【記事タイトル】

地獄の日々に現れた「教官」|訪問看護と歩んだ認知修正と再生記録

ー・目次 ー・ー

暗闇:「取りかかれない」の裏側にあったもの        2

「生活基盤」の乱れ        2

「思考の基盤」の乱れ        3

歪んでいた「認知」        4

始動:教官による「認知修正」という武器        4

【1】食う・寝る・出す        5

■緩んだ地盤に家は建たない        5

■「睡眠」は諦めが肝心        6

「寝る」ことが乱れまくっていた私は、
まずは「寝る時間を整える」ことから始めました。        6

■「食う・寝る・出す」は連鎖して整う        7

2.心の中は無限に自由        7

■心の中では「母親のせいにしていい」        7

■心の中では「暴言を吐いていい」        8

■「心の自由」が「健全な大人対応」へと導く        9

再生:現在の私「ラスボス」との戦い        10

ー・ー・ー・ー・ー

本文】

はじめまして。

「訪問看護ステーション凛」さんに
10年ほどお世話になっている利用者の1人です。

今回は「精神障害」で、毎日苦しくて仕方がなかった私が

「訪問看護」を通して
「どう再生することができたか」
を伝えさせていただけたらとペンを取りました。

勝手に語らせていただく中で、少しでも
・訪問看護の利用を考えている
・現在利用している
当事者様ご家族の方。

そして、精神疾患に苦しむ
当事者様・ご家族の方にとって

「日常を良いものにする」ための
ご参考になりましたら、とても嬉しく思います。


暗闇:「取りかかれない」の裏側にあったもの

私が最初に「訪問看護をお願いしたい」と助けを求めたとき、
出た言葉は「やりたいことに取りかかれません」というものでした。

でも、訪問看護師さんが蓋を開けてみると、
裏にはもっと重要な問題が隠れていたのです。

生活基盤」の乱れ

まず「生活基盤」がボロボロの状態でした。

しかし私は、それを全く問題だと捉えていなかったのです。

例えば―
■睡眠
☐寝るのが嫌で3時4時まで夜ふかし
☐寝る時間も起きる時間もバラバラ
☐睡眠時間は徹夜から10時間以上の過眠まで

■飲食
☐制御できない過食嘔吐
☐1日に水を10リットルも飲んでしまう水中毒

■排泄
☐5日間排便がなくても気にしない
☐尿失禁・便失禁も頻繁

■服薬
☐服用時間がバラバラ
☐服用しないこともシバシバ

この状況からーー

「体と心はつながっている。生活基盤を整えないと体調が整わない」

「体調が整ってこそメンタルも整ってくる」

これが訪問看護師さんからの最初のご指導でした。

「思考の基盤」の乱れ

また「生活基盤」同様、
当たり前のようにボロボロだったのが「思考の基盤」です。

例えばーー

■人間関係
□自意識過剰で常に人の顔色を伺う
□自分を犠牲にしてまで人に尽くそうとし共依存になる

■感情の起伏
□ささいなことで突然切れる
□まだ起きていないことを先読みして不安で仕方なくなる

■生活
□理想ばかり高く行動できない

■精神症状
□幻聴・幻視・幻覚
□リストカット
☐店にあると自分が暴れて商品を壊すのではないかという強迫性思考に囚われる

こうした状況から、訪問看護師さんよりーー

「『何も起きていない』のに毎日正体不明のものと戦っている」

「敵が見えなければ、怖いだけで戦いようがない」

「敵を見えるようにしていきましょう」

と、ご指導が入りました。

振り返ると「この地獄から出られるかもしれない」
そう希望を持ったことを思い出します。

歪んでいた「認知」

結果「取りかかれない」の裏側にあったものは
・生活基盤
・思考の基盤
の2点に対する「『認知』が、正しく機能していない」ということでした。

原因としては幼少期の
・母親からの虐待
・学校での集団いじめ
が考えられます。

幼少期の私にとって、異常な苦しさが「日常」であり、
気づくと「何が当たり前で、何が問題なのか?」

これらが全く判断ができない「認知の歪んだ」大人になっていたのです。


始動:教官による「認知修正」という武器

こうした前提を経て、訪問看護師さんと「病との闘い」が始まりました。

「訪問看護」と聞くとーー
・身体に関わるケア
・バイタル確認
・服薬管理
・生活指導
などのイメージがあり、一見、
精神障害とは関係がないように感じるかもしれません。

