プレスリリース:2024年3月27日

批評家・黒嵜想による、極域からセカイをとらえなおすプロジェクト「極セカイ研究所」が始動!冊子『P2P』を刊行します。

Artwork by UMEZAWA Kazuki

極セカイ研究所(キョクセカイケンキュウジョ/略称:極セ研)は、主に南極を中心とした極域について、専ら文化的側面からの総合的な研究・批評を行うことを目的とし、批評家の黒嵜想が2023年8月に設立した私設組織です。

このたび極セ研では、2024年3月31日にこれまでの活動の成果をまとめた冊子

『P2P』を刊行し、その記念として『P2P』刊行記念/極セカイ研究所設立記念トークイベント「極セカイ研とはなにか」を京都市左京区の極セカイ研究所(アートスペース「ニハ」内)から配信いたしますので、お知らせいたします。

所長あいさつ

南極大陸の氷が溶ける。心配ごとはさまざまだ。

これを物理的な「海面上昇」の兆候とすれば、地球温暖化を阻止すべく環境保護活動のステートメントを導くことができる。

または比喩的な「アイスブレイク」の危機とすれば、軍事的な緊張を解くべく平和維持のアクションが導かれる。

あるいは夢想的な「太古の封印」の解放とすれば、神話的な厄災を防ぐべくSFめいたフィクションが導かれる。

人類が南極点へ到達してから、100年以上が経過した。

「国際地球観測年」を契機として作成・発効された南極条約により、南極大陸においては一切の戦闘行為と、領土主張が凍結された。以来この地は、一方では科学者たちによる国際的な協働のもと観測の対象とされ、他方では人類文明あるいは地球の代表地、つまり「平和」や「人類以前/以後」の世界を象徴するジオラマとして扱われてきた。

極大なタイムスケールでわれわれ人類の文化・文明を相対化し、地球の来たるところと行く末を知らせる南極大陸は、現実の国際政治から虚構の物語にいたるまで、世界の方針を占う場所として利用されている。

つまり、南極が有するもっとも巨大な資源とは「イメージ」である。

しかし極地のイメージを利用して作成されたさまざまな世界理解は、数多くの参照とその広範な影響にもかかわらず、人文的・思想的な関心の外におかれている。そして極地をめぐる関心のほとんどもまた、科学的あるいは政治学的なものに占められているように思える。

「極セカイ研究所」は以上のような問題意識のうえで、極地をめぐる批評的な航路を試すために生まれました。批評誌『P2P』の創刊もまた、そのプロジェクトの一環です。

氷の下には、どんなイメージが、「セカイ」が埋まっているのか——。

乗船受付が始まります。

(黒嵜想)

極セカイ研究所について

極セカイ研究所は、主に南極を中心とした極域について、専ら文化的側面からの総合的な研究・批評を行うことを目的とした私設組織です。極域をテーマとした独自の批評・論述の制作・刊行を⾏うことによって、我が国の極域にまつわる文化的事象の研究と知見の多角化に寄与することを⽬的とし、以下の事業を実施しています。

  • 我が国が実施している極域での活動とその歴史及び発展に関する調査研究
  • 我が国の文化芸術における極域の表象に関する調査研究
  • 極域における文化的・芸術的実践に関する調査研究
  • 極域に関する内外の芸術実践や研究機関との交流・連携
  • 極域に関する資料の収集及び公開
  • 上記事業の普及啓発活動
  • その他、本研究所の⽬的を達成するために必要な事業

沿革

  • 2021.3 京都・まちじゅうアートフェスティバルの一環として「光冠茶会 国際人類観測年」を開催
  • 2023.1 国際人類観測所(仮)として活動開始
  • 2023.8 組織名を「極セカイ研究所」に改称、ウェブサイトを公開
  • 2024.3 冊子『P2P』を刊行

『P2P』書誌情報

P2P(ピーツーピー) 第〇号 ¥2,000(税抜) A5判136頁 初版200部

目次

「南極の人類学」のスケッチ      森下翔
南極で料理をする際の心得      北田克治            

 極論                黒嵜想            

 極北の時空             大石侑香            

 動中の動、新しき道         アレクサンドル・ポノマリョフ インタビュー

 南極ビエンナーレの未来       鴻野わか菜  

   

発行     極セカイ研究所

発行日    2024年3月31日

編集     極セカイ研究所(黒嵜想、沢田朔)

編集協力   長谷川新、福尾匠、藤村南帆、布施琳太郎、米澤柊

デザイン   中家寿之

アートワーク 梅沢和木

協力     山本麻友美

※『P2P』は、極セカイ研究所の事業内容に関する普及啓発活動の一環として発行されます。

トークイベント情報

『P2P』刊行記念/極セカイ研究所設立記念トークイベント「極セカイ研とはなにか」

日時|2024年3月31日(日)19:00~20:30

出演|黒嵜想、沢田朔(極セカイ研究所)

会場|オンライン配信

料金|無料

協力|ニハ

配信URL|https://youtube.com/live/L1OVks1b0fY?feature=share

お問い合わせ先

極セカイ研究所 Poler SEKAI Research Institute

担当:沢田

〒606-8117 京都市左京区一乗寺里ノ前町24-7 ニハ 2F

2F, NIHA, 24-7, Ichijoji Satonomae-cho, Sakyo-ku, Kyoto, 606-8117, JAPAN mail:info@sekai-ken.org

公式ウェブサイト:https://sekai-ken.org/

公式X:https://twitter.com/Polar_sekai_ken

極セカイ研究所はおおさか創造千島財団2023年度「創造的場づくり助成」の助成により設立されました。