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日本小児科学会予防接種感染対策委員会御中2010年9月6日.doc
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日本小児科学会 予防接種感染対策委員会 御中         2010年9月6日


林 啓一(上海国際クリニック、上海)
宝樹真理(たからぎ医院、東京都)
小児科学会員を含む有志(名簿添付)

平素、日本の小児科診療質の向上、維持の学会活動に対して感謝申し上げます。

この度、日本小児科学会(以下学会と略)員である林、宝樹および学会員ではない医師、
そして有志市民(添付名簿参照)は、

日本小児科学会(以下学会と略す)が2010年8月20日の学会Webサイト上に公開された
「経口ポリオ生ワクチンの接種について」(
http://www.jpeds.or.jp/saisin/saisin_100820.pdf
(以下声明文)を熟読し、その内容に一部異議があるため、林と宝樹が代表して、ここに提言します。提言するまでの経緯は有志のWebサイト(
https://sites.google.com/site/ipv4japanesechildren/)をご参照ください。

我々の提言要旨

日本小児科学会は、その設立理念(http://www.jpeds.or.jp/chairman.htmlに基づき、ポリオワクチンの副反応による被害を最小限にすべく「不活化ポリオワクチン(IPV)国産化成功までは、海外で既に実績のあるIPVの早期臨時緊急輸入を国に進言し、広く国民が安全なIPVを選択できる環境づくりに積極的に関わるべきです

背 景:学会声明文の要旨は、以下のとおりです。

(1)50年代のポリオ大流行に際し、時の吉井厚生大臣が超法規的に生ポリオワクチン(OPV)を、ソ連、カナダから緊急輸入し、国内のポリオ流行を沈静化し、その後80年以降、我が国では野生ポリオは存在しない。OPVは極めて有用であった。
(2)現在、定期接種に使われている(財)日本ポリオ研究所が独占開発製造販売している生ポリオワクチン(OPV)はワクチン関連弛緩性麻痺(VAPP)などを起こすリスクがある。
(3)海外では、VAPPのリスクのないIPVが既に実用化されていることは学会しても承知している。
(4)日本ではIPVはまだ国産化に成功していない。
(5)ポリオに対する国民の免疫レベルを保つ必要がある。
(6)従って(5)の目的を達成するには、VAPPのリスクはあるものの、学会員はOPVを積極的に勧めるべきである。

林と宝樹の考え:

(1)~(5)までは、事実を時系列に記載されたものであり、すべての医師の共通の認識ですが、(6)については異議があります。

既知のとおり、アジアでIPVが導入されいない国は北朝鮮と我が国日本のみである。
中国でも2005年にIPVの臨床治験が終了し、今年からIPVが使えるようになりました。

現在、ポリオ流行地はナイジェリア、アフガニスタン、インド、パキスタンの4カ国である。これらの国でも、また地続きの中国でもIPVを導入しました。

過去30年間、野生株のポリオウィルスが輸入された証拠もないまま、漫然とOPVを
定期接種として続けて、我が国の子どもたちにVAPPのリスクを負わせること、また
春、秋に全国一斉に行われるOPV集団接種会場に出務する医師としても、IPVが海外
にはあるものの、国内では使えない事態に、我々学会員として非常に心苦しい。

以上より、
日本の子どもたちにも、海外で既に実用化された、VAPPを起こさない安全なIPVを、定期接種として、あるいは国内で自由意志でIPVを選択肢として使えるように、
指導的立場にある学会は、国に提言すべきと考えます。

以上