実際、かなり過去ですが
「精神障害で訪問看護を受けても仕方ない」
とおっしゃる医師に出会ったこともありました。

もちろん、イメージ通りのケアもあり、
中でも「服薬管理」と「生活指導」は、
精神疾患の回復にとって重要な役割を担うケアとなります。

その上で、メインに行われたケアは「認知修正」。

訪問看護師さんが「人生再生」への「教官」となり、
たくさんの「認知修正」をご指導いただきました。

この認知修正は、私にとって
あらゆる「病と戦う武器」となったのです。

その中でも、精神症状の回復に大きく効果を感じたのが

【1】食う・寝る・出す
【2】心の中は無限大に自由

の2つです。

【1】食う・寝る・出す

「とにかく『食う・寝る・出す』を整えて!」

訪問のたび、必ずこちらをご指導いただきました。

10年たった現在も、教官は毎週この言葉を欠かしません。

「食う・寝る・出す」

私はこれを「回復の扉」を通る「合言葉」だと思っています。

■緩んだ地盤に家は建たない

「生活基盤なんてどうでもいい
とにかく何事にも取りかかれるようになりたい」

「徹夜でも何でもして行動できるようになりたい!」

そのような認知の私に、教官はーー

「何をおいても、まずは『生命の基盤』を整えること」

「『緩んだ地盤』に、どれだけ、
家(理想)を建てようとしても、建てることはできない」

「建てられたとしても、すぐに崩壊してしまう」

教官は「マズローの欲求ピラミッド」の図を書き、
何度も何度も「食う・寝る・出す」が「人生の基盤」

もっと言うなら「生命の基盤」であると、ご指導くださいました。

■「睡眠」は諦めが肝心

「寝る」ことが乱れまくっていた私は、
まずは「寝る時間を整える」ことから始めました。

本当は「起きる時間を整えること」が重要とのことですが、
私にはハードルが高かったのです。

夜、決まった時間に寝ることに対して

「夜中に母親から起こされては殴られていたから、
夜は寝付けないし中途覚醒が起きやすい」

と言う私に、教官は
「今現在、あなたを殴る人は誰もいない」
と納得させる。

「『何もしていない1日』を終わらせたくなくて夜ふかししてしまう」
と言うと

「『諦め』が肝心。起きていたって朝は来る。
しっかり寝ていれば、自然に取りかかれるようになる」

そう私の認識を上書きしていきました。

■「食う・寝る・出す」は連鎖して整う

「食う・寝る・出す」を意識して
「寝ること」から始めた結果、
今では寝る時間も起きる時間も整うようになりました。

また、しっかり寝て「睡眠欲」を満たすことで、
私を30年苦しめた「過剰な食欲求」が弱体化。

人生を大きく振り回した「過食嘔吐」は、
年々減っていき最終的に消滅しました。

また、食が整うことで排便も整うようになり、
外出時に悩まされていた「便失禁」も急激に減ったのです。

教官によると「食う・寝る・出す」は連携しているので、

1つを整えると「連鎖」して、他2つも整いやすくなるとのことでした。

実際にやってみて、私も心から実感しています。

2.心の中は無限に自由

「食う・寝る・出す」に続いて、訪問のたびご指導いただいたのが

「心の中は無限に自由」
「思ってはいけないことは何もない」

です。

■心の中では「母親のせいにしていい」

世間では
「子供のころにどんな育ち方したって、大人になったら自己責任。
親のせいにしていないで、行動すれば良い」
といった声が多く、その声に傷つきながら自分もそう思っていました。

