ぐ。試料極をカレントフォロアの入力に繋ぐ。ダミーセルとして抵抗を用い回路がポテンショスタットとして動作するか確認する。なお、電流を一定に保つような機器をガルバノスタットと言う。

設問:ポテンショスタットをガルバノスタットとして利用するにはどうしたら良いか?

学生ヘルパーは、後輩の実験介助を通して自らの知識や技術の向上をはかることを目的としている。従って学生ヘルパーは原則として実験者に対して指導や指示を行ってはならない。また、実験方法やテキストの内容に関す質問に答えてもならない。さらに実験中の試薬や装置にも一切手を触れてはならない。ただし、危険行為(高濃度溶液の直接混合、天秤周りの劇毒物の飛散、保護眼鏡未着用など)および損害行為(誤った器具の使用方法、試薬の浪費、乱暴なガラス器具の取り扱いなど)については、速やかに注意を促すこと。器具洗浄、器具選定、溶液移動、メスアップ、秤量、攪拌などの基本操作の未熟による実験精度の低下は本来実験者の責に帰するものであるが、本人以外の実験者にも迷惑が及ぶことがあるので、適宜注意を与える。実験者の責によらないテキストの誤植や実験機材の不備などについて指摘を受けた場合は教職員と連絡を密にしただちに対策を講じる。

学生ヘルパーは実験介助者であり、実験者の実験進行の妨げになるような行為を行ってはならない。器具の点検、試薬の量、電池の消耗などは事前に十分に確認し、実験時間中に不足などが生じて実験進行が遅滞しないようにする。また実験時間に立ち会う学生ヘルパーは、原則として2名を上限とし、他は研究室で待機すること。実験時間中は学生ヘルパー同士の私語などは慎み、実験者の邪魔をしないようにすること。

実験者は実験進捗によって成績評価されるので、学生ヘルパーは実験者の実験内容に絶対に干渉してはならない。実験中の器具などには一切手を触れないこと。学生ヘルパーの想像を越えた手法で実験を解決しようと試みる学生もいるので、学生ヘルパーが学生の実験方法を理解できなくても、暖かく見守ること。実験方法や結果は全て実験者の責に帰するものであるから、たとえ質問を受けてもこれらについて「良い、悪い」などの回答を与えたりしないこと。

実験者が実験中に器具を破損した場合、実験が終了するまで器具の補充はしない。器具の補充なしに実験続行が不可能であると実験者が判断した場合は、実験はその時点で中止となる。その他のトラブルについても器具破損に準じた扱いとする。この意味からも学生ヘルパーの準備は万全でなければならない。なお、グループ間の試薬や器具の貸し借りを学生にさせてはならない。

学生ヘルパーは実験補助として、申請のあった実験者の実験内容を確認し、実験進捗票に署名する。成績評価は実験進捗票をもとに行うので、それぞれの項目が要求している実験結果が、署名の時点で確実に得られているかどうかをできるだけ客観的に判断する。その際、学生ヘルパーは実験者の理解度を署名の是非における判断の基準に含めない(成績評価は教職員の責任で行う)。もちろん署名を与える際に心理的または感情的な駆け引きがあってはならない。また、時代とともに変化する個々の受講者を対象に限られた時間と人員で行う実験であるので、全ての受講者に同一の理解度を要求することは現実的ではない。初めて実験を行う学生に、特別訓練を受けた学生ヘルパーと同レベルの理解度を強制しないこと。

万一、急病人や怪我人の発生など、不足の事態が発生した場合には、可能な限り応急対応し、必ず教職員に連絡すること。

TAは大学と雇用契約を結び報酬を得て教職員の補助をする者である。従って、担当教職員の教職員の許可なく職務をこえて実験者や実験ヘルパーに干渉することは許されない。職務怠慢など自分の責に帰する理由で実験者や実験ヘルパーに損害を与えた場合、TAは損害賠償請求に応じる義務を負う。

評価の方法は原則として「実験進捗票」の提出によります。すなわち、正確な実験結果を得た者に高得点が付与されることになります。

加点基準

〇自分が実験の主体となり、自由な発想で取り組んでいる。

〇実験方法を創意工夫し、斬新な結果を得ている。

〇実験テキストのミスプリントなどを発見した。

〇注意深く検討をしてから実験を行い、予期せぬ結果が得られた場合でも詳細に観察記録を残している。

〇実験時間内にグループ内で検討した事項や試行錯誤した内容についても記述されている。

〇実際に突き当たった疑問やトラブルをどのように解決したかについて記述されている。

〇ワープロ、色刷などを使った、見やすい文書の作成。

〇要点が簡潔にまとめてあるスリムな報告書

〇提出期限に余裕を持って提出(締め切り前日以前)

減点基準

〇手を洗う以外の用途で、水道や流しを使った。

〇廃液の量が多い。

〇予期せぬ結果が得られたからといって、失敗と決め付けて記録を残さなかったり(結果の喪失、隠蔽(いんぺい))、他人の結果を引用したりしている(結果の捏造(ねつぞう)、改竄(かいざん))。