何度も「人生をやり直したい」と言いながら、口だけで何も手がつけられない。

そんな私にかけた教官の声は
「一度、全部お母さんのせいにしていい」
というものでした。

「成長期に整えられなかった基盤に、何を重ねても上手くいかないのは当たり前」
「あなたのせいじゃない」

と。

本当は悲しかったのに、本当は怒っていたのに
「母親にも事情があったから」と、
心の中まで「いい娘」になっている。

だから、私の「心の中の悲鳴」が、
あらゆる精神症状となって現れているとのことでした。

心の中で、どれだけ母親のせいにしたところで、誰にも何も影響しません。

この認知修正は「過去の気持ち」
「過去の忘れ物」を取りに帰る作業だとご指導いただきました。

■心の中では「暴言を吐いていい」

当時の私は「人間関係に悩む」というより
「人間関係に一方的に疲れている」という状態でした。

例えば、人と会ったあとはーー

・人に傷つく言葉を言っていないか
・人に無神経な言葉を投げていないか
と不安で不安でしかたない。

日常的にーー
・嫌われていないか
・どう思われるだろうか
と「人の反応」を気にして顔色を伺う。

そんな私に教官は
「万人に好かれる人なんてこの世にいない」

「大人気のアイドルでさえ嫌いな人は出てくる」

「他人にどう思われるかではなく、自分がどう思うかが大事」

そう、ご指導が入りました。

また、友人知人に嫌なことを言われても我慢する。

それなのに、各店員さんや道行く人や飲食店のお客さんに、
嫌なことを言われたり嫌な態度をされると反応し突然切れる。

そして後から激しく後悔して、過食嘔吐や胸痛に悩まされる。

そんな負のループを度々起こしていた私に、教官は

「普段から、心の中までいい人になろうとしているから、エネルギーを持っていかれる」

「他人への怒り、それは本当は母親への怒り。
助けてくれなかった当時の大人への怒り。

普段から知らないうちに溜めている友達への不満。
『こんなこと思ってはいけない』と何処かで心を制限している。
だから爆発する」

「例え好きな友だちでも嫌なことはある。

普段から心の中で暴言を吐けば良い。

心の中で思ってはいけないことなんて何1つない。
そうすれば、怒りを溜め込むことなく、切れることもなくなる。
心の中は無限に自由」

そう、認知修正してくださったのです。

母親の件同様「心の中までいい人になる」ことが、
過食嘔吐を中心に様々な精神疾患を引き起こしていたのでした。

■「心の自由」が「健全な大人対応」へと導く

こうした認知修正を受けて、
母親のことを思い出したり、今の自分を情けなく思うとき、

心のなかで思いっきり母親のせいにする。

人間関係に疲れると
「こんなこと思ってはいけない」と、
自分を制限していないか振り返る。

そう意識するようになり、次第に
「心の中の自由」を取り戻していきました。

ただ、認知修正はここで終わりではありません。

心の中で思いっきり相手のせいにしたり、
暴言を吐いた後は「相手の都合」も考えるのです。

最初から「相手の都合」を考え、
自分の心の中を制限すると無理が来る。

でも先に、心の中でーー
・相手のせいにしておく
・思いっきり暴言を吐いておく
をして、自分の気持ちを解放しておけば無理がやってきません。

後から「相手の都合」も考えるので、
心の中で自由に思ったことや発言したことに罪悪感もなくなります。

また、後からでも「相手の都合」を考えることで、
相手を理解でき不満も解消され怒りも溜まらない。

これは「大人対応」ではないか?

「心の自由」を手に入れると、
怒りを溜めることなく「健全な大人対応」ができるんだ!

そんなことを思いました。

心の中で何を思っても、誰にも咎められない。
自分で咎める必要もない。

これを知ることが出来てから、
対人関係でエネルギーを使っては発症していた精神症状が、
徐々に緩和していき、とても生きやすくなっていきました。


再生:現在の私「ラスボス」との戦い

「食う・寝る・出す」や「心の中は自由」を中心に、
看護師さんの指示を一つずつ実行していった結果ーー

あんなに苦しんだ過食嘔吐は止まり、他の精神症状もかなり弱まってきました。

「食う・寝る・出す」や「心の中は自由」以外にも、
ここでは語り尽くせないご指導や認知修正があります。

成長期を含め数十年刷り込まれた認知は、
数ヶ月で魔法のように良くなるものではありません。

訪問のたびに、何度も何度も繰り返しご指導いただき、
自分でも意識して工夫して考えを上書きするようにしました。

その成果は、目に見えない単位で少しずつ少しずつ進化していき、
気づけば「大きな好転」となっていたのです。

そして、ようやくたどり着いた最後の大きな壁。
いわば「ラスボス
」が姿を現しました。

そのラスボスとは、私の「200%思考」です。

何でも完璧以上に、限界を超えてやり遂げなければならないという思考。
それが「常に自分を追い詰めている」
原因だったのです。

今私は、このラスボスと戦うべく、自分の「200%思考」と向き合っていますが、
自分の考えのどれが「200%」思考なのか、なかなか気付けない。

「200%思考」を卒業し
「60%」で生活することを目指して、まだまだ奮闘中です。

長年のクセは頑固で、まだまだ発展途上ですが、今の私には信頼できる教官。

訪問看護師さんがいてくださいます。

そして未来、一人で立てるよう、
いただいたご指導を大切に、地道に続けていこうと思います。