〇自分が書いた報告書の内容を覚えていない(実験結果への無責任、報告書への無責任)

〇実験結果の成否や良否を議論や考察の対象にしている。

〇実験中に使用しなかった文献の内容を引用している。

〇試薬、薬包紙、キムワイプなどの消耗品をどのように用い、いつどこへどのくらい廃棄したのかが明記されていない(毒劇物のずさんな管理、環境問題への配慮の欠如)。

〇試行錯誤に伴う溶液の再調整、再実験などの経過の記述がなされていない。

〇ワープロ機能の制限などによるフローチャート、図面、数式、化学式などの欠如、貧弱な表現、その他の弊害。

〇内容が伴わないのに、むやみに分厚く細かい字の報告書。

〇提出期限ぎりぎりに提出(当日)。

〇携帯電話を使用したり、私語が多い。

〇実験終了後の後始末が不十分。

報告書は、上記項目の確認のため提出時に簡単なディスカッションをしてそのまま返却するので提出期限に余裕を持って混雑しない時間帯に提出するようにしてください。

予習のしかた

「塩橋」という言葉を知らない方へ

高校化学の基礎知識が必要です。ダニエル電池の原理が写真入で解説してある「サイエンスビュー 化学総合資料集 新課程版、 実教出版」「総合図説化学 第一学習社」を購入しましょう。塩橋(液絡)には、セロファン、寒天塩橋、ろ紙を使った塩橋などがある。

 

セロファンによる塩橋

セロハンチューブによるセロファン塩橋の作成手順の例

セロハンチューブの直径を小さくしたいときは,d, eのようにして細くする。

「検流計」という言葉を知らない方へ

高校物理の基礎知識が必要です。補償法の原理が写真入で解説してある「新訂物理図解 第一学習社」、「フォトサイエンス 物理図録 数件出版」を購入しましょう。

「分解電圧」という言葉を知らない方へ

物理化学の基礎知識が必要です。いろいろな電解質の分解電圧を紹介している「アトキンス物理化学要論 第5版、東京化学同人」を購入しましょう。(物理化学Ⅰの教科書)

「アルマイト」という言葉を知らない方へ

電気化学の基礎知識が必要です。工業電解プロセスや表面処理について紹介している「現代の電気化学、小沢昭弥、山下正通、新星社」を購入しましょう。(電気化学の教科書)

銀|塩化銀電極の作り方を知りたい方へ

電気化学の専門知識が必要です。電気化学に関する具体的な実験テクニックを紹介している「電気化学測定法 技報堂出版」を購入しましょう。

実験中は実験方法などに関する質問は一切受け付けないので十分に予習すること。ただし、テキストの誤植や記述の矛盾を発見した場合は、自分を信じて積極的に申し出ること。

標準の教科書として「現代物理化学序説 改訂版 井上勝也、培風館」「現代の電気化学、小沢昭弥、山下正通、新星社」「サイエンスビュー 化学総合資料集 改訂版、 実教出版」「総合図説化学 第一学習社」「「新訂物理図解 第一学習社」を用いる。例年、これらの書籍を準備しないで実験に臨み、苦労する学生がいます。実験で苦労する学生は、むしろ高校以前の基礎知識が不十分であるように見受けられます。なお、これらの書籍を準備しない場合は、その内容を完全に修得しているものとみなします。

そのほか「電気化学測定法 技報堂出版」「Allen J. Bard and Larry R. Faulkner, Electrochemical Methods, JOHN WILEY & SONS」「応用物理化学Ⅱ 蒔田・原納・鈴木、培風館」を参考書とする。必要であれば他の教科書を各自準備すること。

また高校の化学、物理および数学の教科書を持参することは強く推奨する。また、読解力に自信のないものは、辞書、漢和辞典、英和辞典などの準備も推奨する。高校や大学教養での履修の有無に関わらず十分に予習しておくこと。必要な教科書を持参しなかった場合の責任は本人に帰するものとする。各人の知識や能力によって、準備すべき教科書や参考書が異なることに注意する。予備知識には個人差があるから、自分の能力に応じてすぐ実験に取りかかれるような予習を行うこと。

よくある失敗例

下手な実験‥‥洗浄瓶の先がメスフラスコ内壁にくっついている、洗浄瓶で直接溶液を薄めているなどなど…

  

フタを使うな!(左図) 垂直に当てろ(中央図)ノートの上でするな(右図)

  

寒天失敗作(左図) 試薬は天秤の外でとる(中央図) 扉は静かにしめる(右図)


実験当日の周知内容(教職員、TA向け)

  1. この実験の特徴はフリースタイルです。安全とグリーンケミストリーを目指した実験を目指して行ってください。初めのページの「グリーンケミストリー」の12箇条を読み上げ周知する。下記の2~11は、この実験目標を実施ための最低条件です。
  2. 実験を始める前に実験器具・薬品がそろっているか確認をしてください。後で申しでた場合は、紛失・破損とみなし、配布しませんので注意してください。また、グループ間の器具の貸し借りは行わないでください。
  3. 水道は使用しないでください。コイン電池の湿し水は、学生実験準備室より配布しますので、ビーカーを持ってとりにきてください。また、薬品が付着したなど緊急の場合の利用は認めます。
  4. 薬品は全て毒ですので、十分に注意して取りあつかうこと。
  5. 保護メガネをつけるように指導すること。
  6. イオン交換水や試薬の補充はないことを周知すること。
  7. 洗液も含め廃液容器に入れてください。
  8. 廃液が250mLになった時点で実験は中止となります。
  9. 器具のチェックシートを配布しています。最終実験日にTAがチェックしますので、各実験日に数量の確認を行い記入してください。
  10. 実験は、15:55分まで、器具の確認、後片付けまで完了です。実験終了時刻以降はチェックを受けられません

PRTR法への対応

PRTR法(Pollutant Release and Transfer Register:環境汚染物質排出移動登録)とは、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組みです。山形大学も2004年4月のPRTR法の執行により行政への報告が義務付けられている.このような背景のもと、学生実験でもPRTR法への取り組みを行います。そこで、下記のシートをコピーし、記入事項を記載し、実験終了時に提出すること。

グループ番号_____-______          提出日____年___月__日

提出者(学籍番号・氏名)________・___________

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

学籍番号:         氏名:           使用日        

共同実験者氏名:            (学籍番号           

使用試薬名:                         使用量:        g・mL

改訂履歴:

2005年版:器具にチャック欄と追加、PRTR法への対応、実験当日の周知内容を追加。

2006年版:グループ評価を新しい評価法として追加、進捗票の改訂、器具に「電池スナップ」を追加

 2008年度:カリキュラムの変更により実験内容の見直し。

2014年度:高等学校の新課程に対応。


参考文献

橋本尚;電池の科学(1987、講談社)

電気化学協会;新しい電気化学(1984、培風館)

喜多英明・魚崎浩平;電気化学の基礎(1983、技報堂出版)

井上勝也;現代物理化学序説(1981、培風館)

加藤正義・馬場宣良;現代電気化学概論(1981、オーム社)

橋本健治;反応工学(1979、培風館)

熊井俊彦;熱力学と化学平衡(1976、培風館)

長岡長治;電気化学(1964、電気書院)

工業技術基礎(2009, 実教出版)

*1Peter Atkins・Julio de Paula著,千原秀明・稲葉章訳、アトキンス物理化学要論 第5版、東京化学同人、p.201(2012)、図9・12

*2井上勝也、現代物理化学序説 改訂版、培風館、p.390(1974)、例題8・8

*3蒔田・原納・鈴木、応用物理化学Ⅱ、培風館、p.195(1985)、10・5節

*4Peter Atkins・Julio de Paula著,千原秀明・稲葉章訳、アトキンス物理化学要論 第5版、東京化学同人、p.201(2012)

*5Peter Atkins・Julio de Paula著,千原秀明・稲葉章訳、アトキンス物理化学要論 第5版、東京化学同人、p.201(2012),9・14式

*6井上勝也、現代物理化学序説 改訂版、培風館、p.390(1974)、例題8・8

*7蒔田・原納・鈴木、応用物理化学Ⅱ、培風館、p.195(1985)、10・5節

*8井上勝也、現代物理化学序説 改訂版、培風館、p.390(1974)、例題8・8

*9蒔田・原納・鈴木、応用物理化学Ⅱ、培風館、p.195(1985)、10・5節

*10 Peter Atkins・Julio de Paula著,千原秀明・稲葉章訳、アトキンス物理化学要論 第5版、東京化学同人、p.433~436(2012)

*11 Allen J. Bard and Larry R. Faulkner, Electrochemical Methods, JOHN WILEY & SONS, p.561

(1980)

*12 Allen J. Bard and Larry R. Faulkner, Electrochemical Methods, JOHN WILEY & SONS, p.555

(1980)

*13 Allen J. Bard and Larry R. Faulkner, Electrochemical Methods, JOHN WILEY & SONS, p.556

(1980)

*14 Peter Atkins・Julio de Paula著,千原秀明・稲葉章訳、アトキンス物理化学要論 第5版、東京化学同人、p.205(2012) 表9・3

*15蒔田・原納・鈴木、応用物理化学Ⅱ、培風館、p.189(1985)

*16井上勝也、現代物理化学序説 改訂版、培風館、p.395(1974)、図8・7

*17 Allen J. Bard and Larry R. Faulkner, Electrochemical Methods, JOHN WILEY & SONS, p.559

(1980)

*18 Allen J. Bard and Larry R. Faulkner, Electrochemical Methods, JOHN WILEY & SONS, p.564

(1980)

*19工業技術基礎、実教出版、p. 31~32、ノギスの使い方.

*20工業技術基礎、実教出版、p. 92~97、回路計・オシロスコープの取り扱いかた.

*21工業技術基礎、実教出版、p. 105~107、はんだ付け.

*22電気化学測定法,作用電極の電位窓,p.67,技報堂出版㈱.

*23 現代の電気化学,工業電解プロセス、p.140,㈱新星社(1990).

*24電気化学測定法,塩橋の例,p.98,技報堂出版㈱.

卒業まで元気で実験してね~♪  